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日差し静かなり(11/23/09) 夜半から雨との予報であったが、雨は降らなかった様である。干し柿を取り込んでしまったから、貴重な乾燥時間を損をしてしまった。吊るし柿のカバーを外し、廊下の干し柿を庭の台に広げる。吊るし柿の方は、すっかり縮みあがっしまったが、待望の白い粉が吹き始めて来た。お天道さんアリガトさんでゴザンスヨ。
朝食後は太陽の恩恵を浴びさせようと、鳥籠を廊下に置いて遣る。部屋で煙草を吸って居ると、正面フェンスにバルディナさんの御挨拶である。晴れ渡った好いお天気さんである。河川敷のベンチで、日向ぼっこの読書でもしようかと思い立つ。半纏のポケットに煙草を入れて、本棚を一舐めして『世界のことわざ辞典』をピックアップして、下駄を突っ掛けて外に出る。
木製ベンチに胡坐を掻いて、頁を捲る。背中の綿入れ半纏から、ポカポカした暖房が伝わって来る。世界の諺は、面白いものである。諺は、人間の生活のエキスと云ったものであるから、表現者の違いによって、其々の味わいが見える。同じ事象に遭遇したとしても、人々の感じ方は其々に異なる。前から横から、後ろから・・・見て感じて考えて、人其々の言の葉表現である。眉間に皺を寄せて、フム・フムなどと読んでは為らない世界なのである。
ほぅ、ほう、お主は、そう来たか・・・天晴れあっぱれ、流石、詩人様、イョ〜、長屋のクマさん、八っつあん、なっとく納得。
ってな物で好いのである。古今東西・芸術家・識者・施政者のお偉いさん達だけが、後世立派なのではない。人の世の表現なんて代物は、生き物なのであるからして、人の心・気分にマッチすれば、これぞ立派な世界の諺と為って、後世に伝えられるのである。日当たりの葦の風音・川の瀬音に、青空の中の白雲・・・ 雀がチュチュんと鳴き、日差し浴びて、蝶がヒラヒラ舞う。本日、勤労感謝の日である。穏やかなる日和に、山野は色彩を放ち、遠くのお山には白衣が掛る。
さてさて、ロートル・クマ男の脳味噌の風通しも出来た。慣れぬ読書はこの位にして、定位置小部屋で、熱いコーヒーでも飲むとしよう。
「おや、おばさん精が出るね。」 「うん、落ち葉だらけに為っちゃったから、掃除をしなければね。もう、疲れちゃったから、また今度にするんだ。嗚呼、腰が痛い。歳は取りたくないねぇ。」 「ハハハ、はい御苦労さまでした。さぁさぁ、部屋でゾウガメのコタツ亀をやりましょ。」 「何だい? そのコタツ亀ってのは・・・」 「日本の図鑑じゃ、コタツはゾウガメさんの甲羅だってさ。本当は、ゾウガメは、ガラパゴス諸島の主だって話だけどさ。海流に乗って遥々時間を掛けて、日本に漂着してたらしいよ。何時の時代か、俺ぁ学が無いから知らねぇけどさ。まあ、その子孫達が、冬の信州人だわね。へっへつへ。」 「アッハッハ。それで、私は、ヨロヨロのゾウガメって訳。笑わせてくれるじゃん。でも、本当だね。私はゾウガメだから、甲羅の中に潜り込むよ。コタツ亀とは・・・本当に、その通りだわ。やれやれ・・・」
玄関を開けると、DVDの入った紙袋が置いてある。そうであったか、斜向かいさんが顔を出されたか・・・ 通りから斜向かいさん・Sちゃの部屋のガラス戸をノックして、吾が在室をお知らせして来る。
さてさて、椅子に根が張る前に、貰い物の大根三本と生姜を始末して置くとするか。干し柿を一つ口に入れて、台所仕事をこなした後は、日記綴りの印刷でもして置くか・・・ 斜向かいさん先週持ち出し分は、吾が短編集であったから、今週はレギュラー分に移行した方が好かろう。何もしなくても、一日は音も無く過ぎ去って行くものである。
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