旅行編、ショート編。旅行編は、エロチィック・エッセイ。ショート編は、日常些事のショート・エッセイ。創作編は、短編小説。マイ・ギャラリーは、各編の自作挿絵の収録。

スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

心何処ーショート 慌ただしくも、本年最後の日と為りにけり。 
       慌ただしくも、本年最後の日と為りにけり。(12/31/11)
 へへへ、相当に寒いらしい。老母はコタツに身を固くして居る。朝の掃除タイムなのであるから、空気の淀みを排出して、空気の総入れ替えをするのが一日の始まりなのである。

          歳を取ると、あっという間の一年である。

 朝飯を並べて、さぁ、食べようとして居ると、次兄さんのお越しである。本音を言えば、本日は何かと忙しいのであるから、役立たずの男には、<マイペースを崩されたくは無い。>の心境である。これ程、鈍感な男も珍しい。

 生来の性格なのではあろうが・・・兎に角、女の腐った様な聞きたくも無い愚痴ばかりを落して行く男である。そんな性格であるから、顔付まで負の態である。こんな性格の男愚痴話にウンウンと相槌を打って居る老母なのであるから、毎日が賄い夫の私にとっては、何をか況やの無口・無視の態で、そそくさと食事を終え、老母を次兄に任せて自室に退散の口なのである。

 私の日頃の苦労を慮っての弟のお説教に、顔を出したのまでは好かった物の、私の負担が軽減した訳も、一切無く・・・ニャロメ~、弟に文句を言って遣ると。

「ありぁ、家に居ても身の置き処が無いから、好い口実が出来たとばかりに行ってるんだろう。No神経男じゃ、<自分の役目の助っ人心>なんて殊勝な神経など、端から在りゃせんわな。ほっときましょ。一緒に居たら、気の短いRちゃの堪忍袋が炸裂するだけだよ。無視無視。

 スキンヘッドにして、悟りを開いたお人が、何を戯言言ってるだい。でも、よもやと思っていたが、モロに裏目に出ちゃったね。悪い悪い、勘弁しておくれや。
 文句が在ったら、俺ん処に電話掛けて呉れや。そうすりぁ、兄貴と男の馬鹿話のエール交換が出来るじゃないの。俺としちゃ、質とレベルのブラシアップが出来るぜ、嬉しいけどね。ギャハハ~。」

「何だ、馬鹿野郎が。織り込み済みか。まぁ、どいつもこいつも、俺様の純粋無垢な善人性向を、利用しくまって、そんな薄情連中とは、同じ墓にぁ入りたかぁ無ぇわな~。」

 本日は何かと仕込みがあるから、少しでも文字を入れて置けば、繋ぐだけだから時間短縮が出来る。PC画面を立ち上げて文字打ちをして居ると、Tからの救いコールである。

「あいあい、早く連れに来て呉れや。困った御仁が来て居るぜな。」
「あいよ。」

 この頃は、スタバトークにもブログ友の会のご婦人お二方との回線も通じて居るらしい。彼女達の『』コメをコピー印刷して、戯け画ファイルに挟んで、苦いコーヒーの友の定番と為った白い粉の吹いた吊るし柿二個をポケットに、車に乗り込む。

「おいおい、今日は寒いぞ。そんな薄着で大丈夫かいな? オカラ、白漬け沢庵の味は如何だったいな。」

「オカラは、俺一人の専用にしてるんだわ。他の人間には食べさせないのよ。沢庵は、あっさりしていて、好い味だぜ。色の無い糠漬けの薄味が何んとも、ソフトな味とシャキシャキ感の歯応えがあるから、出せば直ぐ食べられちゃうから、隠し喰いしてるんだわさ。」

「そうかいね。黄粉を入れ忘れちゃったけど、怪我の功名で人工色が無い分、ナチュラル感があって、結構行ける口だろう。一月の後半に為れば、硬大根に移行するから待ってましょや。」

「おうおう、信州人にはあの硬大根の沢庵漬けが、何んとも好い味でさ。期待してるぜや。」

 二階席は、買い物客のコーヒータイムの気分満載なのであろう。定位置の壁際の席は座れず、窓に面したソファ席に座る。太陽熱で暑い位の温度である。弟からのプレゼントの明るい紫の地厚カーデガンを早速脱いで、Tに拍手コメントの印刷コピーを渡す。

 甘露の吊るし柿を小さく齧りながら、熱いスタバコーヒーを啜る。苦いコーヒーと吊るし柿の甘露のマッチッングは、絶妙である。Tは眼鏡の目で、コメントを読み進めている。

「凄いねぇ~。俺はてっきり国際規格の、巨物だとばかり思って居たら、<雁っ首の傘>が大開きで、すっかり先生様に<嵩上げ>されてるじゃ無いのよ。そう云えば、無尽ハチャメチャ旅行の時なんざぁ~、誰かさんが、ビックラ扱いて、『ジョレン魔羅』なんてご注進に来たもんな~。魔羅出しは、プライベート・ルームだけにしときましょ。御神体は、何時の世でも秘仏にしてこその御利益だぜな。あい~。」

「何だ、そりぁ。同性はコンプレックス、異性には口から泡吹きの卒倒ザマって事かいな。そりぁ、言い過ぎだ~。額面通りに洗脳されちゃ、俺に対する人格崩壊の侮辱ってもんだぜや。」

「あれ、お前さんは、自分に人格が備わって居ると大錯覚してんじゃないの。鏡で臍下三寸を見てから、言って呉れや。だから厚顔無恥を飛び越して、日本じゃ睾丸鞭喰らって悶絶するんだろうが。俺ぁ、ロシアは寒いから、付き合えないぜ。少しは、反省しろ!!

 まぁ、冗談はさて置き、あれだね・・・こんな楽しい、ザックバランなコメントの遣り取りが出来るんだから、ご婦人方に、チャンと席をキープしとかなきゃな。Rみたいに、思いのまま文章打てると、<ブログ交流の輪>は楽しんだろうな。其々に世代の味が出て居て、面白いわさ。」

「あいあい、嬉しいもんだぜ。」

『』コメさん達の紹介をして、好色ヤクザもどきのコーヒートークは、話が弾んだ次第である。それにしても、本日の二階席は混んでは居るが、目の保養対象が居ない。困った物である。

 パッパタイムに階下に下りると、一人で本を読んで居るご婦人が居る。角度が悪いから、冷やかし気分で、近付いて見る。おやおや、お歳に似合わず長い付け睫毛である。へへへ、こんな所をチャーミング・ポイントとされちゃ、好色戯けの食指も伸びませんわな。

 一服後は、ホームセンターに入る。籠カートに乗った幼女が、盛んに私に相想を掛けて来る。へへへ、困った物である。こんな親愛の情を全開されては、女日照りの男としては、お相手仕るより他無しで在る。

「如何した? 両手を合わせて、南無阿弥陀仏の念仏をすれば、御利益が在るよ。遣って見な。そうそう、何事も、信ずる事から始まるんだよ。あれかな、俺は徳の在る坊さんに見えるんだな。アハハ。」

「スイマセン。この子、馴れ馴れしくて。」

 若い母親は、恐縮して頭を下げて居る。さてさて、何を買おうかと、店内をうろついて居ると、またまた、先ほどの幼女様が、手を振って話し掛けて来る。文房具のコーナーに、小さな地球儀が並べて在った。趣味の世界史を遊ぶには、世界地図、地球儀は必需品である。安いから、買う事にする。

         アジャジャ、またまた、幼女様のお声である。

 T曰く、小さい女の子でも、好みの男顔が在るんだろうな。あの子にとっては、Rは<余程好い男>に見えるんだろう。相変わらず、女には持てますなぁ~。アハハ。

 さぁ、本番のスーパーである。足りない物をカゴに確り入れて行く。本日は、煮物と、正月の雑煮汁の仕込みをセッセとしなければ為らない。

 さてさて、賄い夫のコアタイム開始である。土付き里芋、ニンジン、牛蒡を洗って皮剥き、庭から大根を引き抜いて来て、始動開始である。漸く、仕込みを終えて時計を見れば、早や四時である。味見がてらに、昼食兼オヤツの時間とする。

 さてさて、本日分日誌を打ち込んで、一寝入り後は、年越し蕎麦を茹でねば為らない。本日、散歩の時間も無く・・・よう賄い夫仕事に精を出した物である。


スポンサーサイト

心何処ーショート 何方様も、アリガトざんした~。
            何方様も、アリガトざんした~。(12/30/11)
 おお寒い寒い、風呂上がりの身体には、散歩の寒風は堪える。風邪を引いても詰まらないから、1km強の散歩で帰って来る。

 チョイとしたすす払いの掃除と、正月の飾り物、年越し、正月料理の食材を買って来て、ボチボチ仕込める物は、仕込みの最中である。そして、入浴、風呂掃除も合わせて済ませたから、まぁまぁの運動量でもあろう。

 好物の鯉が丸一匹、パック売りされていたから、鯉の旨煮をと鍋に掛けながらの、時々の様子見である。ついでであるから、その隣ではカイヒモの炊き込みをしている。煮込み料理は、兎に角、馬鹿の一つ覚えで弱火でコトコト煮て、火を止め、再びコトコトに限るのである。

 明日は、雑煮の汁、野菜たっぷりの煮物を仕込めば、後は怠惰の寝正月が出来ると云う物である。

 そんな事で、文章打ちは止めて、悪戯描きを適当に遣って居るのである。チョコチョコと四畳半と台所を往復して居るから、幾ら悪戯描きの暇潰しと云えども、纏まった絵など生まれ様も無いのである。

 まぁ、遣る事も無いロートル賄い夫日誌であるから、年中無休の始末ではあるが、この世は一寸先は闇でも在り、止みでもある。

 今年も、変わり映えの無い長駄文の館に足を止めて頂き、真に感謝感謝で在りまする。顔の見えぬ皆々様では在りまするが、今年一年、お付き合いの程、有難う御座いました。好い年越し、好い新年をお迎え下さい。

             何方様も、アリガトざした~。

                息抜きタイム_001

心何処ーショート さて、夢奇譚・第五部挿絵一覧為り。
          さて、夢奇譚・第五部挿絵一覧なり。(12/29/11)
 この処、出任せ放題の夢奇譚を打って居る次第である。夢奇譚編も、トータルでA-4、100頁である。塵も積もれば何とやらで、振り返れば、三文本一冊の分量を行進中なのであるからして、吾ながらトンでも無い睾丸鞭(厚顔無恥)ロートルとしか、反省の仕様も無い戯けである。

    夢奇譚・五部続編をアップして挿絵の無いのは、如何にも収まりが悪い。

 昨夜は寒過ぎたので、温いコタツで挿絵一枚を仕上げたのであるが、如何せん・・・一枚では、様に為らない。仕切り直しの本日は、もう一枚描こうとして、やる気満々の気持ちで、朝食後は日差しの入る二畳小部屋で頭を捻るが、一向に図柄が浮かんで来ない。

 続編A-4,10頁は、一日で打ち上げる好調振りではあったが、挿絵と為ると・・・<是、全てが脳味噌からの加工産物>である。挿絵である以上、物語の山場、テーマを象徴する図柄にしなければ為らない『規制』が掛るから、厄介な代物なのである。

 インスタント・コーヒーと煙草を次いで、溜まるは吸い殻の山と、充満する煙のみである。然りとて、無い頭で足掻くのも、ロートルの時間潰しのシンキング・タイムでもある。

 まぁ、こんな処が、<人間、無くて七癖>の拘りと云う物である。現役時代のネオン街に咲いた泡け話を軸に、人間の好み、フィーリング、根底の感じ方、考え方、通い合う感情の綾などを、大きく一纏めに捉えて、『同心円の世界』として大人のメルヘンチィックな童話に仕立てる。・・・こんな処が、私の趣味なのであろう。

 今回は、現在にも生きる<奇跡の象形文字トンバ>の記事に触発されて、私の脳裏の中で、今尚、燦然と輝きを失わないウクライナのライオン娘ナターシャの登場を願った次第である。若い頃のオードリー、ヘップバーン並の主演美形を迎えるに当たっては、その登場方法に苦心したのは、言うまでも無い処であった。

 トンバ象形文字とその彩色の意思伝達道具を<呼び枝>に加工して、真に失礼千万な妄想加工として、ナターシャ様には他界して貰い、『異界回線にて』の物語として見たのである。

 此処まで、私の一方的独断三昧をさせて頂いた<夢奇譚・第五部>なのであった。従って、都合20頁の一編にはその字数に対応する挿絵も、ライオン娘さんに贈呈しなければ、相済まぬ心境に駆られて居たのである。

 本編一枚目の<呼び枝の図>は、我田引水の極みではあるが、ライオン娘らしい雰囲気が良く出て居ると満足して居る次第である。<炬燵境川の図>の一枚も、中々のインパクトが出て居ると満足して居る次第である。

 さてさて、夢奇譚のベースに流れている『同心円で繋がるイメージ』を、如何描き現わすかが、難問中の難問であった。元へ、ベースの同心円の<閃き>に辿り着くまでが、時間を要した処なのである。

 今編の呆け話は、異界の女と現生の男との<異界同士の同心円の誼>なのであるから、肉体と霊の世界を一体の物として捉える為には、宇宙観の下で表現するしかあるまい。

 暖色から始まる同心円の拡がりが、外部に行くに従ってライトブルー、ブルー、濃紺、漆黒と漠と繋がる中に、地球と宇宙、現生と霊の異界の神秘さと云ったフィーリングを感じて頂ければ、感謝感謝のへへへと云った処である。

 はい、長々と、前置きが続いて仕舞いました。夢奇譚・第五部の挿絵一覧で在りまする。

                第五部挿絵一覧 

 異界回線異界回線2炬燵境川_001同心円



                                   

夢奇譚・第五部続編
                夢奇譚・五部続編(12/28/11)
<その1>
 異界回線が生じてから、北国の観音様・ジョービタキのバルディナさんの姿が、忽然と消えてしまった。これは、如何なる現象なのか・・・異界のライオン娘ナターシャに詰問したい処ではあるが、何しろ、相手は異界のライオン娘である。兎に角、女の勘、観察、気の強さは、人後に落ちない<猪突猛進の猛々しさ>を持っている女である。

 仮にそんな事を、口に出そうものなら・・・ 粉う事無く、カランコロンの異界にて、骸骨二体が、カタカタ交差する無限異界の様である。私には、マダマダ、老母を看取ると云う関門が、厳として存在して居るのであるからして、疑問は命取りに通じる道なのである。くわばら、くわばら・・・。

「あなた、私は凄くテレパシーが強くて、頭が良い。あなたの考えて居る事なんか、直ぐ分かる。分かってるでしょ。アハハ。」のライオンの一睨みを頂戴して仕舞うだけの事である。
 
 残念ながら、私はそのライオンの嗅覚に、金髪アリーサを何時も寸前の処で、何度と無く、待ったが入った事やら・・・。

★或る時、ナターシャが休みの日に、彼女のチェックが煩いからカウンターで一人、バーテンさんを相手に飲んで居ると・・・

(※その理由・・・ホステス嬢達は、ロシアとフィリピンの混合編成である。ホステス嬢達の話題と云えば、店に来る好色男達の扱き下ろしで話題が沸騰するのだろうし、白人と黄色人種のフィリピーナの鞘当てには、多分に人種差別の色合いも在って、女のバトルは中々に凄まじいとの事である。
 敵の失点は、味方の笑いの種で、下世話の類の大好き人種が、フィリピーナの一大特徴でもあった。従って、フィリピーナ小娘達の格好の嘲笑の餌食に為るのも、癪の種であったから、私は、カウンター席を選んだのであった。)

 そんな中で、客が少なかったので、アリーサが遣って来て、禿頭を後ろからバシバシ叩かれて、こんな話に付き合わされた物である。

「あなた、本当に馬鹿ね。私をポイして、あなた、ナターシャを選んだ。何よ、あなたは、女の好さが、全然分かって居ない。大馬鹿野郎よ。」

「おいおい、そりゃ無かんべよ。俺を裏切って、ペラペラ白状し遣がって、ロシア女には、女の仁義は無いのかね。俺は、あれで酷い目に逢ったんだぜや。そのまんま、ノシ付けて返して遣るぜや。少しは、反省しろ!! アホンダラが~。」

「何よ。私か、ナターシャかを選ぶのは、要は、あなたの気持ちでしょ。」

「ほぉ~、そりぁ、そうだ。痛い本質の処を突いてるわな。流石に、早熟・不倫・離婚のレディファーストのお国柄だ。男女の付き合いの本質を、喝破して居るわな。
 ライオン娘は、生意気で口煩い女だけど、正直な処が、俺には、いじらしくも、可愛いのさ。そして、あの頭の回転力が相性ピッタリで憎めないのさ。

 お互いの第一印象が、好かったんだろうね。相性って云うのは、理屈じゃ無いのさ。フェロモンの絡み合いなんだろうよ。

 美人で、澄まし顔も、笑った顔の人懐こさも、心根の正直さ、優しさ見たいな物が見えてさ。自分に絶対の自信があるから、我儘さが生意気さに繋がって仕舞うんだけど、ありぁ、付き合って見ると、好い女だわさ。店の中と外では別人だぜ。素直で、ハニカミ屋で、家族思いの女だわ。店の中じゃ悪振って生意気スタイルを売りにしてたけどさ。

 自分が好きに為ると、迷わず攻めて来る。日本人には無いタイプだったしさ。最初の電話コールの時には、お前さんに為り澄ませて、毎日電話して来たからな。俺だって、そんなに馬鹿じゃないぜ。

 まあまあ、それは脇へ置いと居てもさ、幾ら、同郷のルームメイトだって、それを許して居たアリーサにだって、ナターシャの御都合、我儘を許して仕舞って居る心理の裏には、アリーサもナターシャを憎いとは思えない心理が働いて居たんだろ。違うかい? 

 言って見りゃ、俺も、アリーサも、ナターシャのファンなんだよ。それが、ナターシャの持って居る憎めない好い女の所以だわさ。一途な正直さは、魅力が在るわさ。」

「オゥ、あなた、クレージー。話上手ですね。でも、あなた、私をポイして、ナターシャ選んだ。あなた、馬鹿ですね。」

「まぁまぁ、硬い事を言いなさんな。ナターシャが好きに為った決定的場面が、在ったんだよ。ナターシャは、利口に見えて感情的に為る事が在ってさ、アリーサの筈が、ナターシャに為って話をして居るんだよ。

<そうか、そうか、やっぱり、あなたは、最初からアリーサが好きでしたか・・・ふ~ん、そうか、フゥ~ッ・・・。> 

 そんな溜息が電話の向こうから聞こえて来たら、男は何にも言えんぞや。そこまで言ってくれる女は、居らんでしょうに。それに、俺は生まれてこの方、女にモテた事が無い。振られ放しの惨めな男だしさ。しゃ~無いわね。これも、男女のご縁の内だわさ。残念残念!!」

「オゥ、あなた、それはオノロケでしょう。あなたはまた、私のハートを物凄く傷つけましたね。バカヤロー。ワン、ツウ、スリーパンチ、この位、我慢しなさい。」

               バン、バン、バン。

「でもね、あなたの言う事は、とても当たってますよ。あなたは、人の心を良く見ていますよ。あなたたち二人は、羨ましい位、とてもマッチしてますよ。そんなあなたが、私もナターシャも好きなんですよ。ナターシャは、何でも話せる良い友達です。私には、二人とも大事な友達ですよ。三人は、友達ですからね。」

★頭の良さは、ナターシャが遥かに上で、日本語を凄い勢いでマスターして行った。アリーサは日本語の覚えが悪く、指名の掛ったナターシャが席を外すとスイッチで席に遣って来た。そんな時、私は16ムサシと云うゲームをして、彼女と遊んで居た。彼女は金髪の綺麗に整った美形さんである。

 私は日本語、彼女はロシア語で、ゲームの駒替わりに置いた、500円玉、100円玉、50円玉、10円玉、5円玉、1円玉を取ったりして、大きな声とおどけた声で、夢中に為って居た。いやはや、童心に還って笑い興じるアリーサのハシャギ様に、私も実に楽しかった。

 そこへ、指名帰りのナターシャが、目を三角にしてライオンの剣幕で戻って来るや、行き成り、二人とも、お絞りを顔に投げ付けられた。

「ナ~ニよ。それ~。あなた達二人、何、話して居たのよ。そんなに、私が居ないと嬉しいの、楽しいの。どう云う事ですか。ちゃんと、説明して下さい。私、物凄く、怒っている。」

 いやはや、遊興費を払って居る私まで、ライオン娘のお仕置きを頂戴して、客の面目は丸潰れの態であった。兎に角、直線的、直情の振舞いではあるが、これこれ、こう云う事情で、話の替わりにゲームをして、アリーサのストレスを解したのだと言うと、

「オゥ、分かりました。あなた、優しいですね。喧嘩は、アンハッピー。私は、パッピーが好きです。乾杯しましょ。」

 と後がケロリとして居るから、憎めない性格なのである。

<その2>
 女日照りに埋没する閉じ籠もり賄い夫の日々に在っては、例え異界回線では在っても、楽しい限りの異界回線のコールの日々が続いて居る。

「モォシ、モォシ、オイ、オ~イ。」
「あいよ、今日は、どんな話だい?」

「Rさん、喜んで下さい。この世界にも、休暇が在るんですよ。たった二日ですけどね。どんな休暇か分かりますか? 当てて御覧なさい。お互いにとって、物凄~くハッピーなプレゼントですよ。1分上げます。考えて、当てて下さい。」

★おやおや、何時に無く弾んだ声である。こんな話し方をする時は、決まってデートの時であった。その圧巻は、千葉から松本に行くと云う日。

<今、車に乗った。><今、高速の○○。><今、長野県に入った。><何時にお店に行く。><○時に、店に来て下さい。><指名はしなくて好いです。分かりますね。>
 
 こんな連続であったから、私は鼻の下をビロ~ンと伸ばしたまま、真に好い思いをさせて頂いた物である。ライオン娘ナターシャとは、そんな白人女でもあったのである。

「キーワードは、お互いにハッピィなプレゼントで、たったの二日って事かいな。分かった。オメデトウ。異界から現界へのバカンスだろ。」

「オゥ、流石、あなたは、頭が良いですね。マイ・ダーリン。そうです。12/27、28 私は、あなたの前に現れます。私には魔法があります。歳は幾つの私の姿で、デートしますか? 余り若いと、バランス悪いでしょ。」

「そりぁ、そうだ。この辺りは、何時もパトカーが巡回して居るから、お前さんの口癖じゃないけど、<ポリスに逮捕されちゃう>からな。あれかい、ナターシャには、現在の俺が見えるのかい?」

「勿論で~す。あなた、今はすっきりスキンヘッドしてるでしょ。物凄~く似合ってますよ。相変わらずのハンサムさんですよ。分かりました。私も中年の魔法使って行きます。でも、安心して下さい。中年でも、あなたの三拍子揃った好い女で、ラブリーでリトルバカンスを楽しみましょう。」

「OK、でも、こっちは、寒いぞ。暖かくして来いよ。」

「あなた、何言ってますか。忘れたんですか。私の初めての日本は、松本の冬だったでしょ。あなた、馬鹿ね。」

「バカヤロー、外交辞令だぜや。」

「ああ、そうですか、そうですか。あなたの方こそ、風邪引かないで待ってて下さい。ウクライナの中年女は、精力強いですからね。アハハ~。」

★相変わらず、お茶目で傑作なライオン娘である。まぁ、口では生意気を演じては居るが、異界の魔法で中年女の変身とは、心優しい配慮である。へへへ、一体、どんな場面で再会シーンが予定されて居るものやら・・・

<その3>
 その日、携帯電話は光らなかった。布団を上げて、廊下の戸を開けて、掃き掃除をして居ると、物干し竿の洗濯物の陰から、エンジの手編みセーターに濃いグリーンのマフラー、同色の毛糸の帽子を被ったナターシャが、歯並びの好い白い歯を覗かせて、美形の柔らかい表情で。

「お久し振り、Rさん、ちっとも、変わらないですね。どうです。年齢マッチィングしてるでしょう。」

 ナターシャは、中年太りの体、目尻の皺、ストレートの黒髪に混じる白髪を指さして、化粧の無い形の好い薄い唇を少し開き加減で、自慢気に黒い瞳を大きく小さくさせて、私を見て居る。

「へへへ、お前さんらしいね。アリガトさん。好く来てくれたな。如何する。こんな所で、バカンスも無いから、旅館でも取ってゆっくりして行くか?」

「それは、必要ないですよ。何時も通りの生活をして下さい。私は、知ってるんですよ。<怒り心頭でしょ。悔しいでしょ。切ないでしょ。哀しいでしょ。情けないでしょ。好く我慢してますよ。Rさんは、立派ですよ。馬鹿、薄情者には、あなたの強さ、大きさと優しさが分からないんですよ。> 酷過ぎるから、場合によっては、私の世界に連れに来たんですよ。」

「おいおい、そんな怖い事を端から言うなよ。分かっていれば、もうそれ以上の事は不要だよ。 婆さん起きるの遅いし、お前さんは仕事嫌いだし、小部屋を暖かくして遣るから、コーヒーでも飲んでろよ。
 朝のお努めを済ましちゃうからさ。大したものは無いけど、一緒に朝飯食うか?」

「勿論です。分かりました。何時も通りにしてて下さいね。あなたの傍に居るんだから、気にしなくても良いんですよ。アハハ。」

 私は、彼女の飾らない処が好きである。老母に、彼女とのよもやま話を交えながら、炬燵で朝食をする。

 老母曰く。
 長生きはするものだ。こんな奇麗で上品な白人さんと話が出来るんだから。人間は、人種、国が違っても、好い人は好い人なんだね。雰囲気で分かるよ。
 気難しくて、真面目一方の息子と思って居たんだけど、好い人との交流があったんだねぇ。男の子には、色んな側面があるものだ。
 父さんの処に行ったら、話して聞かせるよ。父さんも、女好きだったから、きっと大笑いするよ。遠慮は要らないから、羽を伸ばして行きなさい。

★勿論、ナターシャが異界の住人である事は伏せて、付き合いのあった頃の傑作エピソードなどを、彼女とのポンポン繰り出す掛け合いトークで、三人は笑い合いながら、炬燵の一時を過ごす。

     さてさて、日の高い内に、日課の長散歩に出掛けるとしようか。

<その4>
「お~い。これから2時間前後の散歩に行くんだけど、ハイヒールだと疲れるぞ。スニーカーでも買うか?」

「あなたは、相変わらずの馬鹿ですね。私は異界の女で、魔法使えるんですよ。ハイヒールからスニーカーに変えるのは、直ぐよ。行きましょう。ジャンバー借りるわよ。これで好いわ。行きましょ。折角だから、松本の街を歩きましょう。私には、思い出がぎっしり詰まった懐かしい街ですからね。」

 左様でござるか・・・ その気持ちは、好く分かる。土手道を街場に向けて、歩き始める。

「ああ、此処、この辺り・・・懐かしいですね。余り変って無いですね。西のアルプスも白く輝いて、奇麗ですね。お店の方に案内して下さい。
 楽しかったですよ。松本時代・・・ あらあら、お店が変わってる。ほらほら、あそこが私達のアパートで、ほら、私が風邪でお店休んだ時の事、覚えていますか。」

「ああ、好く覚えて居るわさ。」

★風邪でぐっすり寝て居る事を幸いに、私とアリーサは、ホステス寮の食堂兼休憩所で、色んな話をして居たのであるが、眠りから覚めたナターシャから、夜中にお礼の電話が掛かって来た。

 アイスクリームとショートケーキは、アリーサの分も入れて置いたから、二人で食べてくれと言うと、

<ノー、これは全部、あなたからプレゼントされた物だから、私の物。アリーサは、関係無い!!>

 の一点張りであった。おやおや、いやはや、文化の違いは、こんな処にも顕著に現われて居る物と、恐れ入った次第であった。

 婆さんには悪かったが、街場のガストでランチタイムを取って、松本見物をして来る。この位のお返しをしないと、私の気持ちが済まない処でもある。

 夕方近くに戻って来て、日常をこなす。四畳半定位置のPCを開いて、ブログ日記打ちをする私に対して、何年振りかで肉体を復活させたナターシャは、大分、疲れた様である。私の居住区の炬燵で大の字に為って、スゥー、スゥーと寝息を立てて熟睡して居る。枕を当てがい、毛布を掛けて遣る。

 へへへ、然もありなむ。無重力の異界から、重力の現生に戻って来たのであるから。

<その5>
 夕食後は、熱い風呂に入れて、布団を敷いて置く。私の就寝時間は遅い。隣部屋からは、CDの音楽が聞こえて来る。炬燵を挟んで、布団を敷いてあるから、彼女は、温い炬燵に当たりながら、私の絵ファイルを抱え込んで、時々、私の部屋にまで聞こえる声で

<オゥ、クレージー、ピカソの絵、凄~い。あなた、アーチストですね。>
<オゥ、相変わらずのスケベちゃんですね。>
<でも、ピュアでストレートでストロングな絵が多いですね。>
<アハハ、カラフルでとても新鮮ですよ。>

 などと言って、一人で笑い興じて居る。

<その6>
 さてさて、私の就寝時間も近付いて来た。ナターシャの布団の中に入ろうとすると。

「あなたは自分の布団で寝なさい。私は異界の住人、あなたは現生の住人ですよ。一線を踏み越えるとあなたは、二度とこの世には帰れないんですよ。分かるでしょ。

 人間には、踏み外しては行けない一線が在る事を、あなたは十分知って居るでしょう。だから、葛藤して悩んで居るんでしょ。あなたの胸の内が痛いほど分かるから、私が今、此処に居るんですよ。

 私は、あなたが汚れたり、汚れさせたくないんですよ。あなたが持ち堪えられないと思ったら、私があなたを異界へ貰って行こうと考えて居たんですよ。でも、大丈夫だった。

 あなたは、もっともっと、深く、大きく、優しく為れる人ですよ。

 あなたの価値の分からない人は、放っときなさい。異界での方が、余程長いんですよ。私は、何時でもあなたを、引き取りに来ますよ。指名の席は違っても、私は何時もあなたの事を見詰て居ましたからね。知ってるでしょ。

 これも現生での有限の修行ですよ。酸いも辛いも辛抱して、もっともっと、大きく為って下さい。そう為れば、無限の異界の世界は、穏やかで和みが集う魂の広がり場所と為るんですよ。異界に比べたら、現生など小さ過ぎますからね。

 だって、あなたのファンは、一杯居るんですよ。伊達に、夢奇譚に私が遣わされた訳じゃ無いんですよ。主役の座に居るのは、私なんですよ。主役の私が、あなたにエールを送りに来るのは、当たり前の事でしょう。本当に、あなたは馬鹿ですねぇ~。アハハ。」

「ホンマかいね。そうかね。これは、ライオン娘さんの実力をお見逸れしてましたわ。てっきり異界でも我儘三昧の<半端霊>と思いきや・・・凄いですな~。それに比べると、俺なんざぁ、未熟者だわさ。アリガトさんよ。」

「それは、当然でしょ。だって、『半端霊』だったら、魔法は使えないんですよ。だって、あなたは私の事を、三拍子揃った好い女って誉めてくれて居たでしょ。私もあなたのブログを毎日、全部読んで居るんですからね。そりぁ、<質とレベルの差>ですね。アハハ。

 でもね、あなたの日々の生活を霊的に見て居るのと違って、今日は初日ですけど、生身の身体を持って同じ空間、時間、言葉を交わして居ると、全然違いますね。宗教心の無い人が此処まで、自分の筋道を行進している様子には、付き合いの在った女としては、鼻が高いですよ。頑張りなさい。」

★ニャロメ~。キリスト教だか、ギリシャ正教かは知らんが・・・日本にぁ、ヤオヨロズの神道だって、お天道様信仰、言いたくは無ぇが、中には<己が自信教>ってぇのも在らぁね。

「何をこきぁがる。炬燵を挟んで、手を伸ばせば女芯の蜜を弄れるのに、ご法度のお裁きとは、蛇の生殺しだいね。おい、こっちへ来い。」

「行って好いの? 私は、本望よ。異界の住人に為って、末長く楽しみましょうか? 好いわよ。こっちの布団の中の方が、温かいですよ。アハハ。

 まだまだ、柵を背押されたあなたには、遣るべき事が在るでしょ。立派にお努めを果たしなさい。

 異界でも、人の道の総括審査が在るんですよ。道、順序を踏み外した者には、その程度に応じた<苦役>が待って居るんですよ。連れて行ったあなたが、異界で苦役をして居るのを、じっと我慢して見て居るのは、私、嫌ですからね。頑張りなさい。

 それと、もう一つ、二日の権利を持って来たんですけど、私、明日戻ります。一日残して置けば、いざと云う時に、直ぐ駆け付ける事が出来るでしょ。」

★格好付け遣がって、合体が駄目なら、デープキッス、ペッティングだって在るじゃ無いのさ。

 コタツの境川に伸ばした手首をグイと捩じられて、アイタタ。タンマ、タンマ!!
         「駄目な物は、駄目でしょ!! 我慢しなさい!!」

「ああ、そう~。流石に、ライオン娘は、頭が良いねぇ。恐れ入谷の鬼子母神。何しろ、<ソ連の頭脳は、ウクライナ。>って揶揄される程の事は在るわいな。」

「やっと、分かりましたか。何時も、私、言ってたでしょ。<私、物凄くテレパシィ鋭い、頭凄く良い。あなたの事くらい、何でも直ぐ分かる。アッハッハ~。> やっぱり、ショート、ショートの再開でしたけど、私達はハッピーに終始するでしょ。

 さぁ、明日も日常のあなたの生活が、待っているんですよ。もう、寝なさい。私は、寝ますよ。」

 いやはや、コタツ境川からは、早やくもスゥー、スゥーと、規則正しい二拍子の寝息が聞こえ始めている。歳の瀬も押し迫ったこの日に、異次元、異界の夢奇譚・第五部続編が、完結の運びと成ったのであるから、これも、真に不思議な物である。

 さてさて、2012年の夢奇譚・第六部は、如何なる運びとなる物やら・・・

             
                         夢奇譚・第五部続編・・・完。


心何処ーショート 日差し満開の風情に誘われて。
            日差し満開の風情に誘われて(12/27/11)
 昨日はツイツイ、長々とお喋りをして仕舞って、散歩のタイミングを失って終った。風呂場の水道が凍って居る。例年より二カ月近く早い、激寒気の二月の寒さと云う物である。

 洗濯機の蛇口からホースで浴槽に水を張り、先に入ってくれと念を押して、長散歩に出掛ける。

 冬の薄い青空に、西の山並みはすっかり白い衣装を纏って、正に白銀のアルプスの峰々である。寒いが、何時見ても美しい凛とした冬のアルプスの眺めである。常念岳山頂は吹雪いて居るのだろう。鋭利な庇状の山容には、くの字状の低い白雲がへばり付く様にして、冬山の厳しい姿を見せ付けている。

 無風の好天であるから、歩いている内に、すっかり背中がポカポカして来て、ジャンバー、チョッキ、軍手を取る。昨日の寒風曇天とは雲泥の差であるから、散歩者の姿が幾組も見える。住宅密集地帯を抜けて、上田に抜ける幹線道路の延々と続く一本道の、上り勾配前の信号機に差し掛かると、発汗で毛糸の帽子も脱いで、<テクテク行>そのものである。

 近望の東山山系は、薄い小さな千切れ雲の下、日差しを一杯浴びて、松林の緑を鮮やかにしている。

 風景は、ただじっとして居る処が好い。何も語らない処が好い。動かない処が好い。それで居て、風景の何と、優しい事か・・・

 長散歩正規コースの2/3当たりの所まで来ると、角度の具合で枯れ広葉樹の薄い褐色の中に、一か所だけ山肌の雪が、小さく浮かび上がって居る個所が在る。それは、春の山桜の白い満開の花の様に見える。云う為れば、真冬に咲く一木の山桜の花、その物の風情を示している感じである。

 これは、勿論、距離と角度に依る目の錯覚なのではあるが、原因の謎解きをするのは、真に無粋の極みである。錯覚に依る風情を愉しむのも、長散歩の御利益の一つである。

 折り返し点のH橋から、冬の清楚な川面を眺めての暫しの足止めである。早落ち城址を頂く険しい丘陵の下には、小さな支流が流れ落ちて居る。日蔭場所であるから、厚い氷に覆われた下から、山水が流れ落ちて居るのである。其処は、太陽光線に見捨てられた一角である。信州の激寒期の象徴とも云うべき自然の厳しさを見せている場所でもある。

 少し上れば、後は山際の緩やかなカーブが続くなだらか下り勾配が、延々と続く。私が一番好きな一帯である。この辺りは、標高が高いから、松本盆地の全容が見渡せる。周囲を高い山々に囲まれた盆地の拡がりは、遠望に静かにぼやけて沈み込んで、太陽の輝きを建物の屋根に鈍く反射させている。

 盆地の遠望と脇の急な斜面に生える木々の静寂さの中に、ホウジロ、シジュウカラ、ヤマガラなどの小鳥達が、数羽の小群れで、チィー、チィーと鳴き交わしながら、木々の梢、小枝を渡って行く様は、見て、感じているだけで、静寂の中に居る風情である。

 自然と自分、自分と自分との対話で、何が不足なのだろうか・・・ これは、私が小さい頃からの思いである。<如何にか生活さえ出来れば、何を好んで意に染まぬ柵の中に、自分の身と精神を置かなければ為らないのか>と云う疑問である。

 所詮、人間の哀しさ寂しさの根源は、他との感受性を共有出来ない事から始まる孤独さにしか過ぎまい。同心円の関係なら未だしも、異心円同士の平行線に、仕事と云う柵を離れてしまえば、何も齷齪して、同調円を構築したり維持したりする必要など、殊更あるまい。本音を言えば、ストレス、気苦労の中に埋没する煩わしさは、物臭ロートルとしては、避けて通りたい物である。

   へへへ、同心円の心友が、近くに最低一人居れば、それで良かろう。

 青空に、ヘリコプターの爆音である。穏やかな青空に、上昇気流も湧かないのであろうか・・・本日、トンビの滑空姿が皆無である。住宅地に下りて来ると、ニセアカシアの伐採、地均しがほぼ完了した川原は、平らにして広々とした土色を呈している。
 2年前の川原整理の時には、伐採だけで終えてしまったから、その切り株から一斉に若木が、繁茂繁茂の態で、凄い事に為って仕舞った一帯である。今回は、それに懲りて、元から断つの作戦で、大型バックホー2台で、徹底的に根扱ぎをしているのである。

 まぁ、川周回の長散歩を日課として居る、私の願望を言わせて貰えれば、消防車待機の下、川原の葦、雑草整理には、火を放って綺麗にして貰いたいのだが・・・

 さてさて、コースを大通りに取って、郵便局で年金を下ろして帰りましょうかね。帰った後は、風呂に入って洗濯機を回して、頭・髭を剃り上げて男前にでも為りましょうぞ。お天道様の輝きも目出たやであるから、日向で続きの読書でも致しましょうかね。

      へへへ、これぞ物臭、人畜無害のロートル日常と云う物であろう。

 追伸、何方か存じ上げませんが、一週間分以上の通し読みを為されて、拍手を置居て行かれたお人に、感謝感謝で有りまする。こんな嬉しい置き土産は御座いません。打つ励みと為りまする。嗚呼、かたじけなしや。


心何処ーショート 是、寒さが運ぶコタツの饒舌さかな。
          是、寒さが運ぶコタツの饒舌さかな。(12/26/11)
 はぁ~、今日は、一か月分を纏めて話してしまった。朝食後の老母との話に始まって、動かなく為って仕舞った車の引き取りに来て呉れた親子との話、年末年始の休診に薬を貰いに行き、帰って来れば、ケアマネさんとのお話しである。

 老母と話をしたいとのケア・マネさんに、話相手に為って貰いながら、女同士の話の邪魔は野暮と、自室でその間、コメント爆撃の後始末である。

 その後は、吾が居住区のコタツで、インスタント・コーヒーのコーヒー受けに吊るし柿を出し、お褒めのお言葉に、<豚も煽てりゃ直ぐ木に登る>で、オカラ、大豆の煮マメを出して・・・

「うわぁ~、Rさん、どれも、美味しい~。凄い。これって、才能ですよ。家庭の主婦なんか、到底足元にも及びませんよ。大した物だわ。尊敬しちゃいますよ。
 文才、画才、料理の才、それに助平の才なんですから、もうもう、夢奇譚の妄想才まで持ち出されて、私なんか・・・もう、完全に白旗ですよ。

 がっちりした身体に鋭くて、穏やかな目、言葉をスイスイと選んで、独特の語り口。きっと凄い感性と知識、直感力の持ち主さんなのに、青臭い文学モヤシのひ弱さが、丸で無い。
 若い頃は、相当にモテて、喧嘩の様な荒っぽい事も大好きだったんでしょうね。アハハ、典型的な<番から男子高OB>の臭いがプンプンして来ますからね。

 世の中に、こんなにユニークで、魅力的な男の人が居るなんて、面白いですね。色んな事に興味が在って、マメにこなしちゃうんでしょうね。お婆ちゃんが言う様に、きっと、一人で黙々と遣って、楽しんでるタイプなんだわ。」

「そんな事ぁ、無ぇさや。話し相手が好いから、饒舌に為ってるまでの事だわね。無職の貧民階層だから、家計の足しにするにぁ、自家製で経費の低減と時間の割り振りをするしか無ぇんだわね。文章、戯け画、賄い料理だって、言って見りゃさ、好奇心と感性で繋がってる<人間の作品集>ってな物だわね。

 何も<頭デッカチの青瓢箪>が、生意気面をしてアルタミラの洞窟壁画の講釈を垂れるまでも無い事さね。人間には、本来、感性と好奇心、表現願望を持たされて、オギァと生まれて来るんだわね。

 個人が、それに何処で気付くかが、趣味の分かれ目って事だけだんね。人其々に、備わっている物なんだけど、みんな億劫で<遣らず不得手>を決め込んでるだけさね。

 無職に為って見りゃ、何かをして居無きゃ、時間は潰せない物さね。台所仕事も、女の専業域なんてクダ撒いて居たら、女はずるいんだから、亭主が知らない事を嵩に着て、手前の都合で<付加価値の嵩上げ>をしちまうだけの事だんね。
 付加価値の公平な基準値を知るにぁ、時間の出来た男も、台所研修を買って出て、チェック眼を身に付けるのが、カンナ女に対する<核の抑止力>ってもんずらい。普通に向かい合えば、男は女の口数にぁ敵わんわね。口数とヒステリーに敵わんのなら、作戦勝ちするしか、あるめいさね。あい~、イッヒッヒ~。」

「やあやぁ、出ました出ました。R節の炸裂じゃ無いですか。これもRさんの文武両道の人生観ですか。もう、私なんか、打ちのめされて、反論出来ませんわ。

 でもね、こんな落語見たいな掛け合いなんだけど、真面目に聞いたら、凄い内容の話を入れてますよね。面白くて、白らばっくれた物言いの中に、意味深の言葉が一杯入って居る。やっぱり、第一印象通り、只者じゃ無いわ。

 話して居ると、ポンポンと<言葉の泉状態>でしょ。馬鹿じゃ、付いて行けない頭の回転力・・・本当に羨ましい限りですよ。それに、Rさんの話の特徴には、下ネタ満載の悪戯ぽさがあるから、ついつい、無防備に笑わせられちゃうんですよね。それで、話に乗せられちゃう。

 こりぁ、危険な男だわ。まぁ、真面目で曲がった事の嫌いな生一本さが分かるし、お婆ちゃんの上品さが伝わって居るから、何か可笑しな信頼感もあるし、ふ~む、ユニークな人ですよ。堂々として居て、性格が明るいから、様に為っていて良いんでしょうね。」

 いやはや、小雪舞う外の寒さに、コタツの温もりは饒舌さを運ぶ物であろうか。下心の無い初老と中年の男女会話とは、人生の積み重ねが在る分、面白い息抜きと成る物である。

            へへへ、これまた、ウッシッシ~為りや。


纏めて、コメント。
               コメント爆撃操縦者さんへ。

 いやはや、お宅は凄い趣味をお持ちですね。丸で現代の無機質にして歪んだ性向の持ち主さんの象徴さんで居らしゃる。全ては、ソフトと云う自分の正体の見えぬのを幸いに、異常性向を撒き散らして、隠微な笑いに浸って居らしゃる。

 あんた、それでも人間ですかね。人間ソフトを入れ損なったサイボーグ、機械人間の様でしかありませんわな。一度、とくと自分の顔相検証をして見たら、如何かな。

 削除付き合いも、疲れまするから、精々、思う存分貼り付け為され。正常人としての質もレベルも持ち合わせて居ない輩には、何を言っても詮無き事故に。あはは。

   以上、膨大為る貼り付けに対して、心からの纏めコメントと致しまする。


心何処ーショート <坂の上の雲>への一感想
             <坂の上の雲>への一感想(12/25/11)
 この時期、楽しみにして居た<坂の上の雲>が完結してしまった。小説は読んだ事は無かったが、好いドラマであった。世間では兎角、日教組教育の自虐史観の洗脳振りをとやかく言いつのるのであるが、映画・ドラマで、大人の知識、観点から歴史観を堂々と映画、ドラマにすれば、義務教育の自虐的史観への修正に為る物を・・・ 

 義務教育を卒業して、高校、大学に進めば、色んな雑知識も加わって来る。違うと思えば、自ら調べる事も出来るのであるから、義務教育時代の刷り込み教育の所為にばかりにして居たら、芸が無いと思うのだが。如何な物だろうか。

 公理、数式で正解一つが導き出される数学、物理、化学の分野と違って、人文科学の歴史分野にとっては、当事国間で歴史認識が違うのは、極々当然の事であろうし、多数説、通説だけが正しい訳でも無かろう。当事者、当事国にだって、どちら共に其々の言い分があるのは、これまた至極当然の帰結である。現実の裁判を観たって、同じ法律の下で判断される法治国家の裁判だって、一審、二審、三審と判決が違うのであるから、それも頷けよう。

 日露艦隊の砲撃シーンは、NHKとしては破格の迫力が在りましたね。

 母の死に帰って来たその夜、眠れぬと言って一人散歩に行くと云う夫を追って、妻がその背中に縋る。真之が坊主に為って、日本海に沈んだ日露の英霊に鎮魂の合掌をしたいと泣き崩れる慟哭のシーン、

 文人漱石の軍人真之に対する武への羨望シーン、

 好古・真之兄弟の釣りシーンに於ける兄から弟への労いの言葉に対する弟のだんだんの言葉、

 海軍に残った真之の戦時・平時合一の海軍軍人の心構えの一文、

 銃後を守り抜いた軍人の母、妻達の大和撫子性、

 児玉源太郎役の高橋秀樹の圧倒的存在感・・・etc

 ドラマの力って凄いですよね。一流の役者達の仕事振りって凄いですよね。一流の歴史観を持った作家の力って凄いですよね。

 日本の映画、ドラマ製作費は高過ぎるから、国際競争力が無いから、格安韓国ドラマを右から左に輸入して、放映してのほほんとして居るの図って、可笑しいと思いませんか。

 企業が社会的存在の義務を果たそうとするなら、下らないCM流しに自社オンリーの宣伝費を計上するなら、少しは日本人、日本、日本文化、日本の伝統精神に、参画企業の話を拡げて、消費者たる日本人の感性を鷲掴みにする程の映画、ドラマのスポンサーに為って、日本企業の気構えを見せて欲しいと願うのでありまするが、如何でしょうかね?

 老母と私、コタツに当たっての無言注視のドラマ観である。私は、感動的シーンに何度、胸を詰まらせて、ハラハラと涙を流し、息を詰まらせて嗚咽した事か・・・

 戦争は無いに越した事は無い。然しながら、戦うべき時は、全身全霊で戦い抜かねば為らないのが、国際情勢の過酷さなのである。

 戦争放棄のGHQ平和憲法の自縄自縛の中で、安保と自衛隊で守られて来た平和の中で、ひたすら戦争の悲惨さと罪の綺麗事に終始して、経済の道を歩み続けて来た日本の姿が、現在である。

 自分の国の領土、国益、国民すらも、守られないと云うのは、如何なる国是に基ずいているのだろうか。

 軍事力の無い外交の不甲斐なさに、近隣諸国から足元を見透かされて、無理難題を押し付けられ、その調整は何時もの事ながら、経済援助と云う名の<国富への集られ放題>の由々しき事態に遭遇して居るのである。自分の国は、自国民の胆力と血で守ると云う、自然発生的な自主権すら失って、この国は一体、何処へ向かおうとして居るのだろうか・・・

 これも、我関せずの無関心、無責任の個人主義の謳歌、横行の世と黙認されるのなら、何をかや言わんかでしかあるまい。

 本日、二回目の投稿をしようと思ったら、暫し形を潜めて居た横文字貼り付け戯けのコメント爆撃である。本日、三度目の掃き掃除をするしかあるまい。一体全体、他人の迷惑を己が無上の喜びとして居る輩の何と多い事か、呆れ果てるだけの気分である。きっと性質の悪い日本人が遣って居るんでしょうね。日本語が分かるから、これを読んだら、益々カッカして、明朝は、コメント爆撃の山々、又、山々の態なんでしょうね。

心何処ーショート いやはや、お寒い限りである。
            いやはや、お寒い限りである。(12/25/11)
 雪がチラ付いている様である。寒いから、半纏を被ってもう一寝入りすべしである。ラジオを掛けながら、温い布団の中で<嗚呼、寒い冬は嫌じゃ嫌じゃ~。>を呟いて居ると、老母の部屋では、障子の開く音がする。何やら仕始めた様である。

        しゃ~無い。日曜日ではあるが、起きるとするか。

 朝の賄い夫開始である。部屋を覗くと、座り込んで箒を動かして居る。出来るなら、遣って貰った方が良い。ボチボチと台所仕事、掃除、玄関鳥の世話をしながら、老母の様子を見る。

 朝食後は、決まり切った切り口の週刊報道も、すっかり、この頃は飽きが来たから、思い切って、長散歩に出掛ける事にする。家に居ても寒いのボヤキ節しか出ないのであれば、寒さを迎え撃ちに行くしかあるまい。

 ジャンバーのファスナーを目一杯の喉元まで引き上げて、先ずは体温上げのテクテク歩きの敢行である。風は無い物の・・・兎に角、寒い事、夥しい限りである。流石にクリスマス寒波下の日曜日である。散歩者の姿が一つあるだけで、灰色雲にスッポリ蓋を被せられた松本盆地の眺めは、寒々とした墨絵の沈み込みである。

 途中で引き返して来たい気分を抑えて、上り勾配の一本道をフーフー、白い息で上る。ホウジロ、モズ、コサギ、アオサギ、群れ雀と、本日は嫌にカラスの姿に出っ喰わす。

 長散歩折り返し点のH橋の上から、澄み渡った川面を眺める小休止である。まぁ、魚影は皆無の寂しさではあるが、此処でも元気者カラスの川行水が見える。

 さてさて、体温が下がらぬ内に、散歩開始と致しましょうかね。これからは、山際の緩いカーブの連続である。山に取り残された柿の木の実も、この数日の凍み上がりで熟柿から凍傷柿のドス黒い色合いに成り下がって居る。

 遠くに、散歩者一人の姿が見えるだけである。この辺りまで来ると、思索の雰囲気道と云った処である。私は、雰囲気に弱いタイプであるから、昨日記載の同心円と異心円の続きを進めて見る。

 同心円内の波立ち、波紋は、同心円内では、呼応、同調して同心円波として、吸収統合されて行ける性質の物であろうが、異心円同士の中での波立ち、波紋は、お互いが激しくぶつかり合い、牙を剥いて白い波頭を滾り立たせるばかりの形に終始して終い、力の優劣に依って、一方が一方に呑み込まれて、怨嗟の渦を幾重にも浮かべて退いて行くのだろう。

 排他的一神教、アメリカングローバリゼーション、大中華思想、共産主義思想、北朝鮮将軍様思想の様な、他を排斥する宗教、思想、思考回路、行動回路に対して、ヤオヨロズの神々が、等しく一つの家族の様な国柄を求め、支えて来た伝統的日本人の宗教観、思想観、思考観、行動観からは、それ等の余りにも<人工的>に思えてしまう次第である。

 自然に対しての人工なのであるから、其処には人間の恣意的な臭いがプンプンして来る。そして、科学、化学が細分化先鋭化すると共に、人工物の密集ジャングルは、あらゆる恣意的なツタ、枝葉を絡み合わせて、地表には太陽の届かぬ腐臭を撒き散らかせている。そんなメランコリーな気分迄をも連れて来る。

 自然の中の人工物が少数ならば、未だしも全体と個のバランス観が働く物の・・・太陽光線=お天道様の光すら、地表に届かない人工物、恣意物の密閉状態に陥って仕舞えば、人類、生物に対する有効・有益の好気性微生物群の汚濁分解の微生物群相も機能せずに、其処で繰り広げられるのは、嫌気性微生物群相が発生させる異臭のメタンガス発生装置にしか過ぎない物を・・・

 遺憾いかん・・・柄にも無く、こんな事を考えて居ると、歩みが遅く為って、外気の寒さに、身体が冷えて来た。いやはや、山間部の冷えは再び白い物を運んで来て居るでは無いか。スカンポ脳が、思索に引き摺り込まれて終っては、風邪っ引きに為るまでの事である。

 さあさあ、帰路は遠い。オイッチ、ニー、オイッチ、ニーでテクテク帰りましょうぞ。

心何処ーショート 今シーズン一番の寒さ為り。
            今シーズン一番の寒さ為り。(12/24/11)
 凄い、台所のまな板が凍って居る。洗濯機の不凍栓を開けると、外蛇口が凍って居る。いやはや、TPP寒波と同様にクリスマス寒波も、半端では無い。メリークリスマスなんて浮かれている場合では無かろう。異文化・夷敵の力を侮っては、日本の将来は無いのである。朝食後は、玄関鳥を廊下の日当たりの中に並べる。

 昨日は、久し振りに好いドラマを観た。一本はNHKアーカイブの杉浦直樹と八千草かおるの主演物。もう一本は渡哲也と渡瀬恒彦、富司純子のドラマである。

 文句無しの良いドラマであったが、観ている内に、何んとも言い様の無い<深い溜息>の出るドラマであった。現実娑婆の実態・実層は、こんなに質とレベルの高い人間達で、人間関係が保たれている訳では無い。
 小説、ドラマにしろ、書き手は一人なのであるから、主人公にしろ、主人公を取り巻く周囲の人物像、台詞にしろ、<全ては、書き手の中>にある小説、ドラマのテーマを一方向に盛り立てて行く<同心円たる連帯構成員>なのである。

 私の天の邪鬼的表現をすれば、紆余曲折があろうが無かろうが、全ては中心に向かって<打てば響く>説明、補完の関係に立って、配置、登場して居る『理想の輪』と呼ぶべき存在達である。

 従って、衝突、別離、慟哭、葛藤、怨念が燃え盛ったとて、小説、ドラマの進行に依って、諸々の愛憎劇は、<氷解に向かって>進む。そして、それ等のドラマの進行過程と結果に、観客は好い涙を頂戴して、胸の熱さの中に自分も斯く在りたいと大きく頷くのである。

 人間に真っ当な心情さえ在れば、<必ず打てば、響く共鳴箱の共有性>を前提にして居るのが、小説、ドラマのそう在りたいと願う『虚構世界』と云う処なのである。詰まりは性善説に基づいた人間への賛歌、信頼の譜、応援の譜とも云えよう。

 然しながら、世に性善説同様に性悪説も厳として在るのが実情にして、現実面としては性悪説が多数を占めるのが、この世の<偽わらざる真相、実態>なのであろう。毅然の筋道行進なら未だしも、偽善が<平気の平左で、大道を闊歩する>のが、古の昔からの人の歩みなのであろう。

 勝者、成功者、冨者、権力者達が、我が春と錯覚して、唯我独尊の無回顧、無反省の我が儘勝手放題を仕出かす。これらの様は、己が現在の立ち場を傍若無人に自己主張して居る見苦しき様なのではあるが、それが全く自覚出来ずに、何を言っても<聞く耳を持たないの態>を続けるが如きものである。

<同心円の世界>と<異心円の世界>とでは、所詮、『棲み分けの世界』を作るしかないのが、人間娑婆の実層なのである。それが私の深い溜息の元なのではあるが・・・

 従って、小説、ドラマの中に、<同心円の世界>と<異心円の世界>を、同時並列に描き進めたら、如何様な結末を提示する事に為るのだろうか・・・などと、大きくも切ない溜息が出る始末なのである。同心円の世界ならではの、長く連れ添った夫婦間の以心伝心、夫婦間の想い表現に於ける補完性が無ければ、真っ当さ、愛情・情愛(夫婦・親子・兄弟)、人間が歩むべき筋の貴さを表現するストーリーとして、結実はしないのだろう。

 真っとおさ、落ち着くべき処を標榜する<同心円の世界>ならばこその、説得の機会、説得力も、異心円の世界の住人達へは、その働き掛けの機会さえも、聞く耳持たぬの門前払いに依って一蹴され、例え形式的な機会を得たとしても、説得へのモチベーションなど高まらず、平行線で終わって仕舞うのが現実の壁でしかあるまい。

 生身の人間からすれば、そんな結果には、深い疲労感と脱力感に苛まれると云ったのが、『異心円同士の不一致の世界』でしかあるまい。

 こんな事を打ち始めながら、洗濯機を回して居ると、老母の部屋に次兄さんである。おやおや、週が進むにつれて、登場時刻は遅くなり、退場時刻が早まって、滞在時間の短縮化が図られている様子である。まぁまぁ、来ないよりも来る気が在るだけ、良しとすべしであろう。

            まぁ、ごゆるりとして、行かれるが良かろう。

 洗濯物を物干に掛け終わって、さぁさぁ~、Tへのお裾分けのオカラ、煮豆、糠漬け沢庵、コーヒースタバの苦いコーヒーの友に、白い粉の噴いた吊るし柿二個をポケットに、お迎えの車を待つ。

「おいおい、今日は寒いじゃないのさ。ほれ、てづく~りの味を楽しんでおくれや。」

 レジ袋の中身を見せて、煮豆を味見させる。

「どれどれ、オイさんは、マメだねぇ。好く遣るわ。こりぁ、女は要らんわな。邪魔だけだわな。」

 コーヒースタバの二階席に陣取って、本日の議題は、上記記載のドラマに観る<同心円の好景>と<実社会で見る異心円の見苦しさ>に就いてである。

「成る程、Rらしい分析だな。そうなんだよな。Rが日頃、打ち連ねている通りにさ・・・ 質とレベルの話をすりゃ、此処だけの話だけどさ。F高、A高、H高に入れるのは、50人クラスで5人前後。10%だろ。その中から、上に行くのが5%止まり。そう為れば、精々がコンマ5%の確立でしょうが、これは<レベルの門>だけど、それに<質の門>が加わるんだから、むべ為るかなで、諦めるしかあるまいよ。

 昔は社会の在るべき姿としてのタガが確りして居たから、脳味噌と情の在るべき姿が、社会の常識の質とレベルを、それなりに担保して機能して来たんだけどさ。それが、権利を権利足らしめて居る義務への躾け、訓練を放棄しちゃっているから、克己心すら体験して居ない声高自己主張一辺倒の身勝手権利の連呼と、その跳梁跋扈状態に成り下がって仕舞った。そんな輩の論なんか、同席して居るだけで、虫ず走りのウンザリ感でしか無いわさ。

 本当に、政治家の主舞台・国会を見てりゃ、戦後66年のこの世相ザマは歴然だし、そもそも、都合が悪く為ると、逃げの国会閉鎖じゃ、何をかや言わんかズラよ。

 絶対多数決から見りゃ、俺達は絶対的少数者よ。これを世間が称せば、『変わり者、変人の類』でしかあるめいよ。世の中、落ち着きの無い多動症ばかりでさ。一時間、二時間ドラマさえも、チャンと見る事が出来なく為って、勉強する機会も自己放棄沙汰だしな。生きる指針、人生の指針の得ようと思えば、一時間、二時間の真面目観賞は、避けて通れない必要時間なのにな。
 受け手の堪え性が皆無だから、お笑いタレントのオンパレードの落ち着きの無さと馬鹿笑い同調、携帯電話を手放せない一人ぼっち嫌いの薄っぺら世相のトコロ天の公道闊歩だけじゃないのさ。嘆かわしいにも、程が在らぁね。

 俺もRも、週一度のこうしたコーヒー・トークが在るから、救われて居るけどさ。会社務めを終えて、個人の生活に入ったら、話題を選ぶのも付き合いも、人間の質とレベルが物を言うんだから、そりぁ、R、欲を掻いたらストレスが溜まるだけだわさ。

<はいはい、左様でゴザンスか、こっちも付いて行く事は出来ませんから、どうぞ、その質とレベルでお遣り下さい>で、素通りするのが、得策じゃないのかね。あい~。

 それでもさ、夢奇譚の小冊子は、挿絵入りで面白かったぜよ。ブログ画面で読むより、物語は本に限るからな。

 それにしても、吊るし柿とコーヒーは、良く合うもんだ。同じ物なのに、如何してこうも違うのかね。不思議な物だ。」

「何をこいてるだ。物干し竿から、一連外してプレゼントしたんだから、柿取り、皮剥きも、全部俺が遣ったんだぜ。Tの住んでる土地柄が、悪いに決まって居るじゃ無いのさ。土地柄が悪いと、昔から碌な人間が集まって来ないんだぜ。俺は、形・物重視の人間模様には反吐しか出んよ。だから、散歩も山間部に向かって、テクテク長散歩よ。
 
 住宅密集地から離れると、こんな人相風体の悪いヤクザもどきのスキンヘッドにも、皆、声を掛けて呉れるのさ。場合に依っちゃ、長芋、ネギ、白菜なんかも貰ちゃうわさ。自転車で上り勾配を、大股で扱ぎ上がって来る美形の高校生だって、白い歯でコンニチワの挨拶もして呉れるんだわさ。

 人間なんてさ、家の中に便利さ快適さを収納して、幾ら個人生活の質とレベル向上の追及をした処で、自然の息吹を忘れたら、自己中心型の無機質人間に知らず知らずの内にさ、馴染んで五感の貴さも、風情を感じ取る五感すら退化させて行くだけさね。

 そう為りぁ、遅かれ早かれ、情感を枯渇させて、相手、他者への配慮が無く為って、色に走るか、物に走るかの白服女顔に為るしかあるめいよ。

 あんなマネキン顔の何処に、人間の魅力が感じられるものかね? 笑わせるんじゃ無ぇよ。立川談志が、天才だとよ。あんな目立ちたがり屋の知識吹聴型人間の何処に、見る者を唸らせるほどの器の大きさと、懐の深さが、立ち振舞い、顔・表情から伝わって来るんだい。目立ちゃ、何でも良いのかい? 俺は、枝雀さんの方が、よっぽど好きだったんだがね。マスコミさん、オベンチャラを叩くのも、好い加減に曝せってな物だぜや。」

「さてさて、今日は寒いから、車の中でパッパ吸うかいね。あい~。」

 お決まりのコースで、ホームセンター、スーパーに寄って行くと、流石に正月の飾り物が、コーナーにごっそりと並んでいる。アジャジァ、鉛色の空からは、細かな白い物が混じり飛んで来る。おお寒い、スキンヘッドの頭を窄めて、レジ袋を提げたヤクザもどきのコンビが、そそくさと車に歩く。


心何処ーショート 娑婆は、三連休の初日為り。
              娑婆は、三連休の初日為り。(12/23/11)
 いやはや、ハーッ、寒いが起きるとしようか。布団を上げて、空気の入れ替えをして、♪待ちぼうけ待ちぼうけ、ウサギ転げた木の根っこ~の鼻歌交じりの掃除、掃除の朝の始動である。それにしても、毎日掃き掃除をして居る物の、陽に捲き上がる埃粒子の様は、霧氷ダストの輝きとは、雲泥の差、とほほ節の感しか湧いて来ないのが、腹立たしい限りである。

 まぁまぁ、これとても、埃に見る時間の蓄積なのであろうか・・・寒いが、パッと拡がった青空に西のアルプスさんは、白銀輝く神々しさである。

 老母はベットの中で、白髪頭で目を閉じて居る。<はいはい、御免なさって、> 朝の掃き掃除パッパと障子、廊下を開けての空気の総入れ替えである。玄関鳥の世話をして、後は、老母の動きを待ちながらの朝の賄い夫である。

 斜向かい吟さんがドンと置いて行かれた白菜は、4玉を塩漬けにしたが、後一玉が残っている。これとても、チョコチョコ使用して行かなければ為るまい。葉を三枚剥がして薄く刻んでソーセージと炒めて、味付けは鳥ガラスープの素とコンソメ粉末、コショウをパラパラ振って、簡単野菜炒めとするしかあるまい。←へへへ、簡単で、結構行けますよ。

 鮭の切り身を焼いて、オカラに、カブ・ワカメ・アサリの酢の物、糠漬け沢庵に、汁物は昨日の残りのアズキ・カボチャである。

「婆さん、食べれるかな?」とベットの老母を軽く催促する。ベットの中で、ウンと頷き、モソモソと動き始める。
<はいはい、朝飯を食べてくれなくちゃ~、俺の一日が前には進みませんわね。>・・・である。

 この処、ジョービタキのバルディナさんの姿が見えない処が、気に掛るのではあるが・・・

    本日は、宅急便を一つ送って、気温上昇時に散歩をして来る予定である。
 何しろ、昨日の長散歩正規コースは、追い風、向かい風の寒いのなんのと云ったら、真冬の鼻水垂らしであった。とうとう体温飛散の酷さに抗し切れずに、折り返し点下の広い農道一本道では、誰も居ないのを幸いに、声を発してのシャドーボクシングポーズの体温上げをしてしまった次第である。夜は、些か寒気がするから、転ばぬ先のパブロンS錠をポンと口に放り込んで、寝床の中で読書に及んだ次第であった。

 モーニング・コーヒーと煙草を燻らせながら、吾がブログを見れば、素晴らしいコメントが入って居るでは無いか。ブログ樹海の辺境ブログに、こんなに光るコメントを頂戴して、個人の喜びとするばかりでは、<秘匿の極み>である。以下は、小生のコメント返しの一文である。(一部、校正・加筆部分あり。)

                 ★『』コメさんへ。

 <老後は、今までの自分の生き方の試し処>・・・本当に、好い言葉を頂戴致しました。

 本当に、そう思いますね。色んな柵(しがらみ)から解放されて、老後は、自分自身に戻るステージですからね。或る意味では、本性が現れる怖いステージでも在りましょう。弛緩し切って我道に走り、筋の道への矜持を失ってしまったら、弱き人間には、我儘道の妄信沙汰に進んでしまいますからね。

 手綱は飽く迄、確りと持ち続ける必要がありますね。誰も見て居ないとタカを括らず、お天道様が見て居ると云う人の道への真っ当さと、その自己管理力が必要なのでしょうね。

 為るほど、・・・老後は、今までの自分の生き方の試し処・・・ふ~む、核心を突いて、重い言葉ですね。晩節を吾が手で穢す愚かさは、今までの努力が、水泡に帰すの事も在りましょうからね。

『はい。心に確かと刻み込みました。』好いコメントを頂戴して、感謝感謝でありまする。

 ブログを毎日行進していて、年に何回かの核心を突いたコメントを頂戴する事がある。そんな時に思う事が、他者に届いた胸の思いと、応えて下さったコメントの嬉しさと有難さなのである。<夢奇譚・第五部 異界回線にて>では無いが、発信力と受信力の共鳴作用は、ブログ打ちの幸せとでも表記したい喜びである。

 さて、思い立った事は、早目に完了させて、マイペースの怠惰タイムを流す事に致しましょうかね。


夢奇譚・第五部 挿絵
               夢奇譚・第五部 挿絵
      心頭滅却の図異界回線異界回線2

    ♪待ちぼうけ、待ちぼうけ、もとは楽しい娑婆。今は籠りの賄い夫。
              寒い北風、木のねっこ。♪

 本日も、寒い向かい風、追い風の中、おお寒いの北風行進をして参りました。さてさて、過去絵から一枚拝借して、<夢奇譚・異界回線にて>の挿絵三枚と致しました。へへへ、本文イメージの足しに為れば、ウッシッシ~でありまする。



心何処ーショート 本日、冬至なり。
                本日、冬至なり。(12/22/11)
 遺憾いかん・・・炊飯器のボタン押しを忘れてしまった。本日は冬至との事であるから、冷蔵庫のアズキ炊きの残りがあるから、カットカボチャでも買って来て、切り餅を入れて朝飯とするしかあるまい。

 雪が降って来てもおかしくは無い灰色の立垂れ込み空ではあるが、然程の寒さは感じられない。個人スーパー迄、自転車で一走りである。

 先輩さんから、白菜の大玉の大安売りだからと進められるが。食の細い老婆相手の食卓では、貰い物の処置にも困ると云うのが実情である。
 今年は、白菜、大根、ネギの大豊作で、手間代にも為らないから、畑でゴロゴロして居るそうな。代わりに保存の利く豆類、根付きネギの束を買う。ネギは重宝な物であるから、何かと消費量が多い。子供時分には、嘘か本当かは定かではないが、ネギを食べると頭が善く為ると教えられて来た処でもあるし、冬の根付きネギは、土をゴッソリ掛けて置けば、新鮮で日持ちがする。

 帰って来て、早速アズキ・カボチャの朝食の支度である。カボチャが炊ける頃を見計らって、餅を焼く。甘い朝食に塩物の糠漬け沢庵、白菜の塩漬けを器に盛る。

「悪いねぇ。何から何まで・・・男の子のお前に、済まないねぇ。毎日毎日、文句も言わずに、・・・ 吾が子ながら、頭が下がります。・・・有難う御座います。」

「まぁまぁ、好いって事よ。気にする事ぁ無いわね。誰も、遣っちゃ呉れないんだから、これが世の現実だわね。だったら、俺が独りで遣るまでの事よ。向こうさんは口先だけで、その気が無いまでの事よ。
 そんな人情の薄さは、どんな言葉で身繕ったって、面見りゃ一発で分かるわさ。何で、俺だけ一人がと比較しちゃ、怨と恨の感情メラメラ柱で、その時点で終わりだわね。それをぐっと堪えて、『機械人間』のお努め作業に徹すれば、一日は終わり、明日の朝が来るまでの事。

<俺ぁ、手前~達とは、人間の質もレベルも大違いよ。利口者が、馬鹿を振舞うにぁ、年季を要するじゃわね。文句が在ったら、俺の真似をしてから言いなってな物さね。自己犠牲の根性も無く、偉そうな口を叩き為さんなって処よ。こう為りゃ、意地でもお努めを果たすのが、男一匹の生き様さね。馬鹿、鈍感、薄情者の助けなんか、真っ平御免だわさ。>

 婆さんは、何も気兼ねをする事ぁ無いぜよ。『親の利息』だと思って、ベットとコタツ地蔵さんをして居りゃ、好いだけの事だわさ。これも、親父からの婆さんのプレゼントでしょうが。へへへ。」

 心労の40~50日を要して、老母の日々にも、漸くの通常さが戻って来た。私の現在の心境などを、老母に語り聞かせながら、注いでくれる日本茶をお代わりして、お昼近くまでを老母の部屋のコタツで過ごす。

 さてさて、その内に風呂も沸く事でもあるし、先に婆さんに入って貰い、PC打ちをした後は、軽く散歩流しをして来るとしようか・・・ 遅く為れば、寒さに大儀さが身を覆うばかりである。

 本日、冬至であるからして、本日を過ぎれば明日からは、畳の目程の日の長さが加わるのである。本格的寒冬期に向かう山国信州ではあるが、物は考え様の日伸びの折り返し点である。


心何処・・・夢奇譚・第五部 異界回線にて
              夢奇譚・第五部 異界回線にて(12/21/11)
 <その1>
 或るブログさんの記事によると、象形文字に色を施す事によって、意味する文字に加えて、色毎の意味によって多種多様の意味合いを出す<文字文化>が、現在尚使用されて居るとの事であった。

 そんな記事に接して、至極妄想力を刺激された次第である。私は目下、専業賄い夫のしがない生活を送って居るから、家を空けるのも精々が二、三時間の物であるからして、外に新開拓も儘為らぬ。従って、全くの情け無しや・・・過去の楽しい思い出の訪れを<夢奇譚の再訪>として、ヒタスラ待ち受けて居る始末なのである。

 然しながら、当ての無い再訪の叶いを、ただ待つだけでは、面白く無いのである。私は象形文字と色の合体によって、『呼び枝』を配置しようと考えたのである。悪く云えば蜘蛛の巣を張り巡らせて、昆虫を網に掛けて、捕獲昆虫の生き血を吸うの図ではあるが・・・ 
 私は、それほど残酷な男では無いから、その図は不採用とする。為らば、自分のカラーに合った応用策は何か無いだろうかと、夜の寝床で思案橋の想い巡らしを数日経過した次第である。

 閃きと云う掴み処の無い代物は、或る瞬間、突然に遣って来る物である。こんな処がスカンポ脳の奇妙な処でもある。ウッシッシ!!

 吾が<粉う事無き善人の性根>からすると、幾つもの枝分かれした小枝に、当事者だけが反応する文字列を配して、悪意では無く『善意の真意為る色合い』を施して、その相手を待つと云う魂胆である。断って置くが、小枝に強力な鳥糯(とりもち)なども一切使用しない。それは、自然体の善意の待ちぼうけ作戦と云っても良かろう。

 これは飽くまでも、私と相手との共通思い出を持つ同士の自発的再開の扉なのである。

 窓拭きの終った二畳小部屋からは、枝を払った庭がスッキリと見渡される。庭の中央に位置する百日紅の白い二股の辺りに、その幾つもの枝分かれした<呼び木>を配して、後は待つだけの日々である。

 この頃は、布団の上げ下げをして居るから、まあまあの起床時間帯を維持して居る処にして、体重のリバウンドを抑えるべく腹八分と決め、長散歩を励行して居る次第である。まぁ、待ち人は、私が初めて懇意にさせて頂いたウクライナは、ライオン娘・ナターシャ様である。

 身長は161cmにして、ストレートな黒髪に、利発な良く動く黒い瞳。ホステス来日前は、国でモデルの仕事をして居たと云うだけあって、澄まし顔は貴族令嬢の様な美人ではあるが、頬笑み、笑う白い歯並びの若さは、愛くるしいの一語に尽きた。
 然しながら、一度、臍を曲げるとライオン娘の肉食性が、全面に出るし、<私、正直で頭が良い。テレパシィも強い。>と豪語するだけあって、頭の切り替え、回転の速さは、ピカイチの舌を巻く程のスピーディさがあった。生意気さと愛くるしさとストレートな物言いが、恐れ入り屋の鬼子母神的な漫才的面白さが在った。そんな事で、大いに馬が合った。

 私には初めての白人さんであり、彼女からしたら初めての日本人との付き合いで、兎に角、思い出に残る圧倒的存在であった。
 個々のピソードは、ウクライナ・トライアングルなんて、題名を冠して保存してある次第である。彼女は、余程、人気が高くて、三度のホステス来日をしていた。来日すると、勤め先の千葉、伊豆から、頻繁に電話を呉れて、一度は会いに来てくれた物である。私は、彼女からは、日本人離れした顔付に『アゼルバイジャン』のニックネームを頂戴して居た。兎に角、顔奇麗、頭良い、面白いの三拍子揃った良い女であった。

「頼む。結婚して呉れ。」と言うと「歳が違うでしょ。ポリスに逮捕されるでしょ。セパレートは、お互い不幸でしょ。結婚より、ここ、マッサージして下さい。」で背中を向けられて、軽く一蹴されて終う間柄であった。

      さてさて、首尾は上々、如何なる夢奇譚が待って居るのやら・・・

 <その2>
 師走の月も、夜が余りに寒くなると、二畳小部屋のPCに向かう事が多く為る。二畳のスペースであるから、小さな灯油ストーブでも、忽ちに小部屋の中は暑いほどの室温と為る。熱い紅茶に、ウイスキーを垂らして、吊るし柿の甘露を齧りながらのPC打ちとなれば、戯けロートルの脳内は、苦も無く妄想と夢の挟間に煙草の煙充満する別天地にワープして仕舞うのは、これ当然の行き掛かりと云うものであろう。さてさて、湯たんぽを二つ放り込んで置いた夢奇譚の別天地・夢殿に移行するしか有るまい。

  待ちぼうけ、待ちぼうけ ある日せっせと、野良稼ぎ そこに兔がとんで出て
  ころりころげた 木のねっこ
  待ちぼうけ、待ちぼうけ しめた。これから寝て待とうか 待てば獲物が驅けてくる
  兔ぶつかれ、木のねっこ
  待ちぼうけ、待ちぼうけ 昨日鍬取り、畑仕事 今日は頬づゑ、日向ぼこ
  うまい切り株、木のねっこ
  待ちぼうけ、待ちぼうけ 今日は今日はで待ちぼうけ 明日は明日はで森のそと
  兔待ち待ち、木のねっこ
  待ちぼうけ、待ちぼうけ もとは涼しい黍畑 いまは荒野の箒草           
  寒い北風木のねっこ

 そんな数日が経過した或る日の事である。煙草の儚い白煙を追って庭を見れば、<呼び枝>に光が点滅して居るでは無いか。それと同時に、窓縁に置いた携帯が光り始めた。勿論、呼び出し音などしないのであるが・・・

           携帯を開いて、耳に当てると。

「モォシ、モォシ、オ~イ、オ~イ。」
 
 と聞こえる。些か皺枯れた魔法使いの様な女の声である。そして、耳に覚えの在る生意気トーンである。ライオンが、見事に引っ掛かった呼び枝である、ギャハハ~!!

「モォシ、そこもとは、ウクライナの生意気ライオン娘さんかいな。う~ん。」
「さすが、Rさん。好く私の事、覚えて居てくれましたね。とても、嬉しいです。元気ですか?」

「元気と云えば元気、青菜に塩と云えば、女日照りで乾涸びて居ますわね。7~8年振りかね。結婚するって言ってたけど、可愛い子を産んで、確り良妻賢母してるかい? 元気かい?」
「それが、私、結婚前に交通事故で死んだのよ。」

「何~、それじゃ、この電話は幽霊電話かいな!!」
「そうで~す。あの世からの電話だから、鳴らなかったでしょ。電話番号も出ないでしょ。これ、本当の話よ。クレージーでしょ。」

「ホンマかいな・・・ それじゃ、ナターシャの居る世界は、どんな世界なんだい?」

「ここには、大きな大自然が在るだけよ。霊と云うか意識だけがある世界だから、そんな大自然の中に、霊魂の小さな光が、ホタル火の様に、薄く点滅しながらス~、ス~、と音も無く交差して居る・・・そんな世界よ。死んで肉体が無いから・・・そうですね~。無味無臭、無感覚の世界ですよ。」

★分かる様な、分らない様なイメージが頭に浮かぶ。まぁ、考えて見れば、五感・意識・肉体が在るのが、現実の生の世界ならば、肉体を失った死の世界に霊魂と云う意識が存在すれば、論理的にはそう云う捉え方しか出来まい。

★為るほど、これも夢奇譚第五部の始まりなのかも知れぬ。人間生きている内は、何事も経験である。経験すれば、摩訶不思議の世界にもシンパシーが働くと云う物であろう。

「Rさん、私、お願いがあります。」
「ほう~、住む世界が違う様だが、俺に出来る事なら協力するよ。言って見な。」

「呼び木の色を、あなたの好きな明るいブルーにして下さい。そして、プレゼントした私の写真を小部屋に飾って、呼び木に向かわせて、その直線上に携帯電話を置いて下さい。
 好いですか、ゴーストと生きて居る人間との交信時間は、決められて居るんですよ。感度を良くして、少しでも長く話をしましょうよ。話している間は、二人ともハッピータイムでしょ。」

★おやおや、巧い事を言う物である。生身のお伽話なら、シンデレラ姫。ゴースト様なら、コウモリをお共にしたドラキュラ伯爵様が、西洋の倣いである。日本版なら、活躍の時間帯は、差し詰め・・・ ヨッシャ、その申し出に乗ろうじゃないのさ。

「了解。草木も眠る丑三つ時だな。OK分かった。それで、ウクライナと日本の時差は、何時間だい。」
「マイナス7時間です。あなた、頭良いでしょ。計算して下さい。」

★え~と、丑三つ時は、確か…午前1~3時だった筈だ。ウクライナ・ゴーストさんだから、それを日本時間に引き直すとマイナス7時間と為ると・・・午後の4~6時かいな。為るほど、この時間帯なら、ライオン娘が毎日電話を掛けて来た時間帯では無いか。為るほど為るほど・・・ 夢奇譚管理者様は、緻密な計算の上に、ご采配を揮う知性もお持ちなのである。人間如き私のスカンポ脳では、その霊験あらたか為る御業には、一切太刀打ち出来ぬ。好うゴザンスよ。大御心の指し示す通りに、踊りまする。

「おっ、分かった。計算だと、2時間の時間幅だ。間を取って草木も眠るウクライナ・タイム午前2時にしようぜ。」

「オゥ、分かりま~した。千葉、伊豆に居た時は、お店が終わって、その時間、私は好く電話してましたね。
 それだと、あなたが、私の電話を取るのが、午後の5時ですね。この時間帯も、好く電話してましたね。日本に居た時と、全く同じですね。アハハ。とても面白いマッチングですね。」

「はいはい、お前さんの口癖の、<あなたしょうが無いですね。あなた、私を好きに為った。私、ウクライナ人。これ、ウクライナ・スタイルでしょう。アハハ。>の再来だな。 
 あれかい、お前さん、霊界でも我流を押し通すから、『半端霊』じゃないのかい? それで行き場が無くなって、寒風に乗って流されて来たんだろ。日本じゃ、それを<迷鳥>って云うんだぞ。修行が足りんのだぜや。アホンダラ。」

「私、ウクライナ人、日本語は難しくて分かりませ~ん。オゥ、相変わらず、アゼルバイジャン人は、口が悪いですね。私は、未だあなたの事、許せない事あります。凄く、物凄く怒って居る。お別れパーティ、とうとう来なかったですね。私、悔しくて泣きましたよ。私のプライド粉々にされました。女友達の中で、恥掻きました。分かる~!!」

「何をこきぁがる。俺は、そんな事は大嫌いだからって、お別れ・イブに行ったんだから、別に恨まれる筋合いは無かんべよ。」

「私、ウクライナ女です。ウクライナ・スタイル大事です。バカヤロ~。」
「煩い。根持ち女。電話切るぞ~。」

「ノーノー、それ困ります。ゴースト電話は、お金掛かりません。お金はタダですけど、時間制限・ゴースト・タイムありますから、喧嘩は、勿体ないですね~。そうでしょ。
 私たち、幾ら喧嘩しても、直ぐ、ケロリでしょ。<喧嘩して、一時の感情で別れるのは、馬鹿な男と女のお決まりコース。>ですよ。あなた、私に、そう言ったでしょ。 アハハ~ハ、・・・でしょ。あなた、相変わらず馬鹿ですねぇ~。忘れましたか~。」

★いやはや、ライオン娘様は、相も変わらずに、切り返しが素早くて面白い。彼女にホの字に為った男を手玉に、専用ホットラインとやらで、男に携帯電話と通話料を押し付けて、毎日セッセと電話を掛けて来た。男としては、<それじゃ、元が取れない。>と息巻くと、携帯電話を男に投げ返して、電話が無いから、電話だけをプレゼントしてくれと言って来たライオン娘であった。

★兎に角、可愛い美人顔に似合わず、遣る事がストレート過ぎた。彼女の相棒のAに私の携帯電話の番号を教えると、何と何と、彼女に為り澄ませて電話を掛けて来る始末である。騙された振りをして、ニヤニヤして演技をして居ると、図に乗って来る。馬鹿垂れが~、お前、性悪女のナターシャだろと言って遣ると、怒る怒る。

★店一番の売れっ子ホステスの癖に、指名した相手のサービスも疎かに、バトンタッチしたホステスと私を目を三角に吊り挙げて、睨み付ける。トイレタイムに立つ振りをして、私の禿頭を引っ叩き、マゴマゴすると、後ろの席が、オシボリが飛んで来る。澄まし顔、微笑みのナイス顔の下には、肉食獣のジャジャ馬の素顔が隠れて居て、魅力満載の美形・美人さんであった。

★バトンタッチのフィリピン女が、携帯番号を書いて手渡してくれると、指名から帰って来たライオン娘が、ポケットに入れたペーパーをパッと引き抜くや、ビリビリに裂いて、丸めてフィリピンホステスに投げ付ける。
私は生まれてこの方、女にモテた経験がないから、オオ、猛烈~。ウクライナ・スタイルを鑑賞するしか無かったのだが・・・

★それでも、ライオン娘のストレートさが、彼女のロシアホステス仲間の信頼を得て居た様で、彼女が帰国で居なくなった店で、その友達から
<今、ナターシャは千葉の店に居る。店の終るのは2時だから、あなたはすぐ帰って、2時半に目覚ましをセットして、この電話番号に電話しなさい。先ず、お別れパーティの事、謝りなさい。未だ、怒って居るからね。ダメでしょ。分かったら、こんな所で、お金使うんじゃ無いの。早く、帰って寝なさい。>・・・なんて、ロシアホステスの御支援まで頂戴した事もあった。

  まぁ、そんなかんやで、私は身に余るお天道様のご加護を頂戴して居たのである。

「Rさん、お喋りして居たら、あっという間のゴーストタイムリミットですよ。もう後一分しか無いですね。復習しましょうか。テストして上げます。間違えたら、キックにパンチですよ。今度は、私、ゴーストだから怒らせると、もの凄~く、怖いですよ。絶対に許さないですよ。それに、<恨みの魔術>も持ってますよ。アハハ。」

★こんな事を、パッパと口に出す処が、ライオン娘・ナターシャの真骨頂なのである。へへへ、何しろ異国の美人さんなのであるから、レディファーストに徹するのが、大和男の技量と云う物である。

「はい、①呼び木のナターシャ回線にライトブルーの色塗りをする。②二畳小部屋に写真を置く。③写真と呼び木の結んだ直線上に携帯電話を置く。④午後5時をゴースト回線全開として置く。以上かいね。アハハ。」

「オゥ、さすが、頭良い。それに加えて、他の枝は要らない。全部、切り落として下さい。じぁ、また明日ね。ちゃんとチェックしますからね。あなた、女大好きで危ない男ですからね。チュッ、チュッ~、バイバイ~。」

 <その3>
 おやおや、こんな夢奇譚の展開もあるのだろうか・・・ 嘆きは別にして、いずれにしても、<夢奇譚の第五部>が始まって仕舞ったのである。吾が身は、お別れパーティの恨みを買った身なのであるから、今度は粗相があったら、何をされるか堪った物ではあるまい。

 何しろ、一歩間違えば、お露・新三郎のカランコロンの『牡丹灯篭』の二の舞で、手を曳かれて、異次元空間為らぬゴースト界に誘われてしまう。

 異次元、異界では、幾ら此方側の不法拉致に依る原状回復の法理など展開したくても、あちらの世界では、裁判所とて異界の法理と刑罰が科されるのは、必至の沙汰であろう。何しろ、惚れた弱みに付け込まれて、レディファーストの社会通念に、お露為らぬ美女ナターシャの一途さを法廷闘争の縦糸に使われて終っては、絶対に生還不能の異界源氏ホタルからは、脱する事は出来まい。

 象形文字列に色を加えて、時空の超越する<呼び木のアイディア>は、妄想力に於いて、優れ物であったのだが、如何せん・・・出色の美形・ナターシャ様が、この世に非ず、<異界の住人>と為って居た事には、想像外の結果と為って仕舞った物である。

 まぁ、これとても、一寸先は見えぬこの世の実相の一つかも知れぬ。然りとて、時空を超越して、異次元、異界との過去を結ぶ人間模様の織り成す世界こそ、脳裏に遊ぶ人畜無害の妄想タイムの愉しさ故に、ゴースト美形様を拒むのも、真に<畏れ多い小人の料簡>と言わざるを得まい。

 お迎えの呼び木にライトブルーの彩色をして、異界回線全開でお相手仕るが、純な大和男の器の大きさと懐の深さと云うものであろう。

 さてさて、本日、風強き寒日である。ジャンバーを着て、マフラーを確りして、散歩ついでに、ペンキでも仕入れて参りましょうかね。

 <その4>
「モォシ、モォシ、オ~イ、オ~イ。」
「オゥ、時間が正確だね。相変わらず、真面目じゃないのさ。」

「Rさん、アリガトウ御座いま~す。約束通りですね。今日は、何話しますか? Aの話も思い出深いですね。覚えていますか。」

★Aは何処と無く影の在る金髪美人であった。Aとナターシャは、ルームメイトであった。或る時、店に行くと電話をすると、風邪を引いて苦しいから店を休むから、来なくて良いと云う。代わりに、風薬と甘いケーキ、アイスクリームを届けてくれとの事であった。

 私は、一歩外に出れば、品行方正の男であるから、彼女達のアパートなど知っては居ない。そこで、Aに頼んで、案内させるからとの提案が在った。店の呼び込みの目を盗んで、ビルの陰で手招きするAの後に付いて、アパートの通用口をコソコソ上がって、彼女達ホステスの食堂に案内された。
 彼女も店を休んだとの事で、結構、彼女と話し込んで居たのだが、(主役のナターシャは、眠っているとの事であった。へへへ、私の様な下衆根性から言わせて貰うと、只で長時間のお話が出来たのであるから、風薬、ショートケーキ、アイスクリームなど、安い物であった。)
 
 ナターシャとAは、仲好し組で、仕事上でもコンビであったから、ナターシャに指名が掛ると、Aが相手をして呉れた。電話の内容も筒抜けの関係であった。

 或る時、余りにライオン娘が生意気であったから、一度、Aとデートの約束をした事が在った。11時の約束が、掃除があるから遅れるの電話が在って、私は待ち惚けの最中に、寝てしまった。其処へ電話が掛って来たから、鼻の舌をべローンと長くして電話を取った途端。

「オゥ、Rさん、お早うございま~す。今日は、寒いですね。風邪は引いて無いですか。」

★アッジャ~、ナターシャの通常コールかいな。おやおや、もうそんな時間だわさ。えらく寝込んでしまった物である。と云う事は、いやはや、Aに振られちゃったわね。とほほ。

「あなた、Aとデートの約束したでしょ。Aを問い詰めて、Aが全部話した。<ナターシャ、生意気、煩い女。本当はAが好き。>って言ったでしょう。そうかそうか、やっぱり、あなた、最初から、Aが好きだったって訳か。
如何云う事ですか、説明して下さ~い。私、今、本気で凄く怒っている。ちゃんと説明して下さい。」

★Aよ、そりぁ~無かんべよ。仁義・掟破りじぁい!! 俺ぁ、立つ瀬が無かんべや。これも、ウクライナ・スタイルかいな!! いやはや、ライオン娘さんは、凄い喰らい付きである。

「ああ、その通り。言ったぞ。悪いか。でもな。そんな事を話すAは、もっと悪い。悪い分、ナターシャの点数が上がった。電話で話しても始まらんから、コーヒーでも飲みに行くか。如何する?」

「勿論、賛成ですね。あなたが悪いから、私、甘いケーキを食べますよ。OK? 直ぐ、迎えに来て下さい。私、物凄~く、怒っている。分かってますね。」

 迎えに行った車に乗り込んで来るや、私は胸に三発のパンチを喰らい。それで一件落着であった。いやはや、草食日本男と肉食西洋女とでは、斯様な男女文化の違いが横たわって居たのである。

 こんな・・・その時の思い出話に花が咲いて、異界電話はタイムリミットで笑いの中で、お開きの運びと成った。私も些かの記憶力に自信がある物の、ナターシャの記憶力には、舌を巻く。

「Rさん、明日はどの話をしましょうか? まだまだ始まったばかりですからね。アハハ。」

 さてさて、明日の定刻コールには、どんなエピソードのテストが待ち構えて居る物やら、就寝時には、心頭滅却して過去の棚卸をして置かなければ為るまい。下手打って、ライオン娘の逆隣に触れ様ものなら、カランコロンのお露・新三郎の異界への旅立ちにも為り兼ねない。
 
 そう云えば、アラビアンナイトの千夜一夜は、面白い話が出来ないと、魔物に喰われて終うとの背に腹は代えられぬと云う背景があったとの事でもある。

      ★あなたなら、如何する? あなたな~ら、如何する。

 へへへ、私の念仏書きは、夢奇譚第六部を打ち上げるしか、手立ては無い様である。

                   夢奇譚・第五部 異界回線にて・・・完


 以上、アィデァ提供者は、なにわのmaso♪様掲載の12/16投稿の<私の中でおねむりなさぁ~い♪>中の『トンバ文字』・・・現在、世界で唯一の<生きた象形文字>よりから頂戴した妄想編・夢奇譚第五部の結末でありまする。


心何処ーショート 遺憾いかん・・・・
     遺憾いかん・・・自戒散歩に為ってしまいましたがね。(12/20/11)
 朝食後は、軒下の吊るし柿の紐を外して、六畳の日当たりの好い場所に並べる。こんな仕事は、男にとっては、チマチマし過ぎて居るからウンザリの態である。二回に分けて遣ろうかなどの・・・ついつい嫌気の連続ではあったが、半分を割れば性根の意地汚さが出て来て、<つべこべ言わずに遣れば、終わるだけの事>である。とそんな気に誘い込まれて、漸くの苦役からの解放である。

 途中、焦げ臭いので大慌てで台所に走るが、時、既に遅しで鍋を焦げ付かせて終った次第である。本日は夢奇譚・第五部に打ち込もうとして、窓拭きの終った透明度抜群の二畳小部屋に、ポツトを置いて居たのであるが、すっかり出鼻を挫かれてしまった。

 風がコトコトと窓ガラスを打っている。昨日は、焚火と窓拭きで散歩をサボって終った処でもあるし、日差しに陰りの出ない内に、散歩を済ませて来た方が好かろう。散歩の時間帯を外してしまうと、冬の散歩は何かと割愛の対象と為って終うのが、人情と云う物である。

 いやはや、慣れぬ事をしたから、ケツの筋肉がイテテの段である。少し歩いた方が、筋肉痛も解されるというものであろう。

 じっとして居ると、寒い風ではあるが、歩き始めれば丁度良い発熱体温飛ばしの体感温度である。本日は、コースを変えて大学・中学・高校の並ぶ一帯をゆっくり歩いて、護国神社境内で、野鳥観察の趣向である。

 中鳥居の脇に、ガラスケースに為った掲示板がある。中には、長野県埴科郡西条村出身の硫黄島守備隊長中林中将の大本営宛て最後の打電文が、口語体で納められていた。一度読み、胸を搔き毟られ、二度拝読して、涙が頬を伝った。

 私が自分で自ら文章を書いたのが、三島由紀夫の割腹自決の感想であった。本を買って読んだのは、学徒出陣・特攻隊員の遺書であった。どれも、大学時代の衝撃の事件と書物であった。

 若き特攻隊員達の未練を払拭した文章は、何れも心情溢れ、一字一句が胸に迫る文章であった記憶が在る。大学の授業どころでは無かった。サボって、正座をして一気に読んで仕舞った一冊であった。日本人の流れる血に迫る淡々と綴られた文章に、私は未練を払拭した心情の横溢さに、理屈無しの涙と嗚咽する心情の繋がりを感じて居た次第である。

 素直に、其処に綴られて居る心情を血で感じ取れば、それで良い事なのに、何故に、その背後の天皇制だとか、軍国主義だとか、帝国植民地主義、財閥膨張主義、家制度の封建制を殊更組み入れる必要が在るのだろうかと云う単純な思いを持っていた物である。

 素直に読んで、胸迫り嗚咽に、その当時の一般的日本国民の精神の在り様を感じ取れば好いだけの事である。

 戦後日本は、日本の国体を新参者米帝国に思い通りに解体され、個人主義の勝手気儘の自由の謳歌の中で、日本人の伝統的精神性を自らが蹂躙して、快適便利さ一辺倒の大衆迎合型の大量消費社会を築いてしまった。
 そんな中で経済アニマル化した日本人の精神性の衰退振りは、家庭に個室文化を助長して、家庭崩壊の形を其処彼処に露呈させている。嘗ては『家殺しの大罪中の大罪』にも拘らず、家族構成員同士の加害性に頬被りをして、傍観者的に現象として捉えるかの如き<家庭崩壊>と呼称する心理は、正に個人主義下での自己責任転嫁の極みでしか有るまい。

 単位としての責任の所在と、責任の取り方は、家族と云う総体の単位を返り見る事無く、個人の責任単位への糾弾と責任転嫁を繰り返して、社会の風潮を作り出して行った。

 人殺しを人体崩壊と呼ぶとしたら、何とするかであろう。然しながら、通り魔殺人、無差別殺人、バラバラ殺人などの深層には、多かれ少なかれ、人殺しを人体崩壊としか捉えて居ないのでは無いだろうか。私には、そんな人間精神の蝕まれた無機質性なる腐臭が、漂って居るとしか思い様が無い処である。

 そして、片方に流行り言葉の『絆』の単語を異口同音に交わす世相とは、如何なる社会構造なのかと、暗澹たる気分である。

 日本人である以上、日本国、日本社会、日本人と云う国体=国柄を歴史、時代の中で相続して居るにしか過ぎないにも拘らず、行き過ぎた個人主義の思考、志向が、放蕩息子、放蕩娘の大量生産で国柄を滅茶苦茶にして居るのが、悲しいかな現代グロバリゼーションの流れなのである。

 嘗て良い悪いは別にして、家制度には、家長が厳として座って居た。家長には、<勘当権なる威厳>があった。勘当権を亡くした家制度が、個人の自由の前に崩壊して行く様は、戦後66年の集大成であったのかも知れぬ。
 当然、家制度が完全なものでは無く、その功罪は色々在って然るべきものである事は、当然の内容である。

 然しながら、中国の尖閣領海侵犯事件、韓国の竹島無法占拠、従軍慰安婦問題、北朝鮮の日本人大量拉致問題、ミサイル脅し外交、露国の北方四島強奪占拠問題、母屋の傾いた米国の形振り構わずのTPPの振り回し・・・etc。

<坂の上の雲>には、大拍手。一方、<大東亜戦争>は、ぼろ糞の自虐史観のオンパレードじゃ、幾らなんでも、日本国を相続した日本人としたら、そりぁ~、虫が好過ぎはしませんかね。

 「硫黄島の守備隊総司令官 栗林忠道中将の手紙   大本営宛訣別電報」

 戦局最後ノ関頭ニ直面セリ 敵来攻以来 麾下将兵ノ敢闘ハ真ニ鬼神ヲ哭シムルモノアリ 特ニ想像ヲ越エタル量的優勢ヲ以テスル陸海空ヨリノ攻撃ニ対シ 宛然徒手空拳ヲ以テ 克ク健闘ヲ続ケタルハ 小職自ラ聊カ悦ビトスル所ナリ

 然レドモ 飽クナキ敵ノ猛攻ニ相次デ斃レ 為ニ御期待ニ反シ 此ノ要地ヲ敵手ニ委ヌル外ナキニ至リシハ 小職ノ誠ニ恐懼ニ堪ヘザル所ニシテ 幾重ニモ御詫申上グ 今ヤ弾丸尽キ水涸レ 全員反撃シ 最後ノ敢闘ヲ行ハントスルニ方リ 熟々皇恩ヲ思ヒ 粉骨砕身モ亦悔イズ 特ニ本島ヲ奪還セザル限リ 皇土永遠ニ安カラザルニ思ヒ至リ 縦ヒ魂魄トナルモ 誓ツテ皇軍ノ捲土重来ノ魁タランコトヲ期ス 茲ニ最後ノ関頭ニ立チ 重ネテ衷情ヲ披瀝スルト共ニ 只管皇国ノ必勝ト安泰トヲ祈念シツツ 永ヘニ御別レ申シ上グ

 尚父島母島等ニ就テハ 同地麾下将兵 如何ナル敵ノ攻撃ヲモ 断固破摧シ得ルヲ確信スルモ 何卒宜シク申上グ

           終リニ左記駄作御笑覧ニ供ス 何卒玉斧ヲ乞フ

       国の為 重き努を 果し得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき
      仇討たで 野辺には朽ちじ 吾は又 七度生れて 矛を執らむぞ
        醜草の 島に蔓る 其の時の 皇国の行手 一途に思ふ



心何処ーショート これで、二つ仕事が終わった。
           これで、仕事が二つ終わった。(12/19/11)
 おお、寒い。スキンヘッドに毛布を被っての寝直しである。小一時間程寝て、大欠伸と溜息を洩らして、モゾモゾと離れ難い布団から起き出る。

 仕方が在るまい・・・朝食後は、風呂を沸かして置いて、庭木の切り枝、落ち葉を燃やして、・・・ 窓拭きをして正月のスッキリ感をして置かねば為るまい。逃げてばかり居ても仕方が在るまい。遣れば遣っただけの事が、目に見えるのであるから。・・・ ヤレヤレの段である。

 乾燥が未だ足りないのであろう、白い煙がモクモクと上がる。消防車が飛んで来て、お説教を喰らう位の煙の中から、紅蓮の炎が燃え盛って来る。眉毛、睫毛がチリチリと焦げる。アッチャチャ~。落ち葉から落ち葉に火が燃え移って、火の番も大変である。大処の火勢が燃え立てば、後は綺麗さっぱり燃え尽きて呉れれば良い。

 下火に成った火の様子を見ながら、風呂の湯をバケツに汲んで、セッセと今度は窓拭き作業である。外側が終われば、中に入って窓ガラスをオイッチ、ニー、オイッチ、ニーの窓拭き作業の続行である。

 マダマダ時間が掛るから、先に風呂に入って呉れと云っても、一切聞き分けの無い老母である。窓拭きが終わった処で、軽めのパン食で昼を済ませた後は、入浴と洗濯である。いやはや、終わるのは四時近くに成りそうである。

   昨日も確り長散歩をして来たから、今日はサボリと致そうか・・・

 夢奇譚第五部の構想に、そろそろ移らねば為らないと思うのだが、中々、ストーリー展開が動いてくれない処なのである。散歩は割愛するにして、バッテリーが上がって仕舞っては拙いから、チョイとドライブでもして来ましょうかね。お天気具合を見れば、今夜も真冬の寒さと成ろう。寒い寒い、週の入りである。


マイギャラリー17
              マイギャラリー17 

  大講義なり眼鏡秋晴れ
南洋小島お天道様のお白州女族の抗弁イクラ色の月
  七面鳥狩り図_001洞窟生活ジョービタキのBバカンス
  苦悶の日々を脱して_001四部挿絵2四部挿絵3目下の心象画

 如何やら、年内にマイギャラリー17をアップする事が出来ました。相も変わらず、好色戯け画のオンパレードでは有りまするが、これも日頃の長駄文の館に足を伸ばされて下さる訪問者様への、感謝の気持ちで有りまする。大いに、笑って行かれたし。クリックすると、拡大します。戯け画に興味の有るお方は、カテゴリー内、マイギャラリーをクリック為されば、た~んと用意されて居りまする。ギャハハ~。














心何処ーショート 倅殿へ贈る戯れ唄
            倅殿へ贈る戯れ唄(12/19/11)

筋道持たば、プライドに踏み止まる瀬もあり、それ、心強くする原動力なり。
踏み外せども、道意識せば、自問自答の問い掛けに過ち知れば、帰る家あり。

     全ては、己が心の住処にて、その証人は、身に宿る己なり。

愛憎の葛藤に独り向き合いて、光明見出すが、己が拘りからの解放為り。
過ち多き生身の人間。故に行きつ戻りつ歩むのが、小人の歩み、軌跡なり。

在るべき筋の前に、小人の軌跡は、生き恥を晒すが、生きる日々の行為なり。
過ち気付かば、戻る勇気ぞ持たむ。戒心・改心の勇気に、微笑むは人の心、情けなり。

 恨み辛みに没し、ひたすら己が行いを正当化する愚挙の見苦しき物無し。

自問自答の再生産・精度増すには、己が内に他者、客観者を迎え入れる事、肝要なり。
小我に拘泥する様は、これ即ち、怨・恨の閉ざされたる思考・選択停止の闇なり。

   経験知・経験値は、これ即ち、他者の迎え入れの総和なり。
    経験にて自問自答して知る。これ己が検証値の道なり。
      経験値は、これ即ち、検証値の蓄積なり。

筋の道を見付け、プライドに生き、花と実の体現者こそ、自然体の味と奥深さなり。
   それ花咲かせるは、経験知にして、それ結実させるは、経験値なり。

目立つを嫌う野辺の光の下にこそ、醸し出る人間味と人間力の真っ当さなるや。
静かに眼を閉じれば、見えし。嗚呼、野辺に咲く。和み花の重なりの清々しさよ。


 あはは。倅よ、物臭好色戯けのオヤジでも、偶にはこんな思索の時間を持つ物なのである。交通事故に、無差別、通り魔殺傷者横行の時代・・・ いつ何時、落命してあの世に行くかも知れないのが、人の世の常かも知れぬ。

 オヤジ、倅トークで想い・言葉を記憶に残すより、こうして文字にして残すのも、人間の道具使用の在り方でもある。これも、私の徒然の記である。


心何処ーショート 世は、喧騒と閉塞の時代為りや。
           世は、喧騒と閉塞の時代為り。(12/18/11)
 金華鳥の一羽が死んでいた。オス一羽、メス二羽の新籠のメスである。番いに外れてしまったメスの哀れさを感じて、胸が重い処である。電話をしたかったが、止めて置く。

 小さい頃から小動物を飼育・観察して来た身であるから、然程のメランコリーには為らぬが、苛めに依る元気の無さか、体調不良に依る元気の無さか・・・案じては居たが、歳の瀬に成ってからの<死の骸>は、何んとも気の重い始末であった。

 昨日は、そろそろ窓拭きでもして置こうかと思い、スタバトーク後のホームセンター寄りでは、簡単窓拭きグッズを買って来た処ではあるが、今日は寒いから、窓拭きは止めよう。

 漸く、老母の朝のお茶入れも復活して、通常の老母、倅のテレビを見ながらのツッコミ悪態も始まっている次第である。本日は休息日の日曜日でもあるし、日課散歩も割愛しても、しなくても一向に差し支えあるまい。

 昨夜は余りの寒さに早々に布団を敷き、湯たんぽを入れて、温いコタツの中でラジオを聞きながら、時間潰しのお絵描きタイムをして居た次第である。

 別段、これと云った描きたい物がある訳ではない。この処、夢奇譚などと云う荒唐無稽な笑い話をシリーズとして打って居る処なので、何かしらの思い付く儘の絵などを描いて置けば、絵からイメージを貰う事も出来ると云う物である。

 ラジオでは来日の韓国大統領絡みで、所謂、従軍慰安婦問題が取り沙汰されているが、流石に中華帝国を宗主国と仰いで来た小中華の国民性の違いで、韓国側のエゲツ無さが際立つばかりである。法的決着が付いて居るのであるから、強制連行性奴隷と対価に基く売春行為の検証すら疎かにして、耳当たりの良い、内実、曖昧模糊の儘、綺麗事で済まそうとする『人道的配慮』などする必要など更々無いのである。

 歴史書物から見ると、売春行為は、世界最古の商売との事でもあるし、平和国日本の現御代に於いても、人種を問わずプロ、アマの売春行為が罷り通っているのは、一体、何を物語って居るんでしょうかね。

 戦後66年を経過するのに、難癖を付けて、大声を発してのユスリ・タカリの悪しき政治合戦は、聞く耳を持たぬの態度で接するのが、真っ当な外交だと思う。正常域の精神が、異常域の精神覚乱者と付き合って終えば、異常域に引き込まれて終うだけの話である。

 マスコミ報道も、韓国側の主張を客観的事象報道として、流すのも悪くは無い処ではあるが、日本側の政治態度と併せて、日本国民の声を代弁してコメント報道も挿入して置く事が、国民に一番近いマスコミ報道の採るべき姿勢では無いのかと声を大きくしたい処である。

 眼に見える、耳に聞こえる事象、情報と云うのは、少なからず表向きの加工が施されて居るのが、<通り相場>と云う物である。当事者には一方の真理と心理が在り、他方には他方の真理と心理が在る。そして、利害関係の無い側からすれば、双方の真理、心理をつぶさに観察思考すれば、また違った背景事象が見えて来る『仕組み』に成って居るのだろう。

 へへへ、倫理廃れれば、益に公私の違いなど在る筈も無く、在るは金銭益の見苦しき化粧合戦が、仄見えて来ると云った処でしょうかね←全くの下衆私感でありまする。

 そんなニュース報道をBGM代わりに、シャープぺンを動かして居ると、顔顔顔顔の続きと為って仕舞った。

 あれあれ、魑魅魍魎の顔の浮かびと為って仕舞った。こりぁ、纏まりまするかな???

 さて、如何したものかと・・・煙草とコーヒーの一服である。色鉛筆のケースを開けて、色を加えて見る。瞼の下の水色は、勿論、涙である。さて、その涙の出処の真理・真相・心理を如何に読み解くかが、この絵のテーマである。顔に色付けをした物の・・・余りに大きな余白の浮かび上がりである。

 へへへ、これでは、幾ら私がスカンポ脳の持ち主であっても、絵には為らぬ代物である。

 諦めれば、これぞ没画。手を加えて、余白を埋め、余白を繋げれば、想いのイメージが生まれると云う物である。

 煙草に火を付け、干し柿の甘露をブラック・コーヒーにマッチさせて、色鉛筆をカッターナイフで削りながら、顔顔顔の現代顔摸様の浮かびに、余白に施す色合わせを考える。

 劃して、出来上がった毎度の一枚で在りまする。ファイルに収めて見れば、モンゴロイド北米インディアンの先頭ペインティングの図と見開きの、何とは無しに符合するセット画の雰囲気が漂った来る。

 へへへ、自画自賛の二枚画には、<世は閉塞の時代なり>とでも名付けて置きましょうかね。

            
            世は、喧騒と閉塞の時代なり

      苦悶の日々を脱して_001目下の心象画実・相は何処に





心何処ーショート 有難や、スタバの息抜き交歓タイムなり。
         有難や、スタバの息抜き交歓タイムなり。(12/17/11)
 さてさて、本日、土曜日である。心友Tに、T&R主演の<夢奇譚第四部・戦国初頭にて>を挿絵の枚数を加えて、製本テープをあしらえて小冊子としてプレゼントすべしなのである。

 朝食を終えて、片付けようとして居ると次兄さんの登場である。早速、バトンタッチをして自室に戻り、印刷を始める。白紙を表裏に加えて、表紙裏紙として体裁を整えて置く。

 Tからの電話で、髭を当たり、クリームを塗り込んで、炭焼きスタイルから、弟差し入れの衣服を纏う。鏡に映る自画像を見れば、へへへ、馬子にも衣装の段である。

    戯け画ファイルと、干し柿を二つポケットに入れて、お迎えの車を待つ。

 寒い真冬並みの朝ではあったが、正午近く為ると真っ青な空には太陽が燦々と輝き、冬の気温をグングン上昇させている。コーヒースタバの二階席は、既に春のポカポカ空気の様である。入口近くにS大仏文学の先生が、コーヒータイムを取って居られる。

「先生、お久し振りです。今日は絵を持って来て居るぜ、見て笑っておくれや。」
「はい、楽しい絵を見させて頂きますよ。ハハハ。」

 教授先生にファイルを渡して、コーヒーはと見れば、遺憾いかん、受け取らずに来てしまった。頭を掻いての階段下りである。

「なぁ、R、そう遣って、俺達ロートルは、呆けて行くんだぞや。嗚呼、歳は取りたくは無い物だ。」

 へへへ、面目次第も無い。何処で如何したものやら、私には一切心当たりの無い<空上り>であるから、丸で処置なしの『呆けの一里塚』に差し掛かっているのだろう。弱った物である。

「如何だい、これは、心友Tへのプレゼントだいな。」

「おうおう、サンキューな。もうもう、ゲラゲラのオンパレードで、楽しませて貰ったぜや。よくもまぁ、想像力一つで、あれだけの話をデッチ上げて、ストーリーの落ちを決めれるもんだわさ。」

「あいあい、俺ぁ世間様が見下す程、好色馬鹿じゃないからね。好色ロートルのヤクザもどきコンビの掛け合いと、時代描写、風景描写の地の文章との落差、ギャプが好くマッチしていて、これぞアガタ・ワールドの真骨頂味が出て居たズラよ。
 それに、黄フンドシの降参図が、出色のインパクトだったろう。云って見りぁ、利口じゃ絶対に描けねえ、馬鹿でも絶対に描けねぇ。これぞ、<中途半端者の独壇上の冴え>ってモンだわさ。ギャハハ。」

「おぅおぅ、あれは傑作中の傑作だ。PC開いて、絵を拡大観賞する度に、笑い転げている始末よ。やあやぁ、あれぞ正しく俺達<番から男子進学校の面目躍如>だいな~。ブログ絵は、色が薄いからさ、こう遣って原画を見ると鮮やかさが違うから、インパクトがグッと迫って来る。好くもまぁ、スラスラ頭の中にある物を、形に出来るもんだぜや。」

「何をこいて、見栄を張るから、描け無いだけだぜや。云って見りゃ、物語のシーンを一欠片の曇りも無く、真っ正直に形に映せば、あの絵以上でも無ければ以下でもあるめいよ。尤も、脳裏の写実に些か拘って、手が滑った途端に、女族様からは、大ブーイングのザマだったけどさ。
 こっちゃさ、心血を注いで、夢奇譚シリーズを打って居るんだけど、公開コメントゼロなんだから、シリーズを続けて好い物やら、無視の反応に懺悔して、ブログ閉門謹慎すべきか・・・思い悩む日々の連鎖って処だわね。あい~。」

「やあやあ、シリーズの続行だぜや。世の中広しと云えども、こんな物を書く人間は、希少種中の希少人間だぜや。まな板のコイ、天賦の才と思って、吾が道を進むしかあるめい。アハハ。
 映画のボランティア・エキストラに始まって、映画監督の罵声で終わるなんて、テクニックは、並の脳細胞じゃ無いわな。京のやんごと無きお姫ぃ様の身検めの行でさ、俺は、未だ京女とお手合わせをして居ないだよ。冥土の土産に、<京女様の味検め>をして見たいもんだぜや。

 俺は、普通、周りのヤツからトッポイとかトボクレているとかの印象を持たれて居るらしいが、自覚症状が丸で無いのが、人間本人の正体だろ。Rにこんな風に、日頃の俺を描写されてしまうと、そうだったんだ~なんて、気分にさせられちゃう処が、文字描写の凄い処なんだろうなって、思わず鏡に手前の顔映して、まじまじ自分の面を眺めちまったわな。」

「そうかい、Tにもやっとこさ、自分の行いを恥入る心境の訪れかいな。その第一歩を、俺がプレゼントする事が出来たと云う事だ。老い先は、短いんだから、朝、鏡を見て、過去を悔い改めて、心静かに写経の進めだぜや。」

「何を扱きぁがる。幾ら頭剃り上げて、高僧面したって、昔から、<生臭坊主の果つる無きが、人の世。>なんて、喝破もあるんじゃい。臍下三寸男の公開淫行が、性根の欺瞞性を取りも直さず、曝け出してる<幕落ち>だったじゃねぇか。このド助平野郎が。」

「さてさて、此処も暑いわな。パッパでも吸って、ホームセンター、スーパー寄りでして行くかいね。アハハ。」

 折角、お洒落をして来たのである。何処ぞに、好みの女は居らぬか・・・階下に下りると、下のスタバに一人居るでは無いか。ほっそりした歳の頃、40代の主婦様が、インテリ振った姿形で、一人、本を読んで居る。へへへ、暫し、観賞をして行くか。

 外煙草をしながら、

「ありぁ、見るからに、Rの好みのタイプだわな。スッキリと整った顔立ちと、隙の無い態度だ。アハハ。オバさんの方も、Rに興味顔だったぜや。好い男が、炭焼きスタイルから脱すると、効果覿面って事かいなぁ~。男も助平、女も助平だいなぁ~。」

「あいあい、俺はあの手の女が好きなんだけど、彼女、ボリュームが無さ過ぎるわな。服を着て居るから、まあまぁ、様には為るけど、裸にひん剥きゃ、鳥ガラ本体じゃ、ISO規格品も、場合に依っちゃ凶器扱いってもんさね。ロシア女の肉付きが欲しいわな。あい~。

 でも、如何なんだろうね。お頭の出来は、Hちゃんクラスかね。女って代物は、兎角ポーズを採りたがる生き物だもんな。外見だけじゃ、女の騙しテクニックの方が、男より先天性の巧さがあるからさ。付き合って見なきゃ、中身の確かめ様も無いしな。へへへ。」

「あいあい、そう云う事ったいねぇ~。素人さんに近付いちゃ、男仁義に欠けるぜや。一線を踏み外さないのが、俺達番から高のプライドだせね。お前の云う様に、誰も見て居ないと、一線を踏み外して仕舞う男と女が多過ぎるし、世の個人主義的過ぎる現実迎合的な論理、主義主張が、浅はかマスコミの作られた流行の中で、厚顔無恥に蔓延するタガ外れの現代風潮だけどさ。

 いざと云う時の硬派のプライド、倫理への踏み止まりが、プライドの本態なのに、それが丸で分かっちゃ居らんのが、嘆かわしい限りだもんな。
 
 お前さんの文章の中に乗って居た『家殺しの大罪』の個所に、流石に鋭い感性と広い教養、現代に対する憤りを感じて、身が引き締まったぜや。俺は、良い友を持ったと感謝してるわね。

 いざと為りゃ、<弱音を吐くな。大道を闊歩せよ。>の校是は、男仁義のプライドだからな。考えて見れば、俺達は良い高校で三年間をゴタぐれて来たもんさね。今はさ、何処も彼処も男女共学校で、俺達の男子高、女子高のプライドの校風が、懐かしいく思う事がある。プライドの拠り所を失くしちゃ、人間はお終ぇだもんなぁ。

 俺は、時代に抗するお前の文章が、真から好きなんだぜ。下らんコメント爆撃なんかに、神経を尖らせるなよ。まぁ、お前は強過ぎるから、如何って事無い様に見えるけどさ、長い付き合いだからな。内心はプライドが高くて真面目で、傷付き易い感受性と温情豊かで壊れ易い男だからさ。

 でもな、R、無理をするなよ。しんどい時は、遠慮は要らんぜや。何時でも、俺はオープンにして在るからな。」

★へへへ、そうかね。T、アリガトさんよ。高校で初めて友と思った男との付き合いである。親友が、歳と共に心友と為り、その男が、私の至らない文章を全て読んで呉れて居るのである。そして、長駄文の一節を、その行間までにも心情を及ぼして観賞して呉れて居るのであるから、以心伝心の有難さと感謝の気持ちで胸が熱く為る。

 おやおや、帰って来れば、次兄さんは早いお立ちである。老母と向かい合うとは云っても、自分の愚痴ばかりを話す次兄さんスタイルなのではあるが、そんなスタイルが、老母の母性を擽るのだろう。いやはや、人との相性、親子の相性とは、摩訶不思議な模様振りである。

 スーパーで買って来た在り来たりの物と自家製漬け物で、一時半を回っての昼食とする。


心何処ーショート 長散歩にて
                  長散歩にて(12/16/11)
 小雪がチラついたり、晴れ間が拡がったりで、大変に寒い向かい風からのスタートである。下へ橋を二つ下っての対岸歩きである。

 おやおや、交通事故である。自転車が転げ、車が道路標識に衝突して、後続車も接触の沙汰である。つい、二、三分前に歩いて来た民宿の辺りである。道路には七、八人の大人の男女が居て、道路には怪我をした人が、毛布に包まれて伏せって居るのが見える。

 目前の橋を渡れば自己の摸様と話が聞けるのではあるが、野次馬は性に合わないから、其の儘、前を見て散歩のテクテク歩きである。車通りが多いから、河川敷に下りて歩く。芝生の河川敷には、モグラの掘り返しが幾つも有る。奇妙な事ではあるが、寒く為るとモグラのヤツは、地表近くをトンネル走行するのだろうか・・・ 夏場はトンとそんな掘り返し痕は見掛けないのだが・・・ 

 考える事も無いから、疑問の散策をすると・・・ 地リスの仲間のシマリスを飼って居た事がある。シマリスは寒い時期に、交尾をして春先に子供を何匹も産む。地リスなのであるから、無理矢理に彼等を地中生活者のモグラと同類に当て嵌めて見ると、冬の地中は交尾の最盛期なのであるから、オスがメスを求めて動き回り、メスを求めてオス同士が地中バトルを繰り返して居ると考えると、寒い向かい風ではあるがニヤニヤの段なのである。

 長散歩正規コースの1/3程に来ると、発汗作用で軍手、毛糸の帽子、チョッキを脱いでの歩調を緩めての体温調整歩きである。誰も歩いて居ない道を、田、畑、畑で作業などして居る腰の曲がった老夫婦の姿などを視界に入れて、マイペースで上り勾配の一本道をフーフー息を整えながら歩くのも、私にとってはこの上ない気持ちの良さでもある。

 群れを作った雀達が、バサバサと幹線道路の街路樹、植栽を渡って行くのも、この時期の見なれた光景である。その年に生れた雀達は、冬に成ると集団化して餌を求めて移動するとの事である。里に餌が枯渇すると、彼等は死出の旅を敢行するとの事でもあった。

 幹線道路の歩道を、人相風体の好からぬスキンヘッド男が一人、黙々と歩く姿はドライバー達には、珍しく映るのだろう。一様に私を見て行く。一人、寒風の中を黙々と歩くスキンヘッド男が、ニヤニヤして歩いている訳では無いのであるから、私と眼が合うと、ぽいと眼を逸らせてしまう。

 アハハ、俺ぁ、ヤーさんじゃゴザンせんよ。安心為されよってな物である。

 延々と歩いて、上の折り返し点・H橋の上から、澄んだ川面を眺めるが、魚影はゼロである。少し上って、今度は山際のくねった下り勾配の道を、小又歩調で歩く。体重が重いから、下り勾配は小又歩きの方が、負担が少ないのである。

 アスファルト道を外れて川の土手道を行く。勿論、舗装の無い農業車の輪立ち道である。再び毛糸の帽子と軍手、チョッキを来て小雪舞う向かい風の中である。田んぼも畑も枯れ草の眺めの通る一滞である。
 誰も見ちゃ居らんから、腕の正拳突きなどをして、体温上昇をして歩く。再び農道のアスファルト道に出て、迫る山の様子を見上げて歩く。風が、奥深い山の音を唸らせて、シジュウカラ、エナガなどが、ピィー、ピィーと単発の声で鳴き交わしながら、山の雑木の小枝を渡って行く。

 再び道は川に沿って、長々とした下り勾配を呈する。おやおや、カワセミを見付けた。町会境のS橋を通り過ぎると、土手道にパトカーのチカチカが回って居る。おやおや、大分、遅かった事故検証の模様らしい。

 1時間50分程度の日課散歩ではあるが、この位の外歩きをしないと、頭の整理も、考えも、気分の紛らしにも為らないのであるから、これは代謝と精神衛生上の観点からも、続けなければ為らない、私にとっては大事な日課なのである。

  さてさて、留守中のコメント爆撃は、いか為る事に成っているのやら・・・


心何処ーショート シャー無い、しゃ~ない。
              しゃー無い、しゃ~ない。(12/16/11)
 昨日も、コメント爆撃とやらで削除消火で働かせて貰った物である。最後の仕上げで深夜削除作業をして、今朝に至ると・・・オオ、モーレ~ツ~でありまする。何とその数140弱では無いか。事務的に一つづつ消去している間に、自分のコメント御礼まで消去して仕舞った次第である。

 へへへ、これ以上の<とほほ感>は無かろう。コメントを頂戴したのであるから、拒絶以外は、お返しをするのが常識である。やれやれ・・・

 昨日は、弟の会社に車を交換に行き、飲み会までの何時間かを松本駅前のガストでコーヒーをお代わりしながら、大いに談笑して気分を好くして来たのであるが・・・

 世の中には、私の様なタイプの人間が大嫌いな人種も多数居られるのだろう。へへへ、蓼喰う虫も好き好きは、世の倣いにて、振り上げる拳も、相手の見えぬ顔故、自分で鎮静化するしか手立ての無い処が、愈々(いよいよ)以って、腹立たしい限りである。

 こんな時の自分への慰めとしては、成る程、ブログ樹海の辺境ブログにも、掃き溜めの鶴の輝きと<自画自賛>するしか無い処である。私がカリカリすればする程に、相手はカッカ、カラカラと楽しみの倍増域なのであるからして・・・

 いやはや、斯様にして<人間の負の趣味、嗜好>とは、全く以って『闇の中で蠢く意地悪さ、意地汚さ』と云った代物なのである。こんな物にカリカリしたら、折角の禿げ頭をすっきりスキンヘッドにした甲斐も無く、床屋銭の掛るフサフサ怒気の毛髪の蘇りと為って仕舞うだけの事である。

 古来より云い古された『短気は損気。短気は粗暴犯の引き金。』が、精々の落ちであろう。

 昨夜は、吾が戯け画のお師匠様の愛様に、コメントにて、吾が男族の思いとしては最高傑作を、女族様から見ると顰蹙画の大侮蔑画と一蹴され申した。そんな事で、四畳半定位置を後にして、コタツでボチボチ、唯今の吾が心象画を描きながら、眠りの訪れを待った処でも在った。

 モンゴロイド北米インディアンの戦いのペインティングを顔に印した怒りの戦意鼓舞為れど、一切姿を見せぬ不明の闇を前に、誇り高きインディアン戦士の胸に去来する物は、何か・・・これまた、描き手の心象余韻画の一枚で在りまする。へへへ、そんな吾が心境映しを一枚の戯け画に込めて見た次第でありまする。

 本日、雪雲垂れ込める風強き日で在りまするが、着膨れした衣服の下の体細胞が、運動の食事を欲して居る処でも在りまする。

 さてさて、これも、私が拠って成り立つ細胞群故に、彼等を鎮火させるのも管理者たる私の務めでありまする。やれやれ・・・こりゃ~、寒いでガンスよ。
                

                  目下の心象画
                 目下の心象画


心何処ーショート さて、今日の雑感。 
                さて、今日の雑感(12/15/11)
 あれあれ、弟からの着信が何回も有る。電話を掛けると、怒られて終った。

「何か在ったかと、心配してたんだぞ。兄貴の性格を一番知って居るのが、この俺だ。切れたら、何を仕出かすか、肝据えられて暴れられたんじゃ、処置の仕様が無いからな。何回電話をしたと思ってるんだ。そうかそうか・・・冷静かいな。」

「そりゃ、そうさや。この前、ご舎弟さんに死んだ長兄さんが、乗り移った見たいなオッカナイ顔で長々とお説教喰らちゃったからな。兄貴の言葉だと思って、拝聴して居たわさ。アハハ。今ん処、大丈夫だから、安心しな。アリガトさんよ。」

「そうだぜ。心配してるから、弟でも、兄貴にお説教喰らわすんだぜ。いざと為ったら怖いRちゃに、一体、誰がお説教役を買って出るんだい。それが兄弟じぁ無いか。俺に惨めな世話を掛けるなよ。あい、そんな事ぁ、分かってるズラい。」

 代わりの車が会社に届いて居るから取りに来て、その足で旅行無尽の会場まで乗せて行って欲しいとの事である。

 へへへ、人間とは、気が在れば心が動いて、行動に現れると云う物である。これは、正直に生きるタイプの行動様式の様である。まぁ、末っ子さんであるから、ズケズケ物を言う物である。

 それが言葉優先タイプに為ると、口では何かと体裁を繕う物の、そもそも気が無いから、心が動かない。心が動かないから行動が伴わず、忙しさと忘却の途に乗って居るだけの事である。気、心の動かぬ者の顔には、表情が乏しくなるばかりの奥行きの無さに現れて、観賞するに足る人間味・人間力を醸し出す顔付に為らないだけの事であろうか。タイプの違いは、顔付、言葉使いで、早々に分かると云う物である。

 人間の存在感と云う物は、決して人当たりの印象、語感に非ずして、五感から感じられる全体像なのだと思うが、この頃は、言葉達者の者ばかりが、自分の言を吹聴して居る様で、私の様なロートルの感性を惨めな段階に運んでしまう。太刀打ち出来ない時代の流れなのだろうか。

 他人と接し、対峙する場合もある。対峙、対決する場面でも、人には人其々の得手不得手が在るのは、これまた、至極当然の事でも在る。対峙、対決する場合の獲物にしても、竹刀、木刀、真剣、槍、薙刀の種類も有るだろうし、相撲、柔道、空手、レスリング、ボクシングの違いもある。これらは、同じ武の中の類型である。
 文武と云う位の物であるから、文の討論時に、獲物違いの武が突如登場して仕舞っては、青筋キリギリスバッタのテリー何某かの下郎言葉の息撒きが精々の結果なのであろう。見るも汚なき次元違いの異種の感情遺根を残すまでの事である。

 文武一体型の人間同士が、対峙対決するのは好ましい場面ではあるが、文と武が隔絶して居る当事者間では、端から対処法が異るまでの話である。言葉の中には、厳として言葉の暴力も包含されている。言葉に傷付くと云うのは、正に言葉の暴力が内包されている証左では無いか。暴力を殊更、物理的暴力のみに限定して定義し様とするのは、悪しき言論の無統制と云うより他あるまい。

 言葉の暴力に対する物理的暴力の発露は、精々が情状酌量の減軽余地を残すまでの法体系下に在っては、小賢しき言葉使いの輩には天国の居心地の良さであろうと思われる。言葉に対する相手からの加撃に対しては、いち早く反応するが、己が相手に対する言葉の加撃には鈍感乃至意に介しない過敏症タイプの輩が、多いのが何時の世でもの娑婆模様なのであろう。

 言論の自由を傘に来て、隠れ蓑と悪用する多言人間とは、私は如何しても反りが合わない。困った性分である。

 まぁ、こんな事を打ってしまったのは、昨夜のクローズアップ現代で取り上げられて居た、<優しい虐待問題>が伏線に在るのだろう。クローズアップ現代の問題取り上げ手法、解説手法こそが、取りも直さず現代のクローズアップされるべき手法ザマなのだと思う。

 或る母親の泣き言が、その全てを象徴している様に、私には見えた。子供に善かれとして、小さい時から躾け、教育・習い事に傾注した揚句が、自己葛藤から自立出来ない登校拒否児を産んで居る側面も多なりとの事でも在り、自分が娘から母親に成って、気が付かされると嘗ての母親に対する反抗の心と同じ反抗の心を娘に抱かせていたのだと、泣き崩れる母親の現在の姿を強調する<クローズアップ現代とは、何ぞや。>の冷めた感想しか持つに至らなかった次第である。

 正に、この姿の中にこそ、現代が映し出されているのだと思う。子供が、ある日突然に大人に為る訳ではあるまい。大人の皆さん、戯けた事を言っちゃ行けませんわね。子供と大人の世界に、心の問題として如何程の違いが在ると云うのだろうか。

♪大人、大人と威張るな大人。大人、子供の為れの果て。子供、子供と威張るな子供、子供、大人の一滴。♪ソ、ソ、ソクラテスか、プラトンか、皆、悩んで大きく為った。

 この位の大らかさと記憶力さえ在って、自問自答すれば、何も大学の専門教師のカウンセリングに頼る事もあるまいに・・・自分が子供時代の親に対する体験を経験知、経験値として留め置いて、吾が身を吾が娘、吾が母に置き換えて、五感の中の観察力・直感力を発揮すれば、早期の段階で、自ずと問題解決へのアプローチも叶う処で在りましょうや。

     宜しいですかな、それが人間の持つ学習能力の効果でしょうが。
 何故ならば、自分が経験者なら、言葉の隙間、行動の隙間を繋ぐ体験記を持って居るのであるから、埋めようも御座ろうよ。それを遣らぬは、親の鈍感さ、親の言い逃れ、親の逃げの要素の方が強かろう。

 躾け、教育として、形を為すと云うのは、こう云う事を云うんじゃないでしょうかね。童心を失くした大人に、何の魅力、何の説得力など築けようか。説得力の大部分を占める相手への突破口は、自分と他者との同心円なる物の共有感情でありましょうや。
 分析、解析を専門家に丸投げして仕舞ったら、折角の機会、家庭・家族の再生の機会を逃して仕舞う事に繋がり兼ねまい。
 教育、働き掛けが、例えその時に結果として効果が見えなくとも、タイムラグの時を経過して、心の情景にそれが刻み込まれて居れば、遣っただけの効果は在ったと思うしかあるまい。

 人間の経験知、経験値を根底に置いた観察眼の衰退こそが、現代を覆う閉塞感と所在無さが漂う無機質の色合いを、蔓延させている心因にして、真因では無いんでしょうかね。

 スーパーで、市販の白菜漬け、大根漬け、梅漬けなどを買えば、商品であるから、見栄も味も、場所も取らずに重宝この上ない限りである。然しながら、それは市販品と云う画一的大量の消費物にしか過ぎまい。種を蒔いて、世話をして、実らせ、漬け物に漬け込んで食卓に上らせれば、それは其々の家庭の味として引き継がれて行く物であろう。

 以上、お山の大将、本性の暴露されて終った下衆ロートルの雑感の一片でありまする。打つも十人十色、感じるも十人十色。一々、気兼ねをして居たら、何も打てませんわね。

        へへへ、これもまた、開き直りの一文でありまする。


心何処ーショート へへへ、吾が正体ばれた為り。
           へへへ、吾が正体ばれた為り。(12/14/11)
 大寒~い。布団から抜け出す勇気が無くて、布団の中で、朝のラジオを聞く。さてさて、起きねば、元の物臭癖が付く。朝食を終えて、一服を付けて居ると、ヤクルトママさんのコールである。

「はいはい、ちょっと待っておくれやね~。」
 
 玄関に行くと、寒さで色白の鼻を赤くしたヤクルトママさんが、ワインレッドのジャンパーの中で、かじかんで居る。夢奇譚・第四部の大傑作があるから、ウッシッシ~の感である。ママさんは、どれどれと頁を捲って。

「キャ~、Rさん、一体何描いてるんですか!! 食み出てるじゃ無いですか。オェ~、気持ち悪い。私、こう云うのはパスパスで~す。」

 アジァジァ、変態扱いされて、事も無げに一蹴されて終った。夢奇譚第四部、後半の山場をこれ程に、描写し尽くした戯け画は無い筈なのではあるが・・・ 戯け画の観賞は、十人十色であるから、これまた、止む無しの黄色フンドシの<降参>の沙汰である。

 拍手コメントを見ると、いやはや~、吾が正体、化けの皮を見事に剥がされて、へへへ、糞味噌の扱き下ろし最後のコメント残しである。
 まぁ、耳の痛い処ではあるが、一方から見れば、これが粉う事無き吾が正体である。好き嫌いで物を判断して仕舞うお山の大将にして、無反省人間の独り善がりのお山の大将、見る視点を変えれば、それも真為り。・・・お見事なる喝破。左様で在りますよ。

 私の本態は、幾ら温厚に演技しても、所詮は口より先に手の出る狂暴、粗暴人間の武闘派なんでありまする。顔も声も知らずに、親しく為れるなどとの<無防備な錯覚>で、距離間を考えずに踏み込んで来られては、論を構える技量の無い私の様な下衆男は、感情派、肉体派の牙を剥くしか仕方があるまい。私は、そんな低レベルの男なのでありまする。

 ブログを張るのがブログ管理人の権能なのであるから、暫しの間、<こんなご意見も頂戴しました>と公開するも、その後の処置は、ブログ管理人の処分権の及ぶ処では無いか。天文望遠鏡で覗けば、お互い50歩100歩の言い分で御座ろうよ。

 面識など皆無の他人ブログに来て、持論を長々と展開したいのなら、自分のブログにて、字数無制限の論壇を張れば良いだけの事である。お互いに、思う処が在って、想いを文字に込めて不特定多数に、発信して居るだけの事である。
 至らぬ処、山積の浅学非才の身為れば、所詮は自己満足の垂れ流しのザマと為るのは、必定の事。専門家の議論作法など、素人の私に詰問するなど、時間と感情の浪費でしかあるまいに。

 他家の庇を借りての長文持論展開は、素人の集う個人ブログの域を逸脱した狼藉行為と判断されても致し方あるまい。所詮、ボタンの掛け違いは、早期に袂を分かつのが、無用の軋轢を生じさせないが為の、<小人の生活の知恵>でも在りますれば、どうぞ、了承下され度く。

              絶交のご勇断に、感謝致しまする。 

 さてさて、濃霧の後のお天道さんの輝きである。米屋さん経由で個人スーパーと買い出しにでも入って来ましょうかね。

 ロートル寄りあい所では、何やら、町会運用の在り方に付いて、熱ぽい話の最中である。へへへ、そそくさと退場して、個人スーパーへ自転車漕ぎである。

 手作りの茹でアヅキも在るからして、カボチャ、切り餅でも買って帰ろうか。玄関の戸を開ければ、玄関上がりに白菜の山である。買い物を収納して、昨日に引き続き、北山の眺望を眺めつつ、日課の長散歩に行って参りまする。


心何処ーショート 弟からのプレゼンと
                 弟からのプレゼント(12/13/11)
 朝の最低気温は、成る程、緩かった物の、温度の上がらないとの予報通り、居住区の空気の総入れ替えをしていると、真に以って寒い限りである。

 髭が伸びると、自分でも嫌に為るほどの白さである。朝食後は風呂でも沸かして置いて、スキンヘッド共々、ツルリと剃り上げるとしようか・・・ 洗濯機を回しながら、風呂に入って居ると、弟が来た様である。

 まぁ、私が入っている間、老母の話し相手でもするが良かろう。車が逝かれて終ったから、安い程度の良い車を月賦で買ったとの由。日頃、母親介護のオンブにダッコであるから、私にプレゼントとの事である。
 無職ロートル賄い夫に移行してから、普段、車は殆ど乗らない。どちらかと云えば、車は私の生活にとって、無用の長物である。然しながら、弟は弟で、私の努力に弟として、何かして遣りたいの気持ちなのであろう。気は心であるから、有難く頂戴する旨、伝える。

         タオルで前を隠して、廊下を歩いてパンツを探す。

「俺も、家を処分するんで、整理してたら、着る物が一杯出て来てさ。着て貰おうと、冬物のセーター、シャツ、ズボンを持って来たわ。物書きなんだから、この位の物を着て、少しは色気を出しましょや。」

「やあやあ、そんな物は要らんぞ。前はさ、夜、飲みに行く事もあったんだけどさ、飲んで居ると、何で俺だけが貧乏籤を引かにぁ為らんのだと思って来ちゃってさ。
 滅入るよりも、外に発散出来た方が、人間は楽しいからな。行くと又、行きたくなる。そんな事でさ。助平心の封印に、炭焼きスタイルで通して居るんだわさ。人間、歳とってから<狂い咲きの色気>に火が付くと、<碌な顛末>が待っているとも限らんわさ。」

「馬鹿こいちゃ行け無ぇわや、人間、色気を失くしちゃ、お終いだよ。四月には、ヤクザもどきのコンビを連行して、ボラガイに行くだんね。Rちゃはモテるんだから、少しは着る物に気を使いましょや。ほれ、これとこれを着て見れや。」

「あいあい、こうかいね。」

「そうさや、ちゃんと、似合うヤツを見繕って来たんだ。今日の散歩は、それで行きましょや。隠居するには、まだまだ早いわね。ガンガン、女引っ掛けて来ましょや。俺達ぁ、歩いてるだけで、昔からモテモテ兄弟だったんだからさ。外見も中身も、そこん所そこいらの男とは違うじゃい。
 今度は、これ着て見ましょや、家に居る時は、四畳半で物書きずら。好いわ、好いわ。グッと渋いじゃないの。似合ってるわ。その線で行きましょや。あい。」

 左様で御座るか。馬子にも衣装の口らしい。まぁ、これも仕方の無い事である。何しろ、幼稚園坊主の弟に急かされて、私は情け無くも、小学校に連れて行かれた間柄である。

 全てを処分して、一から出直すと云う弟は、真にサバサバして居る。体重も増えて来ている様である。苦渋期を脱して、サバサバ活き活きとして居る弟を見るのは、兄として嬉しい物である。

 暫し、遊んで居た旅行無尽の彼是に、花を咲かせた次第である、フィリピン好みとロシア好みの違いは歴然とはして居る物の、どちらも女好きの性格は、親爺譲りの遺伝子の作用する処か。へへへ、困った兄弟である。

 話題を変えて、
 昨今の戦後66年の米国占領政策下のすっかりアメリカナイズされて終った敗戦国日本の政治状況は、丸で破産国米国の日本の富強奪の形振り構わずのTPP参加問題に象徴される現ドジョウ政権の沙汰でも有り、昨日の中国魚船の韓国海上警察官殺傷事件に象徴されるが如き、低民度国中共国の言語道断振りの両大国の中で、憲法改正の自主独立、自衛隊の国軍編成の絶好の機会にも拘らず、事態の変化を殊更、<弱腰多弁の逃げ口上>ばかりの政治家集団でしか無いのが、憤懣遣るかたの無しである。

 戦後強く為ったのは、靴下と女と揶揄されたのではあるが、身勝手な個人主義の涵養で、女権の伸長が権利義務の均衡を破って、権利伸長ばかりの女権運動に走り、戦前の型の中に、居所を見い出して家を守ると云う『本分重視の日本古来の伝統』を瓦解させ、個人の能力、自由、権利ばかりに、行動が向き過ぎてしまった風潮を営々と築いて仕舞ったのが、戦後66年の現在かも知れぬ。家制度からの脱却は、取りも直さず<家庭の崩壊>を招いて仕舞ったのは、否めない現実であろう。

 下らないトレンディ・ドラマがガンガン流れ、<何時までも、自由に輝いていたい個人>の口車に乗って、フリーセックス、不倫を日本社会に蔓延させてしまった元凶の所在すらも一顧だにせず、現時現実の狭い身勝手の欲望に走る。
 馬鹿も好い加減に晒し遣がれってな物である。人の一生は、上昇線、放物線に非ずして、円を描いて、土に還るまでの事である。円の中に、其々の時期、時代の一片に、己が光を放つのが、人間の真っ当な軌跡であろうが。
 小説、映画、ドラマ、週刊誌、三面マスコミの付和雷同の先兵ザマに容易く乗せられて、時代の先端を闊歩して居るなどと云う錯覚は、正に自我無き表層雪崩現象でしかあるまい。

 ケジメ、苦痛を伴う<落とし前>も付けられぬ生半可、卑怯者の群れが、流行の満員電車に乗る愚は、正に『日本文化の終焉』でしかあるまい。

 歴史、伝統が在れば、其処には幾ばくかの自分を型に嵌める生き方が生じるのは、極々当然の生き方にして、型に嵌める修行の彼方に一筋の光明たる自分の客観的生き方が、自問自答の中で、経験知、経験値として個人に備わり、他に対する配慮、心情が育まれて行くのであろうが・・・ これこそが、歴史、伝統の社会に生きる人間の在り方である。

 一方、歴史、伝統の乏しき国家、社会と為れば、長い時間軸の中で型として育まれて来た物が無ければ、無主物占有、先取特権の個人が幅を利かせる思想、社会でしかあるまい。 
 従って、其処には個人優先のアメリカン・ドリームの夢が、大衆に拍手されて迎えられるだけの事である。個人優先のアメリカン・ドリームと為れば、個人の能力、機会均等の補償、財の個人補償と云った処が、唯我独尊の個人ドリーム獲得競争の<三種の神器>として保障されねば、その構成要件を具備出来ないまでの事である。

 グロバリゼーションなどと云うTPPの裏には、日本の伝統的家制度に依る構成員思考と米国の身勝手個人思考との思考対立軸を、見誤っては為らない核心が在ろう。

 昨日のラジオに依ると、今年の漢字は『絆』との事であった。その支持率は、11%強との事であった。11%強の支持率で在っても、一度、それが2011年の漢字に選ばれれば、東日本大震災・大津波、福島原発事故に相俟って、家族、地域、日本、世界を繋ぐ善意の人々の連帯、復興を願う<絆>として、金字塔を立てるが如き、その年の象徴漢字の地位を確立するのだろうが・・・その支持率は11%強が、その実態なのである。

   宜しいですかな。それが、流行、トレンディの意味する処で在りまする。

 嘗て、人殺しは大罪中の大罪であった。そして、日本社会では、家殺しも大罪中の大罪であったのである。家は、家庭の最小単位で構成される時空を超えた、守るべき日本人の心の在り処でも在ったのである。そして、家庭の構成員相互を結び付けて居た物が、<絆>で在った事は、紛れも無い事実であった筈である。

 絆の強さが、家庭の躾けの根底には在ったし、躾けと云う型に嵌める工程が在ったらばこそ、<型の中に在る在るべき方向性>への家族構成員の共同心情、行為が、絆を担保して居たのであろう。それ等の諸々の結び付きが、家庭、組織、地域、国家の同心円を形成して居たのである。

 家制度の持つ意味、家族の在り方への反省も無く、家庭崩壊が蔓延する現代日本社会に在って、何が絆であるか。顔を冷水で洗って来て、先祖に詫びを入れてから、絆の使用を許可させて頂くのが、真っ当な人間の本態と云う物であろうが。

 大学進学率が、50%を超え、その推薦入学率が50%を超えると云うのであるから、我々団塊世代からすると、ナンジャラホイの<超過保護化の日本社会の構図>と云うしか無い。何かが何処かで、完全にタガが外れて、空中でカラカラと油切れの無味乾燥にして、空疎極まりない音を鳴らし続けている。

 弟と、結果的には、こんな吾が祖国日本への苦言呈示の煙草吸いと為って仕舞った。へへへ、これは、多少なりとも、日本人の残火を持ち合せて居る男団塊世代の恨み節の一節でもあった。


心何処・・・第四部挿絵
                第四部・戦国初頭にての挿絵

        四部挿絵1四部挿絵2四部挿絵3

 夢奇譚第四部・戦国初頭にても、どうにかこうにか、打ち上げました。さてさて、物語恒例の挿絵も、無い知恵を絞って、三枚描き上げました。いやはや、文章を打つよりも、疲れる物で有りまする。

 まぁ、感想コメントが来ない処が、吾がブログの最大特徴で有りまして、これまた、仕方の無い処でも有りまする。今回は、全く女っ気ゼロの物語に終わって仕舞いましたが、私としては、反対に、打ちながらゲラゲラと笑って居りました。コーヒースタバの相棒Tの人となりが、少しでも解って下されば、毎週土曜日のコーヒースタバの好色ヤクザもどきのトークにも、立体感が出ようとの思いも有りまする。ギャハハ~。

   夢奇譚の長丁場、真にご苦労様でした。先ずは、御礼まで・・・




心何処・・・夢奇譚・四部、戦国初頭にて
                夢奇譚・第四部 戦国初頭にて
 <その1>
 此処は何処か、傍らを見れば雑兵姿のTが居る。百姓の野良着の上に、何処で手に入れて来たのか、錆びた鉄兜に剥げの目立つ黒い雑兵鎧をして、腰には黒、朱の色違いの大小を無造作に差して、手には六尺ほどの槍を持っている。

<お前さん、そりぁ、ナンジャラホイ?>の目で、頭のてっぺんから足元迄しげしげ見るも、その目で私の姿を見れば、矢張り、私も同様に、呑百姓の戯けた姿である。

 お互い、コーヒースタバで目にして居る年齢より、大分若い。40代前後と云った処であろうか。

「おいおい、こりぁまた、映画かドラマのボランティア・エキストラかいな? 俺達ぁ、丸で中世の呑百姓のTさにRさじゃ無いかい。」

「いやいや、お互いロートル無職だから、<記念撮影を動画>とやらでと思って、ボランティア・エキストラの募集広告を見付けて応募しといたんだぜや。Rは精悍さがあるから、良く似合ってるぜや。一応、役柄を聞いて来たから、一服したら、そろそろ指定場所に行くぜや。」

 そう言って、Tはコーヒースタバの終わりに、外で吸うメンソールの細い煙草とライターを私に差し出して、プワァ~と白い煙を暑い夏空に吹き上げて居る。 
 
 Tの話に依ると、時代は戦国時代の初頭。室町幕府の威光が廃れに廃れて、各地で土豪達が割拠し始めた荒み切った時代背景にして、此処、山国信州でも事ある毎に、欲望剥き出しの勢力争いが、小競り合い、中競り合い、大競り合いが繰り広げられているとの事である。

 四方を山で囲まれた盆地に、幾筋もの小河川が流れ、山から流れ出た河川は、山裾にこじんまりとした扇状地を並べ立て居る。その扇状地には畑・田んぼが耕作されて居て、扇状地毎に、格好の里山が続く。里山の小高い山には、其々の集落を防衛する形で、粗末な物見櫓を備えた幾つかの見張所と、いざという時の山城が出来て居る。山城一つが持つ集落の数は、5~6にして、掌握する人口は、精々が多くて500~1000と云った処だと云う。

           この時代、防御の山城が主体の中世日本の姿である。

 Tと私のコンビは、村から駆り出された見張り所の交代番で、Tの指差す山に登るシーンと城柵での軍勢の攻撃を迎え撃つシーンなどを、数カット撮るのだと云う。

「おいおい、T、ありぁ~、俺が遠出散歩に来る時の<早落ち城址>じゃ無ぇか。」

「あいあい、そうだんね。撮影場所が近いから、応募したまでの事よ。でもなぁ、あそこは、俺の鬼門でさ。あの辺りはさ、バイクを乗り回して居た時に、エンストを何回もした・・・何か、得体の知れない<物の化>が蠢(うごめ)いている場所だわさ。

 気持ちが悪いから、Rの名前も拝借して、二人の連名で応募したって寸法さね。採用に為っちまったんだから、しゃー無いだろ。<人間、何事も経験>だわね。ヒヒヒ。」

 Tの野郎は、昔から、全く戯けた事を平然と遣らかす男である。これも、ロートルTのご愛嬌なのであろう。

 まぁ、時代が時代であるから、Tは眼鏡を掛けては居ないが、ディック・ミネの様な落ち着きと凄みのある表情の中に、目だけをデカくして白黒の見開きで、おどけて見せるだけで、サラリと言って退ける。いやはや、白らばっくれた腐れ縁である。

「おいおい、T。R&Tのヤクザもどきコンビならさ、映画的には、夜霧のブルースで、ディック・ミネと水島道太郎の世界じゃ無いのさ。ヒロインは取り揃えて居るんだろうな。云って見りゃ、俺達は剣豪よりも、<性豪>の口だぜや。あい、分かってるズラいな。

 二人や三人じゃ足らんぞ。それが、何だ。フザケ遣がって、俺が女日照りで悶々として居るのを知ってて、戦国初頭の駆り出され呑百姓の俄か雑兵コンビかいな? 」

「何をこいてるだ。俺は監督さんじゃ無ぇやね。そんな者ぁ居らんわさ。それに、今じゃ、映画は斜陽産業だべさ。別嬪女優さんが通ったら、精々、鼻の穴おっ拡げて、深呼吸するしか無ぇずらよ。腋臭じゃ困るけど、高級香水なら文句は無ぇずらよ。俺達ぁ、しがねぇエキストラよ。アハハ。」

「そりぁ、無かんべや、役が違い過ぎるぜや。どうせ、ボランティアでノーギャラなら、もう一寸、良い役で・・・ お姫(ひぃ)様を攣るんで、手籠めにする位の役で、応募してくれや。
 如何見たって、このみすぼらしい雑兵格好からしたら、馬に乗った敵方の武将に、一太刀で<カッ、下郎、死ね!!>で、惨殺か、それとも一斉火矢で喉を射られて、ウギァで一巻の終わりかいな? 雑兵役なんて物は、その程度の者ズラよ。
 
 阿保らしい。そんな事の為に、あれかい、この真夏のしゃら暑い中をフーフー、汗掻いてあんな所まで上るんかい? 嗚呼、情けないわな。飛んだ友を持ったもんだぜ。」

「まぁまぁ、そう目くじら立てて、怒り為さんな。お互い、爺っさ、婆っさの賄い夫生活じゃ、気も滅入るってもんだわさ。偶にぁ、ワイワイガヤガヤの社会見学も好からずよ。映画が当たって、全世界に配給されりゃ、記念撮影為らぬ記念動画が只で、世界配給だぜや。<物は、是、即ち、考え様>だわね。さぁ、四の五の言わずに、登るぜや。」

 ノーギャラ・ボランティア・エキストラの唯一の報酬が、コンビニ弁当とペットボトルのお茶である。何たる安売りをする男か・・・まぁ、考えれば、Tの云う事にも理がある。

 Tのヤツは、行儀が好い男であるから、其々の分として私のレジ袋を渡して、早落ち城の下に構えられている小さな神社の石階段を、棒きれを杖代わりにしてヨッコラショ、ヨッコラショと登って行く。

 神社の脇からは、細い山道がクネクネと松林の中を縫って行く。山の静寂の中に沁み渡る蝉しぐれ、山の湿った空気が流れて匂う。私は、Tの後を付いて登る。息付きに足を止めれば、掻いた汗を山の微かな空気の流れが、掠め取って好い気持ちにも為る。

 麓の暑い草叢で、ミンミンゼミ、キリギリスの熱気をグラグラ掻き混ぜる様なカンカン照りの下よりも、鬱蒼とした木立の中に通り抜ける涼の中の山道を登った方が、未だ幾分か益しと云った処でもある。

 やれやれ、汗でベタ付く唇回りを舌で舐めれば、塩っぱい喉の渇きである。フゥ~。

 山尾根の上部を均した様な形で、土塁が幾つか作られている。川筋の平坦地から、急斜面の山の迫り出しに、作られた早落ち城址である。ドンと険しく切り取って、<置かれている様な半独立の山形>である。少し登れば、盆地の眺望が手に取る様に拡がる。

 真夏であるから、山の頭上には、大きな力瘤を隆々と蓄えた入道雲が、カッと照り付ける夏空に、白いシルエットを累々と掲げている。西には屏風の様にそそり立つアルプスの峰々が、盆地を南北に縦走する。東の美ケ原山系は、南に鉢伏せ山の青い山頂を、湧き立ち、群立つ入道雲の下に置いて居る。

 峰と峰を繋ぐ土塁の幾つか目を渡った頃である。前を行くTの弁当のレジ袋が、何時の間にか、腰に括った握り飯の包みに変わり、腰には水筒代わりの竹筒が下がり、スニーカーは草鞋と為って居る。私はと?見ると、同様の変化が生じているでは無いか・・・

   何やら、これは、期待が持てる夢奇譚・第四部の臭いが立ち込めて来た。

 <その2>
 小高い山の頂上を削り取って均した100坪に満ない細々とした二段の平坦地に、雑木の杭を2mの高さで囲んだ塀の中に、丸太小屋の様な建物が三棟建って居る。一つは立て籠もり用の雑居小屋、一つは武具小屋、そしてもう一つは、食糧小屋なのであろう。

 雑居小屋は低い二層構造に為って居て、藁と筵が適当な間隔で置いてある。いざと為れば40~50人が入る事が出来そうである。そんな人数に合わせた武具小屋には、小戦の戦利品と思われる鎧兜、刀、弓矢、長槍、小槍、竹槍などが置いてある。食糧小屋には、鍋・釜、塩・味噌・穀類の類が置いてあり、水を貯め込む大甕が並んでいる。食糧・機材を張られた縄道で引っ張り上げる滑車の付いた櫓が背後の松林の山腹に伸びて居る。

      成る程と思う。工夫の凝らされた人間の生活知恵の装置である。

 山頂の早落ち城を下で防御するのが、北の神社一角の下砦と、唯一緩らかな丘陵続きと為って居る南である。その一角には、距離を置いた三重の柵砦が構えられている。一か所50人の配置をすると為れば、本丸を含めて、総勢250人規模の防衛拠点と為ろうか・・・。

「御苦労さんです。RとT、是より交替の見張りに付く。引き継ぎは、有るや無しや。」

「北と南、東も異常無し。北西の赤松勢に不穏の動きあり。吾等、下った後、食糧、水の運び上げを触れ回る。ご両名、油断召されるな。」

 北西には、嘗ての朝日将軍と称された木曽義仲の重鎮の流れを汲む土豪の赤松勢の山城が在る。早落ち城を中心とする長井勢は、川を勢力範囲として居るから水田面積が多い。一方、赤松勢の土地は緩らかな広々した傾斜地を有するが、川が無い為に畑が多い。そんな事で、馬、牛の牧場で生計を立てる者が多い。

 西に向かえば大口沢を抜けて安曇野平へ、西北に向かえば山中の小盆地を抜けて北に通じる。北東部に山を抜ければ上田に通じる。勿論、中央に下れば松本盆地である。険しい山行を続ければ佐久にも通じる。地勢的に云えば、松本盆地の北端の街道の要衝である。そんな地勢の利を以って、古くから牛馬を使っての流通に勢力を持って居るのだろう。
 従って、戦闘に為ると、牛馬を駆使する赤松勢に有利に働く事が多かった。赤松勢が動けば、先頭集団は、物の30分もせずに到着して仕舞う。

 如何やら、長井勢を束ねる頭目は、暗愚に違いあるまい。これも身分制封建制度の悪しき面であろうか。阿保臭い・・・・。

 危急を告げる北西の山には、狼煙が幾筋も挙がっている。もう、水田勢の長井勢は、すっ飛んでの臨戦態勢を敷くしか無いのである。先手必勝機動力の赤松勢に対して、後手守勢オンリーの長井勢と在っては、その勝敗の行方は、火を見るよりも歴然の予想である。

「おいおい、Tよ。こりゃ、ロケなんかじゃ無いだろ。撮影陣なんか、一人も居ないじゃないか。こりぁ、とんでもない異次元世界に放り込まれちゃったぜや。如何するや!!」

「ボランティア・エキストラで落命なんて、『落語の落ち』にも為らんぞい。名前が名前の早落ち城と在ったんじゃ~、そんな物ぁ、逃げるしかあるまい。そんな事で、迷うヤツは、馬鹿しか居無いだろう。馬鹿も、利巧も、普通も、生命は一つでしょうが。軟な21Cロートルコンビが、逆立ちしたって生命の補償なんて訳無いだろう。

 嗚呼、やっぱり、この場所は、<俺の鬼門>だったぜや。武具と食糧持って、早い処、裏山に逃げ込むべや。」

 Tのヤツは、異次元体験は初めてであるから、口から泡を飛ばして、目をギョロギョロ、白黒させて、普段のおっとり行動など何処に掻き飛んでしまったか、動作・行動の素早い事と云ったら、丸で<反射神経人間・獣の素早さ>である。

★馬鹿野郎が、普段は胃無し男の老境なんて、格好付けてる男の姿は、何処に消し飛んだんだい。ヤバイ現場に踏み込まれて、一目散に遁ズラする<間男>ってな物である。

★いざと為ったらの糞度胸は抜群なのに、無用な事には、逃げるが勝ちを素早く実践する性根は、一切変わっては居ない様である。正に、ギャハハ~である。

 私は奥ゆかしい小心者の男であるから、勿論の事★印の事などは、口にはしないのである。

「おいおい、Tよ。お前さん、俺の夢奇譚三部作を読んでるだろ。そう、慌てなさんな。生命なんか取られりゃせんよ。これからは、俺達ぁ、待望の異次元ストーリーの主役だぜや。落ち着け、落ち着け。」

「馬鹿こけ、落ち着くのは、危険が去ってからじゃい。お前は地元だ。どっちに逃げりゃ好いんだよ。この<霊場から脱出>するのが、俺にとっちゃ、『先決問題』だぜ。早くしろ、早くしろ~。コラッ、R、ニヤニヤしないで、早い処、遁ズラこくぜや。馬鹿垂れがぁ~。」

★Tの野郎は、泡喰って居やがる。へへへ、こりぁ、面白く為って来ましたわな。
 
<その3>
 北西に立ち上る幾筋もの狼煙で、下では集落一斉に、半鐘がガンガン鳴り散らされている。家々から支度をした男達が飛び出し、女子供達は東山中に避難し始める。山城への物資運搬のロープが揺れに揺れて始めている。
 そうこうしている内に、第一陣の男達が、息せき切って登って来て、顔面を紅潮させて、櫓木の下に群がると、滑車をヨーヤさ、ヨーヤさと、下からの物資を滑車ロープで引き上げる。

 アッジァ~、タイミングを失して仕舞った。一応、私達も、ケツを捲って、その場から遁ずらする訳にも行かぬから、仕方無く、ヨーヤさ、ヨーヤさの仲間入りをする。

 傍らのTの野郎の顔が、凄い形相で私を睨んで居る。まぁまぁ、カッカしなさんな。次のタイミングを待つしかあるまい。オゥリャ、ヨーヤさ、ヨーヤさ・・・

 後続部隊が次々と到着して、騒然とする早落ち城内部である。引き上げた物の中に、握り飯を見付けて、我等はニンマリである。持てるだけ、握り飯を懐に入れるや、タッタッタと物見櫓に上って、私は大音声で一芝居である。

「入口が手薄であ~る。先ずは、初戦は入口の攻防な~り。各々がた、此処は後続に任せる。T殿、行くぞ。」
「分かり申した~。R殿。吾等二名は下にて、人数の配置をする~。」

 長槍を肩に担いで、タッタッタァと、山を一気に駆け下って、私とTは南東の丘陵から山中の山へ逃げ込む。

「遣った、遣った。俺達の緒戦は、大成功だったぜや。握り飯でも喰うか。あい~。」
とTがニヤリ笑う。へへへ、これがコンビと云う物であろうか。

 山中の松林の中から、下の赤松勢と長井勢の攻防を見遣れば、いやはや・・・呆気無き早落ち城の攻防であった。不意打ちに近い攻略は、長井勢の準備不足の前に、2時間前後の戦いで、勝敗が決まって仕舞ったのである。どの位の死傷者が出たのか・・・

 歴史を後世から達観視すれば、遊牧民の機動力と農耕民の集団力の戦いは、機動力に優れた遊牧民に軍配が上がるのが、歴史の常である。歴史セオリー通りに、準備不足の前に、歴史の証明は、一気呵成の勝利に終わった観がする。

「さてさて、如何したもんかね。Rよ。お前の得意な歴史観とやらで、俺達の今後を決めるべや。」

「そうさな。こりぁ農耕民の漢民族と騎馬民族のモンゴル見たいなもんだから、長井勢は生かさず殺さずの<苛斂誅求の農奴>に転落だわな。映画だと七人の侍に登場する野党と百姓の関係だわさ。麓に下りたら、俺達も農奴の端くれにされちゃうから、新天地を求めるしかあるめいよ。
 まぁ、山中を彷徨って居りぁ、此処は異次元世界だから、好い女にも有り付けるぜや。如何にか為るぜや。あい、相棒さんよ。」

 味噌を塗った握り飯を喰って、竹ヅツの水をゴクリと飲んで、さてとばかりに腰を上げる。一尾根を越えぬ内に、松林から落人狩りに配して居たのだろうか、二人の雑兵とその指揮者らしきオヤジが、体格に合わぬ造りだけは立派な鎧兜で、手に生意気にも赤房の軍配を持っている。そんな三人が、私達の前に立ちはだかったから、肝を潰した。

 時代劇なら、好いシーンなのではあるが、私達は現代人である。物騒な刃物は持っているが、その有効な使い方もマスターして居ない処である。

「おい、如何する。俺達は素人だから、間違っても遣られない事だ。距離を保とうぜ。ぶつかり合って、肉段戦は絶対に拙い。獲物は鋭利な刃物だ。チョコン、チョコンと、ヒット・アンド・アウェーで行くべや。
 キャスアス・クレイに範を採って、<蝶の様に舞い、蜂の様に刺す戦法>さね。チョコン、チョコンで、ナマス斬りして行けば、出血多量で相手は動けなくなるだろうよ。武芸者の様には、スッパリとは為らんけど、生命在っての物タネだいな。そうだろう。」

「おぅ、理に適ってる。合点、承知~!!」

「コドモドラゴンなんてヤツは、手前の唾液に毒性のバクテリアを飼って居るから、一咬みして距離を取って獲物の後を付けて行って倒すって話だぜ。
 相手が素手だったら、柔道三段のTの強さに縋るけど、相手は物騒な刃物持ちだ。生憎、あいつ等には、槍が無いじゃ無いのさ。間合いからしたら、槍持ちの俺達の方が、絶対有利だわさ。」

「好いね、好いね。流石にRだわさ。如何する。常道からすると、一番強いヤツを倒せば、後は腰砕けだせや。目の据わりで判断すべ~や。あい。」

「じゃあ、生意気な面をしたオヤジを始末するか、俺は、あの手の面が、生理的に嫌悪感を持つのさ。どうせ上下関係が有るんだから、指揮権の在るオヤジを始末すれば、駆り出されただけの<上下関係は解消>だろうな。
 見て見ろゃ、何処で落人狩りをして、手に入れたか知らんが、お調子者の典型だろうが、この下衆オヤジが~。あんな手合いは、昔から目の据わりが無い<口先男の典型>だろうよ。おい、見て観ろや。ハハハ、オヤジ、目が泳いでるぜや。」

「ヨッシャ、好い線だ。久し振りに荒ぶれ狂う獣性に、火が付いて来たぜや。」

「好いかい、先ずはオヤジの足を突こうぜ。二人の方は、Tが威嚇しといて呉れや。」

「あいよ。急いては、事を仕損じる。間合いを測りながら、オヤジを二人から離そうぜ。」

 作戦と攻撃対象が決まった。後は、毛細血管の端々にまで、獣性の炎を滾(たぎ)らせるだけである。顔面の皮膚が後方に引っ張られて行く様な臨戦態勢の血が滾(たぎ)る。

★機先を制して、気迫で圧倒する。動いて交えれば獣性の優劣で、勝負は決まる。それが、私の実践奥義である。

 私の相手を射竦(いすく)める様な狂暴極まりない目の据わりで、じっと相手の目に焦点を合わせる。相手の目が、次第に泳いで行く。槍の穂先を足から、甲冑オヤジの喉元に狙い定めて、腰を低く構えながら、間合いを詰めて行く。オヤジの軍配の赤房が、ワナワナ震えて来る・・・

                  「オゥリャ、」

 その刹那、大音声で槍の穂先で最初のジャブを仕掛ける。後ろに下がる甲冑オヤジに、ドスの利いた低音で脅しを掛ける。

「掛って来いよ。オヤジ。如何した。お前さんだって、何人も人を斬って来たんだろ。掛って来いよ。」

 半歩踏み込めば、槍の穂先は、完全に喉を刺し貫く間合いに詰めて、オヤジの目を射竦めて、相手の動きの瞬間を待つ。

「オイ、兄ちゃん達、無用なチャンバラはよそうぜ。誰も見ちゃ居ない山ん中だ。この際、オヤジから解放されるのが、利口だぜ。下郎、どきな。」

 私の横では、Tが若い二人を甲冑オヤジから離すべく、腰を割った低い体制で槍先を相手の喉元に据えて、貫録の脅しを掛けて居る。この緊迫の時間の中で、最初に目を逸らしたら、それで終わりである。双方の恐怖に満ちた数秒が重く圧し掛かる。

 いやはや、夢奇譚と云えども、とんでもないコンビが復活して仕舞った物である。

    心臓の気持ちが悪くなるほどの重圧の中で、甲冑オヤジが動いた。

「お二人さん、頼む。見逃すから逃げて呉れ。」
「あら、そお~。如何するや。R。」

 Tが、緊張の重圧から、何時もながらの素っ頓狂な声を出して、ニヤ付く。勿論、言葉と裏腹に、鋭い目の据わりは、一切崩して居ない。いやはや、相も変わらず、トッポイ大物である事か・・・

「おい、其処のお兄ちゃん、オヤジを松の木に縛れや。それが終わったら、次を縛れ。終わったら、草鞋を脱げや。後は、Tが投げて、俺がチョイとサンドバックにするから、後は、傷口を舐め舐めして、ゆっくり山を下りて呉れや。
 いや、待てよ。それじゃ可哀想だな。そうだ、三人共松の木に縛り付けるわ。心配するな。分かる様に、狼煙を上げて遣るから、我慢しろや。情けを掛け過ぎて、追手の先導役を遣られちゃ困るから、皆の足袋、草鞋は貰って行くぜ。これも、後顧の憂いに備える<兵法の内>だぜな。へへへ。」

 幾ら夢奇譚の中とは云え、刃傷沙汰は宜しくは無い。ヤクザもどきの二人には、二人の流儀が在りまするわね。イッヒッヒ!!

 <その4>
 南東に歩いて一日の所に、険しい谷底に小じんまりした平地があった。クリ、クルミの木々が生い茂って居る。小さな沢も流れて居る。こんな山奥に人は足を踏み入れ無いだろ。隠れ里にするには、格好の場所と言える。

 見上げる青空には、真っ白な入道雲の輝きと、沢から昇る風、盆地で熱せられた上昇気流の流れが、欝蒼として切り立つ山々の木々の緑を、ザワザワと南から北へと戦がせながら渡って行く。勿論、蝉しぐれとキリギリスのギース、ギースの声なども、夏草の中から聞こえて居る次第なのである。

 さて、夢奇譚の中の話と云えども、クリ、クルミだけを食べて命を繋げる事は余りにも絶望的である。沢伝いに下に下れば、人の住む里にも通じよう。槍・刀は有るが、それでは何も開拓の道具には為らないのである。

 さてさて、如何したものかと、二人で溜息を吐く。西部開拓史のイメージを馳せれば、牛馬に斧、鋸、鍬に鋤と云った道具が必要に為って来る。二人の持ち物と云えば、大小の鞘色違いの刀と手槍と雑兵鎧と鉄兜でしか無い。

 ふ~む。道具をハードと見れば、ソフトは21C人のそれなりの学習知恵しか無い。

 いやはや・・・女どころの話では無い。異次元生活の滞留期間が、一体どの程度のスパンに為るか?は、分からぬ処である。先ずは、自給自足の生活の場を作り上げて行くしか有るまい。

 私とTは、きっと同様な難問を解こうとしていたのであろう。お互いの姿形を見遣れば、其処に映る物は、喰い詰め野盗の風体でしか無いのである。お互い、目を見合わせてニヤリの<野盗の笑い>であった。

「しゃー無いな。異次元で身を野盗に貶(おとし)めるより、手が無いわな。世が世の戦国初頭期なんだから、それも<生きる為の常識>よな。」

「そうだな。人を大量に殺めて国盗り合戦をするだけが、戦国の世でもあるまい。小さく掠め取って、先ずは此処を隠れ里にするのが、俺達、<温厚な未来人の知恵>かも知れんぞ。これだけ、戦の繰り返しなんだから、主を失った牛馬だって、逸れて居ても、何らおかしくは有るまい。」

「世の中、腹を括れば、<案ずるより産むが易し>の喩えもあるさ。明日は、沢伝いに下って見よう。何しろ、丸一日で、此処を見付けたのだから、人里とは隣合わせって事だ。山中のさ迷い歩きと違って、最短ルートを探せば、21C未来人は学習蓄積って物が在らぁね。利用次第では、<効率野盗の誕生>だぜや。」

「まぁ、論理的には、そうなるわな。Rの口癖じゃないけど、人は時代の子、時代の存在だもんな。異次元世界なら、時代に乗って遣って見るのも、好からずよ。
 でもな、人殺しだけは、ご法度にしようじゃないか。そんな事をしたら、現世に還った時に、寝起きが悪いからな。」

「ああ、勿論だ。」

 翌朝、ボランティア・エキストラ改め『野盗新参者』の吾等は、沢を下った。水は低きに流れるとは自然の摂理であった。三時間も要せずに、吾等はこじんまりとした集落を見下ろす滝の上に立った。

 眺望の広がりに、遠近を眺めて行けば山麓街道が、盆地の南北を穿っている。山麓街道を北に辿れば、赤松勢の本拠地北丘陵の傾斜地に霞んで見える処でもあった。

「おいおい、こりぁ~、お誂え向きだいな。街道運搬は、きっと赤松の息が掛かって居るんだから、長井勢の仇打ちの大義名分も立つと云うものよ。」

 現代から異次元移動して仕舞った吾等二人組としたら、その大半は偵察活動と云いたいのであるが、真に格好が悪く物陰に隠れてのひたすらに藪蚊、ブヨに刺されての観察行動でしか無い処が、何んとも締りの無い処なのである。

<その5>
 それでも観察に依って知り得た物は、大きかった。とある日、その機会が訪れた。

 通常は牛馬を数頭連ねて、雑兵二、三名の警護で街道を往来するのであるが、本日は戦局、風を告げるの雑兵達の招集なのであろうか、馬子役の雑兵が一人なのである。しかも、その雑兵は、食中りか、水中りか・・・ 何度も、腹を抑えて街道脇の草の茂みに入って、ケツを捲って居る。これぞ、絶好無二の機会と云わずして、何の表現があろうか。

 下痢ピーの間隔と距離を推し量って、一世一代の野盗の晴れ舞台である。

 丁度、街道は山の迫る曲がり角の死角に、差し掛かろうとしている。馬子雑兵が尻の穴を窄めて、草の中にしゃがみ込んで下痢ピーの黄金水の迸りをした時が、私が考えた勝負の時である。

 私が雑兵の喉元に槍の穂先を当てがい、一喝する。Tは牛馬のクツワ紐を確り握っていると云う寸法である。Tは、山の木陰に身を潜めて、私は雑草の中に身を伏せて、下痢ピー雑兵を待つ。

 腹を抑えた雑兵が、街道のカーヴに差し掛かる。牛馬のクツワ紐を木にクルクルと回すや、情けない顔付で、尻の穴を抑えながら、キョロキョロと周囲を見回して、私の潜む草叢に遣って来る。しゃがみ込んで、黄色く薄汚れたフンドシの前をグイとズラして、ブビーと異臭と共に黄金水の放射である。私との距離1m半の至近距離であるから、私だって想定外!!

        「この馬鹿野郎、臭ぇ~、汚ねぇ~。戯け~!!」

 驚いたのは、その雑兵である。目と鼻の先の草叢から、怒気を全身に孕(はら)んだ海坊主が一匹、槍を繰り出して突如現れたのである。思わず、尻もちを付いて、喉元に当てられた槍の穂先に、顎が外れたか、モゴモゴ喉元が脈打つばかりで、あわわ、あわわと声に為らない牽き付けと、目の見開きである。

 余りにも異臭が酷いので、私は腰を抜かした雑兵の襟首を引き摺って、数歩引き摺る。

 さぁ、再度の脅しの仕切り直しであるが、良く良く雑兵の顔を見れば、山中待ち伏せの若い方の片割れでは無いか。如何やら、相手もそれに気付いて、正座をして命だけは、ご勘弁をの拝み倒しの震えザマでは無いか。

★ナロー、俺は鬼人、魔人かいな。こんな『殺生嫌いの善人』を恐怖の目で見るとは、何事じゃい。

「これ、殺しやせんわな。先ずは、その臭い小汚ないケツの周りを葉っぱで拭きなよ。話は、その後からだ。」

 前回も感じた処ではあるが、彼は私同様の『小心者の善人』に違いあるまい。反対なら、私だって彼同様の大失態を仕出かすまでの事である。物は考え様である。流通隊に吾等と呼応する者が居たら、被害額も最小限にして、吾等も必要な物を効率的にして<安心安全の口>である。彼を二人で説得して、仲間入りの契りを交わす。

 話を聞けば、彼もこの世の荒み様には、飽き飽きとしているとの事である。山中での出来事、今の出来事と云い、<完全に蛇に睨まれた蛙>であるから、全て、仰せの通りに従いまするとの色好い返事であった。

★<完全に、蛇に睨まれた蛙>では無かろう。二度までも生命を取られずに済んだ<お釈迦様の化身>であろうが、戯けた事を言うでは無いぞよ。

 へへへ、左様であるか。彼から、大分後に成って聞いた処に依ると、私の風体は、強面のプレッシャー見たいな外見の中にも、穏やかな目の据わりが在って、根の優しさを持っているお方と直感していたらしいとの事である。
 まぁ、日本人は太古の昔より、相手を信じる事から、胸襟が開けると云う物なのである。劃して、戦国初頭の物騒な時代に抗して、隠れ里建設の第一歩が始まった次第である。

 <その6>
 牛馬、開拓道具も揃い、今や隠れ里と人里を結ぶ最短の秘密道も整って来た。この時代、21C人の感覚と違って、人隠しの風評は、神隠しとも揶揄される程の『神の仕業』と考えられて居た処でもある。戦火で親兄弟を失った者の中に、好い者が居れば隠れ里の住人とした。

 私は、日本人の名誉の為に断って置くが、何処ぞの国の将軍様の命令で、手当たり次第に頭から南京袋を被せて、一方的に拉致して来た訳では決して無いのである。合意、納得の上で連れ来たボランティア行為の延長とも云える善行の一つなのである。

 戦乱の間隔が狭く、戦乱の規模が大きくなるに連れて、隠し里の収容面積も拡大する一方であった。隠れ里も、山を跨いで、二段、三段重ねの様相を呈して来た。

 今では、Tと私は頭目と称され、最上部の別々の館で、知恵ある頭目の<お種受け>と称して、昼夜を分かたず、ニョショウ詣での受け入れをしている体たらくの日々である。

 本日は、やんごとなき京の姫君が、腰入れ最中に戦火を逃れて、侍従の女達と山中を彷徨う中、この隠れ里に迷い込んだとの事である。

 一応は、隠れ里の頭目として、崇められている吾等コンビであるからして、新参者に対する<神聖なる検(あらた)めの職務>が在る。先ずは、露天風呂にて、世俗の穢れを落して貰い、獣灯点る館での『身検め』の始まりである。

 戦国の世に在っては、操以前の<生きるが肝要が、世の習い>でもある。決して、この様な検めの職務に在っては、<涎垂らし>など、下の下の下衆根性と言わざるを得まい。

 徐に、殊更神妙な顔付で、左手で乳を弄り、耳に熱い息を吹掛けながら、右手で花芯の蜜処の潤いを確かめて居ると。

「カット!! カット!!」の大音声と共に、バシャ~と、頭からバケツの冷水を浴びた。

 ウワァ、何じゃい!!と目を開けば、眩しい程のライトの放射である。私の前で椅子に座り、メガホンで弩鳴り立てる男を見れば、Tでは無いか。

「コラ~、俺の芸術作品に本番の手を潜り込ませるとは、何事じゃい。此処は本番エロビデオの撮影現場じゃないんだぞ。一線を踏み外して、淫行に及ぶとは、何を考えとるんじゃい。こんなエロ男は、役者に非ず。人非人!!即刻、摘まみ出せ~。この恥知らず、馬鹿垂が~!! スタジオが穢れた。塩持って来て撒け。休憩~!!」

 アジャ、マァ~。凄い剣幕で、監督T様に弩鳴られて終った。それ以上に、この周りの冷たい視線は・・・

★この状況下に在っては、粉う事無く、俺は完全に変態男の晒し者では無いか。ハァ~何処ぞに穴でも在ったら、潜り込みたい物である。嗚呼、汚らわしいの侮蔑の役者・スタッフ、見物人の槍襖に囲まれて、罵詈雑言の多数を投げ付けられて、一人残された男の悲哀ぞ、誰が知るや。大どんでん返しなんて、言葉は知ってはいたが、それが吾が身に起ころうとは・・・

★誰も居なく為ったから、言うんじゃないが・・・おいおい、これからと云う時に、そりぁ、<蛇の生殺し>じゃゴザンせんか。奇数日は俺の、偶数日はTの検め日の『不文律』は、一体全体、如何したんだい? 

★何かい、これがボランティア・エキストラに始まって、命からがらの果てに構築した戦国初頭期に於ける<人間の善の証・隠れ里の顛末>かいな。

★ふざけ遣がって、俺はポルノムービーの役者に格下げかいな。ISO規格の宝物に、『海綿体の充血』も儘為らずに、カットカットの大音声に、頭からバケツの冷水、ライト放射の世間の侮蔑の槍襖かいな。

★そりぁ、無からずよ。カァ~~、こんな夢奇譚四部の幕落ちたぁ~、<金髪友の会としての破門>は避けられない処である。脱会届、如何書きましょうかね。嗚呼、返す返すも、未練満載の今回第四部の幕落ちであった。

★おのれ~、次回からは、絶対に一人旅の異次元行にするべしである。然りとて、努努、夢に惑わされぬ精神の涵養こそが、人間の質とレベルのキープでありまするぞえ。


                     夢奇譚・第四部戦国初頭にて・・・完。

心何処ーショート 日曜日、これも好天散歩為り。
              日曜日、これも好天散歩為り。(12/11/11)
 昨夜はラジオに倣って、皆既月食の様を何度か見に行く。影に入っての月食と形容される様に、影の輪郭の満月であった。昨夜は真に寒かったが、朝はお天道さんの輝きである。

 朝食後は、セッセと掃除をして、布団、毛布の日光浴である。玄関鳥の籠を廊下の日向に並べ、偶には別の鳥籠を二畳小部屋の軒下に吊るす。吊るし柿の白い粉が、歴然と表面を覆って来た。へへへ、もう一息である。

 昨日のTの話では無いが、進呈した一連15~16個のT家の吊るし柿は、孫のオネダリに、残るは半数との事である。一つ位は、立派に全面白粉の高級和菓子として完了するか?であろうか。

 二畳小部屋で、<その4>を打ち始めて居ると、廊下サッシに伸びたアンテナコードの上に鳥影が動いている。それを見遣れば、シジュウカラが一羽、軒下に吊られた金華鳥に興味深々の動作で、鳥籠を覗きに来て居るのである。

<その4>2頁強を打って、お天気が好いから散歩に出掛ける事にする。早打ちだけが取り柄の文章であるから、11頁強の進み具合である。或る程度、文章は寝かせて置いた方が、校正の折りに、文章精度が幾分高まると云う物である。
 
 素人の文作趣味の一環なのであるから、一日のペース配分を壊さぬ位の気持ちが肝要なのである。

 それにしても、薄い冬空の青さに、太陽の輝きが、何んとも云えぬ空気の美味さである事か。西のアルプスの殺ぎ取った様な鋭利な岩肌には、くっきりと『白の象嵌』が施されて、嫌が上にも、冬の信州の象徴・アルプスの凛とした怜悧さ見せ始めている。

 M橋を通過すると、Nらしきでっぷりとした体格の男が歩いて来る。へへへ、紛れも無く彼である。幼稚園から大学まで一緒の男である。90kgと先頃80kg割り込んだ体格の好い男が、63のニヤニヤ顔でヤアヤアであるから、笑って終うではないか。

 お互い、名前で呼び合って、農道の中で久し振りの番から男子高の口調の談笑である。<散歩替わりに、全身運動の畑を一枚貸して遣るから、野菜の自給自足をせよ。遣る気に為ったら、何時でも声を掛けろ。>との事である。その代わり、百姓仕事は毎日だから、好い時間潰しと身体の養生に為るとの事である。やれやれ、最後に発破を掛けられて仕舞った。

 お互い、紅顔の美少年が、厚顔、睾丸のオッサン、爺ッサンに為って仕舞ったのだろうが、還暦過ぎて社会の柵から解放されて、交わす言葉の田舎言葉丸出しの態は、これまた地方暮らしの<あっけんからんとした懐かしさ>とでも、表現したくなるほどの面白さであった。

 さてさて、幼馴染と別れて、通常の散歩コースをテクテク歩きである。もう、暑くて、セーターも脱ぎたい位の好天気である。青いお空には、トンビが上昇気流に乗って三羽、ピーヒョロ、ピーヒョロの円を描いている。

 さてさて、夢奇譚四部・戦国初頭にての<その5>には、どの辺りの風景を借りると致しましょうかね。夢奇譚の落ちは出来ては居るのだが・・・


心何処ーショート 取り急ぎの一文為り。
               取り急ぎの一文為り(12/10/11)
 朝食を片付けようとして居ると、次兄さんのお目見えである。サッサと片付けて、台所で洗い物をして、自室に戻り、夢奇譚の打った処までの、読み直しをしながらTの電話を待つ。

 Tのお迎えの車に乗り込んで、おお寒いの一声を交わす。コーヒースタバの二階席で、<第四部・戦国初頭にて>の凡そのストーリー展開を話の肴とする。今回分は、戦国初頭に迷い込んだ雑兵TとRの話である。現在、<その3>が終わって、7頁の進みである。

 何しろ、早落ち城の戦局を早々に見限って、握り飯を懐にスタコラ逃げ出す呑百姓雑兵の話である。未だ、二人の好物のニョショー達は登場しないが、異次元世界で性躍する剣豪為らぬ性豪の面白さ、ズッコケさが描写出来れば、佳しと思う処である。

 T曰く、『所詮、夢の中の話なんだから、俺の人格破壊にも為らんだろうから、思う存分に打っておくれや。』との有難い了承であった。へへへ。

 帰って来ると、玄関に靴である。次兄は早々に帰って、老母の部屋で倅ファミリーが孫を婆さんに抱かせ、盛り上がって居る。

 ホームセンターで買って来たコタツの中毛布を加えて、家族団欒の部屋セットをして、食材を冷蔵庫に収納する。前回、同様に嫁さん手作りのお稲荷さん、握り飯、オカズの数々である。早速、白菜、漬かり具合を確かめるべく、早や漬け沢庵を切って食卓に並べ、老母の部屋移動を待って、昼飯の段である。

     嫁さんにも、毎日、私のブログを読んで貰って居るから、話が早い。

「お父さん、本当に頬がすっきりして、痩せたわ。大変だったですね。分かる、分かる。」

「そうだろ、俺は真面目だからね。この際、体重を絞ろうと思ってさ。腹が小さく為ると、やっぱり動きが楽だからね。何か、若返っちゃった気分だよ。ハハハ。そうだそうだ、ネギ味噌も仕込んで置いたから、持って来るわ。」

「オヤジ、白菜漬けも美味いし、ネギ味噌も美味いよ。才能あるね。」

「そうだろ、今回は沢庵漬けに、黄粉を入れるのを忘れちゃったから、白いヌカ漬け版だけど、これも、男のご愛嬌だわね。未だ早くて、辛味が甘味に転化して無いけど、良かったら帰りに、白菜漬と沢庵漬けを進呈するわさ。」

「いやいや、オヤジ美味いよ。遠慮無く貰って行くわ。信州人には、漬け物は欠かせないからね。」

 成長度を増した孫のキャッキャッの愛嬌笑いに、Rファミリーの笑い声満載の吾が八畳間である。婆さんも、久々の血の気の通いと精気の漲りである。へへへ、こんな良き日に、時間は瞬く間に流れて、早や、夜の帳のご到来である。

 白菜漬け、沢庵漬け、今年の梅漬けをタッパにごっそりと進呈したのであるが、寒い信州の味覚として、食事の足しに為る事であろう。エール、アリガトさんよ。

 取り急ぎ、本日分の日誌を打ち上げた次第である。倅ファミリーの車を見送りに外に出れば、本日、お月さんの皆既月食との事であるが、寒空は雪雲に覆われている真冬の寒さである。おお、寒い。信州の冬は、嫌じゃ嫌じゃ。



心何処ーショート 仕切り直しの男トーク為り。
              仕切り直しの男トーク為り(12/9/11)
 漸く、何時もながらの老母と私の朝の一コマである。この頃は、8時前後に起きる事にして居るので、布団を上げて掃除、鳥の世話をしながら、頃合いを見計らって、母に声を掛けるのである。

 障子を開けて、母の部屋もサッと掃いて、部屋の空気の入れ替えをする傍ら、廊下の掃除をして行く。早朝に降った雪は、庭を薄らと白くさせた物の・・・ 早や、融け行く儚さではあるが、兎に角、寒いと云ったら、この上ない。
 老母は、布団から顔だけを出して、私を見て居る。同じ屋根の下で暮らして居るのであるから、老体にはシンドイ一か月余りをさせてしまった。私の不徳と致す処ではあるが、これも人生模様の一つである。隠すよりも、在りの儘を開示した方が、良い事である。

 本日、金曜日であるから風呂を沸かす。母の部屋のポットに湯を入れて、コタツ台を拭いて、朝飯の用意に取り掛かる。覚束ない震える手で、老母は私の湯呑みに日本茶を注いでくれる。私は、その熱い茶を持って、台所に立つ。

 食後、

「婆さん、先に風呂に入って呉れよ。昨日はガス屋さん忙しくて、集金だけだったんで、今日はガス屋さんが、灯油を入れて呉れるから、俺は、それが済んでから入るからさ。男が先にの遠慮は要らないからさ。折角来てくれたのに、俺が入っていたら、悪いからね。」

 老母は、ニコニコした顔で、お前の後に入るからとの仰せである。

 そんな事をしている内に、ガス屋さんのお越しである。灯油缶三本であるから、私も持って車の所に行く。満たされた灯油缶を運び込んで、上がり廊下に座布団とポータブル電気ストーブを付けて、戯け画ファイルとカップのインスタントコーヒーを添えて、ポットの用意をして置く。

「やあやあ、これは恐縮です。」
「何を言ってるだい。今日みたいな寒い日には、誰だって暖房が恋しいわね。一軒位、何の気兼ねも要らない俺ん家見たいな物が、在っても好いズラよ。あい。」

 早速、吾が戯け画のファイルを開いて、美大出のゴマ塩髭のブロンソンさんが、絵の感想を次から次へと発して下さる。私は、紙コップのインスタント・コーヒーに熱湯を注ぎ、コーヒー受けに、一つ干し柿を持って来て添える。

「いやいや、継続は力為りなんて、生意気な事を言っちゃいましたが、こりぁ、Rさん、本物の力ですわ。安曇野に俺の好きな画家が居るんだけど、その画家に匹敵する位のインパクトを持っている絵ですわ。

 失礼ながら、素人さんが此処まで、自分の想念とか、社会風刺の絵をいとも簡単に表現出来るなんて才能以外の何物でも無いですわ。観ると云うか、喝破する眼力の凄さ=鋭さ、的確さは、異才の象徴ですわ。
 
 それに、人の顔を描かせたら、俺なんか逆立ちしても追い付かないですわ。ほら、写真と絵がそっくりですよ。良く特徴を捉えて居る。これは、怜悧な観察眼とデフォルメ能力が備わって居る証拠ですわ。」

「ホンマかいね。インスタント・コーヒーと干し柿に買収されちゃってるんじゃないの。俺なんか、自分の絵を第三者的に見ても、まあまあの線だと自惚れては居るんだけど、殆ど、コメントなんか来ませんわね。文章も絵も、俺のコメント欄なんか、ズーと閑古鳥が鼻糞ほじくってるわね。非才非力の侘びしさを囲って居る次第さね。」

「何を仰います。この<悶々の日々を脱して>の一枚なんか、アガタ絵画のベスト3に入るインパクトの力強さがありますわ。アガタ絵画の特徴は、稀に見る色使いの妙ですしね。きっと、それはRさんも知り尽くして居て、絵具を敢えて使わない原色の色鉛筆で世界を描いて居るんでしょうけどね。

 そこいら辺の事を、Rさんは鮮明さの感性で理解して実行して居るんですから、美大出て居ると云って、テクニック論なんかで話を持って行ったら、それこそ、<何だコイツは、この程度の男か、この程度の感性の持ち主か>と、一瞥されちゃいますからね。きっと、一点を見抜く力が、桁違いなんでしょうね。

 知ってても、お首にも出さない処が、本当は怖い人なんですけどね。それに気付く人は、少いでしょうしね。

 それに、夢奇譚の挿絵が何んともはや・・・洞窟の男と女の裸の語らいと真ん中にデンとぶら下がるスモークド・サーモンのド迫力は、並の人間の想像力を超越してますわね。

 見た瞬間のRさんの存在感、迫力。話をすれば話をする程に、圧倒される器の大きさ、懐の深さ・・・文武を直感出来ますわ。へへへ、只者じゃないですからね。

 立派な体格に、分厚い胸板。日本人離れした彫の深い目鼻立ち。迫力とインテリ度が違いますわ。これじゃ、ロシア美人さん達が、ゾッコンに為るのも頷けますわ。相当、モテタんでしょうね。『閉じ籠り賄い夫』にしてちゃ、勿体無いですわ。それを、黙々と明るくこなして居るんだから、途轍も無い傑物でしょうよ。お婆ちゃんにして、この倅在りですわ。

 俺達が餓鬼の頃は、こんなRさん見たいな一目も二目も置く格好好い大人達が、何処の町にも居たんですがね。最近は、男の臭いがした男達がすっかり姿を消しちゃいましたわ。もう、こう為りぁ、日本消滅も間近ですわ。嗚呼、日本も情け無い時代に成り下がった物ですわ。」

「いやいや、好い話を聞かせて貰いましたわね。俺もしがない閉じ籠り賄い夫生活だから、こんなに好い人間の肉声が聞けて、感謝感謝だわね。寒いぜ、風邪引かなんででおくれやね。月に一度の楽しみだぜね。また、描き足しと置くぜね。アリガトざんした。」

「いえいえ、私の方こそ、好い雰囲気と美味の干し柿を頂戴いたしまして、有難うございます。」

 さてさてと、風呂に入って、洗濯機を回して、風呂を老母に譲って、昼散歩に出掛けましょうかね。いやはや、お寒い限りの日じゃゴザンせんか。

Copyright © 心何処(こころいずこ). all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。