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旅行編、ショート編。旅行編は、エロチィック・エッセイ。ショート編は、日常些事のショート・エッセイ。創作編は、短編小説。マイ・ギャラリーは、各編の自作挿絵の収録。

心何処ーショート 女は、それを我慢出来ない動物である。
           女は、それを欲する動物である。(12/27/10)
 あれあれ、米が無く為って来たか・・・正月早々に買いに行くのも面倒であるから、二回分を買って来るとしようか。朝飯前の一番で、米屋さん訪問である。
 いやはや、曇天強風の向かい風である。上り勾配にして、メタボの表面積の大きさである。自転車の進みの遅さに、寒風がデカイ鼻の穴を直撃する。おお、寒~い~。

 米屋のご主人は、仕事前の新聞読みであるから、思い切り掴まって仕舞い、私の半世紀を聞かれに聞かれて仕舞った。後添えの紹介をしてくれる訳でもないのに、平凡な人生であるし、今や、毛無し、金無し、女無し。止めの一発が、甲斐性無しの男である。早々は話す内容も無い男なのである。

  さてさて、帰って食後の一服を燻らせていると、ヤクルトママさんである。

 今年最後のコール日である。六畳の障子を開けると、ママさんは悪戯っ子の様な頬笑みである。

「うぁ~、今日もまた、美味しい干し柿のオヤツが頂けま~す。Rさんの干し柿の味は、最高の上品さですよ。市田柿なんか、目じゃないです。この一面の白い粉が、もうもう、何んとも言われませ~ん。」

「上手い事こきぁがって、この男たらし。ちょっと待ってろや。ブログ付き合いをして下さるお人に、沢庵漬け送って居るんだ。未だ、早いけど、味見して貰おうか。」

「任しといて下さい。生まれも育ちも信州松本の女ですから、お点はシビアですよ。」

 漬け物樽の上部から取り出して、5~6枚切って来て味見係りに御呈示する。

「どれどれ、あっ、美味しい。もっと無いですか。お茶が欲しいですね。Rさんは、才能ありますね。行ける行ける。何でも、こなしちゃうんですね。」

「馬鹿こいちゃいけんわね。カカアに逃げられたんだから、遣るしか仕様が無いだけだわね。実態と来たら、好い歳かっぱらって、お先真っ暗の介護人生だぜや。」

「何言ってるんですか、あんな綺麗な奥さんがいて、普通は奥さんに逃げられた男の人は、そんなに活き活き溌剌として無いですよ。何時見ても、艶々してるじゃないですか。話は上手だし、頭の回転は速いし、男前だもの。今だって、モテモテでしょう。」

「そんなに煽てて呉れたって、頭の毛は生えて来んぞね。伸びるのは、無精髭だけだんね。」

「またまた、謙遜しちゃって~。絶対に、浮名を馳せた顔ですよ。アハハ。」

「まぁな。現役の頃は、日本飛び越しちゃって、少なからず遊んで貰った事は有ったけどさ。今じゃ、何処へも逃げれねぇ落ち目の三度笠だわね。それでもさぁ、世の中の相性と云うのはさ、面白い物で・・・如何云う訳か、俺ぁ、ペチャパイさんと相性が合う見たいでさ。お恐れながら、奥方も正真正銘のペチャパイさんだわね。ダンナにお前のオッパイは、えぐれているって云われてるだろ。ギャハハ~。」

「アハハ、ピンポン、当たりで~す。」

「為るほど、それじゃ、ダンナには、牛じゃあるまいし、現代女のオッパイは、大きさより感度が一番って、減らず口叩いて居るんだろ。」

「キァ~、ピンポ~ンです。良く分かりますね~。」

「あいあい、俺だって妻帯者だったぜね。男の言う事も、女の言う事も、言う事は、太古の昔から、そんなに変わっちゃ居らんぜね。下ネタは、経験が物を言うだいね。イッヒッヒ~。」 

 ブログを見て居ると、正月の用意なんかの話題がある。テレビでも、おせち料理の作り方などが登場して居る。母に言わせると、明日からは品物が高く為るから、買い物をするのなら、今日の内とのアドバイスを貰う。
 そんな事を入れ知恵されると、吾が身は貧民賄い夫である。買い出しに行って来るしかあるまい。風呂が沸く頃ではあるが、母に譲って野菜類は個人スーパー、その他の物は、大手スーパーに行って来るしかあるまい。

 風呂のハイカラ御隠居さんの人生訓にも、「経済は工夫」の一家言があった。「知恵のある者は、知恵を出せ。知恵の無い者は、汗を出せ。両方無い者は、即刻、去れ。」なんて言われて、組織の扱きに遭って来た世代である。私の場合は、知恵が無いから、寒風・向かい風・上り勾配のペダル漕ぎで、汗を掻くしかあるまい。とほほなり。

 買い物、第一弾をして小休止の一服を吸っていると、正月の手作り飾り付けを持って、久々の斜向かい色白吟さんの登場である。印刷して置いた文作綴りをお渡し申し上げる。

 ササッと、風呂に浸かって、スキンヘッドを剃り上げて、クリームを柔肌に刷り込んで、健忘症帽子のメモをポケットに、毛糸の帽子を深々と被る。毛糸の手袋をして、大手スーパーにイザ、出陣である。

 スーパーで、メモ片手に店内徘徊である。おやおや、こりぁ又、好い女ではないか。

 歳付きは、私と同年配であろうか。身長は160数センチ、ボーイシュに襟足を刈り上げて、白いズボンに、黒い長コート・・・ 中々の美形さんである。う~ん、水の気が入って居るのかな? スタイルと云い、センスと云い、中々のハイレベルである。

             へへへ、目が遭って仕舞った。

 別に女房、娘の目がある訳ではない。タイプの女性の姿が有れば、見るだけ只、見ないと損損である。美形さんに目の保養をするのは、男のエチケットと云う物である。へへへ。

『女は、それを欲する動物である。』・・・さて、誰の言葉だったかな? ギャハハ!!

 レジ袋を二つ、ヒィ~コラ、ヒィ~コラ上り勾配を漕ぎ上げて、大通りを前に、車の途切れを待っていると、漕げ茶のコートを確り着込んだ、同班の色男先輩様のお姿である。通りを前に、両側から手の振り合いである。

「やあやあ、昨日の西田上野介のブログ読んだよ。相変わらず、キツイ事発信してるね。ハハハ、何時も、笑わせて貰ってるよ。」
「先輩、感謝であります。見たかいね?」

「俺は、見なかったけど、良く内容は、理解出来たから、吹き出しちゃってさ。役者さんにも、其々、役処、十八番(おはこ)ってのがあるからね。それにしても、寒いね。」

「あいあい、俺ぁ、蟻地獄の賄い夫にズッポリ嵌っちゃてるぜ。鼻水垂らして、お買い物せ。あれだんね。ロートルは、温い部屋にばかり胡坐を掻いてると、外気中りで、風邪から肺炎に進んじゃうぜね。適当に暖気と寒気当たりを交互に繰り返して、萎み行く耐性を鍛えなくちゃ、駄目だんね。」

「やぁ~、そうだだよな。散歩をサボっても、外気に身を晒さないと、億劫に為っちゃうからね。億劫さが癖に為っちゃうと、抵抗力が萎えちゃうからさ。でも、寒いわな。信州は好い所なんだけど、冬は、シャラ寒くて行けんわね。」

 やれやれ、曇天寒風の内に、早くも日は夜に向かって一直線である。遺憾いかん・・・本日、未だ一字も打って居なかったのである。


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