旅行編、ショート編。旅行編は、エロチィック・エッセイ。ショート編は、日常些事のショート・エッセイ。創作編は、短編小説。マイ・ギャラリーは、各編の自作挿絵の収録。

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心何処ーショート コタツで暫しのお話為り。
             コタツで暫しのお話為り。(1/31/12)
 真に寒い日が続く。玄関鳥も、縮みに縮んで居る。幸い日差しが在るから、廊下に並べて遣る。掃除をしながら、二畳小部屋の灯油ストーブを焚いて、物語の続きを打つ用意をして居ると、電話である。ケアマネさんが月一度の面接調査に来ると云う。

 コロコロと笑う気さくな人である。老母との相性も良く、ゴタ話が出来るから有難い女性である。コタツを暖め、電気ポットで湯を沸かす。彼女は月に一度の訪問であるから、話の切っ掛けの戯け画もそれなりに溜まって居るので、率直な感想を頂戴出来るから、面白い。

「やいやい、チョイと早かったわね。未だポットの湯が湧かんわね。まぁ、絵でも見てましょや。」

「相変わらず、Rさんの絵は、色んなムードの絵があって、面白い。この頃、絵描きのピッチが速いんじゃないですか? 絵も何か、描き慣れて来て、上手に為ってますよ。」

「あいあい、今、夢奇譚なんて大戯言をシリーズで打っててせ、それが長いのに為ると、一挙に22頁のブログ投稿なんで、俺も、皆さん、余りの長文で肩身が狭いから、挿絵を入れてんですわ。言って見りぁ、<無私>の心根でサービスしてるんだけど、訪問者様には<無視>を決め込まれちゃってるから、俺ぁ、修行が足らんのだわね。」

「そりぁ、しょうが無いわ。昔から、蓼喰う虫も、其々って言うでしょ。そうか、そうすると、物語の挿絵で纏まって居るんですね。ふむふむ、何と無く、そんな感じがするわ。」

「あいあい、この辺りが、第一話、第二話と進んで、これが一昨日描いた第七話・続編の一枚って事さね。」

「そお~、じぁ、どれもこれも文章に即して、絵がフィットしてるんでしょうね。」

「あいあい、少なくても、作者の俺としては、そんな魂胆が有るんだけどね。何しろ、俺のブログは低燃費の低人気でさ。反応が殆ど無いのがコンチクショーメってな処なんだけどね。
 何日か前だったら、貸し出し用の挿絵入りの自前小冊子を作って置いたんだけど、斜向かいさんが持って行ったんだけど、何かと野暮用が有る様子で、中々帰って来ないんだわね。へへへ。」

 電気ポットの湯が湧いたから、今度はお茶坊主をする。一昨日打った物が印刷してあった筈である。三頁の長散歩と自由に就いての一考察文を渡す。ケアマネさんにそれを読ませている間に、私は廊下と部屋の敷居の縁に腰を下ろして、熱い日本茶を飲みながら、煙草の一服タイムをする。

「どうだい? 散歩シーンから、本題に入ったかいね。へへへ。」

「Rさんは、文章が上手だわ。文章の流れが、好いわ。う~ん、目に浮かぶ。Rさんは、ピュアで、確りした頭脳を持って居て、小鳥を飼う位だから、とっても優しくて心・情が深い人なんでしょうね。じゃ無きぁ、年老いたお母さんの介護を、肩に力が入って居る様子も無く、黙々とこなす事なんか出来っこない物ね。お世辞抜きで、本当に出来たお人だわ。こんな世知辛い世の中で、本当に珍しい人だわ。

 私もこれが仕事だから、介護家庭のお宅を訪問して色んな話だとか、相談、観察をして来るんだけど、此処へはそんな職業的な気持ちなんか全然湧かないで、世の中には、こんな男の人が居るんだなぁ~って、驚きと勉強させに来ているって感じ。
 う~ん、勉強なんだけど、勉強じゃ無いな。これは。話の内容が、面白いし、楽しいし、兎に角、テンポが好いわ。・・・大きな声じゃ言えないけど、仲の好い幼馴染見たいな友達感覚に為っちゃってるからね。

 Rさんには絵と同様に、強烈な個性が在るんだけど、それを一種独特な柔らかいムードで、オブラートして居る処が、魅力よね。」

「やいやい、眼力が在るじゃんかい。そうストレートに白状して呉れると、お返しに<浴びせ倒し>でお応えするのが、男女の仲だけど、そんな事をしたら犬畜生道に嵌ちゃうし。困ったもんさね。へへへ。本当の事を言ってくれるもんじゃないかい。何か、女日照りのロートルオッサンだけど、久し振りにモテた高揚感の中に要るみたいだわね。イッヒッヒ。

 そりぁ、そうせ。そうで無くちゃ、ハリウッドスター顔負けのロシア女性が、俺のファンにぁ為らんわね。見たか、聞いたか、感じたか、これが森の馬鹿松の男ザマだいな。ギャハハ!!」

「またまた、エッチな話に振ろうとしてるなぁ~。危ない危ない。ねぇ、その好色性が20%位だったら、立派なご住職の雰囲気なのにね。アハハ!!」

 男も女も、この位の馬鹿話がスイスイ出て来る様な年齢に達すると、面白い物である。

 さてさて、ケアマネさんを玄関でお見送りした後は、一発、二畳小部屋で、物語の打ち増しをしなければ為らない。

 本日は<その5>に進んで、初回の小戦闘シーンを打つとしようか。2頁として13頁位には進む筈である。クライマックスのロシア・アマゾネスの<馬上の黒鞭軍団>に、T強要の尺八女イリーナを加えての行は、<その6>or<その7>に為ろうが、アナコンダ王国の勝利後は、T待望の<酒池肉林の宴の描写>を加えなければ為らないと云う・・・嗚呼、気の重さなのである。

 おいおい、そんな日にぁ、20枚に近付いて、前篇後編併せてシリーズ最長の<40頁の大作>に為っちまうがね。こりぁ、勃起以前の妄想枯渇に立ち至って仕舞うばかりである。

 陽の翳った二畳小部屋で、<その5>を打ち終えて、13頁にコマを進めて玄関鳥を所定の場所に置こうとすると、下駄箱の上に返本である。四畳半の窓から斜向かいさんの家を見るが、斜向かい吟さんのお姿は無かった。

 嗚呼、残念為り!! 折角の火に入る夏の虫で、貴重なる読後感を拝聴する機会を逃して仕舞った。・・・とほほ為り。

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心何処ーショート 本日、駆け込みのブログ打ち為り。 
           本日、駆け込みのブログ日誌為り。(1/30/12)
 さあさあ、打ち込めるかな。後一時間である。午前中は、水道凍結でバタバタして終い、夢奇譚を11頁まで伸ばして、風呂に入る。弟の会社に行く用事があるから、散歩を取り止めて、弟が帰って来るまでの間、Tの所に寄る事にした。

 お茶請けに出して呉れた、吾が硬大根の沢庵漬けが、真に好いお味である。夢奇譚の進捗具合を報告して、<戦国初頭にて>の黄色フンドシの呑太改めドンククルカンが隠れ里から<Tの愛妾三人>を加えての荷駄隊を率いて来たと言って遣ると、それに尺八好きのロシア女イリーナの特別参加の要請を受けてしまった。

 Tの野郎は、私の四人参加を目して、ちゃっかりと<数合わせ>をして来る処が、隅に置けない男なのである。今回の続編は、副題として<妄想は、アナコンダ王国を救うか!!>なので、戯作者の私としては、『王国存亡時に、女に現を抜かして居るシーンなどは無いわ~。』と一喝遣ると、抜けシャーシャーと抜かしたもんだ。

「ケツの腫れ物を抱えて、熱帯バクテリア大繁茂ジャングルまで連れて行かれて、女の絡みの無い夢奇譚など、民主党の詐欺フェストだろうが。物語の先は長いんだろうから、その位のサービスは考えとけ。それが肖像権拝借の男の仁義だろう。」と、お叱りを頂戴して仕舞った。いやはや、とんでもない事を強要する男である。ニャ露ロ女~。

 Tの居間からは、細い通りを挟んだ向かい家の柿の木に、小鳥のシルエットが見える。如何やらジョウビタキのシルエットであるから、それを特定する為に尾羽のタクトを観察して居ると、ジョービタキである。それもオスであった。Tも私に感化されて、鳥類図鑑を持っている。
 昨日は、私が描く戯け画の色彩のはっきりした鳥が、庭木に遣って来たと云うから、印象がハッキリしている内に図鑑で確認するのが、鳥名を覚えるコツだと講釈を垂れると、早速、二階の書斎から野鳥図鑑を持って来て調べ始めた。チゴモズである。

 へへへ、私の出張鑑定で、Tはチゴモズとジョービタキのオスを頭にインプットしたのであるから、これで野鳥にも暖かい眼差しが向かうと云う物である。男の観賞、目の保養の対象が、女にばかり<一点集中型>と為って仕舞うのは、甚だ宜しく無い処でもあるからして。

 さてさて・・・頃合いを見計らって、弟の所に行くと来客中である。漫画週刊誌を見ながら待つ。すっかり話し込んでしまった。出て来たついでであるから、100円寿司に寄って見る。9時を回ってからの晩飯とするが、矢張り、胃袋が小さく為って居る。
 これは、すっかり萎びた回転寿司だけの所為ではあるまいが、前は14~5皿はペロリと行けたのに、7皿でギブアップの有り様である。

 隣にはドンキホーテがあるから、これもついでであるから、覗いて行く。客は若いおネェーちゃん達が、圧倒的に多い。<安いの刷り込み>が働いて、下らない物ばかり買って終った。遺憾いかん・・・ こんな処が、貧乏人の浅はかさなのである。

 帰って布団を敷いて、湯たんぽの湯を沸かす。寒い寒いの連続であるから、湯たんぽを放り込んで置かないと、ブルブルの寝付きの悪さが倍増して仕舞うのである。電気毛布は体質に合わないから、湯たんぽ二個の放り込みをしている次第である。

 明日で1月も最終日ではあるが、水道の凍結は、寒冷地信州でも例年だと2月に入ってからなのではあるが、今年の寒さは例年より一か月早かったの思いである。


心何処ーショート 低温に、長散歩の一幕為り。
              低温に、長散歩の一幕為り。(1/29/12)
 寝床で、日曜政党討論を聞き始めるが、旧態依然のマンネリ感でウンザリである。ラジオを切って、朝の始動開始とした処である。今に始まった事では無いが、政治家諸氏の先生達は、政治官僚達の様な物の言い草に明け暮れして居る。通信も移動も、情報収集も覚醒の時代進歩であるから、何でそんなに国会議員数が必要なのかと思うのが、偽らざる国民の総意では無かろうか。幾ら言葉を多投して見ても、所詮は<既得権益の中>で、偉そうに振舞いたいだけの<さもしい根性>が丸見えに為って来るだけの事である。

           真に以って、阿保らしい限りである。

 朝食後は、早々に日当たりの好い二畳小部屋のカーテンを開けて、旧PCに向かって、夢奇譚の後編打ちをする。<その4>で7頁まで打つと、もう嫌に為って来た。窓からは、庭の丸坊主の感のする楓の木に、番いと思しきメジロ二羽が、遣って来て暫く遊んで行った。楓の近くの廊下サッシの縁には、ミカンを4粒ほど置いてあるのだが、一向に注目する様子も無い。きっとミカンよりも、楓の春を待つ小さな芽の方が美味いのであろう。

 廊下の日当たりに並べた金華鳥達だけが、日差しの暖かさの中で、ブンチャカ、ピィーピィーの運動量を見せている。さてさて、遣る事も無いから、ジャンバー、毛糸の帽子、手袋をして、お天道さんの輝きの中で、長散歩をして来るべしである。昨日の散歩は、些か遅かったから、兎に角、寒かった。

 無風のお天道さんの輝きではあるが、如何してこんなに寒いのかと驚いて仕舞う。日中の最高気温は2~3℃との予想ではあったが・・・ ジャンバーのファスナーを首元の最上部まで上げてのセカセカ歩きなのに、・・・ 何時もなら、そろそろジャンバーを脱ぐ辺りに差し掛かっても、毛糸の帽子も手袋も脱ぐまでには至らない。

 へへへ、人間同様に、見た目だけでは絶対に分からない、これも<見掛け倒し>の沙汰であろう。いやはや、昨今は、何かと見掛け倒しに<遣られ放しの態>である。人間の質もレベルも、年々悪くなる一方で在る。

 それでも歩き慣れた長散歩コースだと、凡その体細胞知覚が働いて居るから、長散歩と云えども、然程の身体負担は掛らない。この橋を過ぎれば後は延々と続く上り勾配である。

 それでも、ジャンバーのファスナーは下がらないままである。然しながら、こんな上天気に毛糸の帽子を被り続けて居たら、スキンヘッドがツートンカラーに為って仕舞う。耳が寒いが、これもスキンヘッド男の嗜みの一つである。帽子を脱いで、テクテク歩きの折り返し点H橋を渡って、早落ち城址の鳥居を過ぎる。

 山際のカーブを越して、広々とした水田の真ん中に伸びる農道を流し歩きをして行く。一面降り積もった白銀の一帯である。田んぼの畦の斜面は、日に当たって枯れ草の地面が露出して居るのだろう。ホウジロの10羽程の群れが、私の気配を察して一斉に飛び立つ。東には里山が伸びている。その里山の急な斜面の上には、薄らとした白雲が乗り、その先には冬の薄い青空が拡がり、その中をジェット旅客機が音も無く、ただ浮かぶ様な格好で飛行して居る。

 下り勾配の山際の道に再び差し掛かる。日蔭のアスファルトの道には、融雪剤の塩カルが撒かれているから、路上は融けて塩カルの白い粒子が浮き出て居る。そんな小さな粒子を靴底でギュ、ギュと潰しながら、山の斜面に野鳥の気配を追いながら、考えても詮無き事を思い浮かぶまま、検証の潰しで頭の整理をして行く。

 もう少し先の落ち葉腐葉土の中には、ハコベの群生個所が在った筈である。雪が溶けて居れば、廊下に並べ置いた金華鳥達のお土産に一握取って行く事にする。

 人間の手の入った川原の葦刈りに冬の流れは、白い積雪の中で小さく蛇行して居る。川のバクテリア達も冬籠りの最中であるから、流れる水は透明度を増して、小さな流れではあるが、その滔々と流れる様は、実に美しい。

 自然と対比して、自分の行いを如何反省して、軌道修正して行くかが、人間の倫理だったり、自分の生き様の指針、検証と為るのだが・・・

 本日のブログ記事(夢の香りブログさん)の中に、大いに考えさせられる一文が載って居た。ご主人を亡くされ、自分は乳癌を宣告されながらも、一切の治療を拒んで住職に宛てた手紙の中には、自分の葬式費用が貯金通帳と印鑑と共に同封されて居たと云う。そして、癌に侵されて死に行く病床に在っては、子供達への自分の病躯を見せたくないとの想いから、面会拒絶を押し通して、あの世に旅立たれたとの由。そして、自分の仏壇に焼香に来て下さった人達へは、お礼の葉書きが自分の文章に依って、印刷されて居たと云う。

 この文章を投稿したお人は、結びの言葉の様に、住職さんの言葉を引用して、この女性に対して、好意的な結びで括って居た。私は、この天晴れ過ぎる程の女性の自分の死に向かう態度に、理解は出来る物の・・・ 残された成人して家族を持つお子さん達の気持ちを考えると・・・ それは、違うでしょうと問い掛けたい気持ちである。

 生まれる時も死ぬ時も、人間は一人とは云う物の・・・ 人は、一人では生きれないのであり、決して人では生きて来なかったのである。其処には当事者としての家族の面々も、兄弟の面々も、親しかった友・知人の面々も居た筈である。
 私の考えからは、そうした諸々の人達は、その女性に対して当事者であった筈である。当然、当事者の其々に在っては、其々の人生観、付き合い方も在って然るべきである。

 当然の如く、人はその当事者間と云う<人間的繋がりの中で>生きて、物を考え、行動して来た筈である。一人の人間の死に際して、死は或る意味では、個人の属人的な物のでは無い筈である。その女性には、触れられて居ない深い理由が在るのかも知れないが、些か<独善的過ぎる>との想いを感じた次第である。

 俗に云うトレンディ・ドラマの台詞の一つなのかも知れぬが・・・<そう、私が決めた事だから、自分が責任を持って遣って行く。好きにさせて。私の事は忘れて。>などと云う態度が、この乾いた世相に、<独立独歩の個の生き方>の様に吹聴されている次第であるが、私は、そんな生き方は『身勝手な独善行為』だと考えている。

 人間には、必ず当事者が居るのであるから、自分の生き方を通したいのなら、それは当事者達と一人一人、機会と言葉を重ねて説得する義務が在るのだと思う。当事者間で、その一方が、個人の一方的な行為、行動に走るのは、決して相手方を納得させる物では無かろう。関係の放棄と関係の解消、打破が、一方の個人だけで出来ると考えるのは、<個人の錯覚>では無かろうか。当事者と云う関係が存在する限り、結果責任の説明と何かしらの合意が、当事者間には必要なのでは無いだろうか。

 私の様な臍曲がり人間の脳回路からすると、余りにも精神性、感情的にも、<言い逃れぼく>感じられて仕舞う。これは、私だけなのだろうか・・・へへへ、これは、その記事に関する私の一読印象である。

『独立独歩の個の時代』と云えども、去年の漢字一文字は<絆>であった筈である。絆とは、少なくとも二点を結ぶ糸でしょうが。

 遺憾いかん・・・ 幾ら低温下の長散歩反芻のお時間と云え・・・私は、このスマート過ぎるエピソードに、何やら<唯我独尊的な後味の悪さ>を感じてしまった次第である。

 既存の物に決別して、個を押し通そうとする試みは、決して悪くは無い。然し、それは飽く迄<諸般のTPOとセット>で、正当化され光を放つ時も在れば、反対に強く糾弾される時も在る。一文だけで、物事を考え様とするのは、吾が早計のトチリかも知れませんけどね。

    さてと、今度は河川敷に下りて、雪の上を歩いて帰りましょうかね。


心何処ーショート へへへのロートル男トーク為り。
            へへへのロートル男トーク為り。(1/28/12)
 お天道様は出ているが、お寒い限りである。薄らと積もった雪を竹箒で掃いた後は、二畳小部屋で、読み直しついでの<その2>にコマを伸ばしている処である。

 Tから電話である。
「ケツの腫れ物は、収まったか?」
「あいあい、潰れて、膿ドクドクよ。その隣に小さい奴が出来て、困った物よ。じぁ、迎えに行くぜ。」
「あいあい、頼むんね。」
 
 小水槽の具合の悪かった流金が死んでしまったから、5:2では水槽バランスが悪いから、流金を一匹掬って、4:3とする。冷たい限りの漬け物容器から、沢庵漬けを取り出して糠を落としレジ袋に入れて、Tの車を外で待つ事にする。

 部屋に居る時は、子供達がキャッカ、キャッカとしていたから、暖かいと思っていたのだが、流石に外の寒気はスキンヘッドにはキツイ処である。こりゃ堪らんと、家に入ろうとすると、Tの車が遣って来た。

 それでも、コーヒースタバの二階に行くと、ムッとする温度である。定位置の壁際席は、勉強タイムの学生達で埋まっている。日除けの下りた窓際のソファ席に座るが、これではチト暑い限りである。雑駁な近況報告を交わしながら、吊るし柿を口にしながらのコーヒータイムの始まりである。

「アナコンダ王国の続編は、どんな塩梅で進んで行くんだい?」

「あいあい、今日は<その2>に進んでさ。<妄想は、アナコンダ王国を救うか>のストーリー運びさね。まぁ、その触りをお披露目すればさ、俺が、Tに先遣隊で一緒に行ってくれと、くどいて居るって処さね。へへへ。」

「そうかい、どうせ、空いてる身だぜ、ドンドン使っておくれや。」

 Tに依ると、夢奇譚の一挙投稿は結構な分量が在るから、最初にマウスで全体の分量を見てから、新聞も他のブログも読まずに、通し読みに専念をしないと途中放棄をしてしまうとの事である。へへへ、Tは実に友情に硬い男である。
 
 本日は、女の<はいはい、分かった分かった。>に現れる好い加減対応に就いて、大いにゲラゲラの盛り上がり交換に為って仕舞った。

 ついでに、介護に携わる賄い夫の其々の親に対する悪態三昧トークに弾んで仕舞った。

「なんて言ったってさ、人間90を超えたら、人間と思う方が間違いだぜや。<海千山千の妖怪>くらいに思って居ないと、大変な目に合うぜや。あれだろ、何かお説教をすると、縮こまって下向いて、一言も喋らんだろう。

 ありゃ~、縮こまって煩い倅の言い草をさ、頭を引っ込めて<遣り過ごすポーズ>さね。時々、片目開けて、未だかと探ってるんだから、始末が悪いぜや。」

 ★Tのヤツは、眼鏡の中の眼を殊更、大開きさせて、片目で、その仕草を再現して見せる物だから、此方としたら、腹が痛く為って仕舞う。

「そんな物ぁ、カカアの亭主を小馬鹿にした決まり文句・・・<はいはい、分かった分かった。>の反応と同じでさ、相手が『省エネを心得た妖怪様』だから、無駄口を叩かない省エネの術みたいな物だわね。伊達に経験と寿命を永らえて来た訳じゃ無かんべさ。」

 ★はいはい、分かった分かったの行も、細君の声色と表情を真似るから、困った男である。T&細君の見知ったシーンが、Tのパントマイムにオーバーラップして終い、吾が奥深き性向ではあるが、爆笑域に及んでしまい、周囲からは、それと分かる顰蹙買いの冷笑の眼を頂戴して仕舞った次第である。

「相手を見くびっちゃ行けねぇやね。相手は妖怪と思やぁ、対処の仕方も拡がるってもんさや。老親介護は、観察と対処のレパートリーをどの位拡げられるかが、事の分水嶺って物だろうが。ヒヒヒ。」

「やいやい、それも『雪男本のご利益』かいな? あい~。」

 ★いやはや、Tのヤツも言う時は、言う物である。俺も、負けちゃ居られねぇや。

「そうなんだよな、世の中には、兎角、<内実は見掛け倒し>ってのが、蔓延闊歩してるザマだぜな。難しんだよな。その検証がさ。信じ込んで居れば、見掛け倒しに引っ掛かって、人間不信に陥落しちゃうし、見くびって、自由に泳がせて置けば、此処一番の大処で足を掬われちゃうしな。
 まあまぁ、一皮剥けば、人間の住む魑魅魍魎の世界は、一寸先は暗夜行路の迷路沙汰だもんなぁ~。あい、如何するだいな?」

「あいあい、まぁ、そう云う事たいなぁ~。<はいはい、分かった分かった。>で、こっちも遁ズラこくより仕方あるめい。
 まぁ尤も、そんな事をカカアに口を滑らせ様ものなら、それこそ、<あんたは、私を、何時もそう遣って馬鹿にして、その言い草は何よ!!男だからって、偉そうに~!!>と凄い剣幕の逆襲を受ける羽目に為っちゃうけどさ。善人で真面目で、寡黙な男には、本当に住み辛い世の中に、落っこちゃったって物さね。ギャハハ!!」

「へへへ、しゃ~無いわね。『男の地動説』と<女の天動説>の対立は、お互いに不倶戴天の根本対立点だぜね。負けるが勝ちも、通じない事の方が、統計的確率論って物ずらいな。」

「あいあい、Rの様に、雪男の読後感をああ云う風に、スイスイ打てる人間は、絶対的少数者で、それを世間様の尺度で見ちゃうと、変人・異人のレッテルをペタンと貼り付けて、フンで終わらせちゃうのが、この世の圧倒的大多数ずらい。しゃ~無い、しゃ~無いって物さね。あい~。」

「さてさて、パッパでも吸って、糞婆っさに、何か買って行こうかいね。」

 いやはや、戯け倅の呆け話を、互いの妖怪様達は、テレパシーで感じて、クシャミの連発をさせて居るのかも知れぬ。

 ホームセンターで、ファイルを数冊買って、スーパーに寄って帰って来る。日差しだけは好いのであるが、食後の散歩は<如何すべ~や>の柔肌の寒さである。


心何処ーショート これも、習慣為り。
                これも、習慣為り。(1/27/12)
 お天気さんは、良くも悪くも成りそうもない。入浴同時進行の洗濯物も、これでは外に掛ける事も宜しく無い。腰が退ける程の寒々とした外ではあるが、家に閉じ籠って居てばかりでは、体細胞が許してくれない処でもある。先日の銭湯秤に乗ったら、ニンマリの減量であるから、折角の遁減ベクトルであるから、億劫に為っては行けないのである。

 然しながら、余りに優れない雪模様だと、正規コースの上流散歩は頂けない。こんな日は、何かと人恋しく為るのが人情と云う物であろう。この頃、変な読書癖が付いて仕舞った様であるから、財布をポケットにコーヒースタバのツルヤまで行く事にする。

 向かい風に雪が目に入る。おお、忌々しい限りの寒さである。まぁ、これも散歩の内であるから、照る日も曇る日、雪の降る日も在って当然である。それに、悪天候の中に身を晒すのは、男に巣作る<原始の細胞の残滓>なのだろうか・・・ 意外と私は、そう云った環境が好きなのである。可笑しな事に一人で歩いて居ると、闘争心の様な物が身体、気持ちの中に起きて来る。

 まぁ、別に自虐性の性向が在る訳では無いが、行儀の好い遣り方は、好かないし居心地が悪い処でもある。考えて見れば、人間とて動物の端くれなのであるから、自分が思う程、人間の身体の造りは軟には出来て居ないのである。

 本屋は結構客が居るが、気を惹く本も無いから、DVD等のレンタルコーナーに進んで、物色するが、此処も不発に終わって仕舞った。スーパーに寄って、買い物をして行く事にする。レジ袋をぶる下げて、上り勾配の土手道を行く。

 川原には薄らと雪が積り、河川敷には、幾つかの雪だるまが、融けた丸みを持って立っている。父親と作ったのだろうか、それとも爺っ様と作ったのだろうか。対岸には、大きなカマクラが作られている。

 コサギが、向かい風の雪の中で、抜き足差し足の獲物漁りをしている。S大へのA橋の架け替えも終わり、開通されている。その前後の上の仮設橋はアスファルトが剥がされて、解体工事が始まっている様である。

 国会論戦が始まっているが、如何云う訳か・・・一向に残らず、耳を素通りして行くだけである。如何やら、私も呆けて来たのだろうか。兎に角、先生達は鈍感で感性乏しき、お気軽連中である。昨日の米屋さんの言葉では無いが、防衛大臣が事もあろうに、小笠原を沖縄に含まれる様な発言を為さったとの事である。私は初耳であったが、いやはや・・・凄い物である。

 私同様の散歩をしないと、宜しく無いらしいロートル男が重装備で、セカセカと歩いて居る。人には、人其々の歩きスタイルがある。そんな歩きスタイルを見ると、私の歩きスタイルは如何なものかと、些か気に為る処でもある。

 さてさて、こんな日は、ブリ大根でも炊いて、気分だけでも温まりましょうかね。


マイギャラリー18  
                 夢奇譚・挿絵シリーズ   

   異界回線異界回線2炬燵境川_001同心円
   蒙古高原鞭・一閃マグロ三態地中海東岸
   神域に向かいてコタツ描き密林に浮かぶ都市神殿ピラミッド
   オルメカ人頭像ジャングルジャングル_001アナコンダ


 以上、夢奇譚第五部~七部・前篇までの挿絵です。こう遣って、一つのギャラリーとすると、作者の私と致しますれば、戯け画の一枚一枚から、有る事無い事、気の向く儘、でっち上げて来た諸々のシーンが、脳裏を掠めて、ついニヤニヤの段で有りまする。本日より、七部・後編を1頁打って置きました。如何なる展開に為る事やら、ボチボチ打ち溜めて、後日の投稿と致しまするので、その節は、足をお運びされたし。

 大した図柄は御座いませんが、ブログカテゴリー内のマイギャラリーをクリック為されると、この様な戯け画の入口に為って居りますので、遊んで行かれたし。尚、画像をクリック為されれば、それなりの拡大絵図と為って居りまする。へへへ。



 












心何処ーショート いやはや、困りましたわね。
             いやはや、困りましたわね。(1/26/12)
 <その1>
 おやおや、薄暗いと思ったら、雪が降って居る。さてさて、オスカー級の演技力で朝の賄い夫を致しましょうかね。湯を沸かして、老母の部屋のストーブを付けて、沸いたヤカンを乗せて、食事の用意をする。

 案の定、老母は不貞腐れて布団の中で、全然動かない。実は、昨日の夕飯の時に些か棘のある言葉に、私が大きく反応して終い、言って見ても詮無き事の、日頃の次兄への鬱憤が炸裂してしまったのである。

 まぁ、それは直接的な引き金であったのだが、伏線は、その前の電話にあった。私には、相手の鈍感さ、薄情さに抑えて居た<今までの鬱屈>が覆い被さって、精神のバランスが崩れて居たのである。 
 そんな事で、精神バランスを正常域に戻そうと、温泉銭湯に浸かって、調整をして来たのではあるが、バランスが崩れて居ると、内部のマグマ溜まりの圧力が高じて居るから、些細な気の綻びから、一気にマグマの炎が噴き出して仕舞った形と、相為って仕舞ったのである。

 この二カ月程、土曜日の本の2~3時間を老母の顔を見に来る。そんな女々しい愚痴零しトークに来る次兄に対して、私は子供の時から反りが合わなかった。然しながら、そんな次兄の性格、トーク振りは、老母の母性本能を好い具合に刺激するらしく、私は常に次兄への対し方に就いて、老母はお小言を口にする。

「そりぁ、婆さんは<子供は分け隔てなく平等に対するのが、親の公平・平等な親の姿>と、言いたいのだろうが、兄弟と云う立場からすれば、お言葉ではあるが、法の前の平等の精神は、実にご立派で、そう在るべき事かも知れんが、相手が悪過ぎるぜや。
 俺に言わせりゃ、法に照らして、罪=責任の度合い負担のお裁きは、下限~上限と云う幅を持たせて、その中に平等と公正・公平の調整を図って居るんでしょうが。それが、人間の知恵尺度の幅でガンスよ。俗に言う量刑の判断でしょうが。

 綺麗事ばかりを言っても、そんな親のエコ贔屓の言い草の、何処に説得力が在るんじゃい。数字比較すりぁ、一年365日×4年=1460日。4週×2ヵ月=8日。8/1460=0・005の世界だろうが。
 しかも、俺の一日は24時間で、やっこさんの一日は、高々2~3時間の愚痴零しだけだろうが。親だからって、見え透いた<お上人面>をするな。俺は、一円たりとも、野郎から援助を受けてる訳じゃ無ぇぞ。親だからって、余り俺の前で、生意気な口を叩くな。虫唾が走るわさ。演技馬鹿に対して、演技馬鹿で対するのが、波風立てない人間の知恵って物だろうが。婆さん違うかい?

 俺だって、自然な形でピエロを演じている訳じゃないんだわ。演技でピエロのお努めをしてるに過ぎない男さね。頼むから、マッチをする真似なんかしなさんな。倅にこんな事をズケズケ言われちゃったら、親の沽券に拘わる罵詈雑言かも知れんけどさ、こっちだって、見せたくも無い<腹のどす黒い内>を見せちゃうのは、俺だって哀しいわね。

 さぁ、飯を喰ってくれや。食事が終わらないと、明日の用意も出来んからさ。部屋に帰るから、ゆっくり食べてましょや。終わった頃、片付けに来るからさ。キツイ事言って悪かったね。許しておくれや。へへへ。」

 そんな一幕が在って、昨日は、弟の顔を見て愚痴を零したかったので、電話をして会社の帰りに寄って貰った次第である。男同士の重量級の兄弟話であるから、個別的な愚痴話には為らない。こんな処が、私にとっては救われる処である。私の無理を聞いてくれたのであるから、町内のネパール・カレー店で、夕食を奢らせて貰った次第である。

 そんな事をして、昨夜の遺憾いかんの・・・気分のゼロ払いを行っての、オスカー賞並のピエロ演技で朝の賄い夫に臨んだ物の、例に依っての<不貞腐れ老母様のお姿>である。

    見た途端、好い歳をこいて、コンニャローメ!! ではあるが・・・

 へへへ、阿保らしくて、遣っちゃ居れませんわね。少しは、俺様の努力を可として、感謝のお付き合いが、出来ぬものかと情けなくも為るが・・・此処は歳の功である。『触らぬ神に祟り無し。』と、空腹ではあるが、コーヒーと吊るし柿で、昼を待つとすべしである。

            青は藍より出でて、藍より濃し。
      白鳥は哀しからずや、空の青、海の青にも染まず、漂う。

       いやはや、久し振りに口を突いて出た<吾が呟き>である。
 
 <その2>
 本来ならば、予定としては、朝のピエロ賄い夫を無難にこなして、昨日読み上げた<雪男は向こうからやって来た>の読後感を打とうと思って居た次第なのである。

 この本は、ひまじん兄貴のブログ紹介→Tの購入→私へのプレゼントで、巡って来た本である。<雪男は向こうからやって来た>のタイトルからは、とうとう『雪男の存在が、白日の下に証明出来たか!!』と、可視的大スクープと短絡視してしまうのだが、そう云う事では無かった。332頁の読み応えのある本であった。帯には<謎の生き物とそれを追う人間たちの真正面ドキュメント!>と書かれている。此方の方が、本の趣旨に近い。

 元新聞記者の若い冒険者が、如何に雪男探索行に加わり、その中で、雪男の存在を検証して行くかが、この本の縦糸である。これだけの分量の本に為ると、新聞記者の仕事、ネットワーク、記事の裏取りの様が随所に現れて、推理小説とは違った<人間の事象に対する検証の道程>がツブさに伝わって来る。

 人間の未知に対する興味・好奇心は、一石の投影でさざ波を起こし、それ等のさざ波が、ざわめき、ぶつかり合いながら、一つ一つの地道な検証の過程で、疑問と興味が増幅されて、疑問と好奇・興味は、検証のフルイに掛けられながら、次なる手掛かりと整合性を求めて、絶えず心の海に繰り返し去来する大波小波の波頭を持ち上げる。それらを何年ものスパンを維持して、波頭、波頭を押し分けて、一つの穏やかなる静止の海に至ろうと・・・著者自身の<命題への収斂へ>一歩一歩向かう。

<雪男は向こうからやって来た。>このタイトルは、きっと独立した一節では無いのだろう。その前後に、『君が雪男の存在を確信して、何回も何回も辛抱強く検証するならば、』とか、『君が、とことん雪男が好きに為って、男子一生のライフワークとするならば、』とかの言葉が、被せられた文節中の一部として在る様である。私には、そんな感じがした。

 私が何よりも感心した事は、或る物を第三者に対して、検証して見せると云う事の凄まじいまでの執念と地道な個々の検証過程が必要だとの現実である。

 現実社会では、挙証責任とか、説明責任だとかの、紋切責任の追及によく話が及ぶ処ではあるが、挙証にしろ、説明にしろ、それ等は<地道で真っ当な検証過程>に基ずいて居ない限り、当事者にも第三者にも、到底説得力を持ち得ない物である。この本は、真っ向から、その難題に立ち向かって居る。元新聞記者という職業柄と片付けるのは、一読者として、余りにも無関心な感想と言わざるを得まい。

 翻(ひるがえ)って、自分周辺の人間関係に在って、職業的な検証を期待する気持ちなど、更々無い処ではあるが、深刻な事態、周りに心配を掛けて居る事態に対しては、自分の語る内容に対して、相手の検証を十分に賄える程度の説明責任を果たす事が、常識と思われるのであるが、何故か、人は自分に都合が悪い事柄、悪いと思うと、嘘を言い並べ、無視を決め込み、強弁を奮い虚勢を張って開き直る、そんな逃げの一手で<時の風化>に逃げ込もうとするばかりである。

 仮に自分が反対の立場に立てば、相手の縷々の言葉を自分の検証で、答え合わせをしながら、相手の実像を炙り出して、総合判断を下さない限り、問題は解決の道筋も着かないのであるが・・・問題解決の要素は、検証に基ずく解明であり、解明に基ずいた対処の筈なのに、何故か、それ等が活かせられないのが人間の質とレベルの有限性なのである。

 そんな偽善者、自己中心的な個人主義の世相にばかりに身を置いて居ると、この本の圧倒的迫力にたじろいでしまう。そんな中に在って、吾が番から男子高の山岳部の二行にも満たない固有名詞を見付けて、思わずイッヒッヒ~の一幕も在った次第である。

 さてと、私の空腹も限界である。へへへ、ご母堂様のご機嫌伺いに行きましょうかね。リリーフ投手の居ない層の薄さは、如何為ります事やら・・・とほほ。


心何処ーショート 減量にビックリ!!
               減量にビックリ!!(1/25/12)
 屋根からは、雪の滴りが有る物の、見るからに寒風に揺れる小枝の動きである。嗚呼、冬の寒さに布団から抜け出すのは、億劫な朝の恨めしさである。冬至を折り返して、日伸びするに連れて、玄関鳥の朝のブンチャカ、ピィーピィーの声は、夜の遅い私には小煩い限りである。

 さてさて、起きねば、何事も始まらぬ為り。朝の始動を開始して、掃除をして居ると、ヤクルトママさんのお姿である。ご近所さんも、ヤクルトを取って居る人が多い。そんな女同士のお早うございますの声掛けである。然らば、絵ファイルと吊るし柿などを添えて、お待ち申し上げるとするか。洗面から、杖でフラフラと出て来た老母に廊下を譲って、私は財布から515円を取り出して台所で待つ。

「ほい、今週の挿絵オンパレードだいね。今年は、寒くて遣り切れんね。毛糸の七分ズロースに、毛糸のパンツ、ホッカイロの重装備で下半身は、ロシア女並みなのに、胸の薄さが、寒さに堪えるずらよ。アハハ。」

「またまた、朝から何て事、言ってるんですか。困った人で~す。どれどれ、この頃、一段と絵の方が、上達しましたね。どれも、好い感じじゃないですか。

 ちょっと~、このトカゲの絵、迫力が在って、生きてるみたいですよ。う~ん、この大きなインコの絵も、とても色合いが鮮やかで、如何して如何して、普段のスケベ画よりも、印象が良いですよ。へぇ~、大したもんだわ。これらは、皆、物語の挿絵なんでしょ。」

「あいあい、そうだんね。本当は、セットで貸し出したいんだけど、ママさんは活字嫌いだから、駄目なんだけどもね。感心の無い人には、無理強いする事は出来んから、まぁ~、しゃ~無いですわ。へへへ。」

「Rさんの文章は、漢字が多くて内容が高尚過ぎて、私のお馬鹿な頭じゃ付いて行けませんからね。人それぞれ得手不得手、お頭程度の高低があるから、しゃー無いですよ。アハハ。私は、絵と干し柿、漬け物、専門って事でお願いしま~す。」

「あいあい、了解でヤンスよ。でもね、本心からすると、食わず嫌いが、意外と人の常なんですがね。我慢して読むと、夫婦和合の夜にも為るんだけどね。イッヒッヒ~。」

      さてさて、中断した朝の賄い夫を再開するとしようか。

 朝食後は廊下の日当たりに、玄関鳥を並べて遣る。こんな日は二畳小部屋の方が、良く日差しが入って暖かい。ポットを持って二畳小部屋に置く。二畳からの空には、大分北の方から、灰色雲が侵攻を強めて来た。PCをONとするが、何も浮かばない。吊るし柿を齧りながら、濃い目のコーヒーを啜る。

 そうそう、新カップルの餌鉢には、白い小さな卵が一つ産み落とされて居た。藁巣では無いから、プラスチィック容器の底では、冷たかろう。大分前に麻縄を切って、巣材として遣ったのだが、知らず知らずの内に自分の気に入った様に、それらを繊維に解して巣を作ってるのだが、底が奇麗に、プラスチィック容器が剥き出しと為って居る始末なのである。何しろ、信州は寒冷地である。

 どうせ、する事も無いから、廊下の日当たりにどっかりと胡坐を掻いて、巣代わりの容器を取り出して、麻縄を細かくハサミで切って、底に入れて遣る。後は自分達で、気に入った様に遣れば好かろう。

 何と無く、散歩にも出掛ける気持ちにも為れぬ。その原因は、昨夜のテレビ、ラジオのニュースにあるのだが、所詮は、此方が心を悩めて居ても、本人達にその気、その感性が無ければ、一人相撲に終わって仕舞うだけの<虚しさ>である。
 想いの伝わらぬ状況に在っては、何事も詮無き事ゆえにでも在り、これが現実の人間関係と諦めるしかあるまい。こちらが幾ら心配して、気に掛けた処で、<馬を水辺に引いて行っても、馬に水を飲む意思が無ければ、徒労に終始する。>までの事である。

 私には当事者として、話したき、話し合わねば為らぬ儀は山々有れど、冷静に分析を試みれば、相手達は対岸に住む人間達なのであろう。

 こんな憂鬱の気分を回避するには、のんびりと日帰り銭湯で、Tから頂戴した本が、後半分ほどのページ数が残っているから、ウイスキーを飲みながら読んで、ボケーと半日を過ごすのが良い図柄なのではあるが、・・・本日水曜日と為れば、ホットプラザは定休日である。

 へへへ、困りましたがな。仕方が在るまい。上の温泉銭湯にまで足を延ばすとするか。帰りに個人スーパーで、買い物でもして来れば良かろう。

 ヨッシャ、こんなメランコリー気分は、時間の浪費である。善は急げである。スタート、スタートである。

 自転車で勾配急な道を、息切れをしながら扱ぎ上げる。途中で降りたら、男が廃る。扱ぎ上げて、戸を開けようとすれば休刊日の貼り紙である。あれあれ・・・ 引き返して、飛びっ切り熱い行き付けの温泉銭湯に向かう。

 遣ったね。貸切風呂である。番台さんは客が来ないからと、一風呂浴びての番台復帰との事である。

 顔を顰めて、我慢の忍で耐えれば、後は貸切風呂の好い湯で在る。家庭風呂では絶対に味合えない良い気分である。毛穴もすっかり開いて、頭剃りも髭剃りもスイスイとスムーズな運びである。洗い終えた後は、タイルの壁に熱い湯を掛けて、溢れ出る透明な湯の流れを見てスチームバスの面持ちである。

 上がって、体重計に乗ると。何と80kgを割り込んで78kgである。いやはや、こりぁ、嬉しい限りである。後3kg程減少して呉れれば、ズーと身軽に為る事、請け合いである。好し、本日の昼は、リンゴで行こうぞ。へへへ。


心何処ーショート いやいや、お遥かのお越しである。
          いやいや、お遥かのお越しである。(1/24/11)
 朝、四畳半に居ると、カーテン越しに斜向かい吟さんが、部屋の中を覗いて玄関が開いた。へへへ、<お遥かな顔出し>である。如何やら、生活のリズムが戻ったのだろう。ジャガイモと白菜が無かったら、差し入れして呉れるとの事である。

「はいはい、頂ける物は、頂きますわね。」とお願いすると、直ぐ様、持って来て下さった。「お遥かの内に、アガタ絵画が大分溜まって居るから、コタツの電気を入れといたから、チョッくら遊んで行きましょや。」と声を掛ける。

「カカアが医者に薬を貰いに行って居るから、家を留守にも出来ないから、コタツは要らねぇよ。」と言って、廊下の日当たりの中に座る。目敏く、炬燵の上の吊るし柿を見付けて、空かさず手を伸ばして、頬張る。

「おっ、こりゃ、美味いじゃねぇか。ついでに3、4個呉れや。俺んとこのは、もう食べちゃって無えからさ。一体何処に、隠してあるだ。」
「付いて来ちゃ駄目だんね。今年は貴重品だぜ、三個だけだんね。」

 昨日の6枚の絵もそうであるが、この処、夢奇譚の挿絵が30枚程、描き上げて在る。従って、絵ファイルは充実度を増している筈である。

 斜向かい吟さんは、廊下に胡坐を掻き、私は廊下と部屋の敷居を尻に、煙管煙草のプカリプカリである。自分でも絵を描き、絵を観る事に興味を持っている吟さんは、フム、フムと一枚一枚、味わって頁を捲って行く。

「これは、如何云う絵だいな?」と問われるから、斯く斯く云々と短編・夢奇譚の挿絵シリーズだと答え、丁度、ガス屋さん用に製本して置いた数冊が部屋に有ったから、それを<是、この通りだわさ。>と見せると、即、借りて行くとの事である。

「本当に、頭の中が、如何為って居るか・・・ 俺には、さっぱり分からん。どうせ、文章にしたって、絵にしたって、こう書こう、こう描こうと思って遣ってる訳じゃ無ぇずら。スイスイと、時間も掛けずに一発描きで遣っちゃうって事ずらい。不思議な人だわな。

 そこん処が、俺にはさっぱり分からんのだわね。頭の中の構造を鋸で輪切りにして、天眼鏡でじっくり見て観てぇもんさね。あい。

 普通の人間なら、こんな白らばくれて、インパクトの強い絵なんか、描け無ぇずら。絵だけ見てりゃ、こいつぁ、変わってる、マトモじゃ無ぇって事で、三尺か四尺、間を開けとけば、変な感冒も移ら無ぇと安心も出来るんだけど、文章読みゃ、正常域の只者じゃ無ぇしさ。両極端を持ってるんだろうけど、その間の物も、バランス好く持ってるし、・・・

 俺の周りにぁ、こんな人間は、誰も居らんかったわね。ホントに、俺なんか、変な性質の男だから、自分の中で、整理が付かないと、如何も収まりが悪くてさ、考えて、知恵の輪を如何遣って外すかで、悩んじゃうってもんさね。」

「幾ら自分に無い物を持って居るからって、俺を<猛毒の鳥インフルエンザ、突然変異種>にする事ぁ無ぇずらい。俺からして見たら、皆、社会のブリッコしてるから、オママゴトで表層合わせの『表装紙面』してるだけずらい。ペラペラしたコンマ、何ミリのお付き合いしたって、何処が面白いだいね。阿保臭い。岡本太郎画伯が、目ん玉ギラ付かせて<芸術は、爆発だぁ!!>のお言葉を忘れちゃ行けねぇさね。あい~。

 幾ら幼児が生意気顔して、オママゴトしてたって、子供は出来無ぇに決まってるじゃんかい。成熟した子宮の根元まで、いきり立った太いのをぶち込んで、元気の好い精子軍団を放出し無きぁ、オギャとは生まれんずらい。あい~。
 玄関鳥にしたって、ブンチャカ、ピィーピィーと早朝から、交尾交響楽を奏でて、藁巣の無精子卵を二週間温め続けたって、卵の中からは、お雛様は出て来んずらい。へへへ。

 文章打つのも、絵を描くのも、お役御免のロートルオッサンが、ご主人様だいね。何時御呼びが掛っても、文句ぁ無ぇオッサンだもの、自分の小部屋で正直に、自分の世界と遊ぶのが、ロートル航路の真っ当なマイタイムってもんさね。へへへ。」

「やいやい、何ヵ月か振りに来たら、ズガーンとバズカー砲を貰ちゃったぜや。やっぱ、此処に来ると面白れぇや。
 久し振りだぜ、ついでに洋物ビデオでも借りて行くわいね。もっと、そのものズバリの佳境話をしてぇけど、家空けて来たから、挿絵付きの読書するわいね。イッヒッヒ。野菜が足りなく為ったら、気軽に声掛けとくれ。」

    さてさて、お天道様がお元気な内に、散歩でもして参りましょうかね。

 いやはや、伊達に低温注意報が出ている訳では無かった。露出の柔肌が痛い程の鼻水垂らしの、ホイホイ、ホイホイの短足ピッチの散歩で、鼻の頭を赤くして帰って来た次第でありまする。


夢奇譚・第七部 ユカタン、マヤにて。前篇
      密林に浮かぶ都市神殿ピラミッドオルメカ人頭像
      ジャングルジャングル_001アナコンダ


         夢奇譚・第七部、ユカタン、マヤの地にて(前篇)
 <その1>
 嘗てメキシコはユカタン半島には、古代インディオ文明が栄えて居たと云う。マヤ文明以前のオルメカ文明と云う事である。エジプトのピラミッド同様のピラミッドをジャングルの中に築いた一大文明であると云う。その文明の母とも云うべき巨大な人頭石像を残して居るのが、オルメカ文明と云われるメソアメリカ文明の一端との事である。そして、彼等は、如何見てもアフリカ系の人種だったらしい。

 熱帯ジャングルの中に、トウモロコシ栽培によって、巨石と天文観測から導き出した現代にも匹敵する精緻な暦を高度に発展させたその文明の構成員の中には、黒人、白人、インディオが混交していたとの記述から、話は大きく広がって、エジプトと中米ユカタン半島の共通文明部分の橋渡しが、かの有名な大西洋に没した<アトランティスの存在なのだ>と云う推論が、真に夢運ぶ処でもある。

 私は、こんな話が好きで好きで堪らない性質である。こんな想像を、幾度と無く受験勉強の終った寝床の中で、拡大させて居た事か・・・ これも受験勉強の御利益の一つだったと受懐して居る次第である。

 まぁ、私としては常識の囚われ人、無味乾燥な面倒にして没個性の時代に生まれてしまったから、ドンキ・ホーテに為る機会を失ってしまっただけの事である。そんな事もあって、私はお役御免と為ったこの段階で、妄想流・家元(これは、ブログ上、親しくさせて頂いているナニワのmaso♪様から頂戴した吾が定冠詞である。)に為らんとして、夢奇譚に<その活路>を見出しつつあるのかも知れぬ。イッヒッヒ~。

 現役の頃、私は意志薄弱性の性向に付け込まれて、不良好色中年グループに敢え無く取り込まれ、旅行無尽の会の末端メンバーとして、海外ショート・バカンスを繰り返して居た。まぁ、私は<この世は総べからず、百聞は一見に如かず。何事も経験、真面目で居さえいれば、人生に無駄な事は何一つ無い。>を信望・実践していた向学心に燃える男でもあった。

<世の柵、解放されて、ロートルの妄想は、昼夜を分かたず、スカンポ脳に花開く。>

 私とて、人の子である。息抜き海外呆けバカンスも、それなりに行進して来た経緯がある。そんな交友録の中で、気心を通じた中国人女性が居た。そんな彼女との夢話の中で語って居た私の願望の中に、勤めを終えて自由の老後は、『ロバに乗って異国を風の様に流離い、野垂れ死にする事が夢』と語った事があった。彼女も、そうなったら是非とも同行するから、声を掛けてくれとの事であった。

 考えれば、何処で形が出来てしまったか、よくは分らぬ処ではあるが、出まかせ放題、思い付き権化のオンパレード、夢奇譚も第七部と為って仕舞ったのである。従って、この流れに乗って、この篇は中米ユカタン半島への夢物語として、是非とも彼女と味わって見たいとの願望が生じて居た次第であった。

 まぁ、漠然たる想いの中に広がる夢奇譚の行方の先には、如何なる流れ、瀑布が待ち構えて居るのか・・・ これ総べからず、中米は、ユカタン半島のジャングルを縫って、メキシコ湾、カリブ海に流れる水面に浮く<木の葉の朧気無さ>の第七部なのかも知れぬ。 

 然しながら、今度の旅は熱帯ジャングルが主舞台なのである。先日のスタバコーヒーのトークでは無いが、私の体質は熱帯バクテリア軍団には、全くの抗体の無い処であるから、幾ら夢奇譚管理者のご加護が期待出来ると確信して居ると云えども、<慎重に為らざるを得ない心境>なのである。
 
 然も本に依れば、その地は、雨季と乾季の二シーズンしか無いと云うのであるから、空恐ろしい異郷の地と云わざるを得まい。何時、異次元世界からのお呼びが掛かっても、それなりの心構えをして置いた方が、しないよりはマシであるから、一応のイメージ・トレーニングとそれなりの道具立てをして居る最中なのである。へへへ・・・

 <その2>
 私と洋々は、ユカタンのジャングルに放置されたばかりの・・・マヤ文明の中心都市を見渡す小高い丘の上に居た。それぞれが担ぐリュクには、大型のサバイバルナイフ、コンパクト鋸、双眼鏡、抗生剤、いざと為った時の<タコの吸出し> 百円ライター、飲料水のペットボトル、釣り道具・・・etcである。

「奇麗ね。それに凄い大きさ。こんなにスケールの古代都市なのに、これって、有名な観光地でしょ。如何して、誰も居ないの? おかしいよ。」

★小高い丘に到着するまでの小一時間を、今まで重ねて来た夢奇譚の6ストーリーを、搔い摘んで話して聞かせ、それなりにウンウンと頷いて貰って居たのではあるが、・・・ 初体験の彼女にとっては、聞くと見るとでは、別次元の到底、納得出来ないの態度である。
 
 これは、無理からぬ反射的反応である。第一話の私とて、たった一人で南洋小島に放逐された時の狂わんばかりの絶望感は、未だに脳裏・胸中に鮮やかな処でもある。

 へへへ、それと比べれば、第二話以降の吾が相棒さん達は、お気軽そのものであろう。

「うん、だから、言ってるだろう。この世界は、異次元世界で、俺達は時空の彼方から、ワープして来た生き物なんだよ。これから始まる体験その物が、或る意味では、絶対にあり得ない時空のミスマッチ体験なんだよ。

 まぁ、その間の納得には、少々体験と頭の整理が必要なんだけど、それは省略してさ。現実の本題に入ると・・・本からの受け売りだけど、この時代のマヤの人達は、高度な暦文化を発展させて、全て暦の或る一定の期間を自分達の運命として、その予定の中で生きて居るらしいよ。
 焼畑農業で、何時ジャングルに火を付けて、何時トウモロコシの種を捲くか。余りにも正確な暦を作り上げてしまったから、それが災いして、大きな運命の中に生きているらしいよ。きっと、この都市の遺棄だって、当然の彼等としたら<運命に定められた不可避の予定行動>じゃないのかね。

 焼畑農業は、初年度の生産を100とすると、二年度が70、三年度が30で、生産性が激減するらしい。少しは<西洋の三ぽ農業方式>見たいな物を考案して、家畜、農作地、休耕地などを組み入れて、人糞、家畜糞、残飯、雑草、落ち葉などを発酵させて、堆肥肥料なんかを土に鋤き込んで、有限の土地のローテーションを考えれば、また違った文化・文明のスケールメリットが図られたのにね。地勢環境が熱帯のジャングルだった所為も在ってさ、大型の哺乳類の牛とか馬の類も居なかったから、農耕民でありながら、本当の意味での<本格的定地農業>が、発展する道具立てに恵まれなかった文明かも知れんわさ。

 へへへ、考え様に依っちゃ、無尽蔵の植物と人口数と云う人糞が大量に生産されるんだし、高温多湿の気候下では、微生物が活性化する条件が整って居るんだろうけどね。そんな土壌の再生産に知恵と工夫を凝らせば良かったのに、そちらの方には、王、学者・神官・農民も、一切関心が向かなかったらしい。

 全ては天体の運行による定められた運命の中で、生きて行くのが彼等の宗教観、人生観だったらしいよ。詰まりは、代替地と気候環境に<恵まれ過ぎて居た>と云う証左じゃないのかね。そんな恵まれた環境なのに、哀しいかな・・・天文学、運命学にばかり特化しちゃって、裾野を広げた森羅万象の理を目指すべく自然科学へのアプローチが、お座成りに為って居たんだろうね。

 それに宗教を絶対視し過ぎて、凄さまじいまでの人間生贄の文化でもあったらしいから部族間の人狩りが常態化して居たらしいしさ。捉えられた者は、あのピラミッドの神殿で、生きたまま黒曜石のナイフで心臓を抉り取られて、死体はバラバラにされて、あの階段から下の群衆に向かって落とされ、群衆は争って、その御利益の在る肉片を食べるって事だ。或る意味では、身分と知識が先鋭特化し過ぎた文化・文明の有限性、報いだったんだろうね。

 その辺りの封建体制が災いして、喰い詰め野盗にしか過ぎないコルテスの小集団に、アステカ王国・マヤを引き継いだ文明さえも、短時間の内に壊滅されてしまったんだろうね。同じモンゴロイドの一員として、返す返すも、実に腹立たしくも嘆かわしい限りだわさ。」

「あなた、相変わらず物知りね。それにしても、熱いわね。こんな恰好してると、もう暑くて・・・」

「我慢、我慢。毒虫、変なバクテリアが、高温多湿のジャングルには一杯居るんだから、高温多湿の熱帯菌には、新参者は逆立ちしても敵わんものさね。抗体の無い俺達は、宇宙人と考えて、<防護服>だと思って我慢しろよ。
それに、双眼鏡で絶えず周囲を確認して行動するのが一番だぜ。こんな現代服を着て居る処を見付かったら、即捕虜に為って、神様に<初物を供える>のが、人間の頭脳回路の常って云うものだろう。そうなりゃ、文句無しに、黒曜石のナイフで心臓を抉り取られちゃうぜや。」

「もう、そんな危険で野蛮で生贄、人食い習慣の在るそんな怖い所は止めて、もっと安全な所へ行きましょうよ。身の毛が逆立つわよ。おお、怖い~。あなた、怖い所に連れて来たよ。私、怒るよ。」

「大丈夫だよ。宗教的に遺棄した都市だ。宗教の尊厳、神聖化を絶対の義務と考えて居る国体だから、論理的には、絶対に帰って来ないから大丈夫だし、俺達二人だけの食料調達なんだから、これだけの耕地面積が在れば、何も心配は要らないさ。日本流に云えばさ、此処は再び足を踏み入れる事を許さない<神聖なる巨大霊場>だろうよ。
 それに、これだけジャングルが開けて居るんだから、太陽光線燦々の大地には、毒虫、バクテリアも住み難いに決まって居るだろ。好い機会だから、しっかり異次元考古学を遣って行こうじゃないのさ。」

 遺棄されて、そんなに経過して居ない石造りの都市は、ゴーストタウンと云う感想では無かった。ジャングルの中に忽然と、且つ荘厳に満ちた広大な都市遺跡を見学に遣って来た・・・私には、そんな感想であった。
 多分、それは映画、テレビ映像で、世界の遺跡巡り番組を見続けて来た私の親近感による処が、大きいのであろう。そして、雰囲気を楽しむ為には、一人が良いとの私の性向に由来して居るからでもあるだろう。

 一方、洋々にした見た処で、彼女も一人で居る事の方が性に合って居るタイプであるから、二人で居てもベタベタする事も無く、彼女は彼女で、自分の感性、感心の在る事に目を向けて居る。
 そして、彼女は小さな物に魅かれる様で、赤い花、白い花、黄色い花などに鼻を近づけて、匂いを嗅いだり、花を折って自分の髪に刺して、<私、奇麗でしょう。>と自慢げに、薄い胸を張ったりもするし、好い声、音程の確りした声で、好きな歌も歌ってくれる。彼女の歌は、勿論、スローテンポの中国語の歌である。

 その細い鈴を転がすような透き通った声の調べは、晴れ渡った高原に流れる、韻を踏んだゆったりとした民謡の澄んだ調べの流れでもある。

 今回の異次元旅行にしても、私は、それなりに大凡の雑学を頭にインプットして来た処である。目の前に広がる、都市民が丸ごと一人残らず移動してしまった石造りの都市を、本の中に掲載されて居た写真の数々に準えて、私は一つ一つ大きく頷きながら・・・また、地上から見上げながら・・・どの位の滞在期間と為るかは不明のジャングル都市の概略を頭に入れる為に、歩き回った。

 都市の最盛期には、何百人か、何千人かの人口を擁して居た都市の規模なのであろう。人口の増加と焼畑一辺倒のトウモロコシ農業が、土地の消耗によって持ち堪えられなくなっての・・・都市の遺棄行動を繰り返して行ったのが、マヤ文明の推移と云う。

 豊穣から見捨てられた耕地と云っても、私と洋々の二人が十分に生活出来るだけのトウモロコシの実りは、広い耕地に散在して居る。乾季の終わりに焼畑をして雨季にモロコシの成長と収穫をする。そんな農業形態がマヤの農法で在ったらしい。雨季と云っても、毎日一日中雨が降る訳では決してない。
 この遺棄された都市でも、最盛期の頃は、スコールの雨量と熱帯の太陽の下で、きっと都市を築くに足るトウモロコシの豊穣の耕地が、青々と拡がって居たに違いあるまい。

 日本では盛夏のモロコシ齧りではあるが、種まきから収穫までは、精ぜいが2~3か月とすれば、二毛作、三毛作をして収穫貯蔵をして暮らして居たのが、インディオの暮らしだった筈であろう。
 モロコシを彼等は、殆ど主食として、偏食傾向にあったとも云われて居る。動物性タンパク質は、殆ど採らずに居たとの事でもあるし、蜂蜜を好んだと云うからして、ミツバチに関しての一応の雑学もチェックして来た処でもある。

 ジャングルの石造り都市の伝播は、川に沿ってであったと云うから、当然に川が近くにあったし、川からの都市への用水路も整って居た。私達は中国人、日本人の違いはあっても、東アジアの住人であるからして、川魚でタンパク質を十分に採れる。

 毒虫、厄介なバクテリアに苛まれずに済めば、こんな素晴らしい環境に文句を言ったら、罰がたちどころに下ると云った処であろう。

「おい、洋々。本に依るとさ、マヤの国では、カカオが貨幣の替わりをしたんだってさ。バナナ、それにチューインガムの元に為るゴムの木も結構あるって話だ。きっと、それらも、周辺の耕地の中に果樹園として在るかも知れんぞ。探そうじゃないのさ。」

「カカオって、チョコレートの原料に為るんでしょ。私はチョコレート好きですよ。たっぷりの砂糖は、あなたどうしますか?」

「サトウキビが在れば、良いんだけどさ、無かったら蜂蜜を入れて、チョコレートにするしかあるまい。どうせ時間はタップリあるんだ。何事も実験だわさ。」

「私、刺されてブスに為るのは嫌い。だから、それはあなたの仕事にしましょうね。フフフ。」

 石造りのメインストレートには、石造りのこの都市のエリート達の居住区が在った。適当な部屋を物色して、初日は其処で生活する事にした。

 とは云うものの、全ては自己調達をしないと、生活の出来ない私達は、自給自足者でしかない、従って、仕事=生活動線を効率的に考える必要があった。ベットで寝るのは虫防止の点から、マヤの人達はハンモックで寝たとの事であったから、私達もその雑学に倣った。フィリピンの経験では、赤い小蟻の毒は、要注意との事であった。

 ハンモックを並べて吊り、ハンモックの上からユカタン半島のジャングルに沈む赤味がかった大きな太陽を眺めて、洋々と話を交わす。

      ユカタン半島の熱帯ジャングルは、野生の王国でもある。
 日本なら夕日にカラス達が山のネグラに帰る風景なのであるが、此処では、すさまじい悪声の巨大インコのコンゴウインコ、身体の半分はあろうかと錯覚するほどの、原色のペンキでベタ塗りした様なカラフルで巨大な嘴と胸部から頭部のど派手さを持つオオハシの鳥達は、見るだけで、この地が熱帯中米のジャングル感が満載である。
ホエザル達のネグラに還る集団の騒々しいまでの声と共に夜が訪れて来る。暮れなずむ空には、大きな蝙蝠達が、空に吐き出されて、昼と夜のバトンタッチをして行くのである。

 ハンモックから、洋々の細い指が伸びて来て、私の二の腕をソロリそろりと、毒蜘蛛タランチュラかサソリを想定した様な虫の動きで遊んでいる。そんな悪戯をする時の彼女は、決まってそっぽを向いたシラーとした無表情さで、指だけを動かして居る茶目っ気を持って居る女なのである。

「どう、気持ち好い? こんなムードが、あなたの夢だったんでしょ。淋しくない?」
「いや、別に。人間だって所詮は、動物の片割れだからね。洋々は失敗したと思ってるだろ。」

「そんな事無いよ。何時も、あなたは一人が好きだったから。私は、そんなあなたと居ても、全然寂しくは無いし、一緒に居るだけで心が落ち着くもの。だから、一人で乞食坊主をして異国を彷徨う時は、声を掛けてねと言ったでしょ。
 覚えてる? 私は、嘘は付かないよ。ふふふ。あなたも、私が傍に居たら、寂しくないでしょ。私達は、似た者同士ですよ。」

 昼と夜が逆転すれば、主役の動物達も交代する。人間の社会だけで暮らして来た者には、夜の動きがこんなにも盛んな様相には、大きく驚かされて当然だ。こんな事を実感すると、昼行性動物と夜行性動物の住み分けと云うのは、決して昼行性の人間の予想とは懸け離れて、生物界は昼と夜とがガップリ四つを組んで居ると云ったのが実態である。勿論、ジャガーを神として信仰するマヤの民であるから、肉食獣の侵入は恐怖であるから、入口に火を焚いて居る次第である。

 <その3>
 太陽が欝蒼としたジャングルの上に浮かび上がって来る。夜の四十万(しじま)の訪れは、その前から始まって居る。夜の主役から昼の主役達がバトンタッチをするアイドリングの時間帯は既に訪れて居る。勿論、それは熱帯ジャングルに木霊する鳥達と動物達の甲高い声、低いの唸り高・低の入り混じった<ジャングルの周波>と形容しても好い処である。

 いやはや、とんだ騒々しさである。こんな処が、妄想と現実の歴然たる差なのであろう。

「いやいや、参りましたなぁ~。こりゃ、慣れて寝坊が出来るまでは、大変な目覚まし時計だわな。」

「あなた、何も心配要らないよ。朝早く起きて、仕事して、昼は暑いから、ハンモックで昼寝する。大丈夫、人間は、環境に直ぐ慣れる動物よ。」

「はいはい、お説、御尤も。昼寝は私、得意よ。アハハ。じゃあ、相棒さんのお言葉に従って、涼しい内に観察と見回りをしに行きましょうかね。」

「この広い所で、二人きりの生活が始まるでしょ。バカンスじゃないでしょ。何か、一日のスタートに、何か習慣が必要よね。ふふふ。」

★為るほど、言われる通りである。アウトドア生活の朝の始動と為れば、日本での定番はラジオ体操、中国定番と云えば太極拳であろうか。

「よし、此処は日中の定番で、ラジオ体操と太極拳で、交互に朝のウォーミングアップと行こう。洋々は頭が良いわ。じぁ、初日の今日は、俺が日本のラジオ体操第一を遣るわな。」

「私、日本の体操、確り覚えるから、ゆっくり繰り返して教えて下さい。好い? ふふふ。」

 へへへ、二人しか居ない遺棄されたマヤの都市で、こんな遣り取りが出来るのであるから、男と女とは面白い物である。

「ちょっと、ストップ。あれあれ、あそこ見て。凄いのが、歩いてる。」

 洋々が、然程、驚いた風も無く指差す。その方を見れば、裕に1mを超すオオトカゲが、悠然とノッシ、ノッシと体長の半分はあろうかと思われる太く長い尻尾を左右に振って歩いて居る姿が在った。

★倅が中学生の頃、ペットショップではグリーン・イグアナと名付けられた南米産の全身グリーンの10数cmのトカゲが大量に売られて居た。私は、それが中米、南米のマヤ文明とかインカ帝国で庶民の食用として飼育されていたと云うイグアナの幼生であろう事は、ピンと想像出来た。
 何年も飼って居たから、それは成長して、灰色の体色と波状の背ヒレを持った、テレビ映像で好く目にするガラパゴス諸島に生息する陸イグアナ、海イグアナの様相と図体で、部屋をノシノシと歩いて居た事を覚えて居る。イグアナの食糧は、野菜と果物にして、その武器は太い尻尾から急激に細く為って、良く撓(しな)る鞭の様な尻尾の一撃である事を知って居る処でもあった。
 そして、普段は貫録十分な重く鈍い動きではあるが、一端危険を察知すれば、不格好な四肢をスイと立ち上げて、高い姿勢のまま、丸で別の生き物の様に、ハイスピードの脱兎の如き逃走をしてしまう習性も、倅のペット飼育のお裾分けで知り得て居たのである。
 
 そんな野生の大トカゲの俊敏性を初めて目撃したのが、フィリピンの街の中心から外れたブッシュの続くホテルへの道路上であった。道路を一匹歩いていた大トカゲが、車の接近と見るや、スクッと体高を上げるや、短距離ランナーに変身して一瞬にしてブッシュの中に消えてしまったのである。恐るべし、野生の俊敏性と云った物を、私は脳裏に刻んでいる処である。ギャハハ!!

「あれは、此処のインディオが食用として飼って居たイグアナだろうさ。本の挿絵なんかには、都市の青空マーケットには、あんなのが山積みされて売られて居たらしいよ。肉質は、癖の無い鶏の様な食感だとさ。中国人は、平気で蛇も食べるんだから、別に驚く事も無いだろう。四本の足の付いた蛇って物だろう?」

「あなた、中国では蛇食べても、トカゲは食べないよ。何、言うか。」

「俺が棍棒で仕留めて、洋々が中華料理で食わせてくれよ。如何だい?」

「ふ~ん。本当に美味しいの。でも、此処には中華鍋も、たっぷりの油も無い、中国のスパイスも、何にも無いよ。あなた、如何するよ? ウンウン。料理下手の女、不味いの女と云われても、私、実力発揮出来ないよ。

 ふふふ、あなた、おお、不味い、オエッって吐くか。そんな事したら、私怒るよ、帰るよ。あなた、私居ないと寂しいでしょ。う~ん、如何するよ。あなた、ふふふ。」

「まぁまぁ、仮定の事で、そう慌てなさんな。油は、バーベキュー遣ってる内に、トカゲ・ラード、魚油も溜まるわね。それまで、我慢して待ってるさね。アハハ。
 さぁてと、貴重なたんぱく質にして、お初の大トカゲ賞味だぜや。真面目に物にするべや。」

「おう、大丈夫。私も頑張って、ファイトするよ。ふふふ。」

 雑食、悪食の人間発展史を積み上げて来た人間が、自給自足の野生本来の狩人に先祖返りをしてしまったら、大トカゲとて相手は自分倍もある、加えて道具を自由に扱う人間種なのである。何よりも日中コンビは、先祖返りの狩人モードにONして居る。

 一度は身を伏せて腕を押し立てての<体高の持ち上げ>と<尻尾の鞭鳴らし>で、威嚇のデモンストレーションをしたものの・・・相手が悪過ぎると直感したのだろう。

 大トカゲの奴は、後肢もグイと伸ばすや、脱兎の如くの逃走を開始した。へへへ、然しながら、此処は耕地跡のグランドの様な平坦地であった。身を隠すブッシュの茂みも無い。それを日中狩人が棍棒を手に、追って来る、行く手に立ちはだかるのである。大トカゲの重量級は人間に例えれば、瞬発力を誇る格闘家であっても、長距離を走る去るスマートさとスタミナには、所詮、程遠い身体の造りなのである。

 大トカゲは、その内に息切れがして、早くも高速回転の四肢を繰り出せる高位置に維持する事も出来なくなって、無様にでかい腹を地に着けて、腹を脈打たせている有様である。
 そんな息切れの中にも、大トカゲは首を持ち上げて、唯一の武器である長く太い尻尾を左右にクネクネさせて、痛打の一撃の間合いを取り始めて居る。

「洋々、それ以上近づくな。後は、俺が遣る。頭骸骨を一撃にして仕留める。」

 私は蛇は苦手中の苦手、恐怖一辺倒で、遭遇しただけで身が竦んでしまう性質ではあるが、四足と為れば、攻撃対象にしてドス黒き獣性のファイティング・スピリットの血が沸々と滾る性向なのである。

 棍棒を頭上に矯めて、大トカゲと正面に対して、間合いを詰めて一気の振り下しである。
 大トカゲの目を見据えて、摺り足の距離詰め・・・ ツツー、ツツー、

              「オゥリャ!!」

 グシャと手応えと、頭部の陥没、悶絶する大トカゲの即死状態が、尻尾の抹消にまで痙攣して絶命が伝わって行く。

 大トカゲを棍棒の一撃でほふって、腰のサバイバルナイフで、皮剥きをして棒に串刺しにして原始のバーべキュウに供して喰らうと云った経験は、初めてである。然程の事は無かった。如何やら、私にも洋々にもこのジャングルの古代都市のオーラと同化しようと云う細胞の奥深い所からの細胞意志と云う物が、作用し始めて居る感じが、私には不図気付いた次第である。

「あなた、こんなには食べれないよ。それに此処は熱帯ジャングルだし、直ぐ悪く為る、腐る。何か考えないと勿体無いし、何時も肉にあり付けるかも分らないよ。何か考えなくちゃ・・・あなた、頭良いでしょ。考えてよ。」

★いやはや、長山洋子はりの好い女にしては、中々の生活者の実感振りである。普段のシラーとした処と云い、肝が据わって居るタイプだから、遣る事も、女の様に格好付けのウジウジした処も無い。性格が中性的な処も、何かと気を遣わなくて済むから、私には有難い相棒と云った処でもある。

「保存方法としては、干すか漬けるんだもんな。此処には塩が無いから、薄く肉を殺いで日干しスライスか、燻して燻製にするかだな。両方遣っとけば、料理のレパートリーも広がるってもんだ。面白い、燻製にして見るか? うん。 こんな時、日本なら桜のチップなんだけど、味覚は後回しだ。要は煙で燻しゃオーライよ。」

「うん、それ良いよ。干すが一番簡単ね。燻製も楽でしょ。」

 <その4>
 此処での私と洋々の異次元夢奇譚の日々は、大局から見ればこの異次元界の管理者の大御心の内にいる<安全さ>の中に居ると云って好かろう。そんな大前提の中に在って、私達にはジャングルの中の隔絶された広大過ぎる石造都市の迷い人から、今や、一応の生活リズムを持って居る住人生活者の様である。

 階段状の壮大なマヤ式ピラミッド、天文台、神殿、コロシアムなどの威容を誇る建造物群は、その神格性、神聖性を殊更見せ付ける為なのだろう。熱帯ジャングルの巨大な生垣を従えた恰好で、広大な平地の中に屹立して居る。生垣のジャングルを挟んで、都市を支える耕地と住民達が住居群が整然と区画されている。

 それは、都市の支配者の王侯貴族の館、神官、軍人から為る支配者の屋敷が立ち並ぶ。都市の支配と行政の根源は、諸々の神への生贄信仰とトウモロコシ農業の豊穣さである。
 都市の経済基盤を支えるのが、広大なジャングルと焼畑農法であるが、焼畑農法の最大の欠点は、剥き出しの表土と化した土壌の荒廃である。耕地土壌の再生産に注目しなかったのが、マヤ文明の最大の特徴にして、最大の欠点にして、全てを運命と見做して生産性を亡くした都市を遺棄して、新たなスタートとする文明観であったのだろう。

 その文明観の論理的、宗教的後ろ盾が、高度に発展させた天体観測から導き出した精緻無比な暦学だったと云う。暦学による予定された運命を、すさまじくも狂喜の人間生贄の儀式によって、享受して体制・文化・文明を維持して行くマヤ文明の本幹が在ったのであろう。

 支配・管理体制側から見れば、農耕、建造に携わる都市の民は、殆ど農奴、奴隷、生贄予備軍と映って居たのかも知れぬ。そんな証左が、都市の片隅に密集するバラック小屋の一角に顕著に見受けられる処でもある。

「ほら、古の文明下にある庶民とは、最下層の虐げられのはっきりした見本だろ。

 こんな文明下で、俺達、服を着た異風の人間を見たら、それこそ、寄って集って追い回されて、あの神殿ピラミッドに担ぎ上げられちゃうわね。

 コカインの葉っぱを朦々と焚かれて、カカオの粉末を身体中、白く塗りたくってさ、幻覚に惑う、待ち兼ねる王侯貴族・神官ご列席の下、石の祭壇ベットに括られて、黒ジャガーの毛皮を被った神官の長老に、黒曜石ナイフで胸部をグサリと抉り取られて、まだピクピク痙攣する心臓をゲテモノ神に奉げられちゃうがな。おお、怖い。」

「あなた、私、もう、そんな話要らないよ。あなた、話、上手過ぎるよ。私、酷いのも、痛いの話、嫌いよ。もう、その話私に何度、話した。あなた、人が悪過ぎるよ。ああ、想像がまた浮かんで、私、気持ち悪く為った。オェッ、オエッ・・・」

「そうだろ。俺だって、マヤインディオにしょ捕まって、幾ら夢奇譚の添え物でも、生贄には為りたかぁ無えわさ。先ずは、用意周到に越した事は無いわさ。ギャハハ~のハァだ。」

 ユカタンの地を埋め尽くす熱帯ジャングルの樹海は、20m以上にも達する。それは私の様な井の中の蛙人間からすれば、圧倒されるばかりのグリーンの圧力の迫りと云って良い。地上からは、その圧倒的高さとボリーム感故に、外部への視界が、一切開けない処であった。

 外部との比較が出来ないと、如何しても思考回路が内向きに為って仕舞う。内向き志向が、好い事も悪い事もある。此処は何と云っても、時空を遙かに超越して降り立った異時代・異次元の世界である。こんな状況下に在って、私達が出来る事と云えば、それは如何しても内向きと為り勝ちな思考回路に、外の視界を入れて置く事である。

 そんな事で、私達は、午前と午後の二回を、神殿ピラミッドに上って、双眼鏡で周辺の異常の有無を確かめる時間に割いて居るのであった。

 本の活字と活字の隙間を、私流の妄想手順に沿って妄想の限りを尽くせば、諸々の神々に捧げる生贄ショーは、ローマの衰退期に於ける世相阿(おもね)りの市民サービスのコロシアム劇場に堕落しても、何の不思議は無かろう。そんな私の枝葉末節を広げて行けば、弱小集落の住民ほど<惨めな存在>は無かろう。
 こじんまりとした自給自足の小集落に、戦闘集団の都市軍人隊が、不埒乱暴の限りを尽くしての人狩りを仕掛けて来るのであるから、その小集落は、忽ちの内に阿鼻叫喚の地獄図と化すのは、至極当然の流れと見るのが妥当であろう。

 当然、その阿鼻叫喚の下で、惨殺されるもの、奴隷、生贄として曳かれて行く者、逃げてジャングルの流浪者と為る者・・・etc 全てを欝蒼たる熱帯ジャングルが、奥深く隠蔽して居るのが昼なお暗いジャングルの実相なのだろう。

 異次元世界への放り込まれ者が、此処に居る私と洋々でも在る事からして、・・・

 人狩りに向かう一団、戦いに敗れて曳かれ行く一団、ジャングルを流離う者・・・etcが、ジャングル樹海の中で、忽然と威容を誇るこの石造りの都市に遭遇する事は、十分な確率でもあろう。旅の一時の逗留場とする事もあろうし、流離い者の新天地と為る場面も在っても然るべきであろう。

 そんな考えからの双眼鏡ウォッチングだと説明すると、洋々は、先ほどの話に触発されて、次から次へと言葉のシーンが、まざまざと脳裏を占領してしまったのだろう。一目瞭然の神経集中の双眼鏡覗きである。

 丁度、好い具合に彼女のヒップの割れ目が手の届く範囲にあったから、中指に力を込めて、その個所にグィッとばかりに押し込んで遣った。

「おぅ、あなた、何考えてる、今は、命が掛かって居る真剣タイムでしょう!! このスケベ男~。もう少し、待ってなさい。360度確認したら、しましょ。ふふふ。」

 石段の縁に手を付いて、いざと為れば即臨戦態勢の採れるバックスタイルの合体交歓をする。カッと照り付ける太陽の下で、獣声の発揮も先祖返りの内である。ギャハハ~!!

 <その5>
 様子が分かって来ると、それなりの時間と気分の余裕が生まれて来る物である。この異次元の世界に、私と洋々が降り立って、何週間かが経った頃である。

 今では、神殿ピラミッドから天文観測所に移っての周辺に対する双眼鏡観察をしている次第である。ドーム型の天井を持った石造建築は、東西南北に、観測用の小窓を開けた、外からは中が見え難い構造に為って居るから、身を隠して周辺観察をするウォッチャーの私達にとっては、格好の建物である。

   そんな午前中の双眼鏡ウォッチャーをして居る時の事だった。

「あなた、あそこあそこ!!」

 洋々の指差す後方のジャングルの向こうの・・・丁度、私達がトウモロコシの纒植えをして居る辺り、何やら動く人形が見える。双眼鏡の焦点を合わせて行くと・・・

 見えた、居る。子供達5~6人を伴った裸族の女が一人、辺りをキョロキョロ確かめながら、私達の緑のトウモロコシ畑に近付いて居る姿が、ありありと双眼鏡の中に写し出されて居る。裸族の女インディオの動物的感覚にも、危険な気配は感知されなかった様子である。後ろの子供達に、手招きをすると、一斉にトウモロコシ畑に分け入るや、毟り取り、青い皮をビリビリと引き剥くや、まだまだ青臭いに違いないトウモロコシをガリガリ貪る様に、次から次に食べ散らかして行く。

 双眼鏡覗きであっても、其処は現代の双眼鏡である。表情の一部始終が、間近に見るが如きの鮮明さで写し出されて居るのである。

「あなた、如何するのよ。私達の育てて居る大事な食糧よ。あんな原始人の様な人間に、自由勝手にさせて置いて、好いの?」

★へへへ、洋々はすっかりオカンムリの様子であるが、双眼鏡の絶対的距離を度外視して、私への<小声の感情抗議>である。

「まぁまぁ、もう少し、様子を見て置こうよ。インディオさん達だって、腹ぺこで、背に腹は代えられんのだろうよ。云って見りゃ、あのモロコシ畑だって、先住イディオさん達の置き土産なんだから、そう、怒りなさんな。折角の美人さんが、ケチな料簡を起こすと、ブスに為るわさ。アハハ。」

「あなた、何言うか。そんな声で言ったら、聞こえるでしょ。馬鹿ね!!ジャングルの中に、人狩り追跡集団が居たら、如何するよ!!」
「お馬鹿さんは、お前さんだろ、双眼鏡を外してみな。相手は、あの境のジャングルの向こうだぜや~。」

「ああ、私とした事が・・・ ふん、相変わらず、あなた、人が悪いわね。ふふふ。」

★マヤ文明の<生命の起源の書>と云われる『ポポル・ブー』に依ると、翼ある蛇ククルカン(ケツアルコアトル)信仰の記述が在った。伝説の王ククルカンは髭を生やした白人であったと云う。ククルカンは、マヤ族にとって創造神あるいは、その使者である翼のある蛇を指すと云われて居る。

 マヤ文明を継承するアステカ王国が、喰い詰め野盗如きコルテスの一団に、壊滅してしまった裏には、歴学に先鋭特化し過ぎて、全てを大宇宙を支配する運命の為す予定された世界観が在ったので、髭を生やして鉄の甲冑に身を固め、鉄砲を持つ、見た事も無い馬に乗ったコルテスの白人集団に、戦う前から伝説の神ケツアルコアトルが、予言通りに自分達の国を滅ぼしに来たと『観念』してしまった側面が在るとの事であった。

 半裸族のインディオは、褐色にして体毛薄き、男で身長160cm強、女で150cm強の体格としては小柄の部類に入る。それに比べれば、私は173cm、色は白くは無いが、体毛は胸毛もあるし、髭も濃い。但し、禿頭であるからスキンヘッドである。
 洋々は163cm、色は私より数段に白い。東アジアのモンゴロイド人種には違いないが、虫除けの為に、帽子を被り長袖・長ズボンで通して居るから、半裸族の恰好をすれば、列記とした伝説の白人王・ククルカン、翼のあるケツアルコアトル夫妻ってな物である。何しろ、この時代のインディオさんは、白人など見た者は、ただ一人として存在しないのであるから・・・

 無意味な争い事は、私の性には合わない処である。相手の無知による錯覚に便乗して事を運ぶのは、正直者の私にとっては、『断腸の無恥の技』ではあるが、無用の争いを未然に人智で防ぐのも、伝説の王・ククルカンの<人道的方便の一つ>であろう。

      決して、非難されるべき小人の悪知恵では無かろう。へへへ。

「洋々、カクカクシカジカでさ。だから、伝説の王・ククルカン夫妻神としてさ、威厳を持って、あの者達を此処の住人に加えようぜ。耕地の作物を充実させて、この都市に再生の命を吹き込む為にも、人出は少ないよりも多い方が良いだろう。」

「ふふ、相変わらず、あなたは口上手よ。頭賢いよ。でも、私は正直者で、心優しいの女よ。嘘は苦手の女よ。あなた、如何するよ。私、あなたに、嘘は全部任せるよ。ふふふ。
 でも、一つ、大きな問題あるよ。言葉、如何する。日本語は通じないでしょ。うんうん。」

 うんうん、と疑問が有ったり、茶化す時に、彼女は私の目を覗き込む様に、絡めて来るのが、彼女特有の仕草の一つである。きっと、私の目を覗き込む事で、私の真意とか、自信の程度を探り、確かめようとして居る彼女の心理を物語って居るのである。そんな心細さの<うんうん?>に、私は答える。

「全然、心配は要らないよ。この夢奇譚の異次元世界では、テレパシー翻訳機が自然に作動するんだわさ。だから、普通に喋れば、相手に通じるし、相手にして見ても、その通りだからさ。それにテレパシー翻訳だから、黙って居ても、思って居る事は、其の儘、翻訳機が働いて、意思がそのまま伝わっちゃうから、秘密はキープ出来ないって寸法さね。正直者の洋々には、持って来いの世界でしょうが。あい~。」

「えっ、それって、私とあなたの間でも、そうなるの? だったら、私達、お互いに困る事に為らない? ・・・ 嗚呼、それ、困るの時もあるよ。 ・・・」

「何だ、浮気がばれるか? 嘘言えなくなるか、女の強がりが言えなくなるか、安心しな、言葉の通じる者同士には、テレパシー通訳機は作動しない仕組みに為って居るから、大丈夫だよ。」

「本当に、そうなの・・・ あなた、何時も口上手。 ・・・・・ 今、私、あなたに何言ったか、分かる。」

「ああ、分かるさね。<今夜はバックからじゃなくて、密着の正常位欲しい。>だろ。」

「こりぁ、ダメな男だ。ああ、頭の中は、あなた、何時もセックスセックスだけね。少しは、恥ずかしいの気持ちが無いの?」

★そんな事を言われても、男の私としては、大いに困る。好きな女が眼の前に居れば、会話も体話も、親密度の内じゃゴザンせんか。嫌がる女を、無理矢理手籠めにする訳でも無い、スキンシップは、生物の常態ですがな。へへへ。
 
「ねぇ、本当に・・・あの人達、信じていいの? 仲間呼んで来て、私達が何も知らないで寝て居る間に、猿ぐつわされて縛られて、ジャガーの黒い毛皮を被った神官の前に連れて行かれて、黒曜石のナイフで、生きた心臓を抉り取られるんじゃないよね。

 もし、そんな事に為ったら、私、絶対に許さないからね。あの世で、あなたをどんな事もあっても、絶対に殺すからね。絶対に、あの世では、仲良くしないからね。一緒には寝て遣らないからね。覚えといてよね。私、裏切られたら、本当に恐ろしい女だからね。ウンウン。約束よ。」

★いやはや、凄い睨みを利かせるもんじゃい。・・・洋々のやつ、余程、生贄儀式のシーンのイメージが自分の中に広がり過ぎて、トラウマに為っているらしい。まぁ、私は奥深い性質だから、<女の可愛らしさ>と云う事にして置きましょうかね。・・・イッヒッヒ~。

 <その6>
 全ては、最初が肝心である。ピラミッド、神殿、天文台の東西に一直線に並ぶ神聖域のマヤ式舗装道路を渡って、幅50~60m程のジャングルの中の道を耕地に向かって歩く。

 当然に、気分を引き締めて伝説の王・ククルカンの<再臨シーン>を演出しなければ為らないのである。意識が態を作るから、自ずと背筋も伸びて、ゆったりとした歩調で、殊更、無表情にして歩く。傍らの洋々も、堂々と歩いて居る。云って見れば虚勢を張るのが、日本人の目からするとチャイニーズの現代的傾向なのであろう。

「あなた、私見て、何笑う。神様は、そんなニヤけた軽い笑いは、しないよ。私達、王様と妃ですよ。笑ったら、貫禄無い。軽く見られるよ。真面目が第一よ。う~ん。」

★アッジャ~、言われちゃった物である。尖閣諸島を中国領土として、改造漁船で体当たりをして来る<大中華思想国のお国柄>では、いざと為った時の張ったり度は、到底、私の奥深さの何枚も上を行く・・・ 

 ニャロメ、好い気な物だ。それとも、いざと為ったらの<女の糞度胸>なのだろうか。

 私達の行く手のトウモロコシ畑のびっしり緑為す一角は、誰も居ない事を幸いに、大きくざわめき、言葉が飛び交って居る。

 そのざわめきの後方に立って、さぁ~、一発、伝説の王・ククルカンの神聖なるトウモロコシ畑に、乱入した不埒な者共への神の一喝をば、するとしようぞ。

 さぁ、テレパシー翻訳機が雷鳴の如く、作動する瞬間なのである。深呼吸兼滑らか為る言葉の速射砲を咬ますべく、水筒代わりのペットボトルの水で、喉を潤し、一応の言葉の選択と序列を頭に思い描く。

      私は仁王立ちした胸に、太い腕を組んで、野太い大音響で発した。
「こりぁ~、馬鹿もん~。此処を何処と心得て居るか!! 吾が二人は、ポポル・ブーに謳われし伝説の王・ククルカンにして、翼の在る蛇の化身・ケツアルコアトルから数えて、125代目の王・ククルカンとその妃である。神聖なる吾が住まいに、犬畜生の食糧漁りとは何事ぞ!! 」

「皆の者、頭が高~い。王と妃の前で、見苦しい。控え居ろう。王家の証、遠くを近くで見るこの双眼鏡が、目に入らぬか!!」

 洋々が、自分の首から垂れる双眼鏡を偉そうに指差して、一同を睨め回して、私の足をポンと踏み付ける。
 
「これ、其処の褌女、前へ出るが好い。そして、この神の印、双眼鏡にて、あのピラミッドを見るが好い!! 」

 私に指差されて、ショックの余り、夢遊病者の様にフラフラと歩み出る。その半裸の女の臍には、太陽の刺青、ピップにはアナコンダの刺青を施して居る。若しかしたら、由緒ある家柄の女なのかも知れん。

 私に、グイとその細首を掴まれ、双眼鏡を目に宛がわれて見た瞬間、女はワナワナとその場にへたり込んでしまった。そして、顎をカタカタと鳴らし、乾いた喉元から、声に為らない喘ぎを発して居るだけであった。

★ちと、荒療治が聞き過ぎた様である。私は、今度は洋々の足を突いて、

「妃よ、この者に、水を与えよ。」

 洋々が、威厳を保ったまま、ペットボトルのキャプを回して、顎をカタカタ鳴らす裸族の女の口に、数滴の水を落としてから、ボトルの口を女の口にゆっくりと入れて飲ませる。

「如何じゃ、者共、吾がククルカンの王家の正当性をば信じて、吾が都市の僕に為るのなら、これを許し、不信ならば、即刻、あのピラミッドの生贄の台にて、この王家に伝わるサバイバルナイフにて、心臓を抉り取るまでじゃ。」

「者共、返答や、如何に!!」

 空かさず、傍らの洋々が、キリッとした口調で、一同を突き放した顔付で言ったから、皆、土下座の崇め奉り振りである。

★こんな大カルチャーショックを与えて、私と洋々は、名実共にこの遺棄された石造りの都市空間の神と為った瞬間である。へへへ、逆さ吊されて、鞭で叩かれても、本当の事は言えませんがね・・・。男も女も、育った国は違えども、此処一発の張ったりが、<新たな尊崇>を現実の物とする魔力が在ると云う物であろうか・・・

 <その7>
 こんな異次元ならでの事があって、その後の周囲とは完全に隔絶されたジャングルの中の生活は、至極順調に進んでいる。朝は日の出と共に、ピラミッドの聳える広場でのラジオ体操から始まるのであるから、大した規則正しい日々である。

 テレパシー翻訳機が作動するコミニケーションと云っても、言葉は具体的な見える物、知識として備わった一応の概念を伴って居ない限り、言葉だけでその実態を理解する事は出来ない。私達は、日中の違いが在っても、等しく現代に生きる人間同士であるから、意思の疎通は叶うのではあるが、時代も知識も格段に違う私達の言葉の内実は、その何割が伝わって居るかは不明な処である。然しながら、尊崇の観念は、そんな諸々の不安など払拭して、事は良い方にどんどん進んで行った。

 然しながら、私の過去の夢奇譚五作からすると、今まで費やして来た月日が、今までの物より長いとの感想を持って居る。そんな<朧気なる不安の中>で、私は一つの夢を見た。夢の中で、この異次元世界での生活も、一度中断させて、再度の訪問をしなければ為らないと云う、実に暗示めいた物であった。

 私も洋々も、現代に生きる人間である。余りにも先鋭特化し過ぎたマヤ文明の夥(おびただ)しいまでの人間生贄の儀式と、精緻な歴学を発展させたマヤの文明が、全て予定された運命として実行を強制させて終うと云う<酷さ>には、心が痛むばかりの日々である。

 人間は、生産力を工夫して、少なからず科学の心を持って、事象に人間として立ち向かい、折り合いを付けて行くのが、時代時代の社会、国の在り方と考えてしまうのが、私流文明論である。
 限られた時間の中で、再度の立ち返りが叶うと云うのなら、後を託すにはアナコンダを後継者として、留守の間を切り盛りして貰わないと、折角の異次元体験が無に帰してしまう。そんな思いに駆られて居る。

 その為には、効率の悪い焼畑農法から脱して、西洋中世の生産革命とも呼べる<三ぽ農法>を根付かせるしか有るまい。農法、農業形態を根本的に新農法形態とする為には、如何しても鍬、鋤に依って土を鋤いて、堆肥を作り、土に鋤き込む事によって、土地の土壌再生産を確立しなければ為らない。
 そうなれば、牛馬などの家畜の存在が是非とも必要なのであるが、ユカタンの地は、熱帯ジャングルである。牛の代用に為りそうなアメリカバクは、アマゾンの住人だし、ラクダの仲間のアルパカは、ペルー、アルゼンチンの高地の住人である。

 熱帯ジャングルの帝王・ジャガーなんぞに近付こうものなら、一撃で喰われてしまう。野生の七面鳥は、時折見かけるが、とてもじゃないが、鋤を曳かせる事も出来ない。大トカゲとて、そうである。牛馬の代用と為る物と云えば、精々が野ブタ、イボイノシシ位な物である。実に頭の痛い処である。まぁ、気長に木製の鍬、鋤で人力で遣って行くしか有るまい。

 一度、人間の努力で耕地全体の土が耕されれば、後はさほどの苦役にも為るまい。効率の好い集約農法が出来上がれば、集団作業で農作物の実りも拡充されて行く。モロコシ栽培に、大トカゲ、七面鳥牧場、バナナなどの栽培をして人口を増やす。
 神に頼らない農法の確立が出来れば、病的で凄惨過ぎる<人間生贄の風習>を断つ事も出来よう。

 何しろ、このジャングル流離いの小集団は、その理不尽この上ない強者による<人間狩りの難>から逃れて来た人間達なのであるから。後は、この都市の秘密の維持と、防備、そして恐怖と辛酸を舐め尽して来た難民の受け入れと共に新天地を構築して行こうとするアナコンダのリーダー・シップに期待するしか無い。・・・と云った処が、現代人の私と洋々の後に託す思いである。

 そんな思いで、私と洋々は、アナコンダを引き連れて、先頭に立って範を示すべく動き回った。それでも、この地に留まれる日数は、瞬く間に過ぎ去って行った。

「アナコンダ。私は、お前そっくりなフィリピーナを知って居る。彼女は、きっとお前さんの子孫の一人だろう。<臍の太陽の刺青、ヒップのアナコンダの刺青>で、そう感じた。お前の血は、千年も絶える事無く流れて行くのだ。
 従って、お前は、この石造りの国の伝説の王・ククルカンの留守中の名代として、立派にこの生まれたばかりの国を大きく育て上げる<初代のリーダー>と為るだろう。

 良いか・・・暦は単なるカレンダーで好い。ジャングルを焼き、焼畑に頼る従来の遣り方をストップさせろ。土を耕し、教えた堆肥で<土の生命力>を毎年、毎年、更新しろ。

 お前は、お前達は努力に依って、この地で<新しき土の主>と為れ。豊穣を約束する人間の土を、自らの手で作れば、神に人間の生きた心臓を供えて、祈る必要も無く為るだろう。不条理に苦しめられ、虐げられる者の上に成り立つ歴学も宗教も、真っ当さを薄れさせたら、それは単なる呪縛でしか無い。自らの手で自らを呪縛するの愚かしき事は無い。それは、破滅の道ぞ。忘れるで無いぞ。

 良いか、三つの土地を持て。一つの土地には、トウモロコシの種を捲き、実らせろ。一つの土地には、イグアナ、七面鳥、野ブタを飼え。そしてもう一つの土地には、トウモロコシの収穫の終わった茎、ジャングルから運ぶ下草、落ち葉を積み上げて、飼育した動物達、人間達の糞尿を掛けて腐らせ、時々、空気が入る様に切り返して、堆肥とせよ。そして、それを雨季の前の耕地に鋤き込むが良い。忘れるな。

 それを一つの土地一年で、交替させて行くが良い。同じ土地に、同じ使い方をしたら、土地は悲鳴を上げて、土の神は、<恨みの不作>で、お前達に牙を剝くだろう。モロコシも、イグアナも、七面鳥、野ブタも、全て大きな物から種を取り、それを大事に育てるが好かろう。秀でた物に、秀でた実りが宿り、それら秀でた物から、秀でた物が生まれ続くのが、この世の摂理である。木も水も、動物も人も、押し並べて、その輪の中に在る。


 時間が在る時は、川から水路を伸ばせ。大きな窪地が在れば、其処に繋げて水を溜めよ。

 そうすれば、乾期でも作物は育ち、実る。そして、絶えず外敵からの防御と退却に備えて、堅固な砦をピラミッドの中に作れ。そして、防御が無理と悟ったら、善良な民を秘密の通路から脱出させろ。捲土重来の秘密の生活場所と食料の貯蔵に励め。掠奪者に戦利品の食糧を与えるな。戦利品が無ければ、掠奪者は、無意味な占領をせずに、ジャングルの中に消えて行くだろう。

 もっともっと、教えて、その進捗を確かめたいのは山々なれど、吾等二人には時間が、後僅かしか残されて居ない。後を束ねる名代のアナコンダに、このサバイバルナイフ、双眼鏡を名代の証として託す。また、何時の日にか、吾等は此処を訪れて、名代アナコンダの功績大為るを巡回に来る心算である。別れ難いが、以上である。」

<あなた、本当に口上手の男よ。知らない人が聞いたら、本当の伝説の王・ククルカンの再臨よ。>
<これ、別れの荘厳絶頂シーンに、なんちゅう事を、お前さんは言うんじゃい。馬鹿もんが!!>

 名代を託されたアナコンダが、私の前に跪いて感涙の清らかな涙を頬にとめども無く流しながら、こう哀願した。

「王よ。留守を守る吾等に、王の御子を授かりとう御座います。どうぞ、ご英断を。」
「うむ、その健気な心に、応えるのが王の義務じゃ。宜しい、下がって、夜を待つが良い。」

<あなた、何よ、それ浮気でしょ。私、許さないよ。怒るわよ。>
<これこれ、神聖な『種贈り』の儀式を、何んと心得るか。下世話な低視線で、浮気と同列視するとは、言語道断の浅ましく言い様、神聖な儀式の場である。痴話喧嘩は。別室にてじゃがな。そんなキツイ目で見るな。我々の神格が疑われるでは無いか。>

 最後の感動的シーンに大抗議が入って、難儀の上で俄か伝説の王・ククルカンの性戯は、寝室を往復する・・・熱帯ジャングルの夜を徹して、何回も事に及んだ次第であった。

       さてさて、夢奇譚・第七部の後編の進展や、如何に!!


         1/22/12 夢奇譚・第七部ユカタンに眠るマヤにて 前篇・終






心何処ーショート こりぁまた、愚図る冬のお天気さんだいね。
        こりゃ、また愚図る冬のお天気さんだいね。(1/23/12)
 障子越しに庭を見ると、雨交じりの細かい雪の様な物が、さんさんと降って居る。雨なら雪を溶かして呉れる。未だ起きるには早いから、寝床の中で本の続きを読む。枕を胸の下に宛がっての本読みは、身体の硬い男には、些かのエビ固め見たいな物で、腰が痛く為って来る。中々にして、面白い本である。流石にひまじん兄貴の推奨本である。

            何時に無く、早い老母の動きである。

 へいへい、腹が空きましたかね・・・ 区切りの好い処で、起きて朝の賄い夫の活動開始である。

 朝食時に、老母曰く。電気毛布がショートして終ったとの事である。それで合点である。寒くて堪らず、起きてコタツに当たって居たのだろう。

 実の処、芳しく無いお天気さんであるから、本日はホットプラザに読み掛けの本を持って、小一日、のんびりと温泉に浸かりながら、ウイスキーをチビリ、チビリ、喉に落しながら本を読んだり、湯上がりのポッポと熱(ほて)る身体を長々と伸ばして、大鼾の予定であったのだが・・・ 予定変更である。

 寒くて寝れない老母で在っては、致し方ない。風呂の用意をしたり、洗濯機を回したり、掃除をした後は、車でホームセンターに電気毛布を買いに行って来た次第である。

 さてさて、本日も、家で過ごす事に為ると、昨夜打ち上げた第七部・<ユカタン、マヤの地にて>の前篇22頁を読み直して、投稿の運びとするしかあるまい。打った私が言うのも可笑しなものではあるが、こんなに長物に為るとは、予想して居なかった。
 このタッペで、全篇打ち上げて仕舞ったら、Tの言葉では無いが・・・ <あの馬鹿、暇に飽かして、今度はどの位の与太話をでっち上げたか、ボリューム次第では、パスパス。他人様の時間泥棒にも程が有らぁな。>のスルーをされてしまう。『長けりゃ、良いって物じゃない。オタンコナス!!』とお小言を頂戴して、必定の蔑みを頂戴して仕舞う。

 まぁ、掛け値無しの吾が心友・Tが、ズケズケと仰る事は、吾が希少為るブログ訪問者様達の本音でもあろう。何しろ、吾が性向は、奥深くも小心為るが故に、Tの助言、感想は<真摯>に受け止めねば為らない処でもある。

 ニャロメ~、只の読み物、打つは何日も掛けての文作にして、読むは精々の処、小一時間にして、その実態は<鼻糞穿り、ゲラゲラ笑い、フンの嘲笑のお気楽タイム>なのに、とんでもない事を、抜けシャーシャーと云う物である。

 ギャハハ~、煩せ~や、俺様の毒気に中って、肛門横の寝腫れ養生に、塗り薬を擦り込んで、とほほ節でも、奏でて居やがれってな物である。
 無駄事こいてると、佳境の後編に就いちゃ、俺一人の手には到底及びそうも無いから、Tの野郎も引っ張り出して、熱帯ジャングルで繰り広げられる戦闘シーンの先頭に立って貰うぜや。イッヒッヒ!!

 さてさて、風呂に入って、身を清めてからの文作校正のお遊びでも致しましょうかね。


心何処ーショート 目覚ましに起きた朝為り。
              目覚ましに起きた朝なり。(1/22/12)
 セットして置いた目覚ましが、けたたましく鳴った。嗚呼、眠い。本日は8:00から、公民館の掃除である。歯を磨いて、湯たんぽのお湯で顔を洗い、先ずは起き抜けの一服である。天気予報に依ると、寒の緩みと云って居たから、流石に暖かい。

 吾が班は、皆、真面目な人が多い。定刻で行けば、絶対的な大遅刻に為って仕舞う。
           さて、長靴を掃いて、公民館に赴く。

 へへへ、10分前であるが、既に中は、ロートル主婦のババ盛りである。中の窓拭きは、先輩女性に任せて、若い男の私は再び長靴を履いて、外からの窓拭きに回る。何しろ、中でウロチョロして居たら、女性群に圧倒されて終うだけである。何はともあれ、掃除は年季の入った女性群に、男が敵う訳が無いのである。何事も私には、距離間の勤労奉仕が勝手が好いのである。

       まぁ、偶には、こんな共同作業も気分的には良い物である。

 身体も解れて来たから、終わった後は、ササッと庭に回り南天などの小木を雪の重みから解放して回る。おやおや、行方不明と成って居た煙管が雪の中に落ちて居る。<成る程、早起きは三文の得>とは、良く言った物である。玄関で長靴の雪をトントンと払い落して、ヤカンで湯を沸かして、ラジオのクラシックを聞きながらのモーニング・コーヒーとする。

 本日も灰色曇天の有り様ではあるが、寒の緩みで机上の金魚達は緩い泳ぎをしている。緩い泳ぎではあるが、泳ぎの行動は大きい。暖かいに越した事は無いの正直さである。

 布団は未だ敷いてある。本日、日曜日である。老母が起きるまでには、大分時間がある。一寝入りしたい処ではあるが、寝てしまえば、こんな薄暗い曇天日ではズルズルと怠惰の一日に為って仕舞うのは、必定の事である。

 さてさて、如何したものかとタイムスケジュールを考えて観る。歯磨き、洗顔をしたのであるから、<布団は上げるべし>であろう。

 Tから頂戴した330頁強の本もあるし、Tとの話で出て来た様に、現在打ち掛けの夢奇譚も、<その5>16頁まで行って終い、未だ先が繋がって仕舞う。そんな完結を待って居たら、読んで下さる訪問者様達とて、ウンザリのスルーをして終うのが、人情と云う物であろう。後、1~2頁でケリを付けて前篇として区切りを着けて、後は後日とした方が良かろう。

 さてさて、そう決まれば、朝の賄い夫始動前に、本日分日誌を打ち入れて、二畳小部屋で帳尻を合わせた後は、コタツ部屋にて読書でも致しましょうかね。

 朝食後は四畳半、二畳小部屋の灯油を満たして、・・・軽めの散歩でもして来て、・・・本日の時間潰しのタイムスケジュールでもこなしましょうかね。無職ロートル賄い夫の一日は、<習慣の惰性に乗って日捲りをする>のが、日々を送るコツと云えようか・・・へへへ。


心何処ーショート 偶には、出張トーク。
               偶には、出張トーク。(1/21/12)
 へへへ、Tの電話だと、肛門の近くに大きな寝腫れが出来て、如何にも座れないから、本日のスタバ・トークはキャンセルにしてくれとの事である。為らば、此方から出向こうと伝える。

「こんにちは。おいおい、俺ん所の方が、都会じゃないのさ。えらい雪の降り方だぜや。」
「何云って、今頃は、お前の方が、一杯降ってるだろうが。」

「ほれ、沢庵持って来たから、コーヒーにも、お茶にも合うずらよ。」

 T曰く、今、薬屋から帰って来た処で、化膿止の内服薬が無いものかと思ったが、処方箋が無いと、塗り薬だけとの事であった。

 へへへ、寝腫れの対処法は、じっくり『熟成』させて、天下の名品・<たこの吸い出し>で根っこ毎、吸い出す。これに勝る物は、無かろうとからかって遣る。

 T曰く、胃無しに始まった蟄居閉門生活で『溜まった性の掃き口が無い』から、マグマ溜まりで<寝腫れ>に為ったとの自己流診立てを言うから、フィリピンでも韓国にでもTELして、<マンツーマンの吸い出し>でもして貰えっちゃと言って置く。

 Tはマメな男であるから、お菓子を出して呉れたり、コーヒー、お茶、早速の沢庵を出して呉れたりのサービス満点男である。早速、硬大根を出して呉れる。

「おうおう、好い具合に漬かって来た。吾ながら、中々、好い線行ってるじゃないのさ。」
「やっぱな、信州の沢庵漬けは、カタに限る。美味いわ。ドンドン差し入れしろっちゃ。」

 Tが、ひまじん兄貴推奨の<雪男は向こうからやって来た>の単行本を持って来て、読んだから持って行けとの事である。本日のスタバコーヒー・トークの肴に、5頁程の未公開文章を持参した次第であるから、Tがそれを読む間に、私はその本の頁を捲った次第である。

 ヒマラヤのイエティに北米のビックフットは、若い頃、大いに興味をそそられて、その種の本を乱読した覚えがある。イエティ、ビックフットにネアンデルタール人などの雑学と妄想を楽しんだ事などを頭の片隅に、思い起こしながら、何頁かを読み進めた。

「如何だい。持って行くか。それとも、時間が無いか。あい。」
「やあやあ、謹んで頂戴して行くわいね。本さえ在れば、何時でもボチボチ読めるからな。」

「Rは、記憶力が抜群だから、あれなんだろうな・・・夢奇譚の歴史知識の披露じゃないけど、一度読んだり、映画、テレビで見たりするだけで、大処の物が頭にインプットされて、整理されて行くんだろうな。実に羨ましい限りの脳味噌構造に為って居るんだろうな。
 それに、相当なタヌキだから、相手に不快感を与えない様に、馬鹿な振りをして一々頷いて、相手の言論一致、不一致の観察までしてるんだから、実態は、怖い男さね。」

「おいおい、それじゃ全く俺は、腹黒い策士のザマじゃ無ぇかいな。こんな素直で、他人様のご意見を拝聴する男は、滅多に居らんぜや。俺の素地の良さは、無類の素直さと真っ当さじゃ無えか。
 そりゃ、大誤解の大錯覚ってもんズラ。幾ら、二人だけの密室会話でもさ、人聞きの悪い事を言うもんじゃ無かんべさ。俺ぁ、人が好いから、騙され放しで、夜も悶々と、悔し涙の寝不足の日々だぜや。」

「何をこきぁがる。しぶとくて何したって、くたばる男じゃ無かんべや。ムダゴト云えば、逆ねじを喰らっちゃうし、コノヤローなんて、手を出しゃ、待ってましたとばかりに、反対に殴り倒されちゃうのが、落ちだしさ。R見たいな奴は、世の中からは、敬遠の口だわさ。
 物は感じ様、考え様って事だから、そりぁ、十人十色でしゃー無いわな。アハハ。
 処で、折角のボリームがパァで、進みが頓挫しちゃっただろう。順調に行ってるかい?」

「まぁ、トチッたり、躓いたり、失敗こくのが、人間だから仕方が無いわさ。PCのブッツケ本番打ちだから、パァの痛手はでかいけどさ。或る意味、元原稿が無いだけ、妄想打ちの仕切り直しだから、好い事もある。元原稿が在れば、それは<苦役の単なる作業>に為り下がっちゃうからな。打った内容の出来が悪過ぎたんだろうよ。まぁ、これもお天道様の公平なお裁きさね。糞ッ垂れってなもんさね。へへへ。」

「そこが、俺には太刀打ち出来ん処でさ。毎日、ブログ打ってさ、他に、夢奇譚を同時進行で打ってさ、息抜き兼体調維持の長散歩。三度三度の手作り賄い夫を遣って、それなりにご近所さんとのお付き合い、頼まれ仕事も遣っちゃうんだから、客観的に評価すれば、驚異、驚愕のオッサンだもんな。

 それも、何も意気がる風でも無く、淡々と一つのリズムで遣ってるんだもんな。あれずら、一日の時間が足りんだろうが。俺だって、爺っさの賄い夫、自宅託児所の園長先生見たいな事をしてるんだけどさ、一日なんて、あっという間に過ぎちゃうからな。如何遣って、時間捻出をしてるんだいな。あい~。」

「やあやあ、その大功労者がテレビさね。テレビが全然面白くないから、テレビに取られる時間が無い。それが俺の一日の時間振りに為って居るんだから、有難いものさね。 

 俺だって、人一倍向上心は在らぁな。そりぁ、素晴らしいテレビを前に、大いに感化されて、<自問自答の瞑想に耽りたい>と思って居るわさ。
 何しろ、俺ぁ、スカンポ脳だから、脳味噌の中は、空き部屋だらけだから、質とレベルを待ってるんだけとさ。云って見りゃ、俺は謙虚な性質だぜや。

 でも、テレビの内容は、酷過ぎるわさ。あんな表層流しに明け暮れしてる業界に時間を割いて居たら、自己主張一辺倒の親殺し、子殺し、家殺しの個人主義の堕落ザマに為って仕舞うのが落ちでしょうが。
 そんな事でさ、時代遅れのロートル男には、自分の芯を保ち続けて、意地のゴールテープ切りをするしかあるめいよ。」

「へへへ、そんな処がRらしい処だ。でもなぁ~、すっかりタガが外れちゃった、このご時世は、俺達番から世代の男に取っちゃ、健さんの唐獅子牡丹の唄の文句じゃないけど、困った物よなぁ。
 早い処、ご舎弟様に立ち直って貰って、南国小島に、気兼ね無く、マイペースで、ビールのほろ酔い気分でさ、時間無制限の俺達ロートルの海外サロンを作って貰いたいもんさな。
 何だかんだって言ってもさ、俺達は番から男子高の男達だからな。銭は無くてもさ、気分だけは、ゆったりと構えて居たいもんだわさ。」

「そうだよな、アイツは義理硬い硬派にして、俺達の後輩だからな。この前も、昼飯奢って貰って、好い話を聞かせて貰ったぜや。」

 そんな話をして居ると、二児を伴なった娘さんの登場である。上のお譲ちゃんは三歳に為って、すっかり大きく為って、話も出来る様に為った。ふっくらして居た娘さんも、二児の母親で大分スリムになって主婦、女房道が板に着いて来た感じである。

 さてさて、私はお暇をして、買い物でもして帰りましょうかね。へへへ、Tの寝腫れが齎せた出張りトークも、偶には好い物である。

 遂に出てしまった??? 自業自得の女遊びの変な病気で無ければ、良いのだが・・・ イッヒッヒ!!

心何処ーショート 嗚呼、面倒、雪掻き為り。
             嗚呼、面倒、雪掻き為り。(1/20/12)
 昨夜からの雪は、未だ続いている。細かな雪の様である。外では早くも、斜向かい吟さんの雪掻きの音が聞こえて居る。へへへ、起きる時間帯が違うから、朝の静寂の中で、その音は自棄に、大きく耳元にまで達する。

 やれやれ、夜型人間の私には大分早い起床ではあるが、庭木の雪を払って遣らねば折れてしまう。然りとて、真に温い寝床は去り難い。先ずはミカンで口を潤し、煙草の一服からで・・・勇気ばかりが頼みの綱かいな・・・嗚呼、寝床から脱せねば為るまい。

 身支度をして、長靴を掃いて玄関を開ける。気温が高目であるから、水分を含んだ細雪は、車の通る通りは圧雪されてシャーベット状に為って居る。これなら竹箒の方が良かろう。何しろ、体格と腕力は、まだ衰えてはいないのである。これも、吾が身の体力確認と観念するより仕方あるまい。

 黙々と唯ひたすらに、竹箒で玄関周りを掃いて、庭への通路を掃いて回る。密集する南天、雪柳は雪の重さに、皆没して居る。車もどっかりの積雪である。竹箒掃きのお座成り作業ではあるが、流石に雪の重みに、汗が出る。嫌な作業は馬力に任せて、汗を掻くに限る。何かと口煩いカンナ女が居ないだけでも、気が楽と云う物である。

 40分程掛けて、一通り遣り終える。毛糸の帽子を脱げば、スキンヘッドからモウモウと立ち上る湯気の放出熱である。

 四畳半定位置でモーニング・コーヒーを啜る。外の細雪にはチラホラと牡丹雪の大きさの物まで混じって来た。いやはや、これでは終日のボタ雪と成る公算大である。後二回ほど、雪掃きをしなければ為るまい。

         ニャロメ!! 嫌じゃ~、ありませんか・・・

 さて、まだまだ、朝の賄い夫を始動させるには早過ぎる。昨日の夜は根性で、消え去って仕舞った頁数を回復して10頁までストーリーを進めた処である。

 この降りでは散歩も覚束ない処であるからして、本日は早めに通常日誌を打ち込んで、二畳小部屋の住人に為るしかあるまい。

 朝食後は、老母と二人、ただただ降り頻る牡丹雪に呆れ返るのみのお茶飲みである。

 さて、一発、二畳小部屋で続きの<その4>を打って置くとするか。その後は、軽く散歩をして来てから、遅い昼にして、風呂で温まって昼寝と致しましょうぞ。

 よしよし、11頁まで進めて、雪の散歩とする。家を下って、S大に通じる歩道橋を渡ろうとすると、金髪美人留学生さんである。学生交流センターの白人学生は、イギリス人が多いから、きっと雰囲気からすると、彼女もイギリス人に違いあるまい。彼等、彼女等には、何と無く落ち着いた深みの様な純朴さが、漂って居る物である。

 へへへ、彼女はツルツル滑る靴にへばり付いた雪をトントンと落としている。黒い厚手のオーバーに黄土色の手編み風の毛糸の帽子である。白人さんであるから、寒さに鼻が薄らと赤く為って居る。吐く息の白さが、実に初々しいばかりである。

 女日照りのロートル猛獣が、欲情に駆られて襲い掛かろうの矢先、ツルリ圧雪に大尻餅と来た日には、一生の笑い者に為って仕舞う。ぐっと堪えての紳士面である。

 久し振りの金髪美人さんであるから、彼女のそんな行為を待つ振りをして、じっくりと目の保養をさせて頂いた次第である。紅の無い薄いピンクの唇の可愛さも、好いですなぁ~。イッヒッヒ!!

 長靴歩きの河川敷の前人未踏の雪の原行であるから、運動量には申し分が無かろう。大いに汗を掻いて、風呂に浸かるのが、降雪の日の過ごし方と云う物である。

        いやはや、金髪美人さんは、綺麗でありまするな~。
        へへへ、儲けた、儲けた!! これも雪の賜物なりや。


心何処ーショート 遣っちまったぞい。俺ぁ、馬鹿だわさ。 
     やいやい、遣っちゃったぞい。俺ぁ、馬鹿だわさ。(1/19/12)
 午前中は、快調に飛ばして第七部を2頁強打ち増して、9頁弱として余裕の午後は風呂に入って、さっぱり気分でのドライブをと考えて居たのだが、洗濯物を物干に掛けて、部屋を移るに際して、確認のPC画面を立ち上げて見ると・・・何と何と、未保存でパーの体たらくであった。

 嗚呼、そんな~、お代官様~、そりゃ無かんべさ。俺の労働の対価が、ゼロとは余りの惨い御仕打ち・・・ 何か、何か・・・手立ては、御座りませぬか~。何卒、深いお慈悲のお心で、復活をば~。

 ふ~む・・・如何足掻いても、保存されていない物は、出て来ないのである。出るは、惨めな溜息ばかりである。

 仕方があるまい。目の保養ドライブは止めにして、落胆の重い気持ちを散歩で整理して来て、再度の挑戦と行くしかあるまい。

  灰色の空に、雪雲のフィルターの掛った太陽は、うすら寒い限りである。

♪私、馬鹿よね~。お馬鹿さんよねぇ。自分の浅はかさ恨ん~でも、しゃー無い。しゃ~無いじゃないのさ。私、馬鹿だもん。泣くきゃ無いものねぇ~。畜生、畜生、こん畜生め。

♪しゃ~無い、しゃ~無い。これが逃れられない俺らの人生。幸い、全てはスカンポ脳の中に・・・ 誰も替わっちゃ呉れないなら、遣るきゃない。何の、何のこれしきの試練ぞ。

  へへへ、お恥ずかしい限りのブッチョウ面のとほほ散歩でありまする。

 さて、仕切り直しの<意地の開き直り>に徹すべしである。四畳半での本日分のブログ日誌は、軽く流して、柿ピー頬張りながらの二畳小部屋での<恨み打ち>でも致そうぞ。

 皆様も、こんな想いをする前に、確認いたしましょうぞ。<名前を付けて保存>、<上書き保存>のクリックと指差し呼称。

   嗚呼、糞っ垂れ~、糞っ垂れ、糞っ垂れ!!の三連呼でありまする。


心何処ーショート 元気であったか。
                元気であったか。(1/18/12)
 アジャジャ、保温にして置いたと思ったら、してなかった。寒冷地信州では、冷凍飯である。為らば、焼きそばを作って誤魔化すしかあるまい。本日は、風も無く好いお天気であるから、十分な空気の総入れ替え兼掃き掃除をする。まあ、婆さんは寒いだろうが、新鮮な空気が一番である。鳥籠も糞落としをして遣り、新鮮、小奇麗さのお裾分けとする。

 お天気さんが好いから、早目の昼散歩をして、次なるストーリーの展開を妄想しながら、漫ろ歩きをするのも良かろう。メソアメリカ文明にはジャガー信仰が在ったと云うから、ジャガーの登場とアナコンダの絡みを如何発展させて行くか・・・妄想流家元の技量を試されるストーリーの肉付けである。

 それまでの間に本日分の日誌をと、打ち始めていると、弟からの電話である。現場が近いから、昼は食堂で飯を食べようとのお誘いである。年末年始は顔を出せなかったからの、彼なりきのお誘いなのであろう。まぁ、久し振りの顔合わせであるから、その頃に合わせて散歩に出掛ければ良かろう。ラーメンのお返しには、彼の好物の吊るし柿をタンマリと袋に入れて持って行く事にしようか。

 昨夜は、5頁まで打ち進んだ処でもあるし、物語のレールさえ敷かれれば、後の妄想軌道は、好い加減慣性で事は進むのである。そう、セッ突く事もあるまい。へへへ。

 カーテンを開けて、午前中の日差しを水槽に当てて遣ると、金魚達の魚鱗が反射して緩やかな金魚の舞いを見せて呉れる。部屋は寒い限りではあるが、視覚気分は、ほっと目を細めて眺める机上水槽の模様である。左様であるか、褒美に餌をパラパラ撒いて遣った処である。

 さて、散歩に行って参りましょうかね。遺憾いかん・・・本日水曜日は、ヤクルト・コール日であった。玄関上がりに代金を置いて行くべしである。
 
 外は、無風にして光溢れる冬景色である。氷の張った水面に、緩んだ氷を割って、上流から関止められた水量が流れて来て、氷の上に水嵩を増して流れ行く。水の色は、笹濁りの色である。

 枯れ葦原の小さな流れの中に、コサギの白さが映える。土手上の柿の老樹には、萎びて凍傷に掛った様な柿の実に、ムクドリの群れが騒々しく実を啄んでいる。その先の青空には、白銀のアルプスの連山が、幾分の霞みの中に屹立して居る。

 好天に、散歩者の姿が幾つも見える。ゆっくりした歩調で、河川敷を歩く。女体だけが、目の保養では無い。自然観望も、れっきとした目の保養、精神の保養と云うべき物である。

      ジャンバーから太陽光の熱が、次第に背中に拡がって行く。

 昼にラーメンを食べる。もっと食べろと言われるが、無職のロートル賄い夫の胃袋は、すっかり小さく為って居るから、並ラーメンでも多い処である。チャーハンを半分喰わされて、ゲップが出てしまう。禁煙食堂であるから、外で煙草を吹かしながら、昼休憩時間の弟と四方山話をして別れる。

 今度は、腹こなしの漫ろ歩きである。葦原の中には、ホウジロが短発の声で鳴き交わしで小さく飛び、ズングリしたモズが、波状の飛びを見せて小枝に止まり、黒い尾羽をゆっくり上下に振って居る。時折、私の気配に驚いて、マガモのカップルがバサバサと水を蹴って飛んで行く。

 住宅地の中を流れる小さな川ではあるが、云って見れば、上流から続く流れと河川敷のベルトは、野生の小さな領域でもある。

 今シーズンは如何云う具合か、野鳥の姿が殊の外少ない。野鳥との出会いを期待して、結構歩いて居る心算なのだが、中々に遭遇出来ない。今シーズンの収穫と云えば、寒雀の地面の群れにチョウゲンボーと思われる鳥の突如の攻撃シーンであった。襲撃は不首尾に終わったのだが、突然の事で確り脳裏に焼き付ける間が無かったのが、残念至極の一巻であった。

 枯れ葦の原に、刈り取りの手が入って居る。葦の刈り取られた川原は、結構なスペースに為って居る。私達の子供時代に在っては、子供達は喜び勇んで、遊び呆けている風景に為るのであろうが、現代は皆行儀が好く為って、外で子供達が集団で遊ぶ光景が見られないのは残念な処でもある。家の近くに遣って来て、河川敷を上ろうとすると、ジョービタキのシルエットが一つ、水柳の枝に動いて居るでは無いか。

 彼是、一か月余りを置いての嬉しい再会である。ジョウビタキはメスであった。刈り取られて空き空きした葦原に、ポツネンと残された木の下枝に止まって、盛んに黒い尾羽のタクトを振って居る。
 尾羽上部の黄色の入ったエンジの色が、太陽光線に映えて、柔らかくも地味に好い色合いを見せている。距離は、1m半~2m弱の近さである。人見知り感の薄いのが、ジョービタキの特徴である。チョコ、チョコと小枝を渡るだけで、暫くの間、人間の観察にお付き合いして呉れる処が、この鳥の可愛さである。

 左様であるか、バルディナさんは元気であったか。元気であったら、また、お目に掛る事もあろう。先ずは、目出度し目出度しの段である。


心何処ーショート やれやれ、日中を棒に振ったなり。
           やれやれ、日中を棒に振った為り。(1/17/12)
 へへへ、頼まれ文章を打って居たら、とんでもない時間の浪費をさせられて終った。いやはや、お人好しにも程があると云う物である。こんな事は、年に一度や二度はある物である。

 皆さん、立派に教育も受けられても居るし、サラリーマン、子育ても終えたのであるから、自分で自分の言葉でぶつぶつ呟きながら、それを文字に転換して行けば、それなりの文章が誕生すると思うのではあるが、皆さん、見栄を掻き過ぎると云うか、安易に走ると云う物である。

      へへへ、コンニャローメ!!ってな物である。

 昨日は寒かったので、早々にコタツ部屋に移行して、温いコタツに足を伸ばして、マイタイムをしていた。静かな夜に、夢奇譚の走り書きをシャープペンシルで書き連ねて、ブログ日誌をUPした後は、それに基づいて、流すだけのマイペースを決め込んでいたのだが、世間様からすると、私はまだまだ利用価値があると云う御下命なのであろう。

 凡その事を聞いて、それなりの文字再現をして見るのも、スカンポ脳への刺激と云う物であろうか。

 それにしても、すっかり、調子が狂って終ったので、ガス屋さんと約束して置いて挿し絵入り夢奇譚六部の小冊子を作る。文房具の補充ついでに、肉まんを買って来て、ヤクルトで昼兼オヤツの時間とする。老母とドラマ、相撲を見て居ると、早や冬の夕方である。

 さてさて、夕食後のマイタイムは、真面目に小部屋で打ち溜めて置かねば、先には進まぬ。ロートルの日課は、これ、マイペースを保つ事が肝要である。


心何処ーショート さてさて、正常リズムに戻しましょうかね。
        さてさて、正常リズムに戻しましょうかね。(1/16/12)
 さてさて、起きましょうかね。風邪も大分下火に為って来たから、風呂を沸かして無精髭を当たって、洗濯をした後は、少し散歩でもして来ないと体調が戻るまい。布団を上げて、空気の総入れ替えの掃き掃除をして回る。薄い灰色の曇天様ではあるが、よもや雪は降らないだろう。

 さてさて、玄関鳥の世話をしながらの賄い夫の始動開始である。沢庵、白菜の漬け物、味海苔だけでは、余りにも手抜きであるから、一品作るしかあるまい。薩摩揚げ、鳥肉、ブナシメジの甘辛煮を作る。

 未だ微熱で口内が粘々して居るから、私の口には、漬け物と口が曲がるほど酸っぱい自家製梅干しがオカズであった。老母は、急ぎ技の甘辛煮に好く箸が出て居たから、一応、作った甲斐があったと云う物である。

 風邪引きで、二冊も本を読んで仕舞うと、真に似付かない。私と読書は、ミスマッチの極みである。

 今冬は、それにしても野鳥の訪問が少ない。メジロが一度姿を見せたので、直ぐ様ミカンを庭に置いて遣ったのだが、それを突きに遣って来た形跡すら無い。ハイエナギャングのヒヨドリも窓辺に姿を現さないし、ジョービタキのバルディナ2世さんも、忽然と姿を消して仕舞った。ツグミも一、二度庭に姿を見せただけである。如何やら、今冬は可笑しな冬なのであろうか・・・

 さて、風呂も沸いた頃でもあるし、風邪垢でも念入りに落して、ショート散歩でもして来て、心身ともにシャキッとすべしである。

 さあ、散歩へと外に出た物の・・・いやはや、寒い。自転車漕ぎも結構な運動であるから、散歩の替わりに米屋さん経由で個人スーパーに回って来れば、一応の身体均しが叶うだろう。直ぐ様引き返し、自転車のペダルを漕いで上り勾配のオイッチ、ニー、オイッチ、ニーの扱ぎ上げである。寒いから、直ぐ息が上がって仕舞う。

 米屋さんで、男の政治談議が始まり掛けると、お客さんである。さてさて、お暇をして、個人スーパーへ向かう。幾つか食材を物色して、後は下り勾配の風の冷たさである。

 さて、布団も上げてしまった事でもあるし、二畳小部屋で夢奇譚・第七部の出だしだけでも打ち始めましょうかね。題名を決めて打ち始めれば、後はボチボチと打ち溜めて行くしか無い。何しろ、もう読書は懲り懲りの態である。


心何処ーショート やれやれ、身体の重い日曜日なり。
          やれやれ、身体の重い日曜日なり。(1/15/12)
 体調が芳しく無いと、散歩も出来ないから、如何しても寝床、コタツで本読みをしてしまう。まぁ、これも普段、本を読まない男であるから、大きな処では帳尻が合って居るのかも知れぬ。鼻咬みで柔肌が擦れて、忌々しい限りである。

 具合の悪かった流金の一匹が、数日前から底に沈んで腹を上にして居る。死んだかなと思って棒で突くと、苦しがってフラフラと浮遊して、敢え無く、再び底に沈み込んで仮死状態を呈するのである。まぁ、これも仮死状態=冬眠の術なのかも知れぬ。

 昨日のコーヒー・トークの話しでは無いが、Tの診立てに依ると青ナイル源流の帰路は、紅海→アラビア海→インド洋→南シナ海→東シナ海の<海のシルクロード>を渡って、黄海に入って大連→ソウルと洋々、善花と中国人、韓国人と再会の旅をして来るのだろうと読み進んで居たとの事である。

 まぁ、それも私としては考え無くは無かったが、それでは夢奇譚が完結してしまう次第であるから、独立話として後に残して居る次第なのである。へへへ。

 じゃあ、後は如何云う運びかとの質問であるから、私の魂胆としては、今、読み掛けの中米はユカタン半島のジャングル文明・マヤ編として、中国人女性の洋々とフィリピーナのアナコンダを登場させて、夢奇譚・第七部を進めたいと夢想して居る最中なのだと応えた処である。

 但し、この構想には難点がある。緯度的にはフィリピンと同緯度帯に属すると為ると、些かの苦い体験があるから、キー打ちに未だ至らないと云うのが、吾が本態なのである。

 仕事で、一か月ほどフィリピンは、セブ島に居て現地の生活をして居た事がある。私は其処で現地の医者の診立てに依ると、コックローチ(ゴキブリ)に咬まれた傷口から細菌が入り、尻がパンパンに腫れ上がって、膿の海に没した経験がある。フィリピンの医者は、如何やらヤブ医者らしく、薬は一向に効かず、臀部は化膿熱で寝るに眠れない日々を過ごして居た。
 
 桃色吐息なら未だしも救われる処ではあるが、何しろ毎日青息吐息・・・やっとの思いで帰国して、其の儘、病院に10日前後入院して、酷い目に遭って居るのである。退院しても、大事には為らなかった物の・・・一年目は、全シーズンを次から次と尻に腫れ物が続出した。化膿した膿の色も、全く違って粘着性の黄色では無く、妙に白っぽいヤクルト色を呈して居て、気味が悪かった。二年目は、気温が高く為る春・夏場に、それが噴き出し、内心、頭を抱え込んで居た次第であった。それが漸く三年目にして、収まった。

 詰まりは、南洋の得体の知れぬ細菌力への<体内の抗体作り>に、三年を要した結果なのである。そんな事も大きく影響して、私のフィリピーナ嫌いを固定させている一因である。

 大航海時代のエピソードには、タヒチの梅毒菌があれよあれよの間に、ヨーロッパに大流行して、長崎の出島を介してお江戸に流行したとか、ペスト菌が新大陸の北米、南米を席捲して、多くのインディアン、インディオ達の膨大な人口減に導いたとの歴史事実もあるのである。

 また、地球温暖化に依る影響で、日本でも小蚊の大流行りで、真に以って、忌々しい小蚊攻撃に晒されている昨今の日本の夏姿なのである。

        熱帯蚊と云えば、直ぐ思い当たるのが、マラリア病である。
 一説に依れば、ギリシャ、ローマ時代の都市国家の中には、その当時の地球温暖化と相俟って、人口密度の高い都市国家周辺の河川、湖沼地帯は、都市化に依る高富栄養化の水質汚染により、蚊の大発生とその媒介に依るマラリアの大流行で、都市が崩壊したなどと云う<文明の大転換期>を齎したとの<学術研究分析>もある処でもある。

 そんな諸々の雑学が脳裏を掠めてしまうと、何分にも私はデリケートな体質にして脳細胞の持ち主であるから、如何しても、二の足を踏んで仕舞う。

 増してや、読み進めている本の一節には、熱帯ジャングルの葉裏には、何種類もの吸血ダニがひっそりと固まって居て、下に来る動物を待ち構えている。下を動物が通れば、動物にサッと降り注ぎ、皮膚を喰い破って肉の中に入り込み、吸血の限りをするとの記述も在った。そんな記述に出っ食わすと、苦々しくも忌々しい前述の記憶が映し出されて、私としては駄目なのである。

<所変われば、品変わる。郷に入っては郷に従え。>が、私の基本的スタンスなのではあるが、何しろ、相手は目に見えない適者繁栄・繁茂の微生物の<昼なお暗いジャングル世界>である。命が惜しかったら、己が身は自分自身で守るしか手立ての無い異次元・夢奇譚・第七部なのである。

  そう簡単に、Tの口車に乗っかる訳には行かないのである。ニャロメ~。

 まぁ、いずれにしても、場所のユカタン半島のジャングル都市と登場人物のマヤの女王・臍に太陽、尻に大蛇の刺青のアナコンダと異次元ツアーの同伴者・洋々の設定は、出来て居るのであるから、後は打つ気に為れば、第七部も難しい事では無かろうの段なのである。

      へへへ、Tよ、そんなに急かす物じぁござんせんわね。

 風邪の治り掛けの日曜日である。体に負担を掛けぬ程度の頁捲りで、風邪を追い出すのが目下の仕事でもある。さて、昼寝でも致しましょうかね。


心何処ーショート 本日、根比べ為り。 
                本日、根比べ為り。(1/14/12)
 へへへ、爆撃機操縦者殿は、土日休みのサラリーマンかな? 昨深夜から~現在まで、コンバンワのオハヨウザンシタのコンニチワの状況である。よう飽きもせずに、遣りまするわ。

 俺も、この位、金髪美形、美人さんに、もうもうウンザリ・・・逃げたい程に、追い回られて見たい物である。嗚呼、つくづくと<世の無常、不条理、病的執拗さ>に恐れ入りまして御座りまするの段である。

 美大出の髭のブロンソンさんのコメントでは無いが、見る者に嫌悪感で迫るのも、絵の表現方法の範疇に入るとの事である。そう煽てられて仕舞えば、私のブログ内容も、操縦者殿にしたら<一々、神経を逆撫で>にする、中々のインパク度と云う事なのであろう。はいはい、世の中、捨てる神あれば、嫌がらせの神も在りて、アリガトザンスの態である。

      これは当然として、嫌味の我田引水の態である。
  此処まで憎まれれば、これまた、楽しからずやにするしかあるまい。
 我が方もホイホイ、ホイホイと、処理のクリックをして行くのみである。
 へへへ、これを称して<不毛のイタチごっこ>と云われるザマなのであろう。
 
 本日土曜であるが、次兄さんの登場は無い。今週も<登場無し>の方が、私には有難いのではあるが・・・誰が見て居無くても、決めた事は、地味にコツコツ積み上げてこその、その人の価値と云う物であろう。それがクリア出来るかどうかが、その人の信条・質・レベルの<分水嶺>と呼べようか・・・長続きが出来なければ、三日坊主の意志薄弱性、目的・目途は別物の・・・汝の正体、見えたりの世に云われる<お為ごかし、偽善者>の長続きしない習性と云う物であろう。

 私の価値観と対極にある御仁なのであるから、私は冷淡の態度しか出来ない処でもある。朝食、ご機嫌伺いのお茶時間を遣り終えて、部屋で横文字コメント爆撃を処理して居ると、ドアが開いて、マスクで咳をしている次兄さんのアリバイ見せの声掛けである。

★おいおい、11時を回ってのお越しである。お前さん、一体、何を考えているんじゃい。日々老衰する親に、『風邪を移しては為らない』の気配りも無いとは、鈍感の極みの証左・・・一事が万事のお気楽訪問と云わざるを得まい。

      Tの電話に、さてさて息抜きのコーヒートークの支度をする。

 軽微とは云え風邪っ引きであるから、ジャンバーに毛糸の帽子を被って車を待つ。日差しはあるが、寒い。

「ホイ、沢庵漬けが三本、糠と一緒に入ってる。ガンガン食べてくれや。来週又、補充して遣るわいね。今年のは、あっさり漬かって居るから、分厚く切って、飯の友、ライス・ジュースの友としておくれや。」

「やいやい、それは有難い。意外と、日本酒に合うんだよ。糠まで入れてくれたんだったら、食べるだけ切って遣れば、沢庵の風味は長持ちするぜな。あいあい、何時も悪いねぇ。」

 今日・明日と大学入試のセンター試験が在るとの事である。コーヒースタバの二階席には、学生達の勉強姿が多い。

 吊るし柿をポケットから出して、アジャジャ・・・ またまた仕出かして仕舞った。コーヒーを貰って来ずに、階段を上って仕舞った。

「おいおい、オイさん、二度同じ過ちをするのは、脳軟化症の進捗具合は半端じゃ無ぇぞや。そんなに、心配事があるかいな? こりぁ~、思いの外、重症域だぜ。精神科へ立ち合って遣るかいな、あい~。」

「ニャロメ。あいあい、俺ぁ~、落ち目の三度笠で、生けるシカバネ状態だがね。」

「そりぁ、ロシア女三人相手にして、ユーラシア、黒海、エーゲ海、地中海東岸を渡って、青ナイル源流の旅なんぞして来て、腎虚、牡丹灯籠の新三郎に為ら無ぇなんてのは、人間沙汰じゃ無えずらよ。
 生身のRのウラジオストクから帰って来た口癖が、<嗚呼、女は当分、要らねぇ。好きの道も、命あっての物タネ。抜かれちゃって、俺ぁ、完全に赤玉ポートワインだべさ。>ってぇのが現実なのに、見栄張って、幾ら夢奇譚の世界だって、あんだけ遣らさせられたんじゃ~、物忘れもするわいな~。このド助平が!!」

★物忘れは加齢に依る日常事なのに、何も其処まで云う必要も無かろうよ。俺としちゃ、夢奇譚・第六部は世界史の旅が首座だったのに、ストーリーのツマ、食み出し部分にばかり注目し遣がって、飛んでも無ぇ<当て擦り>をするとは、人間じゃ無ぇや~。おのれ、Tの野郎、その萎びた亀頭の先に、<唐辛子珍奇>でも擦り込んで遣らっか・・・ 
 
 まぁまぁ、<それを言っちゃお終ぇよ。親しき中にも、礼儀あり。>・・・であるから、挿絵ファイルでも開いて、観賞タイムと行きましょうかね。イッヒッヒ~。

「このR絵画のオンパレードを見てるとさ・・・美大出のガス屋さんじゃ無いけど、感性と感性のトークは面白いと思うわな。美大出だから、絵の構図とか、配色、色彩のバリエーションは、一応は体系立って授業は受けて居るんだろうから、その基本を踏襲して行けば、それなりの素人には描けない絵の世界が展開出来るんだろうけど、・・・ 兎角、感性の領域は、教育の及ばない生まれ持った部分の方が大だろう。

 そこいら辺の処が、感性を読み込んでの探りとか、感性の違いをお互いが認め合って居る雰囲気も伝わって来るし、中学の同級生だったと云う女とのお茶の描写の違いが在ってさ、Rの日常を淡々と描く形を採っては居るが、色んな対比の材料として居る。こうRの脳内散歩の様を、見て歩けるんだから、奇妙な読後感が湧いて来る。まぁ、そんな諸々全体をひっくるめて、俺には面白い読み物と為って居るんだわさ。

 Rとガス屋さんの会話の中に、感性が如何世相を捉えたか、とかが、日常の文章に、或る時は、それが絵に為ったりでさ、ひょこん、ヒョコンと顔を出して居るから、面白いんだよな。一応は、ぶれないコアの部分があるんだけど、それを360度、その時の気分のままに、遣らかしちゃう処が、とぼくれたバンカラ体質でさ。」

「へへへ、流石に腐れ縁続く心友T様だいな~。処で、この三人の裸婦と眼玉の絵は、何か意味不明で面白いだろう。これを単なる裸婦画と錯覚したら、観賞が止まっちゃうんだぜ。分かるかな~、分かんないだろうな。ギャハハ!!
 
 この絵の生命体は、一つ目小僧のご神体、御柱と見て呉れなくちゃ、話しが先に進まんのだよ。ご神体を二重にしている眼の淵と云うか、ホト(女陰)の大小が味噌でさ。これが、女と男の相関図って物さね。女体三体にギブアップしないヤマト魂の据わった意志力ってなもんさね。イッヒッヒ!! 如何だい、死地に活路を求める、この冷徹な眼力を!!

 そうそう、この昨日描いた絵の味噌は、ほれ、このピンクの地の色にぼんやりと浮かび上がる裸婦図が見えるかい?」

「おぅおぅ、言われりゃ、そうだ。このミカンと干し柿とばかり思っていたが、・・・あれか~、Rの風邪薬・パブロンには、幻覚剤でも入ってるんだかや。PCの拡大には、全然気が付か無かったぜや。」

「糞ッ垂れが、俺を如何しても、変人・異状人にしてぇって事かよ。憚りながら、観る人が観りゃ、信州のバカソ、妄想流家元って呼ばれてるんじゃい。

 白い下着姿で、刑務所脱走して、警察犬に嗅ぎ出されて、ジワリジワリと追い立てられて、終いにぁ<疲れた>なんて、嘯いて虚勢を張る張り子の中国人脱走者じぁ無えぜや。一度、お縄を頂戴すりぁ、真面目にお努めを果たすのが、日本人だわね。あい~。幾ら落ちぶれても、ああは為りたくは無ぇさね。礼儀正しい日本社会を何だと思って居やがるってもんだわな。ああ云う料簡違いにぁ、睾丸鞭がいの一番の特効薬さね。あい~。

 あっそうだ。街ぶらしてたらさ、世界一周・船の旅が、98万だか99万で、三か月位の日程で、ポスターに出て居たぜや。お互い、爺っさ、婆っさを送り出した後は、行って見たい物よな。行かんかな。ゆったりしてて、目の保養も出来るズラ。」

「好いなぁ~。船内の費用はそれで賄えるとしてさ、港に停泊して自由タイムと為りゃ、50~60万は必要だろうな。一年位、一緒に何処かで稼いで、費用調達でもして見るかいな。う~む、悪くは無いなぁ~。」

 コーヒーを口に、好色ヤクザもどきコンビは、黙って何を想像して居るやら・・・

 さてさて、外でパッパ・タイムを取った後は、ホームセンター、スーパー経由でお開きとする。昼は、スパゲティを茹でて、具沢山のミートソースと致そうぞ。へへへ、帰れば、またまたコメント爆撃の後始末と相為ろう。いやはや、これも根比べの内である。


心何処ーショート 本日、安静日とするなり。 
             本日、安静日とするなり。(1/13/12)
 へへへ、・・・馬鹿は風邪を引かないと云うが、風邪を引いて仕舞った。昨夜から喉が痛くて薬を飲んで居たのだが、芳しく無い。こじらせては行けないから、本日はパシャマの上に、チョッキ、半纏を着て布団のコタツを移動して、安静を保つ事にする。

 廊下から差し込む日溜まりの中に本を置き、寝床での頁捲りをしている。勿論、BGMはNHKラジオである。読み物は、本棚の奥からピックアップした埃塗れの『失われたマヤ文明』為る一冊である。

 私は映画世代であったから、この類の映画映像としては、ユル・ブリンナー&ジョージ・チャキリスの<太陽の帝国>なんて映画を、雑駁な脳裏のBGM映像として、読み進めている次第である。然しながら、この映画印象は、然程強くは無い。ブリンナーは映画に相応しい限りではあったが、相手女優さんが私の好みでなかったから、今一つ印象が薄かったのである。

 大スターのブリンナーの相手役なのであるから、其処にはきっと彼の好みが強く働いて居るには違い無かろう。←へへへ、好みのミスマッチで、映画全体を色眼鏡で見てしまうのが、私の下衆たる所以なのである。

 私はインカ帝国に対してよりも、中米はユカタン半島を中心に栄えたメソアメリカ文明に興味を牽き付けられている。その母体と為った巨石人頭遺物・宝石加工術を高度に発展させたジャガー信仰のオルメカ文明(BC1200~AC0前後)、それに端を発して居ると云われている<ジャングル文明マヤ>に興味を抱き続けて居たものであった。マヤの美術様式、宗教体系(生きた人間の心臓を、取り出して神に捧げる)、天文、暦重視の文明は、オルメカからの継承との事である。

 グァテラマ、ベリーズなどのマヤ地域を中心としたメソアメリカ文明は、BC400年前後から始まって、その古典期後期の600~900のスパンを持って、8C辺りがマヤ文明の絶頂期であったらしい。

 ユカタン半島、フロリダ、キューバに取り囲まれたメキシコ湾を地中海に準えれば、この海域にも都市国家同士の文化・文明の伝播と興亡の歴史が刻まれている筈なのではあるが、その研究実績が無い処が、これまた、想像、妄想を運ぶ処でもある。

 私がアメリカ大陸のピラミッド映像を見たのが、バート・ランカスー&ゲーリー・クーパーの<ベラクルス>であった。映画では、そのベラクルスのピラミッドを背景に、ハイライトシーンの襲撃戦がダイナミックに撮られて居た物である。

 まぁ、この辺りまで読み進んで来ると、腰が痛く為って来て、コタツに移動する。コーヒーと煙草の一服をしながら、世界地図、地球儀を眺めながらの知恵熱の鎮火タイムである。そんな中で、一枚、悪戯描きを思い立つ。

 軒下の洗濯物は風に煽られて、大きくバタつき、揺さ振られている。風は強いが冬至を折り返して部屋に差し込む陽の力は、中々に強い処でもある。

 体力の無い老母に風邪は移したくないから、そそくさと朝食を済ませての薬飲みで、布団の中の読書とコタツを繰り返して居るのではある。

 台所では、そんな私への老母の気遣いなのであろう。食器洗いの物音が聞こえて来る。

      うつらうつらの繰り返しに、遅い昼飯の支度をしに行く。

 幾ら風邪引きの安静日であっても、昼間から小刻みの眠りを繰り返して仕舞うと、夜が眠れなく為って仕舞う。眠れぬ夜には、人間は碌でも無い事を考えてしまうのが、落ちと云う物である。

 さてさて、本日分日誌でも打ち上げて、ゆっくり安静日と致しまするかな・・・


                 コタツ描き

心何処ーショート 偶には、街場への昼散歩なり。
            偶には、街場への昼散歩なり。(1/12/12)
 クワァ~、しゃら寒い。小便をして、もう小一時間、寝かして貰おうかいな。いやはや、布団から抜け出してトイレ放出するだけでも、寒い寒いの億劫さなのである。廊下からは、朝の日差しが入って居る。スキンヘッドの寒さに抗して、半纏を頭からすっぽり被って、再度の眠りの中へと思って居ると、老母の動きである。昨日の夕食は、熱々の親子丼をたらふく食わせて遣ったのに、腹の減ったのかいな・・・

★ニャロメ~。はいはい、起きりゃ良いんでヤンしょう。カァ~、糞っ垂れババァが!!

 やれやれ、嫌々ながらの朝の始動開始である。新巻きサケの三平汁の鍋に火を付けて、所定の空気の入れ替え兼各部屋の掃き掃除、玄関鳥の世話をしながらの賄い夫仕事である。
 天気が好いから、洗濯日和。その間に、浴槽に水を張る為に、不凍栓を開けに行く。自慢じゃ無いが、信州の真冬は-10℃超えが日常茶飯事なのである。

 朝食を食べて居ると、髭のブロンソンさんの集金である。月に一度の中身の濃い戯け画談議が進む、楽しきほっとする良タイムである。戯け画ファイルと座布団、ポータブル電気ストーブを持って、廊下に胡坐掻きの交歓会である。戯け画が仲介する其々の感性の遣り取りは、実に面白い。絵に現れた描き手のその時々の心象に思い、想像を働かせて、描き手の心象の具現個所、具現像と比較しながら読み取ろうとする推理全体が、矢張り<美大出の感性>を刺激するのだろう。
 
 人間と云うものは、お互いの感性同士が、相互に感想・疑問を投げ合って、話しが回り始めるのであるから、面白いのである。期待の感性を持ち有った同士なら、一々ああだ、こうだの説明など殆ど無用にして、感じたままを提供すれば、それに応じた物が帰って来る。

 云って見れば、その人の感性の中にこそ、其々の個性と思考過程と思考力、一つの形を作ると云う表現力、構成力が在ってこその<感性の現れ>なのである。そんなお互いの感性を話題の中心として、日頃の思いの交換が出来る喜びは、中々に入手する事は難しい確率なのである。希少な確率への感謝と共に、確率を愉しむのが、これまた、人間の愉しみとすべきものである。イッヒッヒ~。

 朝食後は、風呂に入りながらの洗濯機回しで、後を老母に回す。スキンヘッドを剃り上げて、クリームをたっぷり擦り込んで、偶には長散歩も街場に下って見ようかと、<助平心>が芽生える。

          彼是、昼であるから、寒さも緩んだ処である。
 雲一つない無風の青空と太陽の輝きに、西のアルプス連山は、北の乗鞍岳は白銀に輝き、中央の常念岳は太陽に陰と陽の白銀の刻みを鋭利にして、他の峰々を従えて青空に圧倒感で見せ付けている。川面は、結氷の上流からの氷解の流れに、音を立てて居る。河川敷の冬枯れの芝生は、太陽光線の下、薄い黄土色を膨張させて、日差しの中で和みの色で続いている。

 街場下行であるから、普段の炭焼きスタイルから、剃り上げたスキンヘッドに見合う格好と財布をポケットに忍ばせて来た次第である。

 川に沿った歩きである。河川工事が盛んで、ボーリング、掘り返し個所が幾つも続いている。冬の澄んだ流れに、マガモ、カルガモ、カワ鵜、コサギ、アオサギなどが、人の動きなど吾関せずの格好で川を泳いだり、水中の獲物を探して、佇んで居たり、刺し足忍び足で居たりもする。

 観光の町、花の町のキャチフレーズで、街の至る処にプランター植物が置かれているが、寒冷地の凍み上がりに、小花達は完全に凍結してヘタリの数々である。

 へへへ、幾ら安物スミレ、パンジーさん達だって、零下10℃超えの寒冷地に在っては、覆いが欲しいわな。まぁ、それでも、環境に慣れて子孫を残すのが生物の遺伝子と云う物なのであるから、頑張るしかありませんぞえ。

 中心迄下ると、老舗の旅館兼喫茶店がある。有名な観光スポットで有名人・文化人が立ち寄る場所である。此処の娘は、一級下の秀才の誉れ高きF高生の美人さんであった。娘の美人さんが店を切り盛りして居たら、目の保養と為るかも知れぬ思い、入って見る事にした。

 へへへ、店内には案の定、私の敬遠するタイプの男女客が、8人ほど静かな雰囲気の中で、コーヒーを飲んだり、静かな対話をしている。店内にボリュームを下げて流れるのは、クラシック音楽である。ケーキ類の洋菓子とコーヒーのセットで、レトロ調の店内の雰囲気観察をする。

 生憎、お目当ての跡取り娘さん(女将)は居なかったが、彼女は、きっと感じの良い年の取り方をしている筈であるから、観賞に耐える雰囲気に為って居るのだろうが・・・致し方無しの段である。

 少し下って橋を渡り、骨董店を二軒冷やかしで覗いて来る。松本の人通りは、駅前周辺に様代わりして久しい。旧中心街は人通りも絶えて、実に閑散とした風情である。

 然しながら、私には新しいビルの立ち並ぶ忙しげな街の雰囲気には、如何しても馴染めない処である。路地、路地を抜けて、松本城公園の中を横切り、再び、路地路地を抜けて、湧水の中に泳ぐ和金の赤の色にニヤニヤしたり、食べ尽くした柿の枝に集団で止まる寒雀の姿を見たり、ヒヨドリのカン高い棘のある鳴き声を聞いたり、ジュクジュク、チィーチィーと云ったシジュウカラの枝渡を眺めたりの漫ろ歩きをする。

 煙草のカートン買いの為に、コンビニに寄り、鶏のから揚げ一串を買って、食べながらの帰路である。結構な運動量にも拘わらず、熱からず寒からずの穏やかなお日和の中を、唯一人歩くのは、気分の好い物である。

 これだけの自然観望とロートルの歩んで来た過去の徒然を脳裏に去来させながら、漫ろ歩きをする愉しみは、・・・ 実に自然体で時の流れの中に、唯、身を置いて居るだけの感懐である。

 私にとっては、人は一々、攣るんでお喋りをしながら歩く必要など、何処にあろうかの感である。


心何処ーショート 女日照りに、交尾ショーは目の毒、気の毒。
        女日照りに、交尾ショーは目の毒、気の毒(1/11/12)
 これは本格的に雪が降って来た。散歩は割愛する事にしよう。買い出しも我慢して、有るもの整理の線で行くしかあるまい。朝食後は、長い四畳半での一日に為りそうであるから、鳥籠の汚れを落として四畳半の暖房部屋に連れて来て、窓辺に鳥籠三つを並べる。

 薄暗く寒い玄関と違って、明るさと暖房のある四畳半で、金華鳥達は水浴びをして、ブンチャカ・ピィピィーの三重唱を仕出かして、煩い限りである。

 先日の久し振りの温泉銭湯では、私より二回りほど小柄な口髭・顎髭を生やしたスキンヘッドさんが入浴中であった。風呂上がりの脱衣場で言葉を交わすと、何んと同じ年だと言い、彼は最初から、そんな風に私を観察していたとの事である。彼曰く、昭和23年生まれの団塊世代は、話し好きなのだと云う。

     成る程、そう指摘されると、思い当たる節々の連鎖である。

 お互いに、お役御免のロートル初年兵であるから、ザックバランなゴタ助話の交換が出来て、面白かった。上級生、下級生のグループで遊び捲って居た<時代の子>であるから、グループ内の話題の仕込み・話術の貯め込みも、餓鬼連中を束ねて行く大事な要素だったのである。
 遊びの中のグループ団体行動の中で、長幼の序を教えられ、遣って好い事と悪い事を教えられ、連帯責任、上級生、餓鬼大将の勇気、責任の取り方、潔さなどをジョブ・トレーニング為らぬ<遊び体教継承>の中で、知らず知らずの内に鍛えられて来たのである。

 そんな共通の時代の子のロートル初年兵同士なのであるから、味の濃い顔付をして居ても、当然の雰囲気なのであろう。

 坂の温泉街の道路である。チョコマカと切り返しでUターンをしても芸の無い事であるから、其の儘、道路に沿って車を走らせていると、中学の女子同級生の☆とバツタリ顔を合わせた。お茶を飲んで行けとの事であるから、これも時間潰しの一つである。

 大梅のシロップ漬け、イナゴの佃煮、数の子、干し柿などをお茶請けに出して呉れて、お喋りタイムをして来た。いやはや、身内・御親戚・縁者さん達の有名人達との交友話、自分のインカ帝国への旅行話などを一方的にお喋りされて、へへへ、思い出した。そう云えば、クラスの彼女のあだ名が、<放送局>であった。

 遺憾いかん・・・ロートル初年兵ではあったが、まだまだ、俺には修行が足りない未熟者故に、とうとう堪え性もギブアップの態で、スタコラ逃げて来た次第であった。私は、この手の女性とは相性が噛み合わないのである。何て云ったって、私には誇れる者など、誰一人居無いお恥ずかしさなのであるからして・・・へへへ。

 さて、本日ではあるが、久し振りに夜中の左脹脛の痙攣で、零下の部屋で悶絶をして居た次第である。歳を取っても、痛い物は痛いのである。

 雪の降り頻るを見て、PC打ちをして居るとヤクルトママのコールである。先週は行き合えず、損をしてしまった次第である。

 へへへ、年末年始と三連休で、ママさんはふっくらした顔付である。久し振りのご対面であるから、吾が戯け画ファイルにも、10数枚の新絵が溜まっている。吊るし柿と沢庵の糠漬けの味見をして貰いながらの、絵のエロエロ講釈をさせて頂く。

 ママさんは好い人なのであるが、生憎、活字嫌いとの事であるから、仕方が無いから部屋から玩具の地球儀を持って来て、夢奇譚・第六部のユーラシア大陸ステップから黒海・エーゲ海・地中海東岸から、青ナイルの古代歴史の旅の行を説明させて頂き、戯け画の誕生談をさせて頂いた。

「この携帯電話と黒髪の女性の絵は、凄く可愛くて好いですよ。あらぁ~、このコタツを挟んだお布団の絵は、このくっきり浮かんだ女性の顔が、凄く活き活きと描かれていて、インパクト十分ですねぇ~。

 見開きの宇宙をイメージした様な絵も、何と無く微笑ましいし、・・・う~ん、夜の草原のテントとお馬さんの絵は、メルヘンチィックで、赤いお馬さんと全裸の女性絵は、何か古代のレリーフ、壁画の雰囲気もあるし・・・ウンウン、古代史の旅でしたね。

 このイスラムぽい教会と海の淡いスケッチ風の絵は、柔らかくて、とても感じが好いですよ。描き分けちゃうところが、ああ・・・凄い。きっと、サラサラと自然体で描いちゃうんでしょうね。文章書いて、絵を描いて、話術も巧みで、・・・羨ましいマイペース日々ですね。家の両親にも、そんなゆったりした趣味があったらなあなんて、思う時もあるんですよ。老後は、斯く在りたいですね。

 Rさんは、外面は助平だけど、中身は真面目なんですよね。強烈でインパクト満載の絵を描くのと同時に、淡いスケッチ風のメルヘンの世界も同時に描いちゃうんですから、そこが一筋縄では行かない懐の深さなんでしょうかね。
 きっと感性が鋭くて、同時に繊細なんですね。そんな多重性見たいな物が、この沢庵漬けにも出ていて・・・色の着いていない薄味なのに、何処と無く味の深さがある。う~ん、やっぱり、Rさんは謎の人物だわ。」

「そんな褒められちゃったら、このまま、帰すのが心残りだわね。布団敷き直すから、ヨガリ声でも出して行くかいね。如何するいね? ギャハハ~。」

「またまた、直ぐ悪乗りしちゃって、私は今日は忙しいんです。それを言わなきゃ、好い人なんですけどね・・・ う~む、そうじゃないか、それもRさんの地の色ですからね。もう一枚、沢庵摘まんで、お暇します~。風邪引かないで下さいよ。じゃあ、来週、お願いしま~す。」

「はいはい、アリガトさんね。浮気すんなよぉ~。亭主、子供達が可哀想だぞ。アハハ。」
「こら~。身持ちの良い女捕まえて、何て事言うんですか~。アハハ。バイバイ~。」
 

 さてさて、続きでも打って、一服しましょうかね。部屋に戻れば、アジャジャ~、予想通りに、温い環境で発情三昧のオスメスの交尾ショーでは無いか。

 おやおや、天気予報通りに薄日が差して来た。しゃ~無いですわな。女日照りには、目の毒である。買い出し方々、短めの散歩にでも行って参りまするわな。



心何処ーショート これも、ブログ日誌と致そうか。
              これも、ブログ日誌と致そうか(1/10/12)
 本日分を打とうと、PCを立ち上げて吾がブログを見遣れば、またまた横文字コメント重爆撃の沙汰である。それらを全部処理したと思ったら、またまた爆撃再開である。

 へへへ、お相手さんは、悪趣味の隠微笑いの最中なのであろう。常識人と非常識・異常人であっては、常識人が負けるのが、総体の世の映しと云う物である。何故なら、常識と常識では、波風も立たずに静かに推移して行くから、問題の異常現象など生まれ様が無い。

 片や常識と非常識・異常の対立は、異常波・非常識波を浮き立たせるから、それが歴然の見苦しい波頭ばかりを曝け出して、暴れ捲るのであるから、・・・ 見た目の常識人と非常識人・異常人の争いには、如何しても無視~泣き寝入りの形で、常識人が黙して仕舞うだけの事である。

 横文字コメント爆撃のソフトさえ在れば、労せず機械が何事もして呉れる。彼等にとっては、これ程、重宝な文明の利器は無かろう。

 機械文明の発展、蔓延に、人間の悪しき部分の<他人への嫌がらせ行為>が此処まで横行して仕舞っては、真に情けなくも忌まわしいの極みである。

 苦情も、昔は直接出向いたり、手紙を認めて、対人の関係でしなければ為らなかったから、其処には当然に相手への配慮が、多かれ少なかれ働いて、最低限の相手への抑止力が働いたり、働かざるを得なかったのではあるが・・・ それが、相手の見えぬのを幸いに、一方的にヒステリックに我鳴り立てて、電話を切って仕舞えば事足りる。

 簡単便利が、絶えず手の届く範囲にあると、兎角、他人、周囲の目が無い事を幸いに、己が狭い料簡に取り付かれて、とんでもない趣味に走ったり、ヒステリックな行動の<便利好都合道具の使われ人>に為って仕舞うのであろう。そんな依存症の中には、薬物依存症、アルコール依存症、パチンコ依存症、快楽依存症、道具依存症、・・・etcのありとあらゆる依存の種・誘惑がゴロゴロ転がっているのが、現代物資文明の裏の姿なのかも知れぬ。

 人間、<主観一辺倒>に羽目を外して仕舞えば、人間が持たされた客観性への<人間道>も塞がれ、己が成長も為し得無いのである。
 民法には、行為能力者、無能力者の間に未成年者、成年者の年齢考慮とそもそもの経済能力をも加味した能力レベルの個別判断処置として、禁治産者、準禁治産者の区訳をしているのであるが、精神と行為のタガが外れてしまった世相では、法以前の常識・条理の法律条文の何十倍もの社会規範が、病んで居る末法の世としか形容が出来ない不埒千万の暗行跋扈状態なのである。

 こんな世相であっては、何も親鸞、法然、弘法大師さんの御出馬を待つまでも無く、個人がまともに、真っ当に自問自答すれば、自ずと道は開かれる初歩の反省でしかあるまい。

 然しながら、これとて、むべ為るかなで在って、そんな輩に限って、自分に都合の良い<我儘放題の曲解放題>を仕出かす物なのである。殊更、外形的・物理的腕力の行使を、暴力と決め付けて、<威気高だかに喚き散らかす>しか脳の無い偽者が多いのだろう。
 暴力は、言論にも腕力にも存するのである。相手との距離間すらも弁えない無礼者が、心の領域に土足で上がり込まれたら、相手を張っ倒すのが、人間の当然のプライド維持行為にして、自衛行動じぁゴザンせんかね。

 人間ってヤツは、殴り倒されて痛い目を見るのが嫌であるから、フーテンの寅さんだって、<それを言っちゃ、お終えよ。>と、自己抑制が掛かるんじゃゴザンせんか。

  へへへ、私ぁ、古いタイプの人間だから、そう考え居るんですがね。

 これでは、余りにも傍若無人の偏狭思考にして、さもしい行為でしかあるまい。怒り心頭の様も、人間の紛れも無い真実の人間感情の一つには違い無いが、其処は相手の居る事でもあるから、其々の言い分を言い合って、其々が許容の範囲で折り合いを付けなければ、事は前進しない筈なのであるが・・・一方的収束では、拒否・乱闘・恨み辛みの怨恨沙汰の奈落の暗黒の淵に立ち至るのみであろう。

 兎に角、意思ばかりでは無く、真意・心を伝えると云う人間関係の本義を忘れ去って、己が自身の狭量に生きるを、<個人の権利>などと思い上がって居る輩が、世に跋扈し過ぎて居る。弱肉強食・勝者と敗者・富者と貧者、支配と被支配、管理者と被管理などと、対立関係だけで、物事を安易に定義して、上から目線で事を決して行こうとする思考行動が、余りにも無反省で、底が薄過ぎる。

<他を思い遣る>の心を過去の遺物として仕舞った我儘、堪え性の無い無機質マネキン人間の横行は、『偏狭心の見苦しき猛毒』を撒き散らして居る様にしか見えないのは、真に腹立たしくも、情けない人間の心の疲弊でしかあるまい。

 へへへ、こんな事を打てば、益々、偏執・偏狭心の炎に、油を注ぐ結果には為るのだろうが、私とて人間感情が在る。従って、この位の事は打って置かなければ、コメント爆撃の処理をさせられた側の気分が、収まらない次第なのである。

 本当は、NHK大河ドラマ・平清盛の第一回放映への帝、朝廷、宮家とすべき処を殊更、何かの意図を前面に出しての<王家>、<王家>の大連呼に、大抗議を展開しようと思って居たのであるが、本日は、朝から、コメント爆撃機との対空戦の沙汰である。

 溜まれば、打ち落とすのに時間が掛る。消し止めて、物の5分もすると、再びのコメント爆撃機の襲来である。若しかして、これってピンポイント攻撃の硫黄島作戦なんですかね。それとも、軽い気持ちのゲーム感覚でガンガン攻撃目標に対してのお遊びなんでしょうかね。

 此処まで目の敵にされているんで在りまするから、私もコメント爆弾を迎え撃つべく、対空砲を空に向けて撃て!!の指揮棒を奮い続けなくちゃ為らんのでしょうね。

 まぁ、散歩もして参りましたから、NHK大河ドラマへの抗議は後日として、お付き合い致しまするわな。つくづくと世の中は、困った輩の跋扈状態である。

    以上、ご丁寧為るソフト爆撃操縦者殿に、物申すの段でありました。

夢奇譚・第六部 挿絵
               夢奇譚・第六部 挿絵

蒙古高原鞭・一閃マグロ三態地中海東岸
                神域に向かいて

 本日は、寒さも緩んで、散歩の途中で、温泉銭湯に行こうと引き返し、戯け話の幾つかをして参りました。
 
 その余勢を駆って、コタツで第六部の挿絵を描く悪戯心が満載致しまして、気が付けば、何と5枚のオンパレードと相成りました。
 
 一応、物語の進行に基づいて、戯け画を作って行きましたので、真面目に精読為された御訪問者各位に於かれましては、思い当たるシーン画が在りましょうや。ギャハハ~!!





夢奇譚・第六部 神域にて
                夢奇譚・第六部 神域にて
 <その1>
 中国黄河の故郷は、黄砂を運ぶ台地でもあるし、何しろ『人口最多』『資源最少』『欲望最大』『道徳最低』の<四強国>と揶揄されるお国振りなのであるから、それはパスする事にして・・・エジプトは、ナイルの賜物と賛美される青ナイルの源流エチオピア高原に、夢を馳せたい感頻(しき)りなのである。

 そんな折、先頃、NHKのワンダーワンダーで、レポーター榎木孝明を配して、青ナイル源流の紹介番組を放映して居た処でもあった。

 その大地は、天空の幻想的とも形容するしか無い緑の高原台地、走る哲学者と讃えられたマラソンのアジス・アベベを彷彿とさせる人々が、地球の奇跡・栄養満点の黒い粘土質の大地に、悠久の農作物を植え、育て、収穫して居る静かな時の流れの様は、厳かにして、正に感動の映像美であった。それにも増して、悠久の豊穣の緑に覆い尽くされた、天空の大地は、其処に存在して居るだけで、宗教以上の天空・光、霧、雨の下、緑為す荘厳の拡がりが続いて居た。

 エチオピアの語源は黒い人・混血の人との事らしい、そしてアフリカ最初のキリスト教徒の国との事ではあるが、雑学に依ると鼻の高さで、西洋人は<人種の等級>を決めて居たとの事でもある。色は黒いがアジス・アベベに代表されるが如く、彫りの深いエチオピア人の顔相は、哲人めいて見える。<進化論帝国主義を謳歌した西洋人の傲慢さ>の感想には、そんな浅さが在って、私の様な有色人種から言わせて貰うと、『馬鹿こいちゃ、行けねぇやね。白い土人だって居るんでありんすよ。』ってな物である。

 人類発祥の地・アフリカ大地溝帯の中、地球の内なる血液マグマの滾りの賜物・黒い玄武岩が悠久の地球の時の中で風化され、栄養豊富な黒い粘土質の土を作り出した。雨で浸食されたその土が、雨季の激流を下り、遠く河口のカイロに豊穣の実りを与え続けた。太陽の国・ナイルの恵みが、ピラミッドを現代に遺す世界の四大文明の一つエジプト文明の栄華を極めさせた原動力と為った<豊穣の土>であったのである。
 
 安物玩具の地球儀をソロソロと回し、悠久の奇跡の高原大地に夢を馳せながら、日本からのルートを夢想する。韓国・北朝鮮・中国には、触手が伸びないから、此処はウラジオストクに渡った後は、嘗ての草原のシルクロード東西8000kmのステップロードを蒙古馬の背に揺られながら、ウクライナまで行き、ギリシャ人が結び付けたと云うエーゲ海と黒海の交易ルートを、古代に倣って黒海から地中海を横断してナイル河口のカイロから青ナイルを帆船で遡上するのが良かろう。

 私の頭に中の、趣味の世界史の歩留まりが、一体どの位の物かは分からぬが、モンゴル高原、カザフスタン、ロシア、ウクライナ、ハンガリー平原と連なる高原、草原地帯の続きには、スキタイ、モンゴル系、チベット系、トルコ系の遊牧民の群雄割拠の時代、フン族の侵攻によるゲルマン民族の大移動の歴史も刻まれて居る処でもある。

 世界史の第一ステージとしては、四大文明からのメソポタミア文明とエジプト文明とが地理的隣接と地中海と云う内海の海路交通によって、海洋文化と云う混合、合体化を推し進めて古代の<ローマの平和>を確立した歴史の一大舞台でもある。

 アレクサンダー大王の故郷マケドニアからの海路は、エーゲ文明の足跡を辿って、地中海の東岸を一日行程の港から港を辿って見よう。芳香を放つ銘木レバノン杉の交易で地中海の勇と為ったフェニキア人の活躍を回顧するのも、旅の友と云うものであろう。
(※フェニキアの植民地カルタゴとのローマのポエニ戦争は、ポエニ=フェニキア人との地中海の覇権を争った新旧勢力の興亡史でもある。)
 
 <その2>
 昼間から日本酒を飲んで、居住区の炬燵で長々と大鼾を掻いている内に、私は春爛満の異国に飛んで居た。真っ直ぐな道が、原生林の若葉の海に一直線に伸びて居る。如何やら、此処はウラジオストク郊外の大動脈道の趣である。何度かシングルママの運転で広大な極東の大地でのドライブで味わった雰囲気の一帯である。現代の乗り物は車と決まってはいるが、そんな物の御厄介に為ったら、折角の異次元・夢奇譚・第六部が台無しと為って仕舞う。

 馬を見付ける事にする。とうの立ったメス馬ではあったが、難なく手に入った。こんな処が、夢奇譚の異次元性と云った処であろうか。何しろ、作者の私が物臭のいい加減男なのであるから、仕方が在るまい。

 大動脈道は、大型トラックと日本製中古車が通り過ぎるだけの空き空きとした閑散とした風景でもある。車は、ブンブンとスピードを出して行き交うのであるが、後続車が途切れてしまうのであるから、後は道路の一人占めの様な物である。

            これも、人口密度の小さな所以だろうか。

 決して、急ぐ旅でも無いし、現実世界と異次元世界とでは、時間の単位が絶対的に異なる時空なのである。私は道路の端を馬の背に揺られながら、馬の歩み任せの西進である。

 馬との意思の疎通も出来る処が、これまた異次元世界の便利な処なのであるが、好物の草が在ると、草を食べ、歩きながらもポタポタと馬糞を落として行くのであるから、長閑な物である。

 そんな事を二日もして居ると、ホーンを鳴らされた。ライトグリーンの日本製RV車が、脇に止まってドアが開き、サングラスをした金髪さんが下りて来て、私の名前を呼ぶ。

「おや、やっぱり現われましたかいな。」
「こんな所を馬に乗って、オオ、クレージー。あなたは、何をして居ますか? 車に轢かれたら、如何しますか。あなたの行動は、とても危険でしょ? 違いますか。」

 これこれこう云う訳で、再び異次元世界に連れて来られたと云うと、シングルママさんは、目を輝かせて早速、同行すると云うでは無いか。車を適当な林の中に止めて、何と彼女もチャッカリ馬上の人に為って居るでは無いか。

★おいおい、<何処に馬が居たんじゃい>ってな物である。きっと、異次元管理者も、彼女がお気に入りなのであろう。

「ほら、懐かしいでしょ。ホテル下の遊園地で、私達、馬に乗ったでしょ。青ナイル源流までは、長い長い旅ですよ。中国国境の町で、色々、必要な物を買いに行きましょうよ。中国製は長持ちしませんけど、安いですよ。私達も、年に何回かは友達達と、買い出しに行っていますからね。私は詳しいですから、案内しますよ。」

★ガイドもこなすシングルママは、何時もながら、テキパキとした行動力である。こんな美形さんで、卒の無い処が彼女の凄い処でもあるし、全てを丸投げして居ても、事が進むのがご立派な処なのである。整ったキリッとした美人さんの顔の下には、親切なお節介焼きの素顔が、見て取れる次第なのである。

 グロデコボの町は、ロシア語表記の看板と、ロシア人の買い物客が至る所に見える。和風の海苔巻き、ラーメンもあるのだが、それらは全て朝鮮風との事である。二人旅であるから、馬上旅では何かと不便であるから、テント兼荷台を考慮して、馬車を調達しようと考えた。
 
「オゥ、それグット・アイデアですね。そうしましょう。」

 パン、乾パン、小麦粉、豆類、チーズ、ハム、ウィンナー、飲料代わりの安物ワインを買って、私とヤナは、二頭立ての中古馬車で手綱と鞭を持つ。

 と言っても、意思疎通が叶う馬なので、日本から持って来た世界地図と、地球儀で西進ルートを示して、ボチボチ行ってくれれば好いと、これまた<丸投げのお任せコース>なのである。

 <その3>
 モンゴル高原からハンガリーまでの東西8000kmの距離は、モンゴル騎馬軍団が3か月で走破したと云うのであるから、2か月も進めば、黒海に到着するのだろう。今回は、前回の<初冬の広葉樹原生林にて>と違って、洞窟原始人の暮らしとは一変して、春爛漫の西進行なのであるから、<大草原の我が家>のイメードで好かろう。

 場所が良ければ、テントも購入して置いたから、テントから首を出して、澄んだ蒙古高原に降り注ぐ大銀河の近さを見上げながら、二重顎に細い指の手を当てて、ウウン、アンなどと白人女性特有の些か生意気にも見える仕種の相槌で、古の草原のシルクロードに群雄割拠した遊牧民の興亡史などを、大銀河宇宙の漠として広がる時空に追うのも、男と女の大人話の一環でもあろう。そんな雰囲気の醸成にも、コンパクトなテントは、この先、大いに役立つ事であろう。

 ロシア人の食生活は、日本人の私からすると、真に大雑把であるから、こんなアウトドアの遊牧生活の様な旅には、打って付なのであろう。彼女は、モゾモゾした食感のパンとチーズ、ハム、ウィンナーとワインで何とも無いのだと云う。
 彼女は体育会系の美形さんであるから、運動不足の身体の凝りには、馬車から下りて二人で相撲を取ったり、ボクシングの真似事をしたり、バレーの選手だったと云う彼女と、バレーボールのトスをしたりもする。
 お互い、日に日に乗馬に慣れて来たから、360度の草原に蒙古馬を全力で駆って、野性の雄叫びを張り上げて来る事もしばしばである。彼女は柔らかさには欠けるが、運動神経と活発さ、マフィアの娘の沈着冷静さが身上であるから、男友達同様の退屈しない道行である。

 <その4>
 モンゴル高原では、念願の蒙古馬に何度かスイッチさせて、<騎馬者の土地>の意味と云うカザフスタンの草原に馬車を進める。

「映画的に云うとさ、ユル・ブリナー主演の<隊長ブーリバ>なんて快作が在っただけどさ。コサックはモンゴルの<タタールのくびき>なんて、200年以上に及ぶモンゴルの影響下に在って、コサックは新興のロシア王朝にとっては、旧支配者の片割れだったらしいよ。それでロシア王朝は、内心の復讐心で、コサックの機動力を駆って『東征政策』の先頭に立たせて、東方を征服せよ=ウラジオストクの建設に利用したって事だよ。

 中国では元、ロシアではモンゴル=タタール、インドではモンゴル=ムガールで、タージマハルの美廟で後世に、名を残して居るんだけどね。こんな世界史の大風呂敷を拡げて、歴史に妄想力を働かせる事が出来るのは、後世現代の俺達の特権さね。

 モンゴルのユーラシア的大規模版図を築いた<怒涛の大進撃の先導役>を務めたのが、イスラム商人団とそのネットワークだったと云うんだけどね。
 7Cのマホメットの作ったイスラム教団は商人のソグド商人、ラクダキャラバンのベトウィン族と協定を結んで、商人と軍団の上に、聖戦と聖戦の見返りの富を得て、西洋より早く世界に君臨した大帝国だったんだと云う話だしさ。学者の中には、モンゴル帝国もイスラム帝国の亜流と見て居るグループもあるって話だわさ。」

「オゥ、あなたは、凄いインテリさんですね。普段のクレージーさとは、別人と云うか、その二つが同居して居るから、とても話が面白くて、大変に勉強に為りますね。
 ロシアの教育は、嘘が多いですからね。その点、日本は自由で好いですね。でも、あなたの様な日本人は、多いのですか、それとも少ないんですか。」

「俺は普通の大学出にしか過ぎんから、俺位の知識を持って、歴史を見て居る日本人は、何処にも五万と居るわさ。顔の見えない、自分の意見も言えない日本人なんて、内外共に、言われているらしいけど、日本人は、そんなに馬鹿じゃないわね。
 それに、普段職業柄インテリ振った日本人を演じて、そう1人で自惚れて居るんだろうけど、そんな奴等は、自分が思うほどインテリさんじゃ無かんべさ。アハハ。」

「青ナイル源流には、三か月、四か月掛かりますか? その間、私達は先生と生徒、そして男と女の生活ですね。きっと、私達のベィビィ生まれますよ。前も言ったでしょ。私達のベィビィが生まれたら、ベィビィを育てに来るのが、両親の義務ですからね。オホホ。」

「おいおい、それにしても、ベィビィに拘りますなぁ~。でもねぇ、そりぁ、どんなに頑張って逆立ちしても、十月十日には、至りませんわね。」

「ノーノー、此処は、異次元の時空世界ですよ。きっと、私が産もうと思えば、直ぐ生まれますよ。私は頭が賢いですから、若しもの危険があったら、全員が危険に陥りますから、お腹の中で、小さく産んで育てる事にしますから、きっと生まれた途端に、正真正銘の日本語を話し始める事でしょう。オホホ。

 男には分らないでしょうけど、もう生まれて居るんですよ。確りと、あなたのレクチャ聞いて、頷いて居るのが、私には分かるんですよ。

 あなた、オーストラリアの有袋類の生態知ってるでしょ。小さく産んで、袋の中で育てるんですよ。知らないんですか? あなたは、小さい処で、お馬鹿さんですねぇ~。その点、<ロシアの女は賢い>ですよ。アハハ。」

「おいおい、其処まで言っちゃ、怪僧ラスプーチンの再来に為っちまうぜや。そんな日にぁ、ロシア・ロマノフ王朝の消滅沙汰ですわね。日露戦争に、レーニンのロシア革命だせや。」

「大丈夫ですよ。露日のベィビーだから、問題無いでしょう。心配なら、一人より二人で、次のベィビィも、仕込みましょうか。私には、体力が在りますよ。あなたは、私に<ミルク>を出して、私はベィビィに<ミルク>を飲ませて育てます。これ、男と女の生態的常識でしょ。

 今日は天気も良く夜も暖かいでしょうから、外にテントを張りましょうか。そうそう、途中で七面鳥の狩りでもして行きましょうか? アハハ。グット・アイディアでしょ?」

 七面鳥は、残念ながら居なかったが、コジュケイ、ウズラの類が多く居たから、二人で知恵を出し合って、久し振りの新鮮で柔らかな鳥肉を頬張る事が出来た。

 何処までも雄大に横たわる蒙古草原には、水面を反射させて清らかな緩い流れが在る。そんな流れが在ると、季節柄、冷たいのではあるが、バケツを持って身体の隅々まで、石鹸を付けたタオルで、ゴシゴシと垢を流すのが日本流儀である。

 最初の出会いに彼女のアパートでバスタブに一緒に入ったのが、運の尽きで私は二人切りに為ると、決まって三下に為り下がって、彼女の放漫なる中世絵画の西洋婦人の全身洗いの役目が、回って来るのである。

 丸で図体のデカイ幼子を立たせて、前、後ろと促して、頭のてっぺんから足の指までゴシゴシと洗って居る父親の様な気持である。西洋白人と云う人種は、日本人の様に裸体に対する羞恥心が無いらしく、こんな風に全身の隅々まで、タオル石鹸で洗って貰うのが、殊の外、気持ちが好いらしい。何しろ、昼寝も習慣で全裸で寝るシングルママさんなのであるから。

「オゥ、とても気持ちが良いですね。今度は、私の番です。前からしますか? それとも後ろからしますか? 私も、上手に為って来たでしょう。ウッウ~ン。」

「おいおい、さっきから何所持って、遊んでるんじゃい。一点集中は駄目だぜや、過不足なく全身を洗うのが、日本の入浴作法ですがな。あい~。」

 身体洗いの後は、肩を並べての自分達の衣服の手洗いである。洗った洗濯物は、二人で絞り合う。彼女には女狩人のDNAが色濃いから、踏ん張りも腕力も強い。双方の腕力で、人力絞りは、脱水機並の働きである。洗濯、脱水が終われば、小型の馬車を一台収納用の馬車として居るから、馬車と馬車にロープを張り、それに洗濯鋏で留めて干すと云った具合のノンビリした西進行程である。

 遮る物も無く、緩やかに起伏する高原の草原である。四頭の蒙古馬はアジア種の道産子、木曽馬の様な短躯・短足種である。馬車引きから解放されて、草原の草を食み、腹が膨れれば、草原に身を横たえる。そんな中、当然の様に草むらにシーツを敷いて、全裸の彼女が、太陽の眩しさに手で庇をして、<カモン、ダーリン>の牧歌的合体要請の段である。

 毎日が日曜日の私以上に、ロシア女は、大陸的である。会話も体話も、これ即ち、男と女の話にして『和』なのであろう。唯難点中の難点は、メラニン色素の退化故の、締りの緩さが、如何しても長時間の合体状態に為って仕舞う事だろうか・・・

 嗚呼、天は二物を与えず。一長一短が、この世の定めなのであろう。文句を言ったら、罰が当たる。自然に抱かれて、自然に振舞う事こそ、男女の道である。

 <その5>
 そんな道中を重ねて、カザフスタンに入る。その数日後に、ジョービタキのメスが馬車に飛んで来た。私の肩に止まって、頬を軽く突くとバルディナさんの出現である。馬車を止めて、後ろのヤナの馬車を待つ。

「ヤナ、彼女が、バルディナだ。やっぱり、夢奇譚の第六部だから、来るぞ来るぞと思っていたら、飛んで来たぞ。」

「オゥ、あなたがバルディナ、Rさんからは、好く話を聞いてますよ。第三部の人ですね。私は第二部のヤナです。宜しく。」

「ええ、私もあなたの事は、好く聞いてますよ。初めてなのに、何年もの友達の感じですね。これから先は、私の方が詳しいですから、案内しますよ。」

 日本人の閉鎖的男女関係からすると、信じられないほどの女同士の交歓シーンである。郷に入ったら郷に従えが、吾が物臭処世術であるから、暫く彼女達の観察をさせて頂く事にして、静観の構えである。木々は疎林の背景である。緑の草原をヤナ、バルディナの御す馬車が、クツワを並べてトコトコ進む。その間に、私が馬上の人で、左右への気配り観察の話役である。

★中々の好ショットであるから、映画のシーンにも匹敵する。へへへ、人間は、こんな風に、大らかに自然の中に溶け込めば、良い絵に為るのだが・・・人工物に取り囲まれて忙しげな毎日に酷使されて終うと、人間の円やかさも擦り切れて、マネキン行動ばかりの無機質社会を蔓延させてしまうだけの、生き物に成り下がって仕舞うのであろう。

 カスピ海の北のカスピスカヤ低地を進んで、地図では楔を打った形のロシア域を走破すれば、ウクライナにして、黒海が姿を現せる。ウクライナと云えば、第五部・続編のウクライナのライオン娘・ナターシャ様の縄張りである。

★大きな声では言えぬが、この処、私なんぞはロシアの金髪美形さん達の<共有の大人の玩具状態>で、黄色い太陽とイクラ色の月に、動物性タンパク質も、未消化の日々なのである。

 まぁ、彼女は、丑三つ時の時間制限の掛かって居る<異界のお人>でもあるし、今回の異次元世界には、幸いと云うか生憎と云うか、携帯電話は持って来なかったから、ミイラにも為らずに済むのかも知れぬ。

 如何云う風の吹き回しか、両者の嗜好の握手なのかは知らぬが、我々三人の旅は、至極穏やかで楽しい道行きで終始している。
(※・・・何しろ、肝心な話と為ると、金髪さん達は、母国語のロシア語で意見の調整を図るから、私にとって、彼女達の真意は蚊帳の外なのである。)

 私は、この処の酷使が祟って、馬上の人から、馬車の寝台の人と為って居るのであるから、体力・精力回復が一番の仕事と為ってる始末なのである。私としたら、こんな道行に為って仕舞った以上、夢次元管理者に、特大のペニスバイブレーターを懇願したのであるが、その切なる願いは、一顧足りとも斟酌されなかった。考え様に依れば、全てには光と影が同席するのであるからして、これとても<試練の針筵>なのであろう。

 然りとて、私の今回の夢奇譚・第六部の異次元旅の趣旨は、趣味の世界史を準(なぞ)る<高尚な見聞録>とすべく妄想した結果なのである。

 従って、知性と痴性のバトル乃至知性と痴性の統合の命題とても、その副題とすべきであり、意志力と誘惑力とのバトル乃至統合技が試されるべき場面でもあろう。

 まぁ、こんな心境実態をば、俗世間では<痛し痒し>と形容する処なのだろうが、生真面目にして意志旺盛な私としては、理と痴の狭間での『真摯な葛藤の日々』なのである。

★分かりまするかな・・・斯様にして私は自分の事は後回しの、真面目な生一本の男なのである。

 <その6>
 喉の渇きに、ミルクを取って、身を起して飲もうとすれば、馬車に向かって、突進して来る人馬一体の凄まじい程の<殺気>ではないか!!

「オゥ、あなた、金髪女二人と何~してる~!! パロパロは、駄目でしょう!!」

 ライオン娘の鬼の形相下、咆哮と共に黒い鞭の一閃が、空を切って私の首に巻き付くや、凄い力で空中に飛ばされ、川の淀みに投げ付けられてしまった。鼻からしこたま冷水を吸い込んで、もがきにもがいて、水面に顔を出して空気の注入に躍起として居ると、再び、黒鞭の一閃である。今度は、腕ごと胴体に食い込んで、ギブアップの囚われの身である。

「アハハ!! どう参ったでしょう。遅かったじゃないの。Rさん。待ち草臥れたわよ。そこの金髪女二人、黒海、地中海、ナイルの船旅は、今度は私の一人占めが優先よ!! 今まで十分、楽しんだから、文句は無しよ。好いわね。アハハ。」

★おいおい、そりゃ~、女の勝手な言い分じゃないのさ。戦後成長期は、確かにエコノミック・アニマルと言われた日本人の企業戦士の時代もあったけどさ。セックス・アニマル、性奴隷、性玩具なんて形容は無かったぜや。俺ぁ、自慢じゃ無ぇが、草食系世代の軟男じゃ無からずよ。誇り高き、日本男児じゃい。

★生意気に、オオ、痛ぇや、乱暴にも程がある。軟肌が、こんなにミミズ腫れに為っちまったじゃねぇか。第五部は、ウクライナのライオン娘に、最大の敬意を払って20枚も打って遣ったのに、手心の一つも入れねぇとは、太ぇジャジャ馬娘だぜや。アホンダラが!!

★何時何処で<黒鞭使いの技>を覚えたか知らんが、あんな物で、一点集中型のお仕置き<睾丸鞭>を遣られた日にぁ、幾ら近江兄弟社のメンソレータムを擦り込んだって、追っ付かんぞや。まだまだ続く青ナイル源流の旅じゃい。睾丸鞭の腫れ上がりタマタマじゃ痛くて、悶絶乗馬じゃ無ぇか。糞っ垂れ、男の最大の急所を何だと心得とるんじゃい!!。

★馬鹿っ垂れが、日本にゃ、山中鹿之助の<臥薪嘗胆の深謀遠慮>もあらぁな。それに、こちとらは、加工・微調整の苦労人だぜや。珍棒遠近、浅浅、深の皇紀2671年の八百万の神神の<御寝所太鼓の乱れ打ちの奥義>だってあらぁね。

    ・・・以上は、当然の事ながら、吾が内心の呟きでしか無い。

 シングルママ・ヤナ、ジョービタキのバルディナ、ウクライナのライオン娘・ナターシャのお人柄は、夢奇譚の中でそれぞれ紹介して来た処であるからして、ロシア美形・美人団は、三角関係、四角関係などと云ったややこしくも、変な関係とは為らないのである。

「さぁ、Rさん、今度は黒海に就いて、説明して下さ~い。」

「ナターシャのパパは、黒海で船に乗って居た。パパは、ママを裏切ってポイして女の下に走った。ナターシャは、それが悔しくてママの為に、日本に来てホステスをしてママ、弟達にお金をプレゼントした。家族思いのナターシャに拍手。」

「オゥ、あなた、好く覚えて居てくれましたね。サンキュー。」

「さて、世界史のお浚いでもしますかね。古代には黒海から地中海が、世界最大の内海だった。エジプト文明、メソポタミア文明を海で繋ぐフェニキア人、ギリシャ人、ローマ人がエジプト、メソポタミア=ペルシャ、を巻き込んで、西洋文明の基礎を築いて行った。黒海沿岸のルーマニアは、ローマ人の植民地として作られたから、それが語源のローマ人の国と云う意味だと云う。

 ついでにルーマニアと云えば、15Cに強国オスマントルコと戦った<串刺し王の異名>を取った英雄ドラキュラ公が居たわな。それが吸血鬼のドラキュラ伯爵のモデルに為ったとかの話もあるしね。

 まぁいずれにしても、ギリシャ、マケドニア、ローマ、フェニキア、エジプト、ペルシャと古代史の主役達の興亡の海としか、俺には分らんわね。

 そうだそうだ、北欧バイキングの時代には、海に乗り出したバイキングと、河川伝いに黒海に進出した勢力が、ロシアの基を作ったと云う事だわさ。

 世界史を、大きく俯瞰的に見ると、西から、エジプト、メソポタミア、インダス、黄河文明と有るんだけど、西の二文明は、地理上の近接と地中海と云う内海に依って、交易の発達により混交して統合への世界史の駆動力と云うか、エンジンの部分を負って居たんだろうしね。その対決の中には、十字軍の遠征て云う宗教的価値観・文明の対立もあった。

 その一方でインド、中国は、西洋からの地理的距離の壁によって、独自性を持ち続けながら伝統的な文化圏を維持して来たんだけど、世界経済の一体化のボーダレス、グローバル経済の一大潮流の中で、その伝統的独自性が、如何変わって行くかが、興味のある処なんだろうしね。

 尤も俺には、難しい事は一切分らんわね。俺の最大の興味・好物は白人美形・美人さんだから、しゃー無いわね。へへへ。」

 ヤナ&バルディナ
「オゥ、やっぱり、あなた、単なるスケベちゃんと違いますねぇ~。そうで無くちゃ、私達も堪能しないですからね。」

 ナターシャ
「でも、もう好いわ。沢山食べて、一杯寝て下さい。もう、海の旅ですからね。私の為に、夜に備えて下さい。」

 バルディナ
「そうそう、あなたが何時も言ってる様に、<人間の頭の部屋は、小さくて少いですから、一度に入れ込もうとすると、全部が入らないで、下痢ピーで何にも残らない。>だったでしょ。だから、今日の授業は終わりにしましょう。」

 ヤナ
「はいはい、生徒全員の賛成ですね。ロシア語が国語の女三人ですからね。一人一人、あなたとの出来事を聞くだけでも、退屈はしないですからね。私達は、Rさん研究のお時間も楽しいですからね。」

 ナターシャ
「そうそう、その通り。でも、本番で元気無かったら、鞭飛ばしますからね。私の嫉妬深さは、良く知ってるでしょ。ウ~ン。
 さあ、これからは、ロシア女の時間で~す。目覚まし掛けて、確り寝て下さ~い。アハハ。」

★クゥ~、相変わらず、生意気で口煩い。何をこきぁがる~。まぁまぁ、ウクライナのライオン娘のヤツは、イタブリがキツイでやんすよ。ニャロメ、一番年下の癖に、早々と女連合の主導権を握ろうとして居遣がる。
 三者三様の色違いも、個性の調和と云う事にして、此処は大和男の奥深さで、旅の道行きを愉しむのが、男の器にして懐の修行と云う物であろう。フン、好色絶倫女共が~。

 <その7>
 夜の内に、ボスフォラス海峡のイスタンブールを抜け、マルマラ海、ダーダネルス海峡を抜けて、エーゲ海を南下する。地中海はトルコの沿岸に沿って、キプロス島に近付いて行く。私の眼中には、夜景は一切映らず、映ったのは女体のオンパレードと疲れを知らぬ、その執拗さであった。

 さて、そんな船室の描写などは、今夢奇譚・六部の仕様末節部分であるから、割愛して。

「海から見ればエジプト、メソポタミア、クレタの<三大文明の交差点>に位置していたのが、此処シリアなんだってさ。地中海東岸のパレスチナ、シリアは、陸から見れば、エジプト、メソポタミア、アナトリアの三地域を結ぶ<陸の橋>とも呼ばれるし、これぞ古代の地政学上の要衝だったって訳だ。

 また、文明・文化の要衝としての一端には、エジプトの象形文字の影響を受けて、アルファベットのフェニキア文字を誕生させた。それが、陸を伝えばアラム文字、海路に伝われば、ギリシャ文字、ラテン文字、スラブ文字として現代に足跡を残して居る。

 まぁ、現代ではすっかり様相が違って、イスラエル、パレスチナ問題で、宗教的、政治的中東の火薬庫なんて定冠詞を頂戴しちゃってるけどね。

 いずれにしても、人間の歴史の歩みって潮流は、諸々の因果関係の<必要は発展の母>って事でさ。周辺に交通の不便な半砂漠地帯が拡がる地理的制約が在って、古代の中心海=地中海は、必然的に高度な海洋文明の方向に、一気に乗り出したって事だろうね。

 その地中海開発拠点が、地中海東岸のレバノンでさ。レバノンの特産品が、彼の有名な<レバノン杉>だったって事だよ。乾燥して森林資源の乏しかったエジプト、メソポタミアの神殿・宮殿建築材としては無くては為らない硬材質にして芳香材だったから、しこたま需要が在ったって話だ。こんな環境で頭角を現したのが、フェニキア人だったって事だわさ。

 古代の世界の海は、フェニキア、ギリシャ、ローマと彼等は、地中海の覇権を争って、覇者の興亡史を地中海に刻んだって事さ。以上、本日の講義終了。」

「オゥ、凄~い。チュッ、チュッ。これ、私の受講料で~す。」
「私も」「私も」
 
 一斉にロシア美形に取り囲まれ、スキンヘッド、頬っぺたにチュウチュウ吸い付かれて、アッジャ~、<疲れ魔羅のポッコリ勃起>の沙汰である。←日頃の女日照りが祟って、はしたなくも、条件反射の裏目であった。

 何と、何んと・・・目敏く、変化をキャチしたロシア女達の下行目線に、一瞬たじろぐ。

★こんな事で、<吾が精神の崇高さ>を裏切るジュニアとは、一体全体如何なる<海綿体の宿命>ぞ・・・地中海の東岸にて、そんな慙愧の念、断ち難しの反省とは裏腹に、白い波頭の先には、古のビブロス、シドン、ティルスの交易港が見える。

 <その8>
 ガザを回り込めば、青ナイルが拡散して豊穣の緑野と為したプトレマイオス朝の首都・アレクサンドリアが待って居る。さてさて、疲れ魔羅を気付かれぬ内に、デッキの洞でも見付けて、爆睡するのが体力、気力の復活、復興と云う物であろう。

 フラフラする足取りで、私は朦朧の中に居る。救命ボートの中に、全身濡れ雑巾と化した重い身体を滑り込ませるや、息絶え絶えの内に、私の意識は遠のいて行った。

 行き成り鼻を思い切り捻られて、酸欠で起こされた。女三人に取り囲まれて、ライオン娘のナターシャが、長いベロで私の瞼をベロベロと舐め上げている。

「ウギァ~!!」

 ナターシャ
「さぁさあ、あなた、起きて下さい。もう、目的地のアレクサンドリアが見えて来ましたよ。歴史講義のお時間ですよ。あなた、何よ。物凄~いゴォー、ゴォー、ゴウ~の音で、あなたの居場所なんか、直ぐ分かりました。私達から逃げ様なんて、あなた、甘いですねぇ~。顔洗って来なさい。駄目ね~。可哀想ですね~。残念でしたねぇ。」

★クワァ~、何ちゅう事をするんじゃい。ロシア女三人寄れば、文殊の知恵を逆方向に働かせて、気の弱い男をいたぶる悪乗り連合ではないか・・・ 然りとて、私は、奥深い男であった。此処は戦後憲法の前文を想起して、

①<日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。> ②<この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務と考える。>←こんな事を真に受けたら、私が好い例である。偽善憲法の餌食に為りたか無ぇと思うんなら、自主独立の憲法を持ちましょうや!!

 とは考えた物の、多勢に無勢の吾が身を還り見れば、顔を洗って深呼吸でもして来るしかあるまい。

「さぁ、残り少ない講義だぞ。良く拝聴して置けや。二度と同じ事を講義出来ないのが、素人講義だぜな。

 エジプト最後の征服王朝の、マケドニアのアレキサンダー大王の将軍が興したプトレマイオス朝最後の女王クレオパトラとシーザーの話とかアントニウスとの話は、余りに有名だしね。
 俺は、現代の下衆貧民男だからさ。幾ら女王の座と王家をローマ帝国から守る為と綺麗事を言ってもさ。余りに『女の武器』を駆使しての<権力者への籠落三昧>が、一人の女として許せなくてね。歴史はクレオパトラを政治的に美化し過ぎて居る感じで、好きには為れんのだよ。

 一人の女として見る時には、とてもじゃ無いけど、自己顕示欲の権化の象徴で・・・如何にも嫌でね。若しかしたら、300年に満たない日本で云えば徳川幕府の治世のスパンなんだけど、マケドニア貴族の血統を守る為に、兄と妹、姉と弟の近親婚を繰り返した後遺症で、とんでもない思考と行動が身に付いて居たのかも知れんしね。

 日本じゃ、その弊害を失くする為に、御三家、五卿の制度を以って、カバーしてたって話だけどね。それでも、歴代将軍には、暗愚の将軍様も居たって話だわね。へへへ。」

 バルディナが感心した様に、私の顔を覗き見る。
「オゥ、あなたは凄いですねぇ~。若しかしたら、学校の歴史の先生でしたか?」
「ノーノー、俺なんざぁ~、日本の何処にでも居る金髪大好きの好色助平オヤジだけだわね。」

 へへへ、直ぐ様、ウクライナのライオン娘が、咬み付いて来る。
「オゥ、私はブラックヘヤーですよ。この三人の中で、私との付き合いが一番古いでしょ。何よ~、それ。訂正して私に謝って下さい。今夜は、私の独占ナイトでしょ。鞭が欲しいの? 私だって心優しいウクライナの好い女ですよ。手荒な真似は、させないで~。プリーズ。」

「とんでもない。絶世の美女・クレオパトラ女王様~。」と、ナターシャの華奢な白い手を握って、手の甲に軽くキスをすると・・・

 口を開く前に、唇を噛んで、黒い瞳を左右に強弱させて、ナターシャが仰った。
「何言ってますか、さっき散々、クレオパトラの悪口言ってたでしょう。今夜は、この口先男を三人で、お灸を据えて遣りましょうよ。」

 冷静振ったシングルママ・ヤナが、真にシラーとした口調で。
「オオ、グッドアイディア~。しましょう~。アハハ、あなた、<口は災いの元>って日本語あったでしょう。ロシア女には、色々な男の愉しみ方ありますよ。オホホ。」

 三人のグリーン・アイ、ダークブルー・アイ、ブラック・アイの瞳が、私の顔をニヤリ、ニコリ、グリグリと見るや、ストンと下に落して、妖しく光っている。彼女達の視線を追えば、等しく命中するのは、吾が<股間スポット>である。

「おいおい、お前さん達、何て眼で、俺様の逸物を舐め回しているんじゃい。今夜は、上陸してシティ・ホテルで、俺は泣きながら、女狼に喰い殺されるんかい。

 冗談じゃ無えやい。フライングは、スポーツ界のご法度じゃい。シッシ、離れろ。需要3に対して需要1なんじゃい。ソ連が解体して、少しは自由経済の需要と供給の市場原理を覚えて来たんじゃないのかい。

 グリム童話じゃ、肥えさせて食べる。吾が日本じゃ、細く長くで<年越し蕎麦>を食べるんじゃい。精気を全部吸い取られたら、俺の連れて行かれる世界は、カランコロンのお露・新三郎の牡丹灯籠じゃねぇかい。糞ッ垂れが、アルコールの入ったロシア女三人寄れば、酒のツマミは男食いのお喋りかいな。

 あんまり、自分勝手な想像レシピを遣ってると、異次元管理者様のご機嫌を損ねて、一気の夢バブルの崩壊だぞね。ドル、ユーロだって、メタメタに奈落の底へ一直線だろうが、此処は、聖徳太子の<和を以って貴しと為す>の『温故知新』の学習態度が肝要じゃい。如何だ、参ったか~。」

 ライオン娘のヤツは、アルコールが入ると、全く執拗なタイプである。
「何よ、あなた偉振って、シャラップ。ここはロシアの友好国ですよ。所変われば、考えも違うでしょ。あなた、ロシアの女好きに為った。可哀想ですねぇ~。
 ロシアンスタイルだと、温故知新なんかじゃ無くて、オマンコ・チンチに決まってるでしょう。

 私の黒い鞭は、客室の何処に逃げても、一鞭で全部届くんですよ。<睾丸鞭>も思いのまま~よ。あなた、可哀想ですね。私達の生贄に為って下さ~い。生贄の儀式は、ルーツを辿れば、何処の宗教でも同じでしょ。今夜は、三人で女の意気投合の大宴会しましょ~。感謝祭には、生贄は付き物でしょ。アハハ!!」

★ニャロメ~。由緒ある温故知新に対して、何たる曲解を晒すんじゃい。<立て万国の労働者~>なんて、インターナショナルの労働歌は若い頃、耳に馴染んだ処ではあるが、旧ソ連邦の女族意気投合歌なんて遣ってるから、プーチンにパイプ閉鎖をされちゃうんじゃい。フン、たかが二日酔い前のウォッカ投合歌じゃろうが。

 それにしても、ナターシャは凄い。感謝祭の生贄なんて発想は、逆立ちしても、俺のボキャブラリーの中にぁ、ありゃせんわね。いやはや、頭の好い女とは、面白いもんだわさ。

 ヤナもヤナである。
「ウア~オ。さあさあ、膳は急げですね。レストランに行って、食べて、残りは全部テイクアウトして来ましょう。カモン、ダーリン。四人部屋で乾杯しましょ。」
 
 ああ、一番の和みの北国の使者・観音様のバルディナさえも。
「オゥ、あなた、ロシアンスタイルは、ルームパティが本番ですからね。夜は長~い。ファイト、ファイト!!ベットで楽しみましょ。私達の期待を裏切らないで下さい。頑張って、日本男児の男意地・大和魂見せて下さ~い。」

★ロシア女にアルコールは、禁物である。糞ッ垂れが、<牡丹灯籠の世界>だって、一対一じゃなのさ。一対三じゃ、生きながらの牡丹灯籠の生き地獄に為って仕舞いまするがね。

 デカイ声じゃ言えないが、私は一度ロシア女に、同じ目に遭わされた事がある。

 彼女達は、本気で共同謀議をテレパシィで交換し合って居る。美形の妖しい目付きは、既に獣性域にまで及んで、ランランとして居るではないか。。

 船内レストランのブザーが鳴って居る。食べ残した物は、タッパに入れて部屋に持ち帰り、ワイン、ウォッカの乱行パーティが目前に迫っているのである。

 これも、<郷に行ったら郷に従え>が、日本男子の往生際の良さなのであるから、頑張って見ましょうかね。

★夜半の上陸、シティホテルの宿泊か・・・所変わって、仕切り直しの夜ですかね。明日の朝は、女共め、三人打ち揃って、目の下に<黒い隈>付けて、大鼾でマグロ寝でも居て居やがれ。これだけ酒をガブ飲みした朝は、二日酔いの体たらく女が、ロシア女の常態なのは、十分な学習効果としての経験値である。
 こちとらは早起きをして、充満する醗酵チーズ工房のホテルルームから、シャワーを浴びて洋上甲板の隅で、体力回復の逃げ寝でもして遣らぁな~。ザマ~、見遣がれってなものである。ギャハハ!!

 <その9>
 ホテルルームのカーテンを開ければ、アレクサンドリアの早くも暑い太陽の日差しである。その日差しに照らされるは、あられも無い堂々たる白マグロ三体の姿である。煙草の一服後はシャワーを浴びて、髭を剃り、スキンヘッドを剃り上げる。遺憾いかん・・・頬がすっかり痩せ落ちているでは無いか。

 着替えをして、煙草をポケットに異国散策に出掛ける。女達の起きるのは、ずーと、ずーと後の事であろう。正午近くにホテルに戻る。部屋をノックすると、頭がズキンズキンすると云うシャワーを浴びて、髪を乾かして居る女三人である。

 ナイル川・舟の旅は、午後2時出行との事である。へへへ、是、全て自業自得の自己責任である。まぁ、私はその恩恵で、ゆったりと青ナイルの遡上観望が出来ると云う物である。

 二日酔い三人衆は、川風の涼に<青菜に塩>のしおらしさで、中々の美形を保ち続けている。当然、歴史講義のリクエストも一切掛らない静けさである。ナイル河畔の風景は、色んな映画とかテレビ映像で見て居るから、然程の感動は沸いて来ない処であった。その内に、私も知らず知らずの内に、深い眠りの渦に巻き込まれて行った。

 <その10>
 さてさて、青ナイル川クルージングの旅と云えば、アスワンハイダムに就いて、触れて置かねば為るまい。何しろ吾が聴講生は、何れも劣らぬ美形揃いのライオン娘のナターシャ、ジョービタキのバルディナ、シングルママのヤナさん達なのである。

 アスワンハイダムに依って出来た巨大ダム湖・ナセル湖は青く拡がって居る。今や観光の名所であるから、大小のクルージング船が行き交う。そんな眩しい太陽光線の風景をバックにして、心優しきバルディナから氷のたっぷり入ったコークのグラスを手渡されて、ガイド役を申し渡される。三人の聴講生達の飲み物は、チャカリのウイスキーたっぷりのコークハイに決まっているのであろう。

 ナターシャのヤツは、黒いサングラスの鼻をすっかり日焼けに赤くして、

「イヨッ、待ってました~。名調~子、アガタ節~。お代は、マイ・ボディで、サービスしま~す。」

 と、指を口に当てて、ピィー、ピィーと鳴らして居る始末である。ヤナは薄目のサングラスを金髪の頭部に掛けて、シラーとした目線でナターシャの悪乗り仕草に一瞥を送って居る。心優しき穏やか美形のバルディナは、そんな二人の間に座って、微笑みを浮かべて居る。

「このナセル湖は、エジプトのナセル大統領が、ソ連の援助を受けて完成させた一大国家プロジェクトらしい。砂漠の中に青ナイルを寸断して創造した大人工物だから、その功罪は歴然として居る。

 詰まりは上流部・ナセル湖に於いては、ナイルの賜物の栄養豊富な黒い土の恩恵は、富栄養化で湖の生物達を活性化させて、漁業の活発化を導き、満々と蓄えられた水量は、周辺砂漠の緑化へと拡がり、膨大な農業生産効果を齎せ、豊富な水量は、干ばつからの脱却をも齎せた。詰まりは、安定的な大農作地帯を誕生させた。
 そんな中で、砂漠の真ん中に、巨大なダム湖の出現によって、大豪雨による大洪水が、新しい気象現象として定着しつつあるとの現状だってさ。
 
 一方、下流に対しては、豊穣を約束して居た黒い土の供給と水量を激減してしまったから、当然の土壌痩せをもたらせ、水量不足と雨季の大洪水を失くしてしまったから、何時もなら、定期的に起きる<大洪水の川底浚い効果>が無く為って終い、川の巻貝に住む疫病神の住血吸虫の大発生に悩んだり、ナイル川デルタには河岸・海岸の一大浸食をもたらせているって事だ。

 そうだ。良い機会だから、巨大ダムに就いての俺の雑感を、少し話して見ようかね。その前に、喉を潤わせて、煙草の一服をさせてくれや。」

「OK、勿論で~す。ゆっくり休憩して下さい。マイ・ダーリン。」
 シングルママのヤナが、グラスに氷とコークを足して、自分の唇で吸った煙草を、私の唇に差して呉れた。へへへ、こんな事を表情を変えずに遣って呉れる処が、矢張り彼女らしい処である。はいはい、アリガトさんね。

「さて、続けまするかな。中国様には、二大大河が悠久の時を刻んで居た。一本は北の渤海に注ぐ黄河。他は黄海に注ぐ長江(揚子江)なんだけど。長江に三峡ダムを完成させたのが、現中国様なんですわ。

 先頃、日本の新幹線技術をパクって世界特許のパフォーマンスと世界最高の走りを演出したまでは良かったんだけど、直ぐ様張り子の糊塗糊塗国策が、衝突・脱線、埋め封印、掘り返しなんて<無様ショー>を世界に発信しちゃったのは、周知の通りなんだけどさ。

 上流に大都市重慶の3000万都市を抱えての三峡ダムだから、無尽の砂漠に出現したナセル湖とは、天と地の違いが在る。急激過ぎる工業化に工業排水、生活排水の区別、無処理の全て垂れ流し三昧のお国柄に、三峡湖はあれよあれよの間に、汚染物質、大量ゴミ、アオコ、悪臭の発生・蓄積湖と化した。
 当然の結果として、下流では生態系の大破壊が即起きて、揚子江イルカ、入り江ワニは死に絶え、河川の富栄養化の化け物・巨大エチゼンクラゲの異常発生で、黄海の漁業は大被害で、中国漁船は、朝鮮、韓国・日本の海域を<漁業海賊>と化して、不埒狼藉の数々をし捲って居る。これは、穿った見方をすると、黄河文明とエジプト文明の底流に流れる民度の違い・差の為せる仕業かも知れんわね。

 竹のカーテン気質の傲慢・高慢体質は、世界の工場、世界経済の牽引車などと意気がる物の膨大な貯水量に依る水圧の計算を甘く見て、三峡ダム湖周辺では、地滑り、崖崩れが頻発しているってな情報も漏れ伝わって来るんだわさ。

 それも自国領土内の水利の自業自得策なら未だしも、東南アジアの大河メコン川の自国内流域に、20数個のダムを造って勝手放題をしでかすから、下流域のベトナム、カンボジア、タイ、ラオスは、上流の中国様の水泥棒被害に泣いて居るんだわさ。

 まぁ、こんな世界最大規模湖の二例比較で、何かを感じ取って呉れれば、好いわさ。形振り構わず、自分勝手な事ばかりして居ると、国でも個人でも、人相・品相が悪く為るって事だろうね。

 こんな巨大ダム二例が教えてくれるのは、自分への問い掛けも含まれて居るのかも知れんしね。蛇足ながら、私の感想を言わせて貰うと、皆さん、何れも甲乙付け難しの美形・美貌のラインアップだわね。
 それも、全て天からの授かり物と思えば、心根を磨いて周囲に微笑のお裾分けをする気持ちが無いと、美形・美貌に宿る自己顕示の傲慢・高慢・不遜の毒気は、決して美形・美貌の発展・維持薬には為らんぞね。俺の気持ちからは、皆さん、何時までも綺麗で、味を濃くして行って貰いたい物さね。美形・美人さんに、人間の素直な気持ちの味が加わったら、鬼に金棒でありまするぞえ。皆、今以上に、良い女に為っておくんなましよ。

 以上をもちまして、本日、クルージング講座をお開きと致しまする。ご清聴、アリガトざんした~。」

「オゥ、Rさん。今日も、とても好いお話でした。サンキュー、アリガトウございました。私は、Rさんと付き合って居るこんな様子を、友達に何時も自慢しているんですよ。お疲れ様でした。旅も、終わりに近付いて来ましたね。また、寂しく為りますね。」

「そうです。私もヤナと同意見ですよ。真面目なのか不真面目なのか、クルクル変わる処が、Rさんの最大の魅力で、怖いのか優しいのか・・・何時も、両方ですね。全てが面白いし、トークが最高ですしね。あなたは国籍不明の興味の尽き無い男性ですよ。」

「オゥ、みんなお喋り。私の出番が無く為って仕舞うでしょ。何~よ。それ、一番先にRさんの魅力を知ったのは、このナターシャよ~。アハハ。Rさんの良い処も悪い処も、私、全~部知ってる。そこに寝なさい。私がマッサージして、リラックスさせて上げる。」

「あれかい、お前さん達のコークハイには、ロシア女達をしおらしくさせる媚薬でも入って居たんかい? 今夜は、ウォッカを呑まないで、コークハイだけにして呉れると、俺は有難いんだけどね。へへへ。」

「あなた、何、言いますか。昼と夜は違うでしょ。あなたの口癖の一つに<TPOを弁えろ>って言葉あったでしょ。」
「勿論、私も聞いてます。」
「ダーリン、私も覚えてますよ。オホホ。」

★嗚呼、遺憾いかん・・・所詮、大和男1対ロシア女3では、端から勝敗は決まって居たか。まぁ、こうやって、三人の美形・美女さんたちから、真心の籠ったマッサージを頂戴するのであるから、吾が雑学の趣味も、立派に民間善隣外交が出来て居ると云う物である。

 ナセル湖の湖上を吹き抜ける涼風と6本の白い手の揉み手の、何んとも柔らかなシンフォニーか・・・ 一に感謝、二に感謝、是、即ち、お天道様のお導きにして、夢奇譚大殿堂の夢管理者殿の暖かい御配慮の賜物である。そして居るは、青ナイルの青きさざ波の上の出来事である。ウッシッシ!!為るや。

 <その11>
 青ナイルは、人類発祥の地・アフリカ大地溝帯の底を縫って、延々と続く。見上げる大地溝帯の頂きに、玄武岩の黒い大地が雄大にして原始の刻みで茫漠と続いてるとの説明であった。

 明日からは、あの切り立った絶壁としか形容出来ないルートを唯ひたすらに上って行くしかないのである。

 道幅は、一人が通るだけの幅である。誰も話さず、黙々と足元に目を配りながらの果てに、到達した大地の荒々しくも、緑に覆われた繋がりと黒の剥き出しの天空絵に、暫く声も出ずに圧倒され続けて居た。

        これは、神々の棲む神域としか頭が働かなかった。

 私のする事と云えば、二礼、二拝、一礼のヤオヨロズの神々への礼儀しかなかった。傍らのヤナ、バルディナ、ナターシャは、跪き十字を切って、祈りを捧げるポーズを取って、何度も何度もアーメンを呟いて居る。

 誰一人として、話しはしなかった。神々の神域に、人は無言で佇むのみであった。

 ラスベガスからグランドキャニオン上空をプロペラ機で遊覧した経験がある。眼下には乾いた不毛の大地アリゾナの褐色の荒涼の広漠さが拡がって居た記憶が蘇って来た。その時、私は捉え処の無い地球の怖さの様な物を感じて居た。

 然しながら、青ナイルの源流・人類発祥の地・アフリカ大地溝帯の上部に広漠と拡がる浸食の台地は、天空の緑の耕地と黒い台地であった。

 アリゾナとはインディアンの言葉で、乾燥の大地との事だった様に記憶して居る。乾燥・死の大地とこの神々の天空の台地の違いに、私は直立不動の姿勢で、合掌するのみであった。頬には涙が伝わり落ちて居た。嗚咽の無い静かな、唯、流れ落ちるだけの涙の滴りであった。

 この旅に、駆け付けてくれたヤナ、バルディナ、ナターシャの頬にも、静かな涙が流れ落ちて居た。私は、彼女達の涙が美しい思った。そう・・・唯、そう思った。

 神々の神域に、部外者の長居は、真に不遜の行為である。神々の神域を脳裏のカメラのシャッターを何枚も切って、私達は誰頷く迄も無く、神域を下行する事にした。


               夢奇譚・第六部 神域にて・・・・・・完。(1/7/12)








心何処ーショート そうかい、美味かったかいな。
            そうかい、美味かったかいな。(1/7/12)
 昨日から、夢奇譚・第六部へのエンジンが完全入って、出任せ戯け文が噴出し捲って居る。本日は土曜スタバトークが控えて居るから、久し振りの真面目優等生モードに入って居る次第である。最終的には18ページ前後のボリュームに為ろうか。

 8時起床の取っ掛かりである。おやおや、本日は次兄さんが、お見えに為らない様である。へへへ、本音としては、来ないで欲しい物である。

 朝食をそそくさと片付け、四畳半は定位置に座って文字打ちである。そうこうしている内に、Tからのお誘いコールである。吾が家特製の雑煮を食べさせると約束して居たから、来る頃を見計らって、<用意万端抜かり無し>の体制を敷いて置く。沢庵漬けも、朝の消費分で失敬した物の、ほぼ一本分をレジ袋に入れて、ポケットには吊るし柿2個を忍ばせて置く。

 その出で立ちで、再びPC画面に対する。集中して居たのか、スイスイ車の流れが良かったのか・・・窓外には、Tの車である。トースターに胃無し男分の切り餅一つを入れて、雑煮汁に火を掛ける。

「おいおい、車を土手道に止めて、部屋で約束の雑煮を味見して行けや。」
「おっ、分かった。」

      早速、コタツ部屋に誘って、煙草の一服をして貰う。

「やいやい、四畳半とはドアで続きの間かいな。廊下を渡れば、二畳小部屋のPC。床の間には、ボラカイの太陽と鶏、ヤモリの大掛け軸かいな。流石にアガタ絵画のオッサンの居室だわな。知らんお人が来たら、Rの顔を十分に観察してからの発言だろうな。ヒヒヒ。」

「何をこきゃがる。俺は世捨て人かも知れんが、隔離人じぁ無ぇわさ。そりぁ、お前さん、人聞きが悪過ぎるってもんだわさ。三つ葉もナルトも使い切っちゃったから、70点を満点換算して呉れや。」

「おおっ、じゃあ、早速、頂戴するわね。おいおい、こりぁ、美味い。ブログ紹介のレシピで想像してたより、遥かに逸品だぜや。こりぁ、お世辞抜きで高級料亭の正月雑煮だぜ。

 Rは、職人、料理人の腕前だわさ。実物を頂戴して、倅の<オヤジ、雑煮食べに来た。>の言葉が、正に実感出来るって物だ。マメにして、多才だ~。コクのある深い味だ。センスと味覚に優れた物を持って居るわ。恐れ入った。」

「いやいや、こりぁ、婆さんからの継承物だわね。褒めるんだったら、婆さんを褒めておくれや。俺の場合は、女の亭主への脅し文句<口付加価値物>とは違って、正真正銘の質実剛健の<高付加価値物>だぜね。口先だけの<音言葉>だけを妄信したら、見ると聞くじゃ大違いの『口と高』質とレベルの違いだわね。ギャハハ~。」

 食べ終えた処で、正規スタバコースに向かう。壁際席には座れず、窓辺席に座るが、太陽光線の強さに、着膨れロートルは、早速の一枚脱ぎである。スタバコーヒーの友は、例に依って白い粉の噴いた吊るし柿の甘露である。

「処で、今度の夢奇譚は、どんな風なんだい? 玉も、後、二、三に為って来ただろう。あい~。」

「はいはい、ご明察だわね。今度のはさ、T主演の<戦国初頭にて>にヒントを得てさ、趣味の世界史を縦糸に、草原のシルクロード8000kmの馬車旅で黒海を渡って、世界史の旅をしながら、再登場のロシア勢を絡めての珍道中でさ、エーゲ海、地中海東岸から、エジプトは青ナイル源流を目指すって寸法さね。
 
 新春読み物、第六部の構想を彼是妄想して居たんだけど、順番から云うと、中国、韓国ニョショーの出番なんだけど、何しろ、尖閣、従軍慰安婦問題で・・・お国柄が彼女達の面影にも及んじゃって、如何にも、踏ん切りが付か無くてね。当分、待機して貰うしか無いのさ。弱った物だぜや・・・

 色々と頭を捻った挙句、日本史から世界史とアングルを変えて見ると、行けそうだからさ。有難い事に、それが決まると、スイスイ字数が進んでさ、今、15頁に進んだ処さね。今週中にはアップするけどね。

 進み具合からすると、今日、明日で、18頁前後で締め括って、何日か寝かせて、校正度を高める心算さね。スケベ話から、腹を抱えて爆笑した後で、世界地図何かで、今回の夢奇譚ルートを指でなぞって呉れたら、少しは世界史の面白さが、心に残るかも知れんしさ。へへへ、そこいら辺も、我田引水で妄想期待してるんだけどね。」

「ほぅ、そりぁ、中々の大作って事だ。賄い夫を遣って、一日2時間弱の長散歩に、日々のブログ日誌に、挿絵のアガタ絵画・・・充足した日々じゃ無いのさ。減量後のリバウンドも無さそうだし、良いペースじゃないのかい? 俺ぁ、心友として安心したわな。」

「馬鹿こいちゃ行け無ぇさね。理性と観念の苦しい我慢をしてるだけじゃわね。話し相手が居りぁ、面白くて楽に越した事ぁ無えわさ。
 俺達ぁ、筋が良過ぎるから、すっかりタガの外れちまった世間様からは、<変人・異人扱い>だから、しがねぇセンズリ扱きするしかあるめいさね。この頃は、他人と話しても咬み合わないし、自由の生活を手に入れりゃ、正直、無理して話題提供も草臥れちゃうしな。」

「やぁやぁ、俺も、その口だぜや。三食の内、一食位は霞みを喰っても、意に染まない人間関係の構築・維持なんて物には、億劫に為って行くばかりだしな。それに、こう寒くちゃ、鼻の下を伸ばして風邪は引きたくは無いしさ。歳に合ったマイペースが一番よ。アハハ。」

 例に依って、ホームセンター、大手スーパーで買い物をして行くロートルヤクザもどきの好色コンビである。


心何処ーショート へへへ、大慌ての一文為り。
            へへへ、大慌ての一文為り。(1/6/12)
 遺憾いかん、戯け話の第六部を打って居たら、調子に乗り過ぎて、本日分を打つのが遅く為って仕舞った。今朝は-10℃は、行った筈である。風呂上がりの身体での自転車乗りは、風邪の元であるから車での買い物とする。洗濯物は、日が沈めばカチンカチンの凍み干しに為って仕舞うのは、必至の事であろう。

 それでも、夢奇譚構想が頭の中に出来ると、それを現実の文字としないと気が済まないのが、生来のセッカチ性向なのであるから、これまた致し方の無い処でもある。二畳小部屋でストーブを焚いての、PC打ちは快調に進んで10頁に差し掛かったのではあるが、明日とする。予定としては後数枚打って、ボチボチ読み直して加筆などを施して、アップし様と考えている次第である。

 夕食後の夜は四畳半定位置で、ファンヒーターを焚いて大慌てのブログ日誌打ちである。水槽の汚れを落として、水の総入れ替えをしたから、机上の二水槽の映え方が際立って見える。ラジオからは懐かしのオールディズとやらで、ハワイアンメロディが流れて居るから、寒くは無いのである。

 部屋が暖まって来ると、水槽の汚れの靄が晴れて、金魚達は同居人の私を、瞼の無いまん丸の目で眺めている。まぁ、この寒さなのであるから、状態としては冬眠の省エネ泳法なのであろう。昨日、餌を撒いて遣ったから、餌は無しとする。五匹と三匹の水槽であるから、魚体の大きさからすると、落ち着きのある配分と云えようか。

 小さい水槽の赤の魚体も鮮やかな流金三匹が収まった方には、緑の水草が入って居る。赤と緑のコントラストは、水槽には必要なのではあるが、五匹の入った水槽に水草を入れると、悉く食べられてしまうので、とうの昔に無く為って居る始末である。

 この寒波は明日まで続くと云う事だが、暖かい暖房部屋でハワイアン・ミュージックを聞きながら、熱いコーヒーと煙草を燻らせながらのブログ打ちも、冬の夜の過ごし方の一つかも知れぬ。ロートルの夜は、意外と長い物なのである。へへへ。

 明日からの三連休との事で在りますれば、遊び過ぎて風邪など引きませぬ様に・・・


心何処ーショート いやはや、調子に乗り過ぎた為り。
          いやはや、調子に乗り過ぎた為り。(1/5/12)
 午前中、夢奇譚・第六部の取っ掛かりを一枚打って、後は夢話を如何展開しようかなどと妄想思索の長散歩に出たまでは良かったのである。

 薄らと積もっただけの雪は、好天の青空の下、日向は既に溶けて居る。田んぼのあぜ道、リンゴ園の横小道を抜けて、旧宿場経由で、好い日差しの中をテクテク、折り返し地点のH橋に向かう。

 何しろ、全天の好いお天気さんである。電線に止まる寒雀の群れに目を止めたり、近望の山を見遣れば、松林にパウダーを塗した様な、白と緑のコントラストが中々に好い加減なのである。

 アスファルト道を歩いて居て、面白い事に気付いた。融雪の水溜りが所どころにある。水の反射熱は、アスファルト道の反射熱よりも高いのである。これはきっと、太陽光線を水が直接的に反射して居るからなのであろう。黒いアスファルト道は、太陽熱を吸収して居るから、反射熱がその分小さく為って居るからなのであろう。こんな事に、柔らかく気付かされる処が、一人の散歩の御利益とでも云うのだろう。

 宿場外れの二又道を、善行寺街道に進む。立て札に依ると、街道を海道と表記されて居た。江戸時代に為ったばかりの頃の<引き写し>との事であるが、『海』と『街』の表記の違いは、単なる<誤字>なのか? その当時は、海道と書くのが一般的だったのか?は、素人の私には、一切不明の処である。
 読み書き算盤の寺子屋教育は、江戸庶民教育の象徴とされる処ではあるが、それが一般的に行き渡るのは、江戸のどの辺り頃なのか興味をそそられる。

 へへへ、海道が誤記為らば、それを書いた藩の役人、宿場の顔役さんも、或る意味、後世への赤っ恥の思いで、後世郷土史家の嫌味に草葉の陰から、苦々しげな目で立て札を読んで居るトボクレタ男を、睨み付けて居るのかも知れぬ・・・。

 適当な横小道が無かったので、大分オーバーして、H橋の折り返しを渡って来る。これは、若しかしたら下衆の勘繰りへのしっぺ返しだったのかも知れぬ。イッヒッヒ~。

 二時間弱を歩いて来て、好い気分であった。好い気分ついでに、水槽の水替えを思い立つ。バケツ4杯の水替えをして、濾過器、エアの不具合を直すのに、多大の時間を要して仕舞った。

 ニャロメ~、嗚呼、すっかり午後の部の段取りが狂って終った。しゃない。打ち入れた二畳小部屋の第六部の続きは後回しにして、冷蔵庫食材の片付けに、オデンでも仕込んで置くと致そうか。日の翳りに、廊下の鳥籠を所定の玄関に持って行く。

 然りながら、綺麗にして置けば、当分、物臭が出来るのであるから、それも好し。昨日で、本も読み終えた事でもあるし、まぁまぁ、これでも帳尻が合ったと云えようか。


心何処ーショート 雪中散歩なり。
                 雪中散歩なり。(1/4/12)
 雪が降り出して仕舞ったが、これも日課である。無風の地表に落ちれば、直ぐ様融ける。淡雪の様である。まだまだ白の勝った薄灰色の雪雲が、遠くの視界を遮って、近くの山に小雪を乗せて行く。

 家の中から寒々と見て居た外は、意外と寒くは無かった。体温上げの為に、せかせか歩き始めたのであるが、或る程度の運動熱が出て来ると、寒からず暑からずの散歩適温の態である。家から外に出て歩き始めれば、直ぐ様、視界が拡がり野暮な近視眼思考も、雨散霧消してしまうから、自然観望の御利益は真に絶大なのである。

 当然、こんなお天気さんであるから、散歩者の姿など皆無である。然しながら、こんな好い風景は無かろう。私は寂しいと云う気持ちよりも、酷く落ち着いて、居心地の良い気分の中に居る。

 海外旅行でも、一人でホテルの周辺を漫ろ歩きするのが、好きなタイプである。ラスベガスの裏通り、ボラガイの奥の細道、プーケットの裏通り、サイパンの早朝をレンタルバイクで、島の南北を走る。ウラジオストクのホテルから通りに出て、坂道の多い通りを独り歩いて、異国の日常の風と匂いを見て回る。

 光と風と匂いの中を歩き回るには、一人が丁度好いのである。ああだ、こうだなどと云う他者への気配りなど、邪魔なだけの事である。私は、カメラなど一切持ち歩かないから、カメラの替わりに脳内のシャッターをパチリ、パチリと私のアングルで撮って行くだけの事である。青空市場が在れば、手振り身振りで、好きな物を注文して食べる。美人・美形さんが居れば、目の保養をさせて頂く。

 視界が狭い処が、何処と無く幽玄の世界に妄想が働いて、幾つかのアングルショットを脳裏に焼き付けて、夢奇譚・第六部の序章としようかなど思ったり、ジャンバー、毛糸の帽子に溜まった雪を払いながらの雪中散歩である。

 コースを畑道へ取り、集落の石垣小道を進む。集落の一帯を抜けると、農道が500~600m程一本道で伸びる。南と西は住宅地に成って居るから、この辺りの住人には、格好の散歩コースと成って居る。遠くに、犬を連れたアイボリーのコートを来た婦人の姿が一つ、私の100m先には、傘を差した性別不明の年寄り散歩者が歩いて居る。

 この辺りまで来ると、山が近いから雪の量も、風も勢い付いて来る。低空を、ピィーヒョロロと、トンビが風に煽られて灰色空の中に居る。黙って追い越して行くのも、気が退けるから、声を掛ける。

「こんにちは。何処まで、散歩するんだい。こんな雪中散歩じゃ、人恋しくも為るわね。一緒に歩きますかね。」
「こんにちは。もう年寄りだから、男の人のスピードには付いて行けないわね。」

 こんな声掛けから始まったお喋り歩きである。私より6つ年長者のお姉さんである。亭主さんを65で失くして、散歩が癒しの習慣との事である。顔には皺も無いし、体格も分厚い胸板に、背筋がピンと立って、実に健康そのものとのお見立てである。何処から見ても、60前にしか見えないとのお世辞を頂戴して仕舞った。

「見掛けないお人だけど、何処から歩いて来られた?」
「うん、○からだけど。」

「おや、あんな遠い街場から来なさったか。大した体力だわ。」

「いやいや、街場の人間は嫌いでね。コンニチワの挨拶をしても、知らん顔の馬鹿が多いんですわ。でもね、この辺りまで足を伸ばすと、こう遣って初対面のお人とでも、気軽に話が出来て、袖触れ合うも他生の縁で、連れ散歩が出来るでしょう。
 俺達が餓鬼の頃は、皆、自然にそう遣って来たのに、家が密集しちゃうと、皆、他人顔しちゃいますからね。狭い所に密集して、塀、塀で囲んで、家の中を外部から密閉する事が、文化生活と錯覚しちゃったから、心が狭く為り過ぎたんでしょうね。
 そんな空気が性に合わないから、俺の散歩コースは、こっち専門なんですわ。アハハ。」

「うわ~、お宅、凄いインテリさんだわ。ホォ~、好い話を頂戴しましたわ。私は、此処で折り返し。あんまり歩き過ぎると、此処に負担が来るから、ゆっくり歩いて帰って下さいよ。今日は、初対面のお人から好い話を聞いちゃった。また、何時か遭うでしょう。その時は、声掛けて下さいよ。」

「あいあい、話し相手、アリガトさんね。」

 幹線道路に出て、通常の正規ルートに修正である。早落ち城址の入り口のくすんだ朱色の鳥居が、雪の風の中に佇んで見える。雑兵T&Rコンビは、この寒さの中、焚き火でもして、エロ談議でもしているのだろうか。いやはや、大分、白く成って来た物である。

 私の折り返し点・H橋を渡って山際道である。降り頻る雪の小道を、早からず遅からずの足の踏み出しで、帰路に付く。人の通らぬ道故に、シャーベット状のアスファルト道に足を取られぬ様に、重心の下に置いて歩く。降り頻る雪に、小さな野鳥達は、身近で鳴いて居る。

 <春雨じゃ、濡れて帰ろう。>では無いが、降り頻る雪の風情の中、独り歩くのも、好い物である。

 以上、本日、二回目の投稿で有りまする。お時間の在るお方は、どうぞ二稿ともお読み下され。

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